まずはこれだけ15分
下の実演にある約150語の英文を読み、主張に二重線、具体例に[ ]をつけて、60字で要約してみてください。コツは、全部を書こうとせず具体例から削ること。別の英文で試したい人は、下のボタンから練習問題へ。
練習問題をひらく →要約とは何か
この節でわかること:要約と、抜粋・感想の違い。ここを取り違えると、どれだけ丁寧に書いても点が伸びません。
要約とは、元の文章の主張と、それを支える根拠だけを、自分の言葉で短くまとめ直すことです。元の文章が伝えたかったことを、読んでいない人にも伝わる形で圧縮する作業だと考えてください。
よく混ざるのが「抜粋」と「感想」です。抜粋は原文の文をそのまま切り貼りすること、感想は自分の意見や気持ちを書くことです。どちらも要約ではありません。
| 種類 | 中身 | 要約としては |
|---|---|---|
| 要約 | 筆者の主張と根拠を、自分の言葉で短く | これが正解 |
| 抜粋 | 原文の文を切り貼りする | 言い換え不足で減点されやすい |
| 感想 | 自分の意見・気持ちを書く | 筆者の主張ではないので不可 |
| あらすじ | 出来事を順に追う(物語向け) | 論説文では流れより主張と根拠が大事 |
筆者になったつもりで、いちばん言いたいことを、いちばん短く。自分の意見は1文字も入れません。
入試の論説文は、たいてい「主張→根拠→具体例→(譲歩・反論)→結論」の流れで書かれています。要約では、このうち主張・根拠・結論を残し、具体例は削るのが基本です。譲歩は、主張を支える場合にだけ短く残します。
5ステップの全体像
この節でわかること:要約を書く順番。迷ったらこの表に戻ってください。
| ステップ | やること | 目安時間 |
|---|---|---|
| 1 構造マーク | 主張・根拠・具体例・譲歩・結論に印 | 3分 |
| 2 要点の抽出 | 残す要点を3〜5個に絞る | 2分 |
| 3 削る・まとめる・言い換える | 余分を削り、原文の言葉を変える | 4分 |
| 4 つなぐ | 接続と語順で1つの文章にする | 3分 |
| 5 字数調整と見直し | 字数を合わせ、誤りを直す | 3分 |
合計で15分ほど。慣れないうちは1つのステップに時間がかかっても、手順を飛ばさないことが上達の近道です。いきなり書き始めると、具体例に引っぱられて字数があふれます。
ステップ1:構造マーク
何を:英文の各文に、「主張・根拠・具体例・譲歩・結論」のどれかの印をつけます。要約の出来は、ここでほとんど決まります。
どうやって
- まず鉛筆を置いたまま、1回通して読みます。細かい所は気にせず、話題だけつかみます。
- 2回目は、段落の最初と最後の文に注目します。論説文では、主張や結論がここに来やすいからです。
- 印を決めます。主張は二重線、根拠は下線、具体例は[ ]で囲む、譲歩は波線、結論は星印です。自分用の記号でかまいませんが、毎回同じにします。
- 合図の語に丸をつけます。However・But・In fact(転換)、For example・such as(具体例)、Therefore・So(結論)などです。
- 印を見返し、二重線が1〜2か所に収まっているか確認します。
二重線(主張)が1〜2か所。[ ](具体例)が、全体の4分の1から3分の1ほど。全文が線だらけなら、まだ選べていません。
くわしく:合図の語と役割の対応表中級
英文には、役割を教えてくれる合図の語があります。ただし、合図がなくても役割がある文もあるので、あくまで目印として使います。
| 役割 | 合図になりやすい語 | 日本語で言うと |
|---|---|---|
| 主張 | I believe / should / must | 〜すべきだ、〜だと考える |
| 根拠 | because / since / The reason is | 〜だから |
| 具体例 | For example / For instance / such as | たとえば |
| 譲歩 | Of course / Admittedly / It is true that | たしかに〜だが |
| 転換 | However / But / Yet / Still | しかし |
| 結論 | In short / Therefore / In conclusion | つまり、したがって |
However の直後の文は、筆者が本当に言いたいことである場合が多いです。ただし「多い」であって「必ず」ではありません。前後の流れで確かめましょう。
ステップ2:要点の抽出
何を:印をもとに、要約に残す要点を3〜5個に絞ります。基準は「これがないと、筆者の言いたいことが伝わらないか」です。
どうやって
- 二重線と下線の文だけを、順に読みます。[ ]の文は飛ばします。
- 各文を、日本語10〜20字のメモにします。たとえば「短く毎日の方が効果的」「記憶は繰り返しが必要」のように。
- メモを並べて、つながるか確かめます。飛んで意味が通らなければ、間の要点が足りません。
- 最後に「全体を1文で言うと?」に答えます。これが要約の軸になります。
要点が3〜5個。原文の順に並べて筋が通る。1文にまとめた「軸」と、要点がずれていない。
慣れないうちは、要点を出す前に「筆者は結局何が言いたいの?」と友だちに聞かれた想定で、20秒で答えてみてください。答えられなければ、まだ主張がつかめていません。
ステップ3:削る・まとめる・言い換える
何を:要点のうち字数に入らない部分を削り、似た内容を1つにまとめ、原文の言葉を自分の言葉に置き換えます。
どうやって
- 削る:具体例、数字、固有名詞、比喩、強調の副詞を、優先順位表(後述)の順に落とします。
- まとめる:例が3つ並んでいたら、その共通点を上位の言葉で1つにします。
- 言い換える:原文の文をそのまま写さず、語や構文を変えます。型は後の表で紹介します。
- 日本語で要約する場合は、英文を頭の中で「意味のかたまり」にして、日本語の語順で組み直します。
原文の言い回し(英語なら5語以上の並び)がそのまま残っていない。具体例が入っていない。数字や固有名詞は、なくても通じるものは消えている。
ステップ4:つなぐ
何を:バラバラの要点を、接続と語順で1つの文章にします。要約の読みやすさと論理の点は、ここで決まります。
どうやって
- 主張を先頭に置きます。原文で主張が後ろにあっても、要約では前に出してかまいません。
- 根拠は「〜からだ」「なぜなら〜」でつなぎます。因果がはっきりします。
- 対比は「〜が、一方…」、譲歩は「たしかに〜だが、…」でつなぎます。
- 1文を60字以内に収めます。長い文は、主語と述語がずれやすくなります。
| つなぎの型 | 日本語の例 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 因果 | 〜であり、それは…だからだ | 主張と根拠 |
| 対比 | 〜が、一方… | 二つの立場や状況 |
| 譲歩 | たしかに〜だが、… | 反論を受けて主張を保つ |
| まとめ | こうして/つまり | 結論を置く |
| 順序 | まず〜、次に… | 手順や段階を述べる |
主張が最初の文にある。文と文が「そして」だけでつながっていない。主語と述語が対応している。
ステップ5:字数調整と見直し
何を:制限字数の90〜100%に収めます。指定が「120字以内」なら、108〜120字が目標です。
どうやって
- 字数を数えます。日本語は句読点も1字に数えるのが一般的ですが、問題文の指示が優先です。
- 超えたら、優先順位表の上から順に削ります。足りなければ、根拠を1つ足します。
- 声に出して読みます。息が続かない文は、長すぎです。
- 原文と突き合わせて、「原文に書いていないこと」を書いていないか確かめます。
- 誤字、主語と述語、常体(だ・である)の統一を確認します。
字数が90〜100%。原文にない内容が入っていない。文末が統一されている。
答案用紙のマス目に書く形式では、句読点や数字の書き方(縦書き・横書き、算用数字か漢数字か)にルールがある場合があります。志望校の過去問の解答用紙で確認しておきましょう。
実演:150語の英文を60字にする
この節でわかること:元の英文→印づけ→要点→60字要約の流れ。手順を目で見て、まねしてください。
次の英文は、このページのために原田英語が書いたオリジナルの文章(約150語)です。実在の文章や入試問題ではありません。まずは、そのまま読んでみましょう。
Many students believe that a long study session once a week is the best way to learn a language. However, short daily practice is usually more effective. The main reason is that memory needs repetition over time. When we review a word again and again in small doses, the brain treats it as important and keeps it. For example, a student who studies for fifteen minutes every day meets the same word many times, while a student who studies for two hours on Sunday meets it only a few times. Of course, long sessions are not useless. They are helpful for tasks such as writing an essay, which requires deep concentration. Even so, for building vocabulary and listening skills, regular and brief practice works better. In short, what matters most is not how long we study at once, but how often we return to the material.
文に番号をつけて、役割を判定します。これがステップ1です。
| 文 | 内容(日本語) | 役割・扱い |
|---|---|---|
| 1 | 週1回の長時間学習が最良と多くの人が考える | 導入(残さない) |
| 2 | 短時間を毎日の方が効果的 | 主張(二重線) |
| 3 | 記憶には時間をおいた繰り返しが必要 | 根拠(下線) |
| 4 | 少しずつ何度も見直すと脳が重要と扱う | 根拠の補足(まとめて1つに) |
| 5 | 毎日15分と日曜2時間の学習者の比較 | 具体例(削る) |
| 6 | たしかに長時間学習も無意味ではない | 譲歩(字数で判断) |
| 7 | 作文など深い集中には役立つ | 譲歩の中身(字数で判断) |
| 8 | 語彙とリスニングには短く規則的な練習が向く | 主張の再確認(残す) |
| 9 | 大切なのは一度の長さより頻度 | 結論(残す) |
次にステップ2〜4を、段階ごとに表にします。
| 段階 | やったこと | 結果 |
|---|---|---|
| 印づけ | 文2に二重線、文3に下線、文5を[ ] | 主張と根拠が見える |
| 要点 | 主張、根拠、結論の3つに絞る | 短く毎日/繰り返しが必要/頻度が大切 |
| 削る | 具体例(文5)と譲歩(文6・7)を削る | 60字では譲歩を入れる余裕がない |
| まとめる | 文3と4を「間隔をおいた繰り返し」に統合 | 根拠が1つになる |
| 言い換える | daily practice→毎日続ける、memory→記憶 | 原文の写しを避ける |
| つなぐ | 主張を先頭、「からである」で根拠を置く | 因果が明確になる |
語学は長時間の勉強を時々するより、短時間を毎日続ける方が効果的だ。記憶には間隔をおいた繰り返しが必要だからである。(57字)
この要約は、主張と根拠の2つだけです。結論の「頻度が大切」は、主張と重なるので落としました。
くわしく:この要約が「よい」理由と、別解中級
- 主張が文頭にある。
- 根拠が「からである」で明確につながっている。
- 具体例(15分・2時間)は入っていない。
- 「筆者は述べている」などの飾りがない。
別解として、「毎日の短い学習は、長時間の学習より記憶に残りやすい。」(26字)のように1文で言い切る書き方もあります。ただし根拠が抜けるので、60字の枠なら理由を足して字数を使い切りましょう。
この英文で、譲歩(文6・7)を入れた100字版を自分で作ってみてください。答えの例は、次の節の「100字の書き方」にあります。
字数別のテクニック
この節でわかること:60字・100字・150字で、何を入れて何を削るかの目安。
| 字数 | 入れるもの | 削るもの |
|---|---|---|
| 60字 | 主張+根拠1つ(1〜2文) | 具体例、譲歩、補足のすべて |
| 100字 | 主張+根拠+譲歩または結論(2〜3文) | 具体例、数字、固有名詞 |
| 150字 | 主張+根拠+譲歩+結論(3〜4文) | 具体例の細部、比喩 |
字数が増えても、変わるのは「入れられる要点の数」だけ。構造は同じなので、60字が書ければ、150字は要点を足していくだけで書けます。
くわしく:60字の書き方初級
60字は、主張と根拠だけの世界です。「〜は…である。なぜなら〜からだ。」の形を基本にします。
語学は長時間の勉強を時々するより、短時間を毎日続ける方が効果的だ。記憶には間隔をおいた繰り返しが必要だからである。(57字)
- 1文か2文で終える。
- 接続語は1つまで。
- 数字と固有名詞は原則入れない。
くわしく:100字の書き方中級
100字では、譲歩か結論を1つ足せます。実演の英文なら、譲歩を短く入れるのが定番です。
語学は週に一度の長時間学習より、短時間でも毎日続ける方が効果的だ。記憶は間隔をおいた繰り返しで定着するからである。長時間学習は作文など集中を要する作業には有効だが、語彙やリスニングには短い練習が向く。(100字)
- 文の数は2〜3文。
- 譲歩は「〜も有効だが」のように短く。
- 具体例は依然として入れない。
くわしく:150字の書き方上級
150字では、主張・根拠・譲歩・結論がそろいます。構造を崩さず、順番だけ整えます。
語学の学習では、週に一度の長時間学習より、短時間でも毎日続ける方が効果的である。記憶は間隔をおいた繰り返しで定着するからだ。長時間学習も、作文のように深い集中が要る作業には有効だが、語彙やリスニングには短く規則的な練習が向く。大切なのは一度の長さではなく、教材に何度戻るかである。(140字)
- 文の数は3〜4文。
- 最後の文で結論を置くと、まとまりが出ます。
- 文が長くなりやすいので、1文は60字以内を意識します。
くわしく:同じ英文を英語で要約すると上級
英語で要約する問題では、日本語と同じ手順で要点を選び、英語の文に組み直します。実演の英文なら、約40語の例は次のようになります。
Short daily study is generally more effective than one long weekly session, because memory needs repeated review over time. Long sessions may help with tasks such as essay writing, but for vocabulary and listening, regular short practice works better.
- 原文の文をそのまま写さず、語順と語を変えている。
- 具体例(15分と2時間)は入れていない。
- 三人称・現在形で統一している。
- 接続語(because, but)で因果と対比を示している。
本番の時間配分
この節でわかること:要約1問にかける時間の目安。試験時間は大学や年度で違うので、あくまで練習用の割り振りです。
| 作業 | 割合の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 読む・印づけ | 約4割 | ここを急ぐと全部が崩れる |
| 要点を選ぶ | 約2割 | 3〜5個に絞る |
| 書く | 約3割 | つなぎと語順に集中 |
| 見直し | 約1割 | 字数と誤字の確認 |
たとえば1問に20分使えるなら、読む・印づけに8分、要点に4分、書くのに6分、見直しに2分です。字数オーバーの原因で多いのが、書き始めが早すぎること。読む時間は削らないでください。
練習でも、時間を区切って解くのがおすすめです。短い英文なら15分、長めの英文なら20分が目安。要約ノートには、10・15・20分から選べる制限時間タイマーがあります。
削る優先順位表
この節でわかること:字数をオーバーしたとき、どこから削るか。上から順に削ります。
| 順位 | 削るもの | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 具体例(たとえば〜) | 主張の説明であり、主張そのものではない |
| 2 | 数字・固有名詞・年号 | なくても主旨は変わらない |
| 3 | 比喩・強調・修飾語 | 主旨を飾る部分だから |
| 4 | 言い換えの繰り返し | 同じことの2回目は不要 |
| 5 | 譲歩・反論 | 字数に余裕がなければ落とす |
| 6 | 根拠の補足 | 根拠が複数あるときの2つ目以降 |
主張と、それを支える主要な根拠は、字数が厳しくても残します。譲歩を削るときは、「たしかに〜だが」の逆接が主張の理解に欠かせないかを確かめます。
迷ったら、「この部分を消しても、筆者の主張が伝わるか」を自問します。伝わるなら削ります。
言い換えの型
この節でわかること:原文の丸写しを避ける5つの型。
| 型 | 元の表現 | 言い換え |
|---|---|---|
| 上位語にする | apples, oranges, bananas | 果物、食べ物 |
| 名詞化・動詞化 | people started to use | 使用の普及 |
| 肯定⇔否定 | not useless | 有用な面もある |
| 受け身⇔能動 | It is believed that | 多くの人は〜と考える |
| 抽象化する | study every day | 継続的な学習 |
まず上位語にする型から練習するのがおすすめです。具体例をまとめるときにそのまま使えるからです。
くわしく:日本語で要約するときの言い換え中級
英文を日本語で要約する場合、英語の構文を頭に残したまま日本語にすると、ぎこちなくなります。次の3つを意識してください。
- 英語の動詞中心の表現を、日本語では名詞や述語で言い換える(例:people started to use → 使用が広まった)。
- 長い関係詞節は、日本語では文を分けて言い換える。
- 抽象名詞(issue, factor, aspect)は、内容に応じて「問題」「要因」「側面」などに訳し分ける。
くわしく:英語で要約するときの言い換え上級
英文を英語で要約する場合は、原文の単語を別の語に替える力が問われます。
| 原文の語 | 言い換え例 |
|---|---|
| important | significant / essential |
| show | indicate / demonstrate |
| many | a large number of / numerous |
| because | due to / since |
ただし、言い換えのために難しい語を使うと、誤用のリスクが高まります。自分が確実に使える語で言い換えるのが安全です。
練習の進め方:1日15分×2週間
この節でわかること:今日から始める、2週間の練習計画。
- 1〜3日目:60字で慣れる15分
短い英文を1つ読み、ステップ1〜5を通して60字で要約します。この3日間は、印づけを省かないことが目標です。
- 4〜7日目:100字に伸ばす15分
同じ英文で、60字版と100字版を書き比べます。100字版で何を足したか(譲歩か、結論か)をメモしておきます。
- 8〜10日目:150字に挑戦15分
長めの英文で150字を書きます。時間が足りなければ、ステップ1・2に5分かけ、書くのは10分にします。
- 11〜14日目:見直しと型の確認15分
これまでの要約を、このページ末尾の「要約完成チェックリスト」で見直します。同じミスが続く場合は、要約のNG10で直し方を確認します。
自分の要約を保存して自己採点するには、要約ノートが便利です。
くわしく:TED-Edで練習するには中級
よくある質問
毎日15分もとれません。
英語が苦手でも、要約は書けますか?
日本語で要約する場合と英語で要約する場合、どちらから練習すべきですか?
字数が毎回オーバーします。
採点は誰にしてもらえばよいですか?
自分で考えた要約が正しいか、どう判断すればいいですか?
要約完成チェックリスト
要約は才能ではなく手順です。印をつけ、要点を選び、削り、つなぎ、整える。まずは2週間、1日15分でこの5つの手順を回してみてください。
要約の練習に向く短い動画(TED-Ed)
TED-Ed✓ 視聴済5:09
TED-Ed✓ 視聴済4:53食べ物が、頭の働きを変える?脳と食事の話
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