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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
IDIOMS 第60回 標準 読了 7分

pull out all the stops の意味は?音栓を全部引く、が由来です

入試に出るイディオム|第60回

あらゆる手を尽くす pull out all the stops、好機を逃すなという make hay while the sun shines、人が多いほど楽しいと言う The more the merrier。比喩表現・ことわざ・会話表現を1つずつ、由来から入試の出方まで見ていきます。

監修:原田高志(原田英語.com)

stop を「止める」と読んだ人は、ちょっと待ってください。pull out all the stops の stop は、パイプオルガンの音を出す栓です。ほかに、好機を逃さないことわざと、友だちに「もう1人連れていってもいい?」と聞かれたときの返事も合わせて、3つ紹介します。

pull out all the stops

プル・アウト・オール・ザ・ストップス 全力のことば

あらゆる手を尽くして、全力を出す

起源 オルガンの栓を、全部引く

語句の由来を調べるサイト Phrase Finder によると、pull out all the stops は、パイプオルガンの「ストップ」から来た言い方です。ストップとは、管に送る空気を切り替える栓のことです。

Phrase Finder によると、ストップを引き出すと、オルガンの音は大きくなります。栓を全部引けば、ありったけの音で弾くことになります。Phrase Finder は、この由来は俗説ではなく、実際に正しい、と書いています。

オルガンと関係のない意味でこの言い方を使った最初の人は、Matthew Arnold だったようです。Phrase Finder は、その例として Essays in Criticism(1865年)を挙げています。

いま 最後の大会の前の日に

部活の最後の大会が、明日に迫っています。

練習メニューを見直し、道具をそろえ、後輩にも声をかけました。やれることは全部やりました。

持っている力を、残らず出す。

この気持ちを、英語は pull out all the stops と言います。We pulled out all the stops for the tournament. と言えます。

pull out all the stops = 音栓を全部引く = 全力を出す。stop は「止める」ではない。

こう使う

The students pulled out all the stops for the school festival.

生徒たちは、文化祭のために、あらゆる手を尽くしました。

If you want to win, you have to pull out all the stops.

勝ちたいなら、あらゆる手を尽くさなければなりません。

発音:いちばん強く読むのは、最後の stops です。プル・アウト・オール・ザ・ストップス。pull out は続けて「プルアウト」と読みます。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①下線部の言い換えで、They pulled out all the stops. の下線部を、made every possible effort / stopped all the machines / played the organ loudly / gave up everything の4つから選ばせる形。②空所補充で、The team ( ) all the stops to win the final. に、pulled out と pulled up のどちらが入るかを選ばせる形。③和訳で、pull out all the stops を「すべての停止を引き出す」と訳さないかを見る形。
ここで外す
stop を「止める」と読み、「全部止める」「全部やめる」と訳す答案が定番です。もう1つは、out を up に変えて pull up all the stops と書く誤りです。
決め手
主語が人やチームで、目的語が all the stops なら、何かを成し遂げるための全力の話です。形は pull out all the stops で固定で、過去の文では pulled out と書きます。

The team ( ) all the stops to win the final.

チームは、決勝に勝つために、あらゆる手を尽くした。

誤答
pulled up/up では「引き上げる」で、この表現になりません
正答
pulled out/過去の文なので pulled out all the stops と書きます

Before

stop を「止める」と覚えていて、pull out all the stops が出ると、機械を止める話だと思って止まっていた

After

stop は、オルガンの音を出す栓と読める。主語が人で、目的語が all the stops なら、全力を出す意味だと決められる。out は up に変えられない、という形も迷わなくなる

pull out all the stops を教室で使う(5分)

ねらい: pull out all the stops が、全部の栓を引いて最大の音を出す絵だと、動作つきで言えるようにする

  1. 「最近、全力を出して頑張ったことはありますか」と聞き、隣の人と1つずつ言わせます
  2. オルガンの栓が並んだ絵を板書し、栓を全部引くと音が最大になる、と伝えます
  3. 「stop は、ここでは『止める』でしょうか」と聞き、音を出す栓のことだと確かめます
  4. ペアで、I pulled out all the stops for ___. の空所に自分の場面を入れて言い合い、役を替えて2回やらせます

出口チケット: 「私は、発表のために、あらゆる手を尽くしました」を、pull out all the stops を使って英語で書かせる

pull out all the stops をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

Make hay while the sun shines.

メイク・ヘイ・ホワイル・ザ・サン・シャインズ 好機のことば

好機を逃さず、いまのうちにやっておけ

起源 晴れているうちに、草を乾かす

語句の由来を調べるサイト Phrase Finder によると、このことわざが活字で見つかる最初の例は、John Heywood が1546年に出した、英語のことわざを集めた本です。

そこには、Whan the sunne shinth make hay.(日が照るときに、干し草を作れ)と書かれ、続けて、Take time whan time cometh, lest time steale away.(時が来たときに時をつかめ。時が逃げてしまわないように)と説明されています。

また、Phrase Finder は、畑や牧場以外のことにたとえた例として、Richard Head の The Canting Academy(1673年)を挙げています。

いま 部活が休みの、晴れた日曜日

来週は、定期テストです。ところが、今週の日曜日は、部活が休みで、予定も入っていません。

「あとでやろう」と思えば、いくらでも先に延ばせます。

予定が空いているいまのうちに、手をつける。

この考え方を、英語は Make hay while the sun shines. と言います。I decided to make hay while the sun shines. と言えます。

Make hay while the sun shines. = 晴れているうちに干し草を作れ = 好機を逃すな。

こう使う

The test is next week, so let's make hay while the sun shines.

テストは来週だから、いまのうちにやっておこう。

You should make hay while the sun shines and start today.

好機を逃さず、今日から始めたほうがいいですよ。

発音:強く読むのは、hay と sun の2か所です。メイク・ヘイ・ホワイル・ザ・サン・シャインズ。while の最後の音は、軽く読みます。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①空所補充で、Make hay ( ) the sun shines. に、while と during のどちらが入るかを選ばせる形。②下線部の言い換えで、Make hay while the sun shines. を、Take advantage of the chance now. などから選ばせる形。③和訳で、「晴れているあいだに干し草を作れ」で終わらず、好機を逃すなという意味まで書かせる形。
ここで外す
空所に during を入れる誤りが定番です。もう1つは、文字どおりに「干し草を作れ」とだけ訳して、比喩の意味を落とす答案です。
決め手
空所のうしろが the sun shines と、主語と動詞が続いていれば、接続詞の while です。during は前置詞なので、うしろに名詞が来ます。

Make hay ( ) the sun shines.

日が照っているうちに、干し草を作れ(好機を逃すな)。

誤答
during/during は前置詞なので、うしろに the sun shines という文を続けられません
正答
while/うしろに主語と動詞が続くので、接続詞の while です

Before

make hay を「干し草を作る」と覚えて、文の意味が通らず、そこで読むのが止まっていた

After

ことわざ全体で「好機を逃すな」と読める。while のうしろに主語と動詞が続くので接続詞だと分かり、during と迷わず決められる

Make hay while the sun shines. を教室で使う(5分)

ねらい: Make hay while the sun shines. が、好機を逃さず動けという意味だと、場面と一緒に言えるようにする

  1. 「あとでやろうと思って、結局やらなかったことはありますか」と聞き、隣の人と1つずつ言わせます
  2. 「晴れた日に干し草を作る」絵を板書し、雨の日は草が乾かないので、晴れた日が好機だと伝えます
  3. 黒板に Make hay ( ) the sun shines. と書き、while と during のどちらが入るかを理由つきで言わせます
  4. ペアで、「いまのうちにやっておくこと」を1つずつ決め、Let's make hay while the sun shines. で始めて言い合わせます

出口チケット: 「天気がいいうちに、洗濯をしよう」を、make hay を使わず、while を使った英文で書かせる

Make hay while the sun shines. をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

The more the merrier.

ザ・モア・ザ・メリアー 歓迎のことば

人が多いほど楽しい(大歓迎だよ)

起源 「もっと、もっと、にぎやかに」

語句の由来を調べるサイト Phrase Finder によると、The more the merrier. が活字で見つかる最初の例は、John Heywood が1546年に出した、英語のことわざを集めた本です。

そこには、Haue among you blynde harpers (sayd I.) The mo the merier. と書かれています。mo は more の古い言い方で、merier は merrier のことです。

Heywood は、Sir Thomas More の親戚でした。Phrase Finder は、More の名前にかけた言葉遊びだった見込みは低いと見ています。ただ、Heywood のことわざ集は意味の取りにくい文が多いので、そうだった可能性も残る、と書いています。

いま 「友だちを連れていってもいい?」と聞かれた日

週末に、家で映画を見る約束をしました。すると、友だちから「もう1人、連れていってもいい?」とメッセージが届きました。

人数が増えても、ぜんぜん困りません。むしろ、にぎやかなほうが楽しそうです。

人が増えるほど、楽しくなる。

そう返事をするとき、英語は The more the merrier. と言います。Sure, the more the merrier! と言えます。

The more the merrier. = 多いほど、楽しい = 大歓迎。うしろも比較級の merrier。

こう使う

Can I bring my brother?

弟を連れていってもいい?

Sure, the more the merrier!

もちろん、多いほど楽しいよ!

We are having a barbecue on Saturday. Come and join us. The more the merrier!

土曜日にバーベキューをします。来てください。多いほど楽しいですから!

発音:強く読むのは、more と mer の2か所です。ザ・モア・ザ・メリアー。the は軽く「ザ」と読みます。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①会話文の空所補充で、A: Can I bring my brother? B: Sure. The more ( ). に、the merrier / the merry / the most merry の3つから選ばせる形。②整序問題で、merrier / the / more / the を並べ替えさせる形。③和訳で、The more the merrier. を「もっと多いほうが陽気だ」と訳さないかを見る形。
ここで外す
merry のまま、the more the merry と書く誤りが定番です。「the + 比較級」の2つめも、比較級(merrier)に変える必要があります。
決め手
The more のあとに続く形を見ます。the more と対になるので、うしろも「the + 比較級」です。merry は y を i に変えて、merrier と書きます。
Can I bring my brother to the party? 弟を、パーティーに連れていってもいい?
Of course. The more, the ( ). もちろん。多いほど楽しいよ。
誤答
merry/the more と対になるので、比較級の merrier が要ります
正答
merrier/the more に合わせて、merry を比較級にします

Before

The more the merrier. を、決まり文句として丸暗記していて、the merry と書き間違えても気づかなかった

After

the + 比較級、the + 比較級という形だと読める。前が the more なら、うしろも比較級の merrier だと決められる。ほかの文にも同じ形が使える

動画で見る

BBC Learning English|the more the merrier の意味を説明する動画 (BBC Learning English) この言い方の意味と使い方が分かります。
The more the merrier. を教室で使う(5分)

ねらい: The more the merrier. が、人が増えるほど楽しいという歓迎の一言だと言え、「the + 比較級」の形も使えるようにする

  1. 「友だちが急に増えて、うれしかったことはありますか」と聞き、隣の人と1つずつ言わせます
  2. 「友だちを連れていってもいい?」と先生が言い、生徒に Sure. The more the merrier. と返事させます
  3. 黒板に The more, the ( ). と書き、merry と merrier のどちらが入るかを理由つきで言わせます
  4. ペアで、The more I ___, the more I ___. の形で自分の文を作り、言い合わせます

出口チケット: 「勉強すればするほど、英語が好きになります」を、The more ~, the more ~ の形で英語に書かせる

The more the merrier. をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

よくある質問

pull out all the stops の stop は、「止める」という意味ですか?

いいえ。stop は、パイプオルガンの管に送る空気を切り替える栓です。Phrase Finder によると、この栓を引き出すと音が大きくなる、というオルガンの仕組みが由来です。

Make hay while the sun shines. の while のあとには何が来ますか?

主語と動詞が来ます。while は接続詞なので、while the sun shines の形になります。during は前置詞なので、うしろに the sun shines という文は続けられません。

The more the merrier. の merrier は、なぜ merry ではないのですか?

The more が比較級なので、対になるうしろも、比較級にするからです。merry は y を i に変えて、merrier になります。