on the fenceの意味と、フェンスの上の迷い
入試に出るイディオム|第46回
決めかねている気持ちを表すon the fence、仕返しを戒めることわざTwo wrongs don't make a right.、前向きな姿勢をほめるThat's the spirit!。今日は比喩表現・ことわざ・会話表現を1つずつ、由来から入試の出方まで四幕で見ていきます。
監修:原田高志(原田英語.com)
『どっちにしよう』と迷ったまま動けなくなった経験はありませんか。今日はそんな気持ちを表す表現から始めて、仕返しを戒めることわざ、前向きな姿勢をほめる一言まで、3つ紹介します。
on the fence
オン・ザ・フェンス 迷いのことば(どちらか決められず)迷っている、中立の立場にいる
on the fence は、2つの庭を隔てるフェンス(柵)の上にまたがって座っている人を思い浮かべる表現です。左右どちらの庭にも降りず、フェンスの上にとどまっている限り、どちらの側にもつかずにすみます。
この言い回しは1828年のアメリカ英語にさかのぼり、とくに選挙や政策をめぐる議論で、どちらの候補や立場を支持するかまだ決めていない人を指す言葉として使われてきました。
どこから来た言い方なのかは、はっきり分かっていません。語源辞典 Etymonline は、けんかを見物する人たちの姿から来たという説と、柵の上にまたがった人の姿がそのまま言葉になったという説の2つを挙げ、どちらとも決めていません。
いまも politician on the fence(態度を決めかねている政治家)のように、政治のニュースでよく見かけます。
文化祭の出し物を、劇にするか屋台にするか、クラスで意見が割れたとします。どちらにも一理あって、あなたは自分の意見を決められません。
そんな状態を、I'm on the fence about it.(まだどちらか決めかねている)と言えば、フェンスの上で揺れている感覚がそのまま伝わります。
こう使う
The city council is still on the fence about whether to build the new park.
市議会は、新しい公園を建設するかどうか、まだ決めかねています。
I was on the fence about which university to apply to until I visited both campuses.
私はどちらの大学に出願するか決めかねていましたが、両方のキャンパスを訪れてから心が決まりました。
発音:fence のフェにアクセントを置き、語尾の-nceはンスとやわらかく添えます。onを強く発音しすぎず、オン・ザ・フェンスとひとまとまりで読むと自然に聞こえます。
- こう問われる
- ①会話文や自由英作文で、意見や態度を尋ねられたときの返答として使う形。②on the fenceを文字どおり『フェンスの上に乗っている』という物理的な状態だと誤読させる形。③be for it / be against it との使い分けを問う形。
- ここで外す
- on the fence を、文字どおり『柵の上に物理的に乗っている』という意味だと取り違える誤りが定番です。文脈に、ある議論や選択について賛成か反対かを尋ねる場面があれば、これは比喩表現です。
- 決め手
- 直前・直後に、賛成か反対か、AかBかを尋ねる内容があるかどうかを見ます。あれば、on the fence は『まだ決めかねている』という中立の立場を表します。
Most of my classmates support the new school rule, but I'm still on the fence about it.
- 誤答
- 私はまだ、柵の上に物理的に座っている、という意味です
- 正答
- 私はまだ、その校則に賛成か反対か決めかねている、という意味です
Before
意見を聞かれてまだ決められないとき、I don't know. としか言えず、『検討中だが中立』という立場をうまく伝えられなかった
After
on the fenceの一言で、『まだ決めかねている』という中立の立場を表せるようになる。政治のニュース記事でこの語に出会っても、物理的な柵の話ではなく態度の話だとすぐ見抜ける
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on the fence を教室で使う(6分)
ねらい: 2つの庭を隔てるフェンスの上に座っている絵を通じて、『どちらにも決めていない』という比喩を理解させる
- 黒板に、フェンスを挟んだ2つの庭と、フェンスの上に座っている人の絵を簡単に描きます
- 「この人は、どちらの庭にいますか」と聞き、『どちらでもない、フェンスの上』という答えを引き出します
- on the fence を板書し、「意見や選択について、まだどちらにも決めていない状態を表します」と説明します
- 「あなたが今、on the fenceだと感じていることはありますか」と聞き、2〜3人に発表させます
- 発表の内容を、I'm on the fence about ~ の形にまとめて黒板に書きます
出口チケット: 自分がまだ決めかねていることを1つ選び、I'm on the fence about ~ の形で英語にして書かせる
That's the spirit!
ザッツ・ザ・スピリット 鼓舞のことばその意気だ、その調子だ(相手の前向きな姿勢をほめる一言)
spirit はもともとラテン語の spiritus、『息』を意味する語にさかのぼります。息は、生きている証そのものです。そこから spirit は、体を動かす『生命力』、さらに人の『気迫』や『前向きな心構え』を指す語へと意味を広げていきました。
That's the spirit! という決まり文句そのものが、いつ、誰によって最初に使われたのかは、はっきり分かっていません。それでも『その前向きな心構えこそ、いまここにある気迫(spirit)そのものだ』とほめる一言として、英語圏の日常会話に長く根づいています。
部活の試合前、緊張している後輩が、あなたに『絶対にベストを尽くします』と言ってきたとします。
そんなとき、Good luck.(頑張って)よりも一歩踏み込んで That's the spirit! と返せば、その前向きな心構え自体をほめていることが伝わります。
こう使う
"I might not win, but I'm going to give it everything I've got." "That's the spirit!"
「勝てないかもしれないけど、全力を尽くすつもりだよ。」「その意気だ!」
Even after losing the first game, the team kept smiling and cheering each other on — that's the spirit that got them to the finals.
最初の試合に負けたあとも、チームは笑顔で声を掛け合い続けました。その気迫があったからこそ、決勝まで勝ち進めたのです。
発音:spirit のアクセントは最初のspiに置きます。スピリットと平板に言うのではなく、スピを強く、リットを軽く添えるように発音してください。
- こう問われる
- ①会話文の応答選択で、決意や前向きな発言のあとに続く一言として選ばせる形。②spiritを『幽霊』『精神』とだけ直訳させ、文脈と合わない選択肢を選ばせる形。③Cheer up.やGood job.との使い分けを問う形。
- ここで外す
- spirit を『幽霊』や『霊』の意味だけで覚えていて、That's the spirit! を『それが幽霊だ』のように誤読する誤りが定番です。直前に、相手が決意や前向きな姿勢を示す発言があるかどうかが見分ける手がかりです。
- 決め手
- 直前の発言が、決意・意欲・前向きな姿勢を示す内容(I'll keep trying. など)であれば、That's the spirit! はその姿勢をほめる返事です。Good job! のように、すでに終わったことの結果をほめる言葉とは区別します。
- 誤答
- That's the ghost/spiritを『幽霊』の意味で使っており、決まり文句になっていません
- 正答
- That's the spirit/相手の前向きな心構えをほめる決まり文句にあたります
Before
相手の前向きな姿勢をほめたいとき、Good luck. としか言えず、姿勢そのものをほめる言い方を知らなかった
After
That's the spirit! の一言で、相手の心構えそのものをほめられるようになる。spiritを『幽霊』の意味だけで覚えていた状態から抜け出し、会話文の応答選択でも文脈で判断できる
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That's the spirit! を教室で使う(5分)
ねらい: spiritの『息→生命力→気迫』という意味の広がりを理解させ、That's the spirit!を使える形にする
- 「spiritという単語を聞いて、思い浮かぶ日本語は何ですか」と聞き、『精神』『幽霊』などを引き出します
- 「spiritはもともとラテン語で『息』という意味でした」と伝え、息→生命力→気迫という流れを板書します
- 「誰かが『次はもっと頑張る』と言ったら、何と返しますか」と聞き、That's the spirit!を引き出します
- ペアで、片方が決意を述べ、もう片方がThat's the spirit!と返す短いやり取りを練習させます
- 最後に、Good job!(結果をほめる)との違いを一言添えます
出口チケット: I'm going to try out for the team again next year. に対する自然な返事を1文書かせる
Two wrongs don't make a right.
トゥー・ロングズ・ドント・メイク・ア・ライト 自制のことば仕返しをしても、もとの間違いが正しくなるわけではない
1783年8月2日、アメリカ独立宣言の署名者の1人であるベンジャミン・ラッシュが、手紙の中に『three wrongs will not make one right(3つの誤りは、1つの正しさにはならない)』と書きました。この表現に近い言い回しとして、よく知られた記録です。ラッシュが念頭に置いていたのは、フィラデルフィアで起きた兵士の反乱事件でした。
いまの Two wrongs don't make a right. という『2つ』の形が、いつ定着したのかは、はっきり分かっていません。
言っていることは『誰かに悪いことをされたからといって、自分も悪いことをし返してよい理由にはならない』です。
友達のグループLINEで、あなたの陰口が書き込まれているのを見つけたとします。同じように相手の悪口を書き込んで、仕返ししたくなるかもしれません。
そんなとき、Two wrongs don't make a right. という言葉を思い出すと、仕返ししても自分の状況が良くなるわけではないと、一歩立ち止まって考えられます。
こう使う
I know she was rude to you, but posting something mean about her online won't help — two wrongs don't make a right.
彼女があなたに失礼な態度を取ったのは分かるけど、ネットに彼女の悪口を書いても解決しないよ。仕返しは正当化の理由にならないから。
He decided not to report his coworker out of spite, reminding himself that two wrongs don't make a right.
彼は、意地悪な気持ちから同僚を告げ口するのはやめることにしました。仕返しは正当化の理由にならない、と自分に言い聞かせながら。
発音:wrongs はロングズと、語尾の s を濁らせて発音します。w は読みません。don't make a right は、ドント・メイカ・ライトとつなげて読むと自然に聞こえます。makeの語尾のkと、aがくっつきます。
- こう問われる
- ①自由英作文で、いじめやトラブルへの対応を論じるときの結論として使う形。②長文の内容一致で、仕返しを正当化する登場人物の考えを否定する文脈で使う形。③会話文で、仕返しをしようとする相手をなだめる一言として使う形。
- ここで外す
- 『2つの間違いは、正しさにはならない』と数式のように直訳して終わってしまう誤りが定番です。『仕返しは正当化の理由にならない』という主張だと気づけないと、内容一致問題で論旨を取り違えます。
- 決め手
- 文脈に、ある人物が受けた被害への仕返しや報復について語っている場面があるかどうかを見ます。あれば、これは『仕返しをしても解決しない』という主張です。
Even though he lied to you first, that doesn't mean you should lie to him back — two wrongs don't make a right.
- 誤答
- 2つの間違いが合わされば、1つの正しいことになる、という意味です
- 正答
- 相手が先に間違ったことをしても、自分も同じように間違ったことをしてよい理由にはならない、という意味です
Before
仕返しについて意見を書くとき、It is not good to do bad things. のような平板な言い方しかできなかった
After
Two wrongs don't make a right. の一言で、『仕返しは正当化の理由にならない』という主張を簡潔に表せるようになる。自由英作文の結論でも、そのまま使える
Two wrongs don't make a right. を教室で使う(5分)
ねらい: 『仕返し』を正当化する理由と、それを否定する立場の違いを、身近な例で理解させる
- 「友達に悪口を言われたら、仕返しに悪口を言ってもいいと思いますか」と聞き、賛否を挙手で確認します
- Two wrongs don't make a right. を板書し、「悪いことをされたからといって、自分も悪いことをしてよい理由にはならない、という意味です」と説明します
- 1783年、ベンジャミン・ラッシュが手紙に『3つの誤りは1つの正しさにはならない』と書いたことを紹介します
- 「自分だったら、仕返しの代わりに何をしますか」とペアで話し合わせます
- 出た意見を、Instead of ~, I would ~ の形で1文にまとめさせます
出口チケット: Two wrongs don't make a right. を使って、いじめへの対応について1文で意見を書かせる
よくある質問
on the fence はどこに由来しますか?
2つの庭を隔てるフェンスの上に座っている人を思い浮かべる比喩表現です。1828年の記録が残るアメリカ英語の表現で、どの候補や政策を支持するか決めていない人を指して、政治の場面でよく使われてきました。
That's the spirit! のspiritは、なぜ『気迫』の意味になるのですか?
spiritはもともとラテン語で『息』を意味するspiritusにさかのぼります。息は生きている証そのものなので、そこから『生命力』、さらに『気迫』や『前向きな心構え』へと意味が広がりました。
Two wrongs don't make a right. はどこに由来しますか?
1783年、アメリカ独立宣言の署名者ベンジャミン・ラッシュが、フィラデルフィアの兵士の反乱事件について『three wrongs will not make one right(3つの誤りは1つの正しさにはならない)』と書いたことが、よく知られた記録です。いまの『2つ』の形がいつ定着したのかは、はっきり分かっていません。