sour grapesの意味は?ブドウの話ではなく負け惜しみ
入試に出るイディオム|第53回
手に入らなかったものをけなす「負け惜しみ」の sour grapes、早めに直せば手間が減る A stitch in time saves nine.、「どうぞ」と許す Be my guest.。比喩表現・ことわざ・会話表現を1つずつ、由来から入試の出方まで見ていきます。
監修:原田高志(原田英語.com)
英語で「すっぱいブドウ」と言うと、食べ物の話ではなく、負け惜しみのことです。針と糸から生まれたことわざと、1955年の記録が残る「どうぞ」のひと言と合わせて、3つ紹介します。
sour grapes
サワー・グレイプス 強がりのことば負け惜しみ(手に入らなかったものを、悪く言うこと)
語句の由来を調べるサイト Phrase Finder によると、sour grapes のもとは、イソップ物語の「キツネとブドウ」です。
おなかをすかせたキツネが、つるにぶら下がったブドウを取ろうとします。でも、届きません。そこでキツネは、ブドウは「すっぱくて、思ったほど熟していない」と言って、あきらめます。
手に入らなかったものを、あとから悪く言う。この場面が、そのまま意味になりました。
Phrase Finder は、いくつか注意も書いています。この物語は、ビクトリア朝の時代に英語へ訳されるなかで、かなり手が加えられています。もとのギリシャ語は「すっぱい」ではなく「熟していない」の意味だった、と考える研究者もいます。この言い方が英語に入った時期は、はっきりしていません。
学校の推薦枠の発表があった日です。あなたの名前は、ありませんでした。
帰り道で、あなたはつぶやきます。あの大学、どうせ遠いし、行きたくなかったし。
本当は、行きたかったのです。届かなかったものを、あとから「たいしたことない」と言う。この心の動きに、英語は sour grapes という名前をつけています。
「それは負け惜しみだよ」と言いたいとき、英語では That's just sour grapes. と言います。
こう使う
He said the prize was silly, but it was just sour grapes.
彼はその賞をばかばかしいと言ったが、ただの負け惜しみだった。
When she lost the election, she said the job was boring. That was sour grapes.
彼女は選挙に負けたあと、その仕事は退屈だと言った。それは負け惜しみだった。
発音:sour はサワーのように、1音で読みます。grapes はグレイプスで、グの次は「レイ」と長く読みます。強く読むのは sour と grapes の2つです。
- こう問われる
- ①下線部の言い換えで、His comment was just sour grapes. の sour grapes を、jealous complaining after losing / a taste of fruit / a kind way to thank / a plan for the future の4つから選ばせる形。②英文の和訳で、sour grapes を「負け惜しみ」と訳させる形。
- ここで外す
- sour grapes を食べ物の話だと考え、a taste of fruit(果物の味)を選ぶ答案が定番です。もう1つは、sour(すっぱい)から「不機嫌」だけを読み取り、負けたあとの強がりという場面を落とす誤りです。
- 決め手
- 何かを取れなかった、負けた、選ばれなかったという場面のあとで、その相手や物を悪く言っていれば sour grapes です。食べ物の話が出ていなければ、ブドウそのものではありません。
Tom lost the race. Then he said, 「Running is boring anyway.」 That is just sour grapes.
- 誤答
- トムは負けたあとで、走るのは退屈だと言った。それは、ただのすっぱいブドウの話だ。
- 正答
- トムは負けたあとで、走るのは退屈だと言った。それは、ただの負け惜しみだ。
Before
sour grapes を「すっぱいブドウ」と直訳して、食べ物の話だと思い込み、下線部の言い換えで果物の味に関する選択肢を選んでいた
After
負けた、取れなかったという場面のあとの悪口が出たら「負け惜しみ」と読める。sour grapes を見たら、まず直前に何を取りそこねたかを探して、その場で言い換えを選べる
動画で見る
sour grapes を教室で使う(5分)
ねらい: sour grapes が果物の話ではなく、「取れなかったものを悪く言う」意味だと、物語の流れから気づかせる
- 「キツネがブドウを取ろうとして、届きませんでした。このあと、キツネは何と言うと思いますか」と聞き、隣の人と10秒相談させます
- 「すっぱいに決まってる、と言います」と言って、sour grapes と板書します
- 「英語では、この負け惜しみを sour grapes と呼びます」と説明し、That's just sour grapes. を全員で1回読ませます
- ペアで、A が「試合に負けたあとの強がり」を日本語で言い、B が That's just sour grapes. と返す練習を1回ずつさせます
出口チケット: 「〜を取れなかったあとに、悪口を言った」場面を、日本語で1つ書かせる(次回、英語で言い換える)
A stitch in time saves nine.
ア・スティッチ・イン・タイム・セイブズ・ナイン 用心のことば早めに手を打てば、あとの手間が少なくてすむ
Phrase Finder によると、このことわざは18世紀のイギリスで生まれました。いちばん古い記録は、トマス・フラーが1732年に出した本 Gnomologia にある A Stitch in Time May save nine. です。
フラーは、この形が韻をふんでいて、変わった言い回しだから覚えやすい、と説明しています。time と nine が、韻をふんでいます。
いまと同じ saves nine と言い切った最初の例は、天文学者フランシス・ベイリーの日記(1797年に書かれ、1856年に出版)です。そこには、これを「よく言われることわざ」として書いています。
Phrase Finder は、nine を「9針ぶん」の意味だと書いています。小さな破れを、すぐに1針縫えば、放っておいて大きく裂けたときに縫う9針が要らなくなる、という話です。
朝、制服のボタンが、糸1本でぶらさがっています。あなたは思います。帰ってから直せばいいや。
でも、部活の途中でボタンは取れて、どこかに行ってしまいました。探すのに時間がかかり、代わりのボタンも付けなければなりません。
朝のうちに数回縫っておけば、すんだ話です。小さいうちに手を打つ。これが、このことわざの言っていることです。
勉強でも同じです。分からないところは、その日のうちに聞く。
こう使う
Fix the small crack now. A stitch in time saves nine.
小さなひびは、いま直しましょう。早めの一針は、9針ぶんの手間を省きます。
If you review after every class, you won't panic before the test. A stitch in time saves nine.
授業のたびに復習すれば、テスト前にあわてずにすみます。早めの一針は、9針ぶんの手間を省きます。
発音:stitch はスティッチで、最後は「チ」と短く止めます。time と nine が韻をふむので、タイム/ナインと、しっかり長めに読むと、ことわざのリズムが出ます。
- こう問われる
- ①空所補充で、「その日のうちに復習すれば、テスト前にあわてずにすむ」という文に合うことわざを、A stitch in time saves nine. / Better late than never. / Haste makes waste. / A friend in need is a friend indeed. の4つから選ばせる形。②整序で、A stitch in ( ) saves nine. の空所に time を入れさせる形。
- ここで外す
- A stitch in need saves nine. と書く誤りが定番です。A friend in need(困ったときの友)と混ざって、time が need に変わってしまいます。もう1つは、nine を「9回」「9歳」のような数字の話だと考えて、意味をつかみそこねる誤りです。
- 決め手
- 文の中に「小さいうちに」「早めに」「先に」という語があり、あとで大変になる話が続くなら、A stitch in time saves nine. です。「遅れてもやる」なら Better late than never. です。
My teacher always says, 「A stitch in ( ) saves nine.」
先生はいつも、「早めの一針は、9針ぶんの手間を省く」と言っています。
- 誤答
- need/A friend in need と混ざった形で、「針」の話につながりません
- 正答
- time/in time は「間に合ううちに」の意味で、早めに手を打つ話になります
Before
A stitch in time saves nine. を最後まで丸暗記していて、空所に time でなく need を入れたり、Better late than never. とどちらか迷ったりしていた
After
「早めに」という語があれば A stitch in time、「遅れても」という語があれば Better late than never と分けられる。time と nine が韻をふんでいることを手がかりに、綴りの取り違えも減らせる
A stitch in time saves nine. を教室で使う(5分)
ねらい: A stitch in time saves nine. が、小さいうちに手を打つ話だと、ボタンの例で気づかせる
- 「制服のボタンが取れかかっています。朝すぐ直すのと、放っておくの、どちらが楽ですか」と聞き、手を挙げさせます
- 「早く直すほうが楽ですね。それを英語のことわざにしたのがこれです」と言い、A stitch in time saves nine. と板書します
- 「time と nine は、韻をふんでいます」と言い、全員で2回声に出して読ませます
- 「宿題を出す前に、小さい間違いを見つけて直すのは、このことわざにあたりますか」と聞き、近くの人と1分話させます
出口チケット: 「早めにやっておいてよかった」と思ったことを、日本語で1つ書かせる
Be my guest.
ビー・マイ・ゲスト 許可のことばどうぞ、ご自由に
Phrase Finder によると、Be my guest. は、特定の出来事から生まれた言い方ではありません。もとは「私の客になってください」という、そのままの意味の言葉です。
「どうぞ、ご自由に」の意味で使った、いちばん古い例として載っているのは、Oxford English Dictionary が挙げる1955年の雑誌 American Speech です。そのあと、1962年と1965年の本にも出てきます。
1965年の例は、あまり乗り気ではない言い方でした。同じ Be my guest. でも、口調によっては、しぶしぶ許す響きになります。
1594年ごろの詩にも、この3語が並ぶ一節はあります。ただしそれは、文字どおりの意味で、いまの「どうぞ」ではありません。
昼休み、隣の席の友だちが言います。その参考書、ちょっと借りてもいい?
あなたは、すぐに渡したい気分です。そのとき、ひと言で「いいよ、どうぞ」と伝える言い方があります。
Be my guest.
相手が「〜してもいい?」と許可を求めたあとに返す、「どうぞ」のひと言です。文の頭に Yes と付けなくても、それだけで許可になります。
こう使う
Can I borrow your eraser?
消しゴムを借りてもいい?
Be my guest.
どうぞ。
You think you can fix it faster? Be my guest.
そっちのほうが速く直せると思うの? じゃあ、やってみれば。
発音:強く読むのは guest ひとつです。ビマイ・ゲストのように、be my は軽くつなげます。guest の st は、ゲストと母音を入れずに、短く止めます。
- こう問われる
- ①会話文の応答選択で、A: Can I borrow your pen? への返事として、Be my guest. / Never mind. / Help me out. / Thank you. の4つから選ばせる形。②空所補充で、A: May I sit here? B: ( ). Go ahead. の空所に、Be my guest. を入れさせる形。
- ここで外す
- my guest を「私のお客」と訳して、パーティーや宿泊の場面だけの言い方だと決めつける答案が定番です。そのため、許可を求められた場面で選べません。もう1つは、Never mind.(気にしないで)と混ぜて、断りの返事に見えてしまう誤りです。
- 決め手
- 相手が「借りてもいい?」「座ってもいい?」と許可を求めたすぐあとの返事なら、Be my guest.(どうぞ)です。Never mind. は「気にしないで」で、許可の返事ではありません。
- 誤答
- Never mind./「気にしないで」で、貸してよいという返事になりません
- 正答
- Be my guest./「どうぞ」と、貸すことを許すひと言です
Before
Be my guest. を「私のお客さんになって」と直訳していて、会話文で許可の返事として選べず、Never mind. と迷っていた
After
相手が許可を求めたすぐあとに Be my guest. が来たら、「どうぞ」と読める。直訳の「お客」に引っぱられず、応答選択をその場で決められる
Be my guest. を教室で使う(5分)
ねらい: Be my guest. が、許可を求められたときの「どうぞ」だと、ペアの会話で体験させる
- 「友だちに、消しゴムを貸してと頼まれました。日本語で何と答えますか」と聞き、何人かに答えさせます
- 「英語では、こう言います」と言って、Be my guest. と板書します
- A: Can I use your eraser? B: Be my guest. の会話を、ペアで役を替えて2回読ませます
- 「言い方によって、しぶしぶ許す響きにもなります」と言い、笑顔で言う場合としぶしぶ言う場合を、先生が1回ずつ見本で読みます
出口チケット: Can I ~? と聞かれたら、Be my guest. と返す短い会話を、英語で1つ書かせる
よくある質問
sour grapes は、食べ物のブドウの話ですか?
いいえ。sour grapes は「負け惜しみ」の意味で、食べ物の話ではありません。イソップ物語で、キツネが届かなかったブドウを「すっぱいに決まっている」と言った場面が、もとになっています。
A stitch in time saves nine. の nine は、本当に9針のことですか?
Phrase Finder によると、このことわざを使い始めた人は9針ぶんを省くことを指していました。ただ、ぴったり9という意味ではなく、「あとで大きな手間になる」ことを表しています。
Be my guest. は、いつごろから使われていますか?
Phrase Finder によると、「どうぞ、ご自由に」の意味で使った、いちばん古い例は、Oxford English Dictionary が挙げる1955年の American Speech です。1962年と1965年の本にも出てきます。