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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
IDIOMS 第11回 標準 読了 7分

let the cat out of the bag の意味は?猫は本当にいたのか

入試に出るイディオム 第11回

今日はことわざ1つ、会話でそのまま使える一言1つ、比喩の効いた慣用句1つの3本です。卵とかごの言い伝え、I'm on it.が作る前置詞onの絵、そして猫と子豚をめぐる言い伝えの真偽まで、入試で使える形にして解説します。

監修:原田高志(原田英語.com)

「卵は全部同じかごに入れるな」ということわざを聞いたことはありますか。今日はこのことわざと、頼まれごとにすぐ答える一言、そして由来がはっきりしない慣用句の3本です。由来から入試での問われ方まで、順番に見ていきましょう。

Don't put all your eggs in one basket.

ドント・プット・オール・ユア・エッグズ・イン・ワン・バスケット 用心のことば

大切なものを1つに集中させるな。分散させておけ。

起源 セルバンテスの『ドン・キホーテ』に由来する、という説

この言い回しは、スペインの作家セルバンテスが1605年から1615年にかけて書いた『ドン・キホーテ』が由来だとよく紹介されます。ただし、これは言い伝えられている説であって、確定した史実ではありません。1612年に出た最初の英訳(トマス・シェルトン訳)には、実は『卵とかご』という言い回しがそのままの形では見当たらず、後の版で加えられたとみられています。

それでも、17世紀のうちに英語のことわざとしてしっかり定着しました。当時、卵は市場までかごに入れて運ぶ日用品で、かごを落とせば中身が全部割れてしまう、という失敗は誰の生活にも身近な出来事だったはずです。

いま 得意な1科目だけに勉強時間を全部使っていいのか

共通テストの出願を1校だけに絞ろうとして、先生に止められたことはありませんか。得意な1科目だけに勉強時間を全部使うのも、同じ構造の失敗です。もし本番でその1科目が思ったより難しければ、取り返す手段がどこにもありません。

Don't put all your eggs in one basket. が言っているのはこれです。大事なものを1つに集中させると、そのかごが割れたときに後がありません。

eggsは分散すべきもの、basketは1つの手段。かごが割れたら全部の卵が割れる。

こう使う

My financial advisor told me not to put all my eggs in one basket, so I split my savings between stocks and bonds.

ファイナンシャルアドバイザーに卵を1つのかごに入れるなと言われたので、貯金を株と債券に分けた。

Applying to only one university is like putting all your eggs in one basket.

大学を1校しか受けないのは、卵を全部1つのかごに入れるようなものだ。

発音:Don'tのtは次のputのpと重なるとほとんど聞こえなくなり、put allは『プッドール』のようにつながります。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①ことわざそのものの意味を選ばせる形(直訳ではなく比喩としての意味を選べるか)②investing・diversifyといった語とセットで出てくる長文の要旨把握③自由英作文の結びに引用させる形
ここで外す
basketを『買い物かご』、eggsを実際の食材のまま読み、『卵をまとめ買いするな』という買い物の注意だと誤読する誤りが定番です。
決め手
eggsは『分散すべき大切なもの』、basketは『1つの選択肢や方法』の比喩だと気づけるかがすべて。具体的な食べ物の名前が出てきたら、まず比喩を疑うこと。

Financial advisors always warn beginners: don't put all your eggs in one basket.

誤答
資産運用の初心者に対して、専門家はいつも『卵を一度にたくさん買うな』と忠告している。
正答
資産運用の初心者に対して、専門家はいつも『資産を1つに集中させるな』と忠告している。

Before

eggsやbasketのような具体的な単語を見ると、料理や買い物の話だと思い込み、そこで読みが止まっていた

After

具体的な名詞が並ぶことわざほど、比喩に置き換えて読める。eggs=分散すべきもの、basket=1つの手段、と変換できれば、長文の主張(リスク分散・資産運用)がそのまま読み取れる

Don't put all your eggs in one basket. を教室で使う(5分)

ねらい: ことわざの具体物(eggs/basket)を比喩に変換する練習をする

  1. 板書に "Don't put all your eggs in one basket." と書き、「直訳すると変じゃない?」と問いかける
  2. 「eggsとbasketが、それぞれ何の比喩か」をペアで30秒相談させる
  3. eggs=大切なもの・資産、basket=1つの方法、という答えを確認し、日本語の『分散』と結びつける
  4. 生徒自身の生活(部活・勉強時間の配分など)から『一点集中で失敗しそうな例』を1つ挙げさせる

出口チケット: 自分の生活の中で『卵を1つのかごに集めすぎている』ことを1つ書きなさい。

Don't put all your eggs in one basket. をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

I'm on it.

アイム・オン・イット 着手のことば

それ、もうやります。任せてください。

起源 『対象の上に乗っている』、onが作る絵

I'm on it. には、由来となった歴史上の出来事や事件はありません。まず、この絵を頭に置いてください。前置詞onは、何かの表面に乗って、そこに触れ続けている状態を表す語です。

work on(〜に取り組む)、focus on(〜に集中する)、be on top of(〜をしっかり把握している)。どれも『対象の上に乗って、そこから離れない』という同じ絵を土台にしています。I'm on it. は、このonを主語のうしろに置いた形で、『いま、その仕事の上に乗っている』、つまり『もう取りかかっている』という意味になります。

いま 先生に急に頼まれごとをされた瞬間

先生や先輩から急に頼まれごとをされた瞬間を思い浮かべてください。日本語なら『はい、今やります』とその場で答えるところを、英語では驚くほど短い一言で済ませられます。

I'm on it. と即答すれば、それだけで『もう動き出している』ことが伝わります。返事に時間をかけるほど、頼んだ相手は不安になります。短く即答できるかどうかが、そのまま信頼につながります。

on=乗って離れない。I'm on it.は『その仕事の上に、もう乗っている』の絵。

こう使う

"Can you fix this bug before the demo?" "I'm on it."

「デモの前にこのバグを直してくれる?」「もう取りかかってます」

The manager asked who could handle the complaint, and I said, "I'm on it."

誰がそのクレームに対応できるか部長が尋ねたので、私は『任せてください』と言った。

発音:I'm onは『アイモン』のように、onとitも『オニット』のようにつながり、3語がひと息でまとまります。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①会話文の応答選択で、依頼や指示への即答を選ばせる形②内容一致で、話し手がこれから何をするところかを問う形③自由英作文で、依頼への返事として使わせる形
ここで外す
I'm on it. をすでに終わった仕事の報告だと誤読する誤りが定番です。その場合はI did it.やI finished it.が正しい選択肢になります。
決め手
依頼された直後で、これから取りかかる場面ならI'm on it.、すでに終わった場面ならI did it.
Can you email the client before 5 p.m.? 5時までにクライアントにメールを送ってくれる?
______ ______
誤答
That's a good idea.(感想であって、依頼への返事にならない)
正答
I'm on it.(依頼を受けて、すぐ取りかかる合図になる)

Before

依頼されると、まず『了解しました』にあたる長い言い方を探して詰まっていた

After

短い一言I'm on it.で、依頼直後に『着手します』の合図を出せる。onの絵(乗って離れない)から、be on trackやon scheduleのような表現にも同じ理解を広げられる

I'm on it. を教室で使う(5分)

ねらい: 前置詞onが作る『対象の上に乗って離れない』という絵を使い、onを使った会話表現をまとめて覚える

  1. 板書に "on" とだけ書き、「onのイメージを絵にすると?」と生徒に投げる
  2. I'm on it. を提示し、「onのあとにitがあるのはなぜ?」とペアで相談させる
  3. 『仕事の上に乗っている=取りかかっている』という絵を確認し、work on / focus on / be on top ofを並べて板書する
  4. 先生が "Can you close the window?" のような依頼を出し、生徒にI'm on it.で即答させる練習をする

出口チケット: 先生や友達に何か頼まれた場面を想定し、I'm on it. を使った短い会話を1つ書きなさい。

I'm on it. をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

let the cat out of the bag

レット・ザ・キャット・アウト・オブ・ザ・バッグ 失言のことば

秘密をうっかり漏らしてしまうこと。

起源 『子豚のはずが猫』という言い伝え、ただし確定はしていません

この表現の由来としていちばんよく紹介されるのは、市場での詐欺にまつわる話です。むかしの市場で、子豚を袋に入れて売る商人が、客の目を盗んで中身を猫にすり替える。家に帰って袋を開け、猫が飛び出して初めて、だまされたことに気づく。この『袋(poke)の中身を確かめずに買ってはいけない』という教訓は、pig in a poke(袋の中の豚)という別の言い回しとして、1530年にはすでに記録が残っています。

ただし、この『猫すり替え詐欺』の話そのものを裏づける記録は見つかっていません。子豚とねこでは大きさも鳴き声も違い、そう簡単にすり替えられるとは考えにくい、という指摘もあります。船員を鞭打つ道具『cat-o'-nine-tails(9本の鞭)』を袋から取り出す場面が由来だという説もありますが、こちらも確定していません。

はっきりしているのは、let the cat out of the bagという言い方そのものが、18世紀半ば、1760年ごろまでに英語の印刷物に現れる、という記録だけです。

いま 友達の誕生日サプライズを、話しているうちにうっかり漏らした

誰かのために計画していた秘密のサプライズを、話しているうちについ口が滑って、本人に伝わってしまった経験はありませんか。悪気はなくても、いったん出た言葉は取り消せません。

let the cat out of the bagが指しているのは、まさにこの『わざとではないのに、秘密が漏れてしまう』瞬間です。猫も袋も比喩で、実際に飛び出すのは『隠していたはずの情報』のほうです。

catは秘密、bagは黙っている状態。うっかり出てしまうのがこの表現の芯。

こう使う

I almost let the cat out of the bag about the surprise party.

サプライズパーティーのことを、もう少しでうっかり話してしまうところだった。

Once one reporter let the cat out of the bag, the whole story spread within hours.

1人の記者がうっかり秘密を漏らすと、その話は数時間で広まった。

発音:cat outのtとoutのoがつながって『キャダウト』のように、out ofも『アウダブ』のようにつながって聞こえます。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①下線部の言い換え問題でreveal a secret by accidentやdisclose something unintentionallyを選ばせる形②内容一致で、誰が秘密を漏らしてしまったかを問う形③会話文で、うっかり口を滑らせた人への反応を選ばせる形
ここで外す
catを実際の『猫』、bagを実際の『袋』のまま読み、ペットが逃げ出した話だと誤読する誤りが定番です。
決め手
catは『隠していた秘密』、bagは『黙っている状態』の比喩だと気づけるかがすべて。わざと暴露する語(reveal、betray)ではなく、うっかり漏らす場面でだけ使う表現だと判断すること。

During the meeting, she accidentally let the cat out of the bag about the merger.

誤答
会議中、彼女はうっかり合併について猫を袋から出してしまった。
正答
会議中、彼女はうっかり合併の話を漏らしてしまった。

Before

catやbagのような具体的な単語を見ると動物の話だと思い込み、比喩だと気づけずに読みが止まっていた

After

具体物が並ぶ慣用句ほど比喩を疑って読める。cat=秘密、bag=黙っている状態と変換できれば、accidentallyやunintentionallyという言い換え語にもすぐたどり着ける

let the cat out of the bag を教室で使う(5分)

ねらい: catとbagという具体物を、秘密の比喩に変換して読む練習をする

  1. 板書に "let the cat out of the bag" と書き、「実際に猫を袋から出す話だと思う人?」と挙手を取る
  2. pig in a poke(袋の中の豚)の小話を紹介し、catとbagが何の比喩になっているかをペアで相談させる
  3. cat=秘密、bag=黙っている状態、という答えを確認し、accidentally(うっかり)という副詞が付きやすい理由を伝える
  4. 生徒自身が『うっかり秘密を漏らした』経験を1つ挙げさせ、英文にする

出口チケット: let the cat out of the bagを使って、自分の経験を1文の英文で書きなさい。

let the cat out of the bag をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

よくある質問

3つとも入試の同じ形式で出ますか。

出方は異なります。ことわざは長文の引用や自由英作文の結びに、I'm on it.は会話文の応答選択に、let the cat out of the bagは下線部の言い換えや内容一致によく出ます。