play it by ear の意味は?予定を決めず、その場で決める言い方
入試に出るイディオム|第63回
予定を決めずにその場で決める play it by ear、話を手短にまとめる Long story short,、助けてくれた相手を傷つける bite the hand that feeds you。比喩表現・会話表現・ことわざを1つずつ、由来から入試の出方まで見ていきます。
監修:原田高志(原田英語.com)
ear は「耳」です。では、play it by ear は、耳で何をすることなのでしょうか。友だちに理由を話すときの便利な一言も紹介します。最後は、犬が手をかむ絵にたとえたことわざです。3つ合わせて見ていきます。
play it by ear
プレイ・イット・バイ・イア 臨機のことば(前もって決めずに)その場の様子を見て決める、成り行きで進める
まず、この絵を頭に置いてください。ピアノの前に座った人が、楽譜を開かずに、聞いたことのある曲を耳だけをたよりに弾いています。
語句の由来を調べるサイト Phrase Finder によると、ear を「音楽の才能」の意味で使った例は、1500年代にすでにあります。play by ear という形の最初の記録は、1839年の雑誌 The Edinburgh Review です。ある女性作家を「耳で弾く人」にたとえ、別の作家を「その学問をきちんと分かっている人」にたとえる文に出てきます。
そこから、準備をせずにその場で対応する意味に広がりました。Phrase Finder は、この広がった意味は1900年代なかばのアメリカで生まれ、初期の例にはスポーツの記事が多い、と書いています。
土曜日、友だちと出かけることになりました。でも、行き先も時間も決まっていません。天気しだいで、映画にするか公園にするかも変わります。
全部を今夜決めようとすると、かえって話が進みません。
予定は決めない。当日の様子を見て、その場で決める。
このやり方を、英語は play it by ear と言います。We don't have a plan, so let's play it by ear. と言えます。
こう使う
We don't have a plan for the weekend, so let's play it by ear.
週末の計画はないから、その場の様子を見て決めよう。
I'm not sure what time I'll finish, so I'll play it by ear.
何時に終わるか分からないので、そのときの様子を見て決めます。
発音:play it by ear は、4語を続けて、リズムよく読みます。by と ear のあいだで切らず、「バイイア」とつなげます。ear を強めに読むと、伝わります。
- こう問われる
- ①下線部の言い換えで、play it by ear を decide as things happen / follow a fixed plan / listen to music carefully / practise every day の4つから選ばせる形。②会話文の空所補充で、A: Where shall we eat? B: I don't know yet. Let's ( ) it by ear. に play を入れさせる形。③和訳で、play it by ear を「耳で演奏する」と訳さないかを見る形。
- ここで外す
- 「耳で演奏する」とそのまま訳す答案が定番です。ear につられて listen to music carefully を選ぶ誤りもあります。もう1つは、it を落として play by ear と書いたり、play it by the ear と the を足したりする誤りです。
- 決め手
- 文に楽譜・ピアノ・曲の話が出ていれば「耳で弾く」。予定・準備・計画が出てきて、それがまだ決まっていなければ、「その場で決める」です。
We don't have a plan for Saturday, so let's play it by ear.
- 誤答
- 土曜日は計画がないので、耳で楽器を弾こう。
- 正答
- 土曜日の計画はないから、その場の様子を見て決めよう。
Before
ear が入っているので、play it by ear を見ると「耳で何かをする」と読み、音楽の話だと思い込んで、会話文の空所で迷っていた
After
まわりに「予定がまだ無い」という語があれば、音楽ではなく『その場で決める』と読める。ear につられず、会話文でも言い換えでも選べる
play it by ear を教室で使う(5分)
ねらい: play it by ear が「その場で決める」という意味だと言え、決めておく場面と使い分けられるようにする
- 「週末の予定を、きっちり決めておく人と、決めない人はどちらですか」と聞き、手を挙げさせます
- 黒板に make a plan と play it by ear を並べ、「前もって決める」と「その場で決める」と書き添えます
- 「楽譜を見ずに耳だけで弾くピアノ弾きの絵」を黒板に描き、「予定を見ずに、その場の様子で動く人と同じです」と伝えます
- ペアで、1人が What are we doing this weekend? と聞き、もう1人が We don't have a plan. Let's play it by ear. と答えます。役を替えて2回やらせます
出口チケット: 「明日の放課後はまだ予定がないから、その場で決めよう」を、play it by ear を使って英語で書かせる
Long story short,
ロング・ストーリー・ショート 端的のことば手短に言うと、要するに(長い話を省いて、結論を先に言うときの一言)
まず、この絵を頭に置いてください。友だちが「それでね、その前にね」と、話をなかなか終えてくれません。やっと、「まあ、長い話を短くすると」と言って、結論を話し始めます。
語句の由来を調べるサイト Phrase Finder は、元の形は to make a long story short だと書いています。最初の記録として挙げているのは、1729年にダブリンで出た雑誌 The Intelligencer です。ジョナサン・スウィフトらがつくった雑誌で、そこに to make a long Story short が出てきます。ただし、使い古された決まり文句を並べた中に入っており、1729年よりずっと前から口で言われていたのだろうとされています。いつから使われていたのかは、分かっていません。
Phrase Finder は、make の代わりに cut を使う to cut a long story short は、あとから作られた形のようだ、とも書いています。
朝、友だちに「なんで遅れたの?」と聞かれました。ほんとうは、目覚まし時計が鳴らず、慌てて家を出て、乗る電車を間違えて、乗り換えもしたのです。
でも、全部話すと長くなります。友だちが聞きたいのは、理由だけです。
細かい話は省いて、結論だけ言う。
この一言を、英語は Long story short, と言います。Long story short, I took the wrong train. と言えます。
こう使う
Why were you late?
どうして遅れたの?
Long story short, I took the wrong train.
手短に言うと、電車を間違えたんだ。
Long story short, we lost the game, but we had fun.
手短に言うと、試合には負けたけれど、楽しかったよ。
発音:Long story short は、long・story・short の3語を、1語ずつはっきり読みます。書くときは、うしろにコンマを打ちます。話すときは、ここで一呼吸おくと、結論が目立ちます。
- こう問われる
- ①会話文の空所補充で、A: Why were you late? B: ( ), I took the wrong train. に、Long story short / By the way / For example から選ばせる形。②下線部の言い換えで、long story short を in short / at first / by chance から選ばせる形。③和訳で、long story short を「長い話は短い」と直訳しないかを見る形。
- ここで外す
- 「長い話は短い」と直訳する答案が定番です。話題を変える By the way を選ぶ誤りもあります。もう1つは、動詞を付けて to long story short と書く誤りです。動詞を入れるなら、to cut a long story short と、a も必要です。
- 決め手
- 空所のうしろに、理由や結果がすぐ続いているなら、前の話を省いてまとめる言い方です。話題が変わるなら by the way、例を出すなら for example です。
- 誤答
- By the way/話題を変えるときの言い方で、理由を手短にまとめる文になりません
- 正答
- Long story short/長い話を省いて、結論だけを言う形です
Before
long story short を見ると「長い話」「短い」の2語を別々に訳し、会話の中でなぜその一言が入るのか分からず、空所で迷っていた
After
うしろに結論が続くなら、前の話を省く合図と読める。By the way や For example と取り違えず、会話文の空所を選べる
Long story short, を教室で使う(5分)
ねらい: Long story short, が結論を先に言う合図だと言え、By the way と使い分けられるようにする
- 「昨日、帰りが遅くなったのはなぜですか。1文で言ってください」と聞き、隣の人に話させます
- 黒板に Long story short, と By the way, を並べ、「結論を言う」と「話題を変える」と書き添えます
- 「友だちに遅刻のわけを聞かれました。細かい話は省いて、結論だけ言ってください」と伝え、Long story short, のあとに1文を続けさせます
- ペアで、1人が Why were you late? と聞き、もう1人が Long story short, ... と答えます。役を替えて2回やらせます
出口チケット: 「手短に言うと、宿題を忘れたんだ」を、Long story short を使って英語で書かせる
bite the hand that feeds you
バイト・ザ・ハンド・ザット・フィーズ・ユー 忘恩のことば恩のある相手に害を与える、恩をあだで返す
まず、この絵を頭に置いてください。毎日えさをくれる人の手を、犬が急にかみます。えさをもらっている相手を傷つけるのですから、あとで困るのは犬のほうです。
Merriam-Webster は、この言い方を「恩人を悪意で傷つける」意味だと説明し、最初の使用例は1649年だとしています。
ただし、語句の由来を調べるサイト Phrase Finder は、この言い方がいつ生まれたのかは、はっきりしないと書いています。恩を忘れるという話そのものは、古いイソップ寓話などにも出てくる、というところまでで、言葉が寓話から来たとは言っていません。
試験前、先生が放課後に残って、毎日あなたの勉強を見てくれました。ところが、模試の結果が悪かったとき、あなたはつい「先生の教え方が悪い」と言ってしまいました。
言ったあとで、気づきます。助けてくれた人に、いちばん言ってはいけない言葉でした。
助けてくれた相手を、逆に傷つける。
これを、英語は bite the hand that feeds you と言います。Don't bite the hand that feeds you. と言えます。
こう使う
Don't bite the hand that feeds you.
助けてくれる人を傷つけるようなことは、してはいけません。
He complained about the company that gave him his first job. It was like biting the hand that feeds you.
彼は、初めての仕事をくれた会社に文句を言いました。恩をあだで返すようなものでした。
発音:bite は「バイト」と読み、最後の t は軽く止めます。feeds の最後の ds は、「ヅ」と軽く言います。that feeds you は、つなげて「ザット・フィーヅユー」のように読みます。
- こう問われる
- ①下線部の言い換えで、bite the hand that feeds you を be unkind to someone who helps you / feed a hungry animal / hurt your hand while cooking / eat too much から選ばせる形。②空所補充で、Don't ( ) the hand that feeds you. に bite を入れさせる形。③和訳で、「あなたを養う手をかむ」と直訳して終わらないかを見る形。
- ここで外す
- 「あなたを養う手をかむ」と直訳して終わる答案が定番です。動物の話だと思って、feed a hungry animal を選ぶ誤りもあります。もう1つは、that feed you と、feeds の s を落とす誤りです。
- 決め手
- hand は1つなので、うしろは that feeds you と s が付きます。意味は、助けてくれた人(先生・親・上司・店)に文句や悪口を言う場面なら、比喩の「恩をあだで返す」です。
She complained loudly about the teacher who had helped her for a year. Some people said she was ( ) the hand that fed her.
彼女は、1年間助けてくれた先生のことを大声で責めた。彼女は恩人を傷つけている、と言う人もいた。
- 誤答
- kissing/感謝や愛情を表す語になり、文の流れと逆です
- 正答
- biting/助けてくれた相手を傷つける形です
Before
bite the hand that feeds you を犬の話だと思い込み、先生や親の場面で使うことわざだと気づけていなかった
After
feeds の主語が hand だと分かれば、『助けてくれた人』を指すことわざと読める。動物の話と取り違えず、言い換えでも空所補充でも選べる
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bite the hand that feeds you を教室で使う(5分)
ねらい: bite the hand that feeds you が「恩をあだで返す」ことわざだと言え、動物の話と区別できるようにする
- 「いつも助けてくれる人を、1人思い浮かべてください。その人に、悪口を言ったらどうなりますか」と聞き、隣の人と話させます
- 黒板に、犬が手をかむ絵を描き、「えさをくれる手」と書き添えます
- 「この絵は、犬の話ですか、人の話ですか」と聞き、人の話にたとえて使うことわざだと確かめます
- ペアで、1人が Don't bite the hand that feeds you. と言い、もう1人が Sorry, I was wrong. と返します。役を替えて2回やらせます
出口チケット: 「助けてくれた人に文句を言うな」を、bite を使って英語で書かせる
よくある質問
play it by ear は、なぜ「その場で決める」という意味なのですか?
もとは、楽譜を見ずに耳だけで演奏するという音楽の言い方でした。Phrase Finder によると、最初の記録は1839年の雑誌です。そこから、準備をせず、その場で対応する意味に広がりました。
Long story short と To cut a long story short は、何が違うのですか?
意味は同じです。Wiktionary によると、Long story short は To cut a long story short などを縮めた形です。Phrase Finder は、元の形は to make a long story short で、cut の形はあとから作られたようだと書いています。
bite the hand that feeds you は、いつ生まれたことわざですか?
はっきりしません。Merriam-Webster は最初の使用例を1649年としています。Phrase Finder は、この言い方の最初の使用はつきとめにくいと書き、恩を忘れるという話は古いイソップ寓話などにも出てくると説明しています。