自業自得は英語で?You reap what you sowの意味
入試に出るイディオム 第33回
行動の結果が自分に返ってくることわざ、連絡がない相手を励ます会話表現、見当違いを表す比喩表現。3つの表現の由来といまの使われ方、入試での問われ方までまとめました。
監修:原田高志(原田英語.com)
今日も3つの表現を由来から見ていきます。紀元1世紀の聖書の一節、17世紀のイギリス国王の言葉、19世紀アメリカの猟犬。由来を知ると、意味がすっと頭に入ってきます。
You reap what you sow.
ユー・リープ・ホワット・ユー・ソウ 因果のことば自分のまいた種は自分で刈り取ることになる(自分の行動の結果は、良くも悪くも自分に返ってくる)
新約聖書『ガラテヤの信徒への手紙』6章7節にある、whatsoever a man soweth, that shall he also reap(人は自分のまいたものを、また刈り取ることになる)という一節が由来です。これは1611年に出版された欽定訳聖書(King James Version)の言い方で、この訳を通じて英語の日常表現に定着しました。sow(種をまく)とreap(収穫する、刈り取る)は、もともと農業の言葉で、まいた種の作物を自分で刈り取るという当たり前の光景が、『行動には結果が伴う』という教えのたとえに使われています。
テスト前日に勉強を後回しにして、当日になって『なんでちゃんとやらなかったんだろう』と後悔した経験はありませんか。You reap what you sow.は、そういう『自分の行動の結果が、そのまま自分に返ってきた』場面で使われる表現です。
こう使う
He never studied for the exam, and now he's failing. You reap what you sow.
彼は試験勉強を一度もしなかった。そして今、単位を落としかけている。自業自得だ。
I helped everyone move last weekend, and now three friends are helping me paint my room.
先週末、みんなの引っ越しを手伝ったんだ。そうしたら今、3人の友達が部屋のペンキ塗りを手伝ってくれている。
See? You reap what you sow.
ほらね、まいた種は自分に返ってくるものだよ。
発音:sowは/soʊ/で、『ソウ』と伸ばして読みます。同じ綴りで『雌豚』を意味する名詞のsow(サウ、/saʊ/)とは発音が違うので注意してください。
- こう問われる
- ①ことわざの意味を選ばせる読解問題。②長文中で自業自得・因果応報の文脈を要約させる形。③会話文で、努力を怠った人への忠告や指摘として使う形。
- ここで外す
- reap(刈り取る)とsow(種をまく)という農業の単語につられて、実際の農作業の場面の話だと誤読する誤りが定番です。実際には行動とその結果を表す比喩です。
- 決め手
- 努力や行動と、それによって生じた結果が対比されている文脈でこの表現が出てきたら、『自分のしたことが自分に返ってくる』という意味だと読み取ります。
- 誤答
- 蒔いた種は自分で拾うことになる
- 正答
- 自分のしたことは自分に返ってくる
Before
reapとsowを見ると、農業の単語だと思い込み、比喩だと気づかないまま読み飛ばしていた
After
行動とその結果が対比された文脈だと分かれば、自業自得の意味だとすぐに見抜ける
You reap what you sow. を教室で使う(5分)
ねらい: 行動とその結果を結びつける表現を、身近な場面と結びつけて覚える
- 先生「勉強をさぼって、あとで困った経験はある?」と問いかける
- 聖書のガラテヤの信徒への手紙にある一節が由来だと紹介する
- ペアで、『自分のしたことが自分に返ってきた』経験を1つ話し合う
- 出口チケットで、You reap what you sow.を使った短い1文を書かせる
出口チケット: 『練習をさぼったチームが試合に負けた』という場面を、You reap what you sow.を使って英語で1文書きなさい。
No news is good news.
ノー・ニュース・イズ・グッド・ニュース 安心のことば便りのないのはよい便り(連絡がないのは、悪いことが起きていない証拠だから安心してよい)
最も古い形は、1616年にイングランド国王ジェームズ1世が述べたと伝えられるNo newis is bettir than evill newis.(悪い知らせよりは、知らせがないほうがましだ)という一文です。その後、1645年ごろに出版されたジェームズ・ハウエルの書簡集『Familiar Letters』に、いまの形に近いno news, good newsという表現が登場します。17世紀のあいだに、王の言葉から日常の慰めの言葉へと形を変えていきました。
友達が合宿や旅行に出かけて、数日連絡が取れず、何かあったのではと心配になった経験はありませんか。No news is good news.は、そういう場面で相手を安心させるための一言です。
こう使う
I haven't heard from Kenta since he left for the trip three days ago. I'm getting worried.
健太が旅行に出てから3日、連絡がないんだ。心配になってきた。
No news is good news. I'm sure he's just busy having fun.
便りのないのはよい便りだよ。きっと楽しくて忙しいだけだよ。
We haven't heard back from the hospital yet, but no news is good news, right?
まだ病院から連絡は来ていないけれど、便りのないのはよい便りだよね?
発音:newsは/njuːz/で、語尾のsが濁って『ニューズ』に近く読みます。日本語の『ニュース』は語尾が濁らないので、そのまま読むと英語の音から離れます。sを『ズ』と濁らせることを意識してください。
- こう問われる
- ①会話文の空所補充で、連絡がない相手を心配する人物への返答として選ばせる形。②長文中で、心配している人物を励ます言葉として使う形。
- ここで外す
- newsを『新しい情報』という意味の名詞のまま読み、『新しい情報が特にない』という程度の軽い事実報告だと誤解する誤りが定番です。実際には『連絡がないのは悪い知らせがない証拠だから安心してよい』という積極的な励ましの意味を持ちます。
- 決め手
- 誰かからの連絡を心配している相手に対して使われていたら、『連絡がないのは、悪いことが起きていない証拠だから大丈夫』という励ましの意味で読み取ります。
- 誤答
- 新しいニュースは何もないよ
- 正答
- 便りのないのはよい便りだよ
Before
No news is good news.を、『新しい情報が何もない』という単なる事実の報告だと読んでいた
After
連絡を心配している相手への励ましの場面だと分かれば、『心配しなくていい』という意味まで正しく受け取れる
No news is good news. を教室で使う(5分)
ねらい: 連絡がない相手を励ます会話表現を、身近な場面と結びつけて覚える
- 先生「友達から連絡が来なくて心配になったことはある?」と問いかける
- 1616年のジェームズ1世の言葉が由来だと紹介する
- ペアで、心配している相手役と励ます役に分かれて短い会話を作る
- 出口チケットで、No news is good news.を使った2行の会話を書かせる
出口チケット: 友達から連絡が来なくて心配している場面を、No news is good news.を使って2行の会話で書きなさい。
bark up the wrong tree
バーク・アップ・ザ・ロング・ツリー 早合点のことば見当違いのことをする、的外れな方向を疑う
19世紀のアメリカで、アライグマ狩りに使われた猟犬の様子から生まれた表現です。猟犬はアライグマを木の上まで追い詰めると、その木の下で吠え続けて、どの木にいるかを猟師に知らせました。ところがアライグマが別の木へ飛び移って逃げたり、犬が木を間違えたりすると、犬は誰もいない木に向かって吠え続けることになります。この様子から生まれた表現で、最も古い印刷物での使用例の1つは、1832年にジェームズ・カーク・ポールディングが著した『Westward Ho!』にあります。
誰かがうわさを広めたと思って問い詰めたら、実は全然関係ない人の仕業だったと分かった経験はありませんか。bark up the wrong treeは、そういう『間違った相手・方向を疑っていた』場面のための表現です。
こう使う
If you think I broke the vase, you're barking up the wrong tree — I wasn't even home.
もし花瓶を割ったのが私だと思っているなら、それは見当違いだ。だって私は家にすらいなかったのだから。
The detective spent weeks investigating the wrong suspect before realizing he was barking up the wrong tree.
刑事は何週間も間違った容疑者を捜査したあとで、自分が見当違いの方向を疑っていたことに気づいた。
発音:barkは/bɑːrk/で、口を大きく開けて『バーク』と読みます。注意したいのはwrong(/rɔːŋ/)のほうです。カタカナで書くとlong(長い)と同じ『ロング』になりますが、別の語です。上の読みの『ロング・ツリー』は『長い木』ではなく『間違った木』です。
- こう問われる
- ①下線部言い換えで、bark up the wrong treeの意味を選ばせる形。②長文中で『間違った相手や原因を疑っている』という文脈を読み取らせる内容一致問題。③会話文で、誤った推測をたしなめる返答として使う形。
- ここで外す
- barkやtreeという単語につられて、実際に犬が木の下で吠えている場面だと誤読する誤りが定番です。実際には人が見当違いの方向を疑っているという比喩です。
- 決め手
- 誰かが間違った人や原因を疑っていて、見当違いの方向で答えを探しているという文脈でこの表現が出てきたら、『的外れなことをしている』という意味で読みます。
If you think I broke the vase, you're barking up the wrong tree — I wasn't even home.
- 誤答
- もし花瓶を割ったのが私だと思っているなら、あなたは間違った木に向かって吠えている。
- 正答
- もし花瓶を割ったのが私だと思っているなら、それは見当違いだ。
Before
barkとtreeという単語を見ると、実際に犬が木の下で吠えている場面としか読めていなかった
After
誰かを見当違いに疑っている場面の比喩だと、すぐに読み替えられる
動画で見る
bark up the wrong tree を教室で使う(6分)
ねらい: 見当違いを表す比喩表現を、身近な勘違いの経験と結びつけて覚える
- 先生「誰かを疑ったら、実は違う人が原因だったことはある?」と問いかける
- 19世紀アメリカのアライグマ狩りと猟犬のエピソードを紹介する
- ペアで、『見当違いを指摘したい』場面を1つ考えて英語で言ってみる
- 出口チケットで、bark up the wrong treeを使って1文書かせる
出口チケット: 『友達を疑ったら、実は別の人が原因だった』という場面を、bark up the wrong treeを使って英語で1文書きなさい。