jump the gunの意味は?フライングが由来の入試イディオム
入試に出るイディオム 第38回
得策として正直を勧めることわざHonesty is the best policy.、notなのに最高の同意になるI couldn't agree more.、陸上競技のフライングが由来のjump the gun。3つの表現の由来といまの使われ方、入試での狙われ方までまとめました。
監修:原田高志(原田英語.com)
今日も3つの表現を由来から見ていきます。16世紀イギリスの政治家が書き残した一文、notが付くのに最高の同意になる比較級の仕掛け、陸上競技のスタートで反則になった一瞬。時代も場面もばらばらですが、どれも今日の会話や長文にそのまま出てきます。
Honesty is the best policy.
オネスティ・イズ・ザ・ベスト・ポリシー 誠実のことば正直がいちばんの得策だ、正直に勝る策はない
1599年、イギリスの政治家エドウィン・サンズが著書の中で『honestie the best policie』と書いたのが、英語での最初期の記録とされています。同じ考え方を示す話は、正直に答えた木こりが褒美をもらう古代ギリシャのイソップ寓話にも見られ、正確な起源は1つに決め切れません。
借りていたノートに飲み物をこぼしてしまった。黙って返すか、正直に謝るか迷う瞬間があります。多少気まずくても正直に伝えたほうが、あとで信用を失わずに済む。それがHonesty is the best policy.の場面です。
こう使う
"Should I tell my boss about the mistake?" "Yes. Honesty is the best policy."
「ミスのことを上司に言うべきかな」「そうしなよ。正直がいちばんだよ」
He decided to admit his error immediately, believing that honesty is the best policy.
彼は、正直がいちばんの得策だと考え、すぐに自分の間違いを認めることにした。
発音:policyは最初の音節を強く読みます。ポリシーと平坦に読まないこと。
- こう問われる
- ①長文の主題を一文で言い換えさせる形。②自由英作文で、正直さについての意見を書かせるときの結論として使わせる形。
- ここで外す
- policyを『政治』や『政策』と直訳し、国の方針についての一文だと誤解してしまう誤りが定番です。ここでのpolicyは個人の『やり方・方針』を指します。
- 決め手
- policyの前後に国家や政府の話が無く、個人の行動についての文脈であれば、Honesty is the best policy.は『正直がいちばん得だ』という一般論だと判断します。
Even when it was not to his advantage, he chose to tell the truth, for honesty is the best policy.
- 誤答
- 正直は最良の政治体制だから、彼は真実を語る国を選んだ
- 正答
- 正直がいちばんの得策だから、自分に不利なときでも彼は真実を語ることを選んだ
Before
policyという単語を見るたびに『政策』と訳し、国や会社の方針についての話だと思い込んでいた
After
個人の行動を指すpolicyだと分かり、Honesty is the best policy.を『正直に生きるほうが結局は得をする』という一般論として読めるようになる
Honesty is the best policy. を教室で使う(5分)
ねらい: policyの意味を『政策』から『個人のやり方』へ広げる
- 先生「policyという単語、政策以外の意味を知ってる?」と問いかける
- Honesty is the best policy.を板書し、『正直というやり方がいちばん得』と説明する
- ペアで、身近な『正直に言ってよかった』場面を1つずつ出し合う
- 出口チケットで、Honesty is the best policy.を使った自由英作文の結び1文を書かせる
出口チケット: 友達に本当のことを話すか迷った場面を1つ挙げ、Honesty is the best policy.を使って結論を英語で書きなさい。
I couldn't agree more.
アイ・クドゥント・アグリー・モア 共感のことばまったくそのとおりだと思う(強い同意)
英語には、couldn't + 比較級で最上級に近い意味を表す言い方があります。I couldn't be happier.(これ以上幸せになれない=最高に幸せ)と同じ形で、I couldn't agree more.は『これ以上賛成しようがない』、つまり『完全に同意』を表します。否定の形なのに、意味は正反対の強い肯定になるのが面白いところです。
班活動で誰かが自分とまったく同じ意見を強く言ったとき、I think so, too.だけでは弱いと感じる瞬間があります。そんなとき、I couldn't agree more.と返すと、『完全にそのとおり』という強い同意が伝わります。
こう使う
"This movie is the best one this year." "I couldn't agree more."
「この映画、今年いちばんの作品だよ」「まったく同感だね」
I couldn't agree more with your plan to study in groups before the exam.
試験前にグループで勉強するという君の計画に、完全に賛成だよ。
発音:couldn'tは『クドゥント』とtの音をほとんど飲み込むように発音され、続くagreeとなめらかにつながります。
- こう問われる
- ①会話文の空所補充で、相手の意見に強く賛成する応答として選ばせる形。②I agree.やThat's true.と選択肢に並べ、同意の強さの違いを問う形。
- ここで外す
- notが入っているのを見て『反対の意味では』と誤解し、選択肢から外してしまう誤りが定番です。
- 決め手
- couldn't+比較級の形を見たら、否定ではなく『これ以上ない』という最上級の合図だと判断します。
- 誤答
- I don't think so(意見が食い違ってしまい、直後のLet's start today.と合わない)
- 正答
- I couldn't agree more(『まったくそのとおり』と強く同意し、その後の行動につながる)
Before
notが付いた文を見て、反対の意見を表していると思い込んでいた
After
couldn't+比較級の形を見た瞬間に、強い同意の合図だと判断できるようになる
I couldn't agree more. を教室で使う(5分)
ねらい: couldn't+比較級で最上級を表す形に気づく
- 先生「I couldn't be happier.はうれしい?悲しい?」と問いかけ、否定文なのに最高にうれしいという意味だと確認する
- 同じ形でI couldn't agree more.を板書し、『これ以上賛成できない=完全に同意』と説明する
- ペアで、相手の意見にI couldn't agree more.を使って強く同意する練習をする
- 出口チケットで、I couldn't agree more.をI agree very much.に言い換えさせる
出口チケット: 友達の提案に強く賛成する場面で、I couldn't agree more.を使った一文を英語で書きなさい。
jump the gun
ジャンプ・ザ・ガン 早合点のことば早まった行動をする、フライングする
陸上競技のスタートでは、ピストル(gun)の合図で選手が一斉に飛び出します。合図の前に飛び出すことを、もともとはbeat the gun(ピストルより先に出る)と言いました。1905年の陸上競技の本にも、スポーツマンらしくない選手が使うずるいやり方として記録が残っています。1920年代には、レース以外の場面での『早まった行動』を表す比喩としても使われるようになりました。
模試の自己採点だけで『もう受かった』と友達に言いふらしたら、あとで返ってきた本当の判定はC判定だった。そんな早合点の場面がjump the gunです。
こう使う
Let's not jump the gun — we should wait for the official announcement first.
早まるのはやめよう。まず正式な発表を待つべきだ。
The company jumped the gun by announcing the merger before both boards had approved it.
その会社は、両社の取締役会の承認が下りる前に合併を発表し、先走ってしまった。
発音:gunは短く鋭く『ガン』。jumpのjuを強く読み、gunは添えるように軽く発音します。
- こう問われる
- ①下線部の言い換え問題で、too early / prematureのような語と結び付けて意味を問う形。②会話文で、早合点した相手をたしなめる一言として空所に入れる形。
- ここで外す
- gunという単語につられて『銃で撃つ』のような物騒な意味だと誤解し、文脈と合わずに選択肢を外してしまう誤りが定番です。
- 決め手
- 直後に『まだ結果が出ていない』『早すぎる』という内容が続いていれば、jump the gunは『早まった行動をする』という意味だと判断します。
She jumped the gun by telling everyone she'd been accepted before the official results came out.
- 誤答
- 彼女は結果発表の前に、みんなに合格したと話して銃を撃った
- 正答
- 彼女は正式な結果発表の前に、みんなに合格したと話してしまい、先走った
Before
gunという単語だけを見て、物騒な意味の熟語だと思い込んでいた
After
スタートの合図より早く飛び出す絵が浮かび、『早まった行動をする』という意味だとすぐに判断できる
動画で見る
jump the gun を教室で使う(6分)
ねらい: jump the gunの語源となる場面から、比喩の意味を導く
- 先生「短距離走で、ピストルが鳴る前に走り出したらどうなる?」と問いかけ、フライングの反則を確認する
- jump the gunを板書し、『スタートの合図より先に動く→早まった行動をする』という流れを説明する
- ペアで、『結果が出る前に早合点してしまった』場面を英語で発表し合う
- 出口チケットで、jump the gunを使った例文を1つ書かせる
出口チケット: 面接の結果が出る前に採用されたと思い込んだ、という場面をjump the gunを使って英語で書きなさい。
よくある質問
jump the gunのgunは、本当に銃のことですか?
はい。ただし『撃つ武器』としてではなく、陸上競技のスタートを知らせるピストルとしてのgunです。合図より先に飛び出すことから、『早まった行動をする』という意味に広がりました。