見た目で判断するな、を英語で言うと|入試に出る表現3つ
入試に出るイディオム 第14回
今日はことわざ・会話のかたまり・比喩表現をひとつずつ。見た目で決めつけるなということわざ Don't judge a book by its cover.、しっかり聞いていますよと伝える I'm all ears.、初対面のぎこちなさをほぐす break the ice。3つとも、由来から見ていきます。
監修:原田高志(原田英語.com)
今日は3つの表現を用意しました。見た目で決めつけてはいけないと教えることわざ。話をちゃんと聞いていると伝える一言。初対面のぎこちない空気をほぐす比喩です。どれも由来から入ります。そのほうが、意味が頭に残ります。
Don't judge a book by its cover.
ドント・ジャッジ・ア・ブック・バイ・イッツ・カバー 先入観のことば見た目や第一印象だけで、人や物の価値を決めつけてはいけない
『表紙を見ても、中身は分からない』。この言い方が記録に残るのは、19世紀なかごろのアメリカの新聞です。誰が最初に言ったのかは分かっていません。
知られているかぎり古い用例のひとつは、1867年のオハイオ州の新聞です。そこでは本ではなく、人の見た目の話として使われていました。上着とズボンの下に、確かな値打ちと腕前が隠れていることはよくある。そう書き添えられています。つまり表紙にあたるのが服装で、中身にあたるのが腕前です。
見た目がいかつい先輩、無口な転校生、流行の服を着ていない同級生。第一印象だけで『こういう人だろう』と決めつける。あとから全然違ったと気づいた経験は、誰にでもあります。Don't judge a book by its cover. は、その決めつけを手放すための一言です。
こう使う
He looked scary with all those tattoos, but don't judge a book by its cover.
彼はタトゥーだらけで怖そうに見えたけど、見た目で判断しちゃだめだよ。
The restaurant looks run-down from the outside, but the food is amazing. Never judge a book by its cover.
そのレストランは外から見ると古びているけれど、料理は最高だ。見た目で判断してはいけない。
発音:judge の終わりの dge は、日本語の『ジ』のように母音(イ)を付けない。子音だけで止めるつもりで発音する。
- こう問われる
- ①長文の要旨把握で、このことわざに近い日本語を選ばせる形。②会話文の空所補充で、judge a book by its ______. の空所に入る語(cover)を問う形。③本を読む話だと誤読させたうえで、内容一致を問う形。
- ここで外す
- 空所に cover の代わりに page や title、story を入れてしまう誤り。また、文字どおり『本を読まずに批評するな』という読書の話だと読み違えてしまう誤り。
- 決め手
- 文脈に実際の本が登場しているかを見る。人物や物事の見た目・第一印象の話が続いていれば、book も cover も比喩であり、答えは常に cover。
- 誤答
- page(ページ/本の中身そのものを指す語で、決まり文句としては誤り)
- 正答
- cover(表紙/見た目で判断するなという決まった形)
Before
Don't judge a book by its cover. を『本を読む前に判断するな』という読書の話だと思っていた
After
本の話が出てこなくても、人物や物事の見た目の話が続いていれば、このことわざの比喩だと気づけるようになる
Don't judge a book by its cover. を教室で使う(5分)
ねらい: ことわざの比喩を理解し、本の話が出てこなくても意味を当てはめられるようにする
- 「見た目で『この人はこういう人だ』と決めつけて、あとで違ったことは?」と生徒に問いかける
- Don't judge a book by its cover. を提示し、『本の話ではなく、人や物全般に使う』と説明する
- 「cover の代わりに page を使ったら通じる?」と問い、決まり文句は語を入れ替えられないことを確認する
- 身近な『見た目と中身が違った』体験を、ペアで1つずつ英語で言わせる
出口チケット: Don't judge a book by its cover. を使って、身の回りの出来事を1文書いてみよう。
I'm all ears.
アイム・オール・イアーズ 傾聴のことばしっかり聞いていますよ、話を聞く準備ができています
『全身が耳になる』というのは、想像すると少し不思議な絵です。体のほかの部分が消えて、耳だけが残っている。この大げさな比喩で、ほかの何にも気を取られず、相手の話だけに集中していますという気持ちを伝えます。日常会話で気軽に使われる、くだけた言い回しです。
スマホをいじりながら『うん、聞いてるよ』と答えると、相手はちゃんと伝わっているか不安になります。そんなとき、手を止めて I'm all ears. と言えば、『いまはあなたの話だけに集中する』という気持ちがはっきり伝わります。
こう使う
"Can I tell you something important?" "Sure, I'm all ears."
「大事な話があるんだけど」「もちろん、ちゃんと聞くよ」
Put your phone away and tell me what happened. I'm all ears.
スマホを置いて、何があったか話して。ちゃんと聞くから。
発音:all ears はつなげて【オーリアーズ】に近い音になる。all の l と ears の母音がつながるのがポイント。
- こう問われる
- ①会話文の応答選択で、相手が話し始める直前の一言として選ばせる形。②I'm all ear. のように単数形にした誤りを見抜かせる形。③直訳『耳がたくさんある』という意味だと誤解させる読解問題。
- ここで外す
- ears を単数の ear にしてしまう誤り。また、直訳のまま『耳が異常に多い』という奇妙な意味だと捉えてしまう誤り。
- 決め手
- ears が複数形になっているかだけを見る。I'm all ear. は決まり文句として成立せず、必ず ears でなければならない。
- 誤答
- I'm all ear.(ears が単数になっている誤り)
- 正答
- I'm all ears.(耳を複数形にした正しい決まり文句)
Before
I'm all ears. を見ても『耳だらけ』という不思議な直訳しか浮かばなかった
After
会話の応答問題で、相手が話し始める合図としてこの決まり文句だとすぐに認識でき、単数形のひっかけにも気づけるようになる
I'm all ears. を教室で使う(5分)
ねらい: I'm all ears. を、話を聞く前の合図として使いこなせるようにする
- 「相談があるんだけど、と言われたら何と返す?」と日本語で問いかける
- I'm all ears. を提示し、スマホを置くジェスチャーと一緒に発音させる
- 「ears を ear にしたらどうなる?」と問い、複数形が決まりであることを確認する
- ペアで「相談がある」→「I'm all ears.」の短いやり取りを練習させる
出口チケット: 友達に相談を持ちかけられた場面を想像して、I'm all ears. を使った短い会話を1つ書いてみよう。
break the ice
ブレイク・ジ・アイス 緊張のことば初対面のぎこちない空気をほぐす、緊張をとく
冬に川が凍ると、船は進めなくなります。そこで乗り手のひとりが先に出て氷を割り、あとの船が通れる道を開けました。ラテン語のことわざ『氷を割る』は、この場面から来ています。
英語に入ったころは、『難しいことに真っ先に手をつける』という意味で使われていました。『初対面の気まずさを、最初の一言でほぐす』という今の使い方に変わったのは、17世紀の後半です。
新学期の席替えやグループワークの初日、誰も口を開かない気まずい数分間があります。そこで誰かが冗談を言ったり、簡単な質問をしたりすると、場の空気が一気にやわらぎます。break the ice は、まさにその『最初の一言』を指す表現です。
こう使う
Nobody said a word until Ken told a joke to break the ice.
ケンが場をほぐそうと冗談を言うまで、誰も一言も話さなかった。
The teacher played a short game to break the ice on the first day of class.
先生は初日の授業で、場の空気をほぐすために短いゲームをした。
発音:the ice は【ザ・アイス】ではなく【ジ・アイス】。the は、母音で始まる語の前では【ジ】に変わる。
- こう問われる
- ①長文の内容一致で、初対面の場面の描写と break the ice を結びつける形。②空所補充で break the ______. の空所を問う形(ice以外に silence を混同させる)。③直訳『氷を物理的に割る』のか比喩なのかを文脈から見極めさせる読解問題。
- ここで外す
- 空所に silence を入れてしまう誤り。break the silence は『実際の静けさを破る』という一般的な表現。初対面の気まずさに限った break the ice とは、使う場面が違う。
- 決め手
- 話題が『初対面・人間関係の気まずさ』に限定されているかを見る。単に音がない静けさの話なら break the silence、人と人の間の緊張の話なら break the ice。
A: パーティーの最初の5分間、誰も一言も話さなかったんだ。でもケンが冗談を言ったら、みんな笑い出して。B: 彼は本当に______やり方を知ってたんだね。
- 誤答
- break the silence(単に静けさを破っただけの意味に寄ってしまう誤り)
- 正答
- break the ice(気まずい空気をほぐす、という決まり文句)
Before
break the ice を見ても『氷を割る』という直訳のイメージしか浮かばなかった
After
初対面の場面が出てきたら自動的にこの比喩だと気づけて、break the silence との使い分けも判断できるようになる
break the ice を教室で使う(8分)
ねらい: break the ice の由来と意味を理解したうえで、実際に場の空気をほぐす一言を体験させる
- 「新学期の初日、誰も話さない気まずい時間があったよね」と生徒に問いかける
- break the ice の由来(凍った川で、最初のひとりが氷を割って道を開ける話)を説明する
- 「break the silence との違いは?」と問い、気まずさに限定した表現だと確認する
- 実際に、隣の人に話しかける一言(アイスブレイクの質問)をペアで1つずつ作らせる
出口チケット: 初対面の人に話しかけるとしたら、どんな一言で break the ice する? 英語で1文書いてみよう。