原田先生の英語とっておきの話

「I love you.」と 「I like you.」は 何がどう違うのか? 日本人が誤解しがちな英語の「愛」と「好き」── 文化・言語・恋愛観から読み解く完全ガイド

💕 LANGUAGE & LOVE CULTURE

I love you.」と
I like you.」は
何がどう違うのか?

日本人が誤解しがちな英語の「愛」と「好き」──
文化・言語・恋愛観から読み解く完全ガイド

夏目漱石は「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したと言われています。
一方、アメリカ人は友達との電話を切るとき気軽に “Love you!” と言う。
日本語の「好き」は告白の言葉なのに、英語の “I like you” は友達にも使う。
──この2つのフレーズの「本当の距離」、あなたは正確に把握していますか?

1まず結論──「I love you」と「I like you」の決定的な違い

最初に核心をお伝えします。「I love you」と「I like you」は、単なる「程度の差」ではありません。感情の質そのものが異なるのです。

日本語話者の多くは「like=好き」「love=大好き/愛してる」という単純な等式で理解しようとしますが、英語ネイティブの感覚はもっと複雑です。

💗
I love you.
深い感情的つながり・無条件の受容
「あなたの存在そのもの」を大切に思う
恋人・家族・親友に使う
相手の欠点も含めて受け入れる覚悟
🧡
I like you.
好意・魅力・楽しさへの共感
「あなたの一面」に惹かれている
友人・気になる人・初期の恋愛に使う
関係の始まりを示すシグナル

ポイントは、英語の “love” は日本語の「愛してる」ほど重くない場面でも頻繁に使われるということ。そして “like” は日本語の「好き」ほど恋愛的ではない場面でも使われる。つまり、日本語と英語では「感情の地図」の描き方がまったく違うのです。

💡

英語では “I love this pizza!” のように、食べ物や趣味にも “love” を気軽に使います。一方、日本語で「このピザを愛してる」と言ったら、かなり変わった人だと思われるでしょう。この「love の守備範囲の広さ」が、日本人を最も混乱させるポイントです。

2日本語の「好き」「愛してる」と英語の感覚はこんなにズレている

ここが最大の落とし穴です。日本語と英語の「愛情表現マップ」を並べてみると、驚くほどズレていることがわかります。

日本語 🇯🇵 感情レベル 英語 🇺🇸🇬🇧
気になる 🌱 興味の芽生え I’m interested in you
好き(友人として) 💚 友情・好意 I like you
好き(告白) 💗 恋愛感情の表明 I like you / I have feelings for you
大好き 💕 強い愛着 I really like you / I love you
愛してる ❤️‍🔥 究極の愛 I love you / I’m in love with you

注目してほしいのは、日本語の「好きです」(告白)に対応する英語が “I like you” であること。日本で最も緊張する恋愛の儀式──告白──の言葉が、英語では友達にも使うカジュアルな表現と同じなのです。

一方、日本語の「愛してる」は結婚している夫婦でもめったに口にしない、極めて重い言葉です。ところが英語の “I love you” は、恋人同士はもちろん、親子間、親しい友人同士、さらには電話の切り際に “Love you, bye!” と軽快に言うことすらある。

決定的な違い:日本の「告白文化」は英語圏に存在しない

日本の恋愛には「告白」という明確なステップがあります。「好きです、付き合ってください」と伝え、相手がOKすれば恋人関係が始まる。この「告白文化」は、韓国や台湾など一部のアジア圏にも共有されていますが、欧米にはほぼ存在しません。

英語圏では「デーティング期間」と呼ばれるお試し交際を経て、自然と恋人関係に発展していくのが一般的。つまり、日本語の「好きです」のような一発勝負の言葉が英語では必要とされないのです。

🌍

ニューヨーク市立大学(CUNY)の研究によると、恋人同士で「I love you」を頻繁に使う割合は約62%。一方、既婚カップルでは34%にとどまり、46%が「たまに言う」程度だったといいます。英語圏でも、関係が安定すると言葉の頻度は下がるのです。

3夏目漱石の「月が綺麗ですね」──日本人はなぜ「愛」を直接言えないのか

日本の愛情表現を語る上で外せないのが、夏目漱石にまつわる有名な逸話です。

明治時代、英語教師だった漱石が、生徒が「I love you」を「我君ヲ愛ス」と直訳しているのを聞き、こう言ったとされています。

「日本人はそんなことを恥ずかしげもなく言うものではない。
『月が綺麗ですね』とでも訳しておきなさい」

── 夏目漱石(伝承。文献上の裏付けは未確認)

この逸話の真偽は不確かですが、日本の愛情表現の本質を見事に言い当てています。「月が綺麗ですね」が「I love you」の訳として成立するのは、「同じ月を見ているあなたがそばにいるから美しい」という意味が暗黙のうちに共有されるから。

ここに日英の根本的な違いがあります。

🌙
日本語:ハイコンテクスト文化
言葉にしなくても伝わることに価値を置く。
「察する」ことが美徳。
愛を直接言語化するのは「野暮」とされる。
月が綺麗ですね = I love you
💬
英語:ローコンテクスト文化
言葉にして初めて存在するものに価値を置く。
「明確に伝える」ことが美徳。
愛を言語化しないのは「冷たい」と見なされる。
I love you = I love you

実は、明治以前の日本語には「愛する」という動詞が日常的に使われていなかったと言われています。西洋の “Love” を翻訳する過程で「愛」が恋愛表現として定着した──つまり、「愛してる」という日本語そのものが、比較的新しい「輸入品」なのです。

それ以前は「お慕いする」「焦がれる」「恋しい」など、より婉曲的で繊細な表現が使われていました。日本語には、愛を直接語る言葉より、愛を「にじませる」言葉の方がはるかに豊かなのです。

4アメリカ人はなぜ “Love you!” を連発するのか──文化的背景

日本人がアメリカに行って最も驚くことの一つが、”I love you” の頻出ぶりです。恋人同士だけでなく、親子、友人、さらには同僚にすら使う人がいる。この「Love のインフレ現象」の背景には、いくつかの文化的要因があります。

理由①:英語の “love” は守備範囲が異常に広い

英語の “love” は、人間関係だけでなく、食べ物、趣味、場所、天気まであらゆるものに使えます。”I love sushi”、”I love rainy days”、”I love this song” ──これらは日本語で「愛してる」とは絶対に言わない場面です。この日常的な使用が、人に対する “love” のハードルも下げているのです。

理由②:「言わないと伝わらない」という信念

日本の「察する文化」とは正反対に、英語圏──特にアメリカでは「言葉にしない感情は存在しないのと同じ」という考え方が根強くあります。多くのアメリカ人が「いつ何が起こるかわからないから、愛する人には毎日伝える」と語ります。

理由③:友情を言葉で確認する文化

アメリカでは特に女性同士で “I love you” を友人に使うことが非常に一般的です。男性でも、親しい友人に “Love you, man” と言う場面は珍しくありません。日本人の感覚だと「えっ?」となりますが、これは恋愛感情ではなく、「あなたの存在が大切だ」「この友情は本物だ」という確認行為なのです。

REAL SCENE

「Love you」が飛び交うアメリカの日常──

📞 母と娘の電話(切り際):
“Okay mom, talk to you later. Love you! Bye!”
→ 毎日の電話の定番。日本の「じゃあね」と同じ感覚
🍻 友人同士(パーティの帰り際):
“Get home safe! Love you guys!”
→ 恋愛感情ゼロ。「大事な仲間だよ」の意味
💑 恋人同士(真剣な場面):
“I’m in love with you.”
→ “in” が入ると途端に重くなる。「恋愛として愛している」の宣言
💡

重要な区別: “I love you” と “I’m in love with you” は別物です。前者は家族や友人にも使えますが、後者は「あなたに恋愛感情がある」という明確な宣言。英語話者はこの2つを無意識に使い分けています。前置詞 “in” がたった2文字加わるだけで、感情の質がまったく変わるのです。

5恋愛における「I like you」と「I love you」のタイムライン

英語圏の恋愛には、日本の「告白→交際」とは異なる独自のステップがあります。”I like you” と “I love you” は、この恋愛タイムラインの中で明確に異なる位置を占めています。

TIMELINE

英語圏の恋愛における感情表現の段階──

STAGE 1
I think you’re cute / interesting.
「気になる」段階。まだ “like” すら使わない。デートに誘う前の段階。
STAGE 2
I like you. / I like spending time with you.
デーティング期間。「あなたのことをもっと知りたい」という意思表示。ただし、この段階では複数の人とデートしている場合もある。
STAGE 3
I really like you. / I have feelings for you.
関係が深まってきた段階。「あなただけを見ている」のシグナル。日本語の「告白」に最も近い瞬間。
STAGE 4
I love you.
交際が確立してから数ヶ月後。英語圏の恋愛における最大のマイルストーン。初めて “I love you” を言うタイミングは、カップルにとって極めて重要な瞬間。早すぎると重いし、遅すぎると不安にさせる。
STAGE 5
I’m in love with you.
最も強い恋愛的宣言。”I love you” が習慣化した後でも、”I’m in love with you” は特別な意味を持つ。「あなたなしでは生きられない」に近いニュアンス。

覚えておきたいポイント:日本では「好きです」の一言で恋愛関係がスタートしますが、英語圏では “I like you” から “I love you” までの間に長い旅路がある。この旅路の存在を知らないと、「I like you って言われたけど、付き合ってるってこと?」と混乱してしまいます。

6世界の言語はどう区別する?──フランス語・スペイン語・韓国語との比較

英語の “love/like” 問題は、他の言語と比べるとさらに面白くなります。実は、「愛」と「好き」を文法レベルで区別する言語は多いのです。

言語 「愛してる」 「好き」 特徴
🇺🇸 英語 I love you I like you loveの範囲が広く、食べ物にも使う
🇫🇷 フランス語 Je t’aime Je t’aime bien “bien” を足すと逆に軽くなる不思議
🇪🇸 スペイン語 Te amo Te quiero quieroは家族や友人にも使える
🇰🇷 韓国語 사랑해 (saranghae) 좋아해 (joahae) 日本と似た告白文化がある
🇨🇳 中国語 我爱你 (wǒ ài nǐ) 我喜欢你 (wǒ xǐhuan nǐ) 「爱」は日常的にはほぼ使わない
🇯🇵 日本語 愛してる 好き 「愛してる」は最も重い。日常使用は稀

興味深いのはフランス語の例です。”Je t’aime”(愛してる)に “bien”(良く)を加えた “Je t’aime bien” は、「好き」のレベルに下がるのです。「よく愛してる」が「好き」になるとは、直感に反していて面白いですね。

また、中国語の研究によると、中国人学生はアメリカ人学生と比較して「我爱你」を口にする頻度がはるかに低く、特に家族(親)に対して使うことを避ける傾向が顕著だったと報告されています。「言わなくてもわかるでしょう」という文化は、東アジアに広く共有されているのです。

“In some languages, ‘love’ cannot be used for everyday things. But in American English, we do not need to use ‘love’ for only romance or strong emotion.”

「一部の言語では “love” を日常的なものに使えない。しかしアメリカ英語では、ロマンスや強い感情だけに限定する必要がない」

── HiNativeでのネイティブスピーカーの回答より

7シーン別・完全フレーズ集──Like と Love の使い分け20選

ここからは実践編です。日常・恋愛・友情・家族の各シーンで、”like” と “love” がどう使い分けられるかを具体例で見ていきましょう。

💕 恋愛の段階別フレーズ

出会い〜デーティング初期

I like you.
あなたのことが好きです。
日本語の「告白」に最も近い表現。ただし英語圏ではこの一言で交際が始まるわけではない。「もっと知りたい」の意思表示

交際初期

I really like you. / I have feelings for you.
あなたのことが本当に好きです。/あなたに気持ちがあります。
likeに “really” を加えると、友情を超えた感情であることが明確に。「I love you と言うにはまだ早いけど、あなたは特別」というメッセージ。

交際数ヶ月後の大きな一歩

I love you.
愛してる。
英語圏の恋愛で最も緊張する瞬間の一つ。初めて言う “I love you” は一生の記念日になることも。相手が返してくれなかった場合の気まずさも含め、非常にドラマチック。

深い関係の確認

I’m in love with you.
あなたに恋してる。(あなたなしでは考えられない)
“in love” は “love” より恋愛的に強い。家族や友人には使わない、100%ロマンチックな表現

👫 友情・家族で使う “Love” と “Like”

Love you! / Love ya!
じゃあね!大事にしてるよ!
カジュアルな “I” の省略形。友人・家族への挨拶代わり。恋愛感情はゼロ。日本語の「ありがとね」「気をつけてね」に近い。
I love you, man.
お前のこと大事に思ってるよ、マジで。
男性同士の友情で使われる。「man」を付けることで「ブロマンス」(男同士の友情)であることを明示。
I like hanging out with you.
あなたと過ごすの楽しいよ。
友人に対する自然な好意表現。ここで “love” を使うと「大好き!」のテンションになる。

🍕 モノ・コトに使う “Love” と “Like”

I like coffee. → I love coffee.
コーヒーが好き。→ コーヒーが大好き!
モノに対する “love” は「really like」の強調版。日本語の「コーヒー愛してる」は変だが、英語では完全に自然。これが日本人を最も混乱させるポイント
I’d love to! / I’d like to.
ぜひ!/そうしたいですね。
誘いへの返答。”I’d love to” はテンション高め、”I’d like to” はフォーマルで丁寧。

8日本人が犯しがちな3つの「Love/Like」ミス

Like と Love の使い分けを間違えると、意図しないメッセージを送ってしまうことがあります。日本人が特に注意すべき3つのミスを紹介します。

ミス① 付き合いたい人に “I love you” と言ってしまう

日本語感覚で「大好き=love」と思い、まだ交際もしていない相手に “I love you” と言ってしまうケース。英語圏では、交際前の “I love you” は「重すぎて怖い」と受け止められます。初期段階では “I like you” や “I have a crush on you” が適切です。

対処法:恋愛の初期段階では “I like you” や “I really like you” を使いましょう。”I love you” は交際が安定してから、自然と言えるタイミングを待つのがベストです。

ミス② 友人の “Love you!” に恋愛的意味を感じてしまう

アメリカ人の友人が別れ際に “Love you!” と言ったのを、恋愛的な意味に受け取ってしまうケース。特にアメリカ文化に慣れていないと、「え、この人は私のことが好きなの?」と勘違いしかねません。

対処法:カジュアルな “Love you!” や “Love ya!” は日本語の「またね!」程度のニュアンスです。”I” が省略されていたり、”ya” と崩していたりする場合は、まず友情の範囲と考えましょう。

ミス③ 恋人に “I like you” しか言わない

日本では「好き」で十分ですが、英語圏の恋人に対して “I like you” だけで止めていると、「この人は本当に私を愛しているの?」と不安にさせます。英語圏では、恋人には明確に “I love you” と言葉にすることが、関係の健全さの証です。

対処法:恋人には “I love you” を言いましょう。最初は恥ずかしくても、英語圏のパートナーにとってこの言葉は「水や空気」のように必要なもの。言わないことは「冷たさ」や「不安」として受け取られます。

こう言いたい日本語 ❌ やりがちなミス ✅ 正解の英語
好きです(告白) I love you I like you / I have feelings for you
このラーメン超美味い! I like this ramen I love this ramen!
(恋人へ)愛してるよ I like you very much I love you
あなたに夢中です I love you so much I’m crazy about you / I’m in love with you

まとめ──「Love」と「Like」の間にある、美しいグラデーション

「I love you」と「I like you」の違いは、
単なる程度の差ではなく、感情の質と文化的文脈の違いです。

“Like” は好意・魅力の表明、”Love” は深いつながりと受容の表明
英語の “love” は日本語の「愛してる」より遥かに広い範囲で使われる
“I love you” と “I’m in love with you” は別の感情。前置詞 “in” が決定的な差を作る
日本語の「好き」(告白)≠ 英語の “I love you”。初期は “I like you” が自然
カジュアルな “Love you!” は友情の証。恋愛的な意味ではない
漱石が「月が綺麗ですね」と訳したように、言語には文化が宿る

「月が綺麗ですね」も「I love you」も、
どちらもその言語の文化が生んだ最高の愛情表現。
大切なのは、相手の言語で「伝わる言葉」を選ぶこと。

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