本文へスキップ
日刊原田英語 Harada Eigo Daily
IDIOMS 第19回 標準 読了 7分

beat around the bushの意味は?獲物のいる茂みは直接たたかない

入試に出るイディオム 第19回

イソップ以来の教訓ことわざ、オーストラリア発の万能フレーズ、狩りの現場から生まれた慣用句。3つの由来をたどりながら、入試での出方まで身につけます。

監修:原田高志(原田英語.com)

今日は3つの箱から1つずつ。ことわざ、あいづちのようなひとこと、そして由来のはっきりした慣用句です。どれも由来を知ると、忘れにくくなります。

Slow and steady wins the race.

スロウ・アンド・ステディ・ウィンズ・ザ・レイス 継続のことば

急がず着実に続ける人が、最後には勝つ

起源 居眠りしたウサギと、歩き続けたカメ

足の速さを自慢するウサギが、のろまなカメをばかにして競走を挑まれます。圧倒的にリードしたウサギは油断して木陰で昼寝を始めますが、カメは休まず、のろのろとでも歩き続けました。目を覚ましたときには、カメはすでにゴールの近くにいたのです。

いま 一夜漬けで安心した日、コツコツ続けていた友達に抜かれた

テスト前日にまとめて詰め込んで『これで大丈夫』と思っていたのに、毎日少しずつ単語を覚えていた友達のほうが結局は高得点を取っていた。そんな経験はありませんか。才能や瞬発力より、続けた量がものを言う場面は、勉強にもよくあります。

ウサギは寝た、カメは歩き続けた。才能より、続けた側が勝つ。

こう使う

She didn't study the most hours, but slow and steady wins the race — she reviewed a little every day.

彼女は誰よりも長く勉強したわけではありませんが、少しずつ毎日続けたことで最後には力がつきました。

The company grew slowly for ten years, proving that slow and steady wins the race.

その会社は10年かけてゆっくり成長し、地道な積み重ねが結局は勝つことを証明しました。

発音:steadyは2音節目ではなく1音節目にアクセント。テディベアのteddyと同じリズムです。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①ことわざの空所に steady や race を入れさせる形。②整序英作文で Slow and steady wins the race. の語順を並べ替えさせる形。③会話文で、努力を続ける相手を励ます一言として選ばせる形。
ここで外す
steadyをstudyと読み間違える誤りと、主語をandでつないだ複数と考えてwinと書いてしまう誤りが定番です。主語は『Slow and steadyという性質』1つのまとまりなので、動詞は3人称単数のwinsになります。
決め手
A and B の形の主語でも、2語で1つの性質を表すなら単数扱い。Slow and steadyは『着実さ』という1つの性質なのでwins。Two heads are better than one. のように別々のものを数える主語なら複数扱い、と見分けます。

Slow and steady ______ the race.

空所に入る形は?

誤答
win
正答
wins(主語が単数扱いのため)

Before

ことわざは丸暗記するだけの飾りだと思っていた

After

raceの前にwinsと単数形が来る理由まで、文法として説明できるようになる

Slow and steady wins the race. を教室で使う(6分)

ねらい: ことわざの主語と動詞の対応を、実際の文法ルールとして確認する

  1. 先生「このことわざの主語はどこからどこまでか、隣の人と指差してみて」
  2. 生徒に Slow and steady の部分を指させ、なぜ単数扱いになるかを確認する
  3. 先生「では、Two heads are better than one. の主語は?」と対比させ、複数扱いの主語との違いに気づかせる
  4. ペアでオリジナルの一文を作らせ、主語と動詞の一致を確認する

出口チケット: Slow and steady wins the race. の主語と動詞をそれぞれ指摘し、なぜその形になるか一言で説明しなさい。

Slow and steady wins the race. をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

No worries.

ノー・ワリーズ 安心のことば

気にしないで、大丈夫だよ

起源 1960年代のオーストラリアで生まれた一言

オックスフォード英語辞典が No worries. の用例としていちばん古く挙げているのは1967年です。1965年のシドニーの雑誌には、sの付かない no worry の形なら出ています。どちらもオーストラリアの記録です。1986年の映画『クロコダイル・ダンディー』が世界的にヒットしたことで、アメリカをはじめ各国にも知られるようになりました。

いま LINEで謝ったら、友達から一言だけ返ってきた

待ち合わせに遅れて謝ったとき、友達から短く『大丈夫だよ』とだけ返ってくると、それだけでほっとしますよね。英語でその一言を担うのが No worries. です。

心配(worry)がゼロ(no)。それだけで『大丈夫』が伝わる。

こう使う

"Sorry I'm late!" "No worries, we just got here too."

「遅れてごめん!」「大丈夫、私たちもさっき来たところ」

"Thanks for helping me move." "No worries at all."

「引っ越し手伝ってくれてありがとう」「全然気にしないで」

発音:最初は『ウォ』ではなく『ワ』の音です。アメリカ英語は『ワーリーズ』、イギリス英語やオーストラリア英語は『ワリーズ』に近く、どちらもrで舌を丸めます。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①会話文の空所補充で、謝罪や感謝への返事として選ばせる形。②Thank you. への応答として不自然な選択肢と見分けさせる形。
ここで外す
Never mind.との混同が定番の罠です。謝罪への返事にはどちらも使えますが、Thank you.への返事に使えるのはNo worries.だけ。感謝にNever mind.を返すと『もういいよ、忘れて』と話を打ち切る意味になってしまいます。
決め手
直前の発言がThank you.(感謝)ならNo worries.一択で、Never mind.は使えません。自分の頼みごとを『やっぱりいいや』と取り下げるときがNever mind.です。
Thanks for lending me your notes.
______

Bさんの返事として自然なのは?

誤答
Never mind.(感謝への返事には使えず、『もういいよ』と聞こえる)
正答
No worries.(どういたしまして、の意味で自然)

Before

Never mind. も No worries. も、同じ『気にしないで』としか覚えていなかった

After

相手を安心させたいのか、話を切り上げたいのかで、使う言葉を選べるようになる

No worries. を教室で使う(5分)

ねらい: No worries. と Never mind. の使い分けを体感する

  1. 先生「消しゴム貸してくれてありがとう」に生徒が返す練習を全員でやる
  2. 先生がわざと Never mind. で返し、生徒に『あれ、少し冷たい?』と気づかせる
  3. ペアで、謝罪への返事はNo worries.、話題を打ち切りたい場面はNever mind.を、それぞれ演じさせる
  4. 出口チケットで、指定した場面に合う方を選んで書かせる

出口チケット: 友達が『宿題のノート忘れた、ごめん』と言った。あなたの返事を1文で書きなさい。

No worries. をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

beat around the bush

ビート・アラウンド・ザ・ブッシュ もどかしさのことば

遠回しに言う、本題を避ける

起源 獲物のいる茂みは、直接たたかない

中世の狩猟では、勢子と呼ばれる人が長い棒で茂みをたたき、隠れている鳥や獣を追い出して、待ち構える猟師に捕らえさせていました。隠れているのが危険な獲物だった場合にそなえ、茂みの『中』ではなく『周り』をたたいて、直接ぶつかる危険を避けていた、という説があります。

いま 先生に相談したいのに、天気の話ばかりしてしまった日

本当に聞きたいこと、伝えたいことがあるのに、切り出せずに関係のない話ばかりしてしまう。相談の予約をした職員室の前で、そんな経験をした人もいるはずです。まさにbeat around the bushの状態です。

獲物のいる茂みを直接たたかず、周りをたたく。それが遠回しな言い方の絵。

こう使う

Stop beating around the bush and tell me what happened.

遠回しに言うのはやめて、何があったのか教えて。

He beat around the bush for ten minutes before admitting he'd broken the vase.

彼は花瓶を割ったと認めるまで、10分間も遠回しな話を続けた。

発音:bushは口をあまり開けない/bʊʃ/の音。日本語の『ブ』より短く、こもった響きです。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①下線部の内容一致で、『遠回しに言う』の言い換えとして beat around the bush を選ばせる形。②会話文で、率直に話すよう促す表現との対比で問う形。
ここで外す
aroundをinやintoと書き間違えると、『茂みの中をたたく』ことになって由来の絵と逆になります。なお、イギリス英語のbeat about the bushも正しい形です。
決め手
『茂みの中に踏み込まず、周りをたたく』という絵を思い出せば、inとaroundを混同しません。

He kept beating ______ the bush instead of answering directly.

空所に入る前置詞は?

誤答
in(茂みの中に踏み込む形になり、由来の絵と逆になる)
正答
around(茂みの周りをたたく=遠回しにする。イギリス英語ではaboutも正解)

Before

beat around the bushを『茂みを叩く』という意味不明な丸暗記で覚えていた

After

『危険な獲物に直接触れず、周りから追い出す』という狩りの絵と結びつけて、aroundの理由まで説明できる

beat around the bush を教室で使う(7分)

ねらい: 由来の絵からaroundの意味を体感させる

  1. 先生「机の下にボールが隠れています。捕まえたいけど直接手を入れたくない。どうする?」と問いかけ、周りを軽くたたいて追い出す動作を実演する
  2. 「これがbeat around the bushの絵です」と伝え、狩りの勢子の役割を説明する
  3. ペアで『遠回しに言われて困った』場面を1つ挙げさせ、beat around the bushを使って一文にする
  4. 出口チケットで、aroundをinに変えた誤答を直させる

出口チケット: 次の文を正しく直しなさい。Stop beating in the bush and tell me the truth.

beat around the bush をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

よくある質問

3つのイディオムのうち、どれがいちばん会話でよく使いますか?

No worries. がいちばん日常的です。beat around the bushも日常会話でよく使うくだけた表現ですが、改まった文章では avoid the main point などに言い換えます。Slow and steady wins the race.はことわざとして使う場面が限られます。