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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
IDIOMS 第39回 標準 読了 7分

squeaky wheelの意味は?黙っていると損する理由

入試に出るイディオム 第39回

黙っていると後回しにされることを説くことわざThe squeaky wheel gets the grease.、『言うは易く行うは難し』を表すEasier said than done.、先の心配をしすぎないcross that bridge when we come to it。3つの表現の由来といまの使われ方、入試での狙われ方までまとめました。

監修:原田高志(原田英語.com)

今日も3つの表現を由来から見ていきます。馬車の車輪に油を差す音、1483年の本にすでにあった『言うは易し』、詩人が日記に書き残した橋のことわざ。時代も場面もばらばらですが、どれも今日の会話や長文にそのまま出てきます。

The squeaky wheel gets the grease.

ザ・スクウィーキー・ウィール・ゲッツ・ザ・グリース 主張のことば

声を上げる者が対応してもらえる、黙っていると後回しにされる

起源 馬車の軋む車輪に、いちばん先に油が差された時代

馬や牛が引く荷馬車の時代、車輪の軸は定期的に油(グリース)を差さないと軋み始めました。軋み(squeak)がひどい車輪ほど、御者は真っ先に手当てをします。放っておくと車輪ごと壊れてしまうからです。ただし、このことわざを誰がいつ言い出したのかは分かっていません。はっきり日付をたどれるいちばん古い記録は、1903年にアメリカの演芸家キャル・スチュワートが出した物語集の巻頭に置かれた4行の詩で、『いちばん大きく軋む車輪が、油をもらう車輪だ』と歌われています。

いま 部活の予定変更を、言い出せなかった日

体育祭の準備で部活の時間が延び、模試前の勉強時間が削られている。誰かが言い出してくれるのを待っていても、状況は変わりません。The squeaky wheel gets the grease.は、そんなときに『黙っていないで、困っていることを言葉にしてみよう』と背中を押してくれることわざです。

黙っている車輪には油は差されない。軋んだ車輪から先に油をもらえる。

こう使う

"Why did you email the manager again?" "Well, the squeaky wheel gets the grease."

「なんでまた店長にメールしたの?」「だって、黙っていたら後回しにされるからね」

She kept asking about the broken printer until it was finally fixed — the squeaky wheel gets the grease.

彼女は壊れたプリンターのことを何度も言い続け、ついに修理された。声を上げた者が対応してもらえるのだ。

発音:squeakyは/ˈskwiːki/で、最初のskwをまとめて発音します。greaseは/ɡriːs/で、最後を『ズ』と濁らせず、/s/のまま言い切ります。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①長文の主題を一文で言い換えさせる形。②自由英作文で、意見や要望を伝える大切さについて書かせるときの結論として使わせる形。
ここで外す
squeakyを『きしむ』という不快な意味ではなく、なんとなく良い意味の語だと誤解し、文脈と逆に読んでしまう誤りが定番です。squeakyはあくまで『不快な音を立てる』というマイナスの響きを持つ語です。
決め手
squeaky(不快な軋み)とgrease(対応・注目)が対になっていれば、『黙っていては後回しにされる、声を上げた者が対応してもらえる』という意味だと判断します。

Employees who speak up about problems tend to get results, just as the squeaky wheel gets the grease.

誤答
静かな車輪ほど油を差してもらえるように、問題について発言しない社員のほうが成果を上げやすい
正答
軋む車輪が油を差してもらえるように、問題について声を上げる社員のほうが成果を上げやすい

Before

困っていることを黙って我慢していれば、いつか誰かが気づいて助けてくれると思っていた

After

The squeaky wheel gets the grease.の発想を知り、英語の文章で『声を上げること』が肯定的に書かれている場面をそのまま読み取れるようになる

The squeaky wheel gets the grease. を教室で使う(6分)

ねらい: squeakyのマイナスの響きと、声を上げることの大切さを結び付ける

  1. 先生「車輪が壊れる前に油を差してもらうには、どうすればいい?」と問いかける
  2. The squeaky wheel gets the grease.を板書し、『軋む車輪から先に油を差される』という場面を確認する
  3. ペアで、日本語の『我慢は美徳』という発想との違いを話し合う
  4. 出口チケットで、困っていることを1つ挙げ、The squeaky wheel gets the grease.を使って英語で一言書かせる

出口チケット: 文化祭の準備で困っていることを1つ挙げ、The squeaky wheel gets the grease.を使って英語で書きなさい。

The squeaky wheel gets the grease. をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

Easier said than done.

イージア・セッド・ザン・ダン 本音のことば

口で言うのは簡単だが、実行するのは難しい

起源 1483年の本にすでにあった『言うは易し』

Easier said than done.の記録は古く、1483年に出版されたラテン語学習書『Vulgaria Terentii』に『It is easyer to saye than do(言うほうが、するよりも簡単だ)』という一文が見つかっています。1546年には、イギリスのことわざ集を編んだジョン・ヘイウッドがbetter said than done(言うほうがましだ)という形で書き残しました。500年以上のあいだ、言い方を少しずつ変えながら使われ続けてきたことわざです。19世紀までに、いまの形easier said than doneに落ち着きました。

いま 『毎日単語10個』の計画が、3日で止まった日

新学期に『毎日単語を10個覚える』と宣言した。最初の3日は順調だったのに、部活で疲れた日から続かなくなった。友達に『言うのは簡単だったんだけどね』とこぼすとき、Easier said than done.がそのまま使える一言です。

言うis easy、するis hard。saidとdoneの2語だけで『言うは易く行うは難し』を表す。

こう使う

"Just relax before the exam." "Easier said than done."

「試験の前はリラックスしなよ」「言うのは簡単だけどね」

Saving money sounds simple, but it's easier said than done when everything keeps getting more expensive.

貯金なんて簡単そうに聞こえるけど、何もかも値上がりしている今、口で言うほど簡単ではない。

発音:saidは/sɛd/で、セイドではなくセドと短く読みます。doneは/dʌn/で、ダンと短く言い切ります。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①会話文の空所補充で、相手の提案やアドバイスに対する現実的な返答として選ばせる形。②長文中で、理想と現実のギャップを表す一文として下線が引かれる形。
ここで外す
Easier said than done.を単なる賛成の相づちだと誤解し、Good idea.やSounds great.と同じ意味で使ってしまう誤りが定番です。Easier said than done.は提案そのものへの賛否ではなく、『実行の難しさ』を指摘する一言です。
決め手
直前の発言が『〜すればいい』という助言・提案で、直後に実行の難しさや失敗の話が続いていれば、Easier said than done.が入ると判断します。
You should just talk to him directly about the problem. その問題について、直接彼に話せばいいじゃない。
______. I get nervous every time I try. ______。話そうとするたびに緊張しちゃうんだよね。
誤答
Sounds like a plan(提案に賛成する意味になり、直後の『緊張してしまう』という内容と食い違う)
正答
Easier said than done(『言うのは簡単だけど』と実行の難しさを認める意味になり、直後の内容に自然につながる)

Before

Easier said than done.を、相手の提案に賛成する相づちだと思い込んでいた

After

Easier said than done.が『実行の難しさ』を指摘する表現だと分かり、直後に続く困難の説明と自然につなげて読めるようになる

動画で見る

Easier said than done.の意味を、物語を使って解説する英語学習動画 (Elevate Your English) 英語です。Easier said than done.の意味を、コミカルなストーリーとともに解説しています。
Easier said than done. を教室で使う(5分)

ねらい: Easier said than done.が賛成ではなく、実行の難しさを表す表現だと理解する

  1. 先生「You should just start exercising every day.と言われたら、すぐに実行できる?」と問いかける
  2. Easier said than done.を板書し、『言うのは簡単、でも実行は難しい』という意味を確認する
  3. ペアで、提案→Easier said than done.→理由、の3文の会話を作る
  4. 出口チケットで、自分が『言うは易く行うは難し』と感じた経験を英語で1文書かせる

出口チケット: 自分が『言うのは簡単だけど実行は難しい』と感じたことを1つ挙げ、Easier said than done.を使って英語で書きなさい。

Easier said than done. をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

cross that bridge when we come to it

クロス・ザット・ブリッジ・ウェン・ウィー・カム・トゥ・イット 冷静のことば

その時が来たら考える、先のことを心配しすぎない

起源 1850年、詩人が日記に書き残した『古いことわざ』

いまのところ確認できるいちばん古い記録は、1849年1月にニューヨークの新聞The Independentに載ったcross a bridge till you come to it(その橋まで来てから渡る)という言い回しです。翌1850年には、アメリカの詩人ヘンリー・ワーズワース・ロングフェローが日記にDo not cross the bridge till you come to it.と書き留めました。さらに1851年の作品『The Golden Legend』でも同じ言葉を使い、それを『古いことわざ(a proverb old)』と紹介しています。つまりロングフェローが作った言葉ではなく、その前からすでに知られていたことわざだったわけです。まだ目の前にない橋の渡り方を心配しても仕方がない、という発想は、時代を超えて共感を呼んできました。

いま 受かってもいない大学の、入学後の心配までしていた日

志望校に合格するかどうかもまだ分からないのに、『もし受かったら一人暮らしはどうしよう』と心配し始めてしまう。そんなとき、We'll cross that bridge when we come to it.は、『それはその時が来たら考えればいい、いまは目の前のことに集中しよう』と背中を押してくれる一言です。

まだ見えない橋の心配はしない。橋の前に立ってから、渡り方を考えればいい。

こう使う

"What if it rains on the day of the trip?" "We'll cross that bridge when we come to it."

「もし旅行の日に雨が降ったらどうしよう」「その時になったら考えようよ」

If the plan falls through, we'll cross that bridge when we come to it, but for now let's keep preparing.

もし計画が崩れたら、その時になってから考えればいい。でも今は準備を続けよう。

発音:bridgeは/brɪdʒ/で、最後の/dʒ/の音をはっきり出します。crossはアメリカ英語で/krɔːs/、イギリス英語では/krɒs/と短めに読みます。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①会話文で、先のことを心配しすぎている相手をなだめる一言として空所に入れる形。②下線部の内容を言い換えさせ、『先のことは考えない』という意味を選ばせる形。
ここで外す
bridgeという単語につられて、実際の橋や旅行の計画についての文だと誤解し、比喩表現だと気づけない誤りが定番です。crossもcome toも、実際に渡る・来る動作ではなく『その状況に直面する』という比喩です。
決め手
直前にまだ起きていない先の心配事が語られていれば、cross that bridge when we come to itは『その時になったら考える』という意味だと判断します。
What if we don't finish the project in time? もし期限内にプロジェクトが終わらなかったらどうしよう?
Let's not worry about that now — ______. いまはそれを心配するのはやめよう。______。
誤答
let's build a bridge together(実際に橋を建設するという意味になり、比喩として読めていない)
正答
we'll cross that bridge when we come to it(『その時になったら考えよう』という意味になり、先の心配を後回しにする自然な流れになる)

Before

bridgeという単語を見るたびに、実際の橋や交通手段の話だと思い込んでいた

After

cross that bridge when we come to itが『まだ起きていないことは、その時になってから考える』という比喩だと分かり、先の心配を後回しにする場面で自然に読み取れるようになる

cross that bridge when we come to it を教室で使う(5分)

ねらい: 橋の比喩から、『先の心配をしすぎない』という発想を導く

  1. 先生「渡ってもいない橋の心配を、いまからする必要はある?」と問いかける
  2. We'll cross that bridge when we come to it.を板書し、『その時になったら考える』という意味を確認する
  3. ペアで、『まだ起きていないのに心配していること』を1つずつ出し合う
  4. 出口チケットで、この表現を使って先の心配事に返す一文を書かせる

出口チケット: 受験や進路について、まだ起きていないのに心配していることを1つ挙げ、We'll cross that bridge when we come to it.を使って英語で書きなさい。

cross that bridge when we come to it をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

よくある質問

The squeaky wheel gets the grease.は、誰が作った言葉ですか?

はっきりとは分かっていません。アメリカのユーモア作家ジョシュ・ビリングズが作ったと紹介されることがありますが、その根拠となる出典は確認されておらず、確実な最初期の記録は1903年の出版物にさかのぼります。