put the cart before the horseの意味は?順番を間違えると起きること
入試に出るイディオム 第21回
順序を間違えることを戒めることわざ、相手の力を抜かせる一言、簡単さを表す慣用句。3つの由来をたどりながら、入試での出方まで身につけます。
監修:原田高志(原田英語.com)
今日は3つの箱から1つずつ。ことわざ、相手をいたわる一言、そして簡単さを表す慣用句です。どれも由来の絵を思い浮かべると、忘れにくくなります。
Don't put the cart before the horse.
ドント・プット・ザ・カート・ビフォー・ザ・ホース 先走りのことば物事の順序を逆にしてはいけない
荷馬車は、馬が前に立ってこそ進みます。もし荷車のほうを馬の前に置いてしまったら、どれだけ立派な馬がいても、車はびくとも動きません。この言い回しの記録は16世紀のイギリスまでさかのぼるとされ、その頃からすでに『物事には守るべき順番がある』ということわざとして使われてきました。
部活の新入生歓迎会で、誰を誘うかもまだ決まっていないのに、話が盛り上がって会場だけ先に予約してしまった。あとから人数が合わずに困る。そんなとき、周りから『それって順番が逆じゃない』と言われる。それがput the cart before the horseの場面です。
こう使う
Choosing your job title before you've even picked a major is putting the cart before the horse.
専攻もまだ決めていないのに肩書きを先に選ぶのは、順番が逆だよ。
Let's not put the cart before the horse — decide on the plan first, then worry about the budget.
順番を間違えないようにしよう。まず計画を決めてから、予算のことを考えよう。
発音:cartとcarはつづりが似ていますが別の単語です。cartは/kɑːrt/で語尾のtをはっきり止めて発音します。
- こう問われる
- ①会話文で、順序を間違えている相手をたしなめる一言として空所に入れる形。②似た意味のDon't count your chickens before they hatch.(気が早すぎることを戒めることわざ)と選択肢で並べ、意味を混同させる形。
- ここで外す
- 『気が早い』ということわざなら何でもよいと思い込み、Don't count your chickens before they hatch.(成功する前から期待しすぎるな)を選んでしまう誤りが定番です。あちらは『期待が早すぎる』ことわざで、こちらは『やる順番が逆』ということわざです。
- 決め手
- 選択肢の日本語訳に『順番』『段取り』とあればput the cart before the horse、『期待しすぎるな』とあればDon't count your chickens before they hatch.を選びます。
- 誤答
- counting your chickens before they hatch(気が早すぎるという意味で、順番の話は表せない)
- 正答
- putting the cart before the horse(結果を先取りして、やるべき順番を飛ばしていることを正しく表す)
Before
順番を戒めることわざを見ると、すべて『気が早い』という意味でひとまとめに読んでいた
After
cart(結果)とhorse(土台)のどちらが先に来るべきかを絵で考えられるようになり、似たことわざとの意味の違いをすぐ判断できる
Don't put the cart before the horse. を教室で使う(6分)
ねらい: 『結果を急ぐ』日常の場面を、cart/horseの絵に変換して定着させる
- 先生「馬車の絵を描くとしたら、馬と荷車、どちらを前に描く?」と問いかけ、生徒に答えさせる
- 「英語にはこの絵をそのまま使った言い回しがある」と伝え、put the cart before the horseを板書する
- ペアで、自分や友達がやってしまった『順番を間違えた失敗』を1つ挙げさせ、この表現を使って一文にする
- 出口チケットで、Don't count your chickens before they hatch.との意味の違いを説明させる
出口チケット: 『合格発表を見る前から、大学生活の部屋探しを始めていた』という状況を、put the cart before the horseを使って英語で書きなさい。
Take it easy.
テイク・イット・イージー 労りのことば気楽にね、無理しないで(別れ際の挨拶としても使う)
『くつろぐ、力を抜く』という意味では、1804年から記録が残っている表現です。もとは『気を楽にしろ』という指示がそのまま定型句になったもので、力仕事や心配ごとで根を詰めている相手に、まわりからブレーキをかけてあげるときの一言として定着していきました。
模試が終わったばかりの友達が、休み時間もずっと自己採点をして一喜一憂している。そんなとき、隣の席から『そんなに根を詰めなくていいよ』と声をかける。それがTake it easy.の場面です。
こう使う
You've been studying for hours. Take it easy and get some rest.
もう何時間も勉強してるじゃない。無理しないで、少し休んで。
"I have to finish this by tonight." "Take it easy — it can wait until tomorrow."
「今夜中にこれを終わらせなきゃ」「そんなに根を詰めないで。明日でも間に合うよ」
発音:Take itは続けて発音され、テイクイットではなく『テイキッ』のように聞こえます。takeの語尾のkが、itのイの音とつながる、リンキングという現象です。
- こう問われる
- ①会話文で、根を詰めている相手を落ち着かせる一言として空所に入れる形。②別れ際の挨拶として、See you.やTake care.と選択肢で並べ意味を混同させる形。
- ここで外す
- Take it easy.を『気楽に取り組んで』と直訳し、Good luck.やDo your best.のようなこれから頑張れという意味だと取り違える誤りが定番です。向きはまったく逆で、力を抜かせる一言です。
- 決め手
- 直前の内容が『これから何かに挑む』ならGood luck.、『すでに無理をしている・心配しすぎている』ならTake it easy.を選びます。
- 誤答
- Do your best(『もっと頑張って』という意味になり、力を抜かせたい場面には合わない)
- 正答
- Take it easy(『そんなに根を詰めないで』と、力を抜かせる方向に働く)
Before
Take it easy.を『気楽にやって』という意味だけで覚え、励ましの場面でも使えると思い込んでいた
After
相手にブレーキをかける表現だと分かり、これから頑張れと言いたい場面ではGood luck.のような別の表現を選べるようになる
Take it easy. を教室で使う(5分)
ねらい: 『励ます』表現と『力を抜かせる』表現を場面で区別する
- 先生「試合の前と、試合で頑張りすぎて疲れている人。どちらにTake it easy.を言う?」と問いかける
- 「頑張れの反対、ブレーキの表現です」と伝え、Take it easy.を板書する
- ペアで、疲れている友達を演じ合い、Take it easy.を使って声をかける練習をする
- 出口チケットで、Good luck.とTake it easy.の使い分けを説明させる
出口チケット: 徹夜で勉強しようとしている友達に、Take it easy.を使って声をかける一文を英語で書きなさい。
a piece of cake
ア・ピース・オブ・ケイク 余裕のことばとても簡単なこと、朝飯前
起源ははっきりしませんが、有力な説が2つあります。1つは1930年代のイギリス空軍で、危険の少ない簡単な任務を指すスラングとして使われ始めたという説。もう1つは、19世紀にアフリカ系アメリカ人のあいだで行われたケークウォークという歩き方を競うダンス大会で、優勝したペアが景品としてケーキをもらったことに由来するという説です。どちらの説でも、『ケーキ1切れくらい、あっけなく手に入る』という軽さの絵が共通しています。
先輩から『あの回の小論文はすごく難しい』と聞いていたのに、いざ解いてみたら思ったよりすんなり書けた。そんなとき、友達に感想を聞かれて一言で答える。それがa piece of cakeの場面です。
こう使う
Don't worry about the listening test — it'll be a piece of cake for you.
リスニングのテストは心配しなくて大丈夫。あなたなら朝飯前だよ。
I thought fixing the bike would be hard, but it turned out to be a piece of cake.
自転車の修理は大変だと思っていたけど、蓋を開けてみれば拍子抜けするほど簡単だった。
発音:piece ofはつながって『ピーサヴ』のように聞こえます。ofはつづりこそfですが、音はヴです。この音が弱まって、ほとんど聞こえないこともあります。
- こう問われる
- ①下線部言い換えで、easyやsimpleのような形容詞に置き換えさせる形。②会話文で、大変だったはずの作業の感想を尋ねられて答える形。
- ここで外す
- It was a piece of cake.を『ケーキを食べた』という文字どおりの意味に引きずられ、お菓子や食べ物の話だと誤読してしまう誤りが定番です。直前に試験・作業・仕事など『大変そうな物事』の話があれば、比喩だと判断します。
- 決め手
- cakeという単語が出てきても、直前に試験や作業など大変そうな話題があれば、食べ物ではなく『簡単だった』という評価の言葉だと読みます。
The listening section was a piece of cake compared to last year's test.
- 誤答
- リスニングのパートは、去年の試験に比べてケーキのようだった
- 正答
- リスニングのパートは、去年の試験に比べて拍子抜けするほど簡単だった
Before
cakeという単語を見ると、必ず食べ物の話だと思い込んで文の流れを見失っていた
After
cakeが出てきても、直前の話題が大変そうな作業なら、簡単だったという評価の言葉だとすぐ切り替えられる
動画で見る
a piece of cake を教室で使う(5分)
ねらい: 食べ物を使った比喩表現を、文脈から見抜く練習をする
- 先生「思ったより簡単だったこと、最近ある?」と問いかけ、2〜3人に答えさせる
- 「英語にはそれをケーキ1切れにたとえる表現がある」と伝え、a piece of cakeを板書する
- ペアで、自分が『思ったより簡単だった』経験を1つ挙げさせ、この表現を使って一文にする
- 出口チケットで、a piece of cakeが食べ物の話ではないと説明させる
出口チケット: 『難しいと聞いていた発表が、思ったより簡単だった』という状況を、a piece of cakeを使って英語で書きなさい。
よくある質問
3つのイディオムのうち、どれがいちばん会話でよく使いますか?
Take it easy. がいちばん日常会話向きです。put the cart before the horseはことわざとして相手をたしなめる場面で、a piece of cakeは試験や作業の感想を述べる場面でよく使われます。