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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
IDIOMS 第9回 標準 読了 7分

The grass is greener の意味は?なぜ「芝生」なのか

入試に出るイディオム

今日はことわざ・会話のかたまり・比喩表現を1つずつ選びました。The grass is always greener on the other side.、Never mind.、once in a blue moon。どれも似た形の表現と入れ替えて覚えてしまいやすいので、見分け方まで一緒に確認します。

監修:原田高志(原田英語.com)

今日も3つの表現を、種類を散らして選びました。他人をうらやむ気持ちを表すことわざ、相手を安心させる会話のかたまり、めったにない頻度を表す比喩。どれも似た形の表現と入れ替えて覚えてしまいやすいので、見分け方まで一緒に確認していきましょう。

The grass is always greener on the other side.

ザ・グラス・イズ・オールウェイズ・グリーナー・オン・ジ・アザー・サイド 羨望のことば

自分が持っていないものの方が、よく見えてしまうこと(隣の芝生は青い)

起源 隣の畑の方が実り豊かに見える、という2000年前の一言

紀元前後のローマの詩人オウィディウスは、恋愛について書いた作品の中で「隣人の畑は、いつも自分の畑より豊作に見える」という意味のラテン語を残しています。他人の持ち物がより良く見えてしまう心理は、2000年以上前から変わっていないということです。

『芝生』を使ういまの英語の形は、1924年に発表されたポピュラーソングのタイトルがきっかけの1つとされています。畑が芝生に変わっても、自分の側より、他人の側の方が良く見えてしまうという中身は同じまま、いまの表現に受け継がれました。

いま 友達のSNSを見て、自分の日常だけが冴えないと感じる瞬間

友達のSNSに、楽しそうな部活や旅行の写真が並んでいるのを見て、自分の毎日だけが地味に思えてくることがあります。

The grass is always greener on the other side. は、その『他人の方が良く見えてしまう』心理そのものを言い当てた表現です。

自分の芝生も、離れて見れば誰かにとっての『隣の青い芝生』。

こう使う

Don't waste your summer wishing you'd joined a different club — the grass is always greener on the other side.

別の部活に入っていればよかったのにと夏を無駄にしないで。他人の方がつい良く見えてしまうだけだから。

I sometimes wonder if I'd be happier at a different school.

別の学校だったらもっと楽しいのかなって、たまに思うんだ。

The grass is always greener, you know.

他人の芝生はいつも青く見えるものだよ。

発音:greener の gree は、日本語の『グリ』より舌先を上あごに近づけて【グリー】と伸ばします。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①長文で、他人の生活をうらやむ人物の心情を表す表現として使われる形。②会話文で、部活や進路を迷っている人へのアドバイスとしての空所補充。③ You don't know what you've got till it's gone.(失って初めてありがたみに気づく)との判別を問う形。
ここで外す
失ったあとの後悔を表す表現だと勘違いする誤りが定番です。The grass is always greener は『いま自分にあるものと、他人が持っているものを比べて羨む』場面で使う表現で、『すでに失ったものに、あとから気づく』You don't know what you've got till it's gone. とは、時間の向きが逆です。
決め手
比べている対象が『いま自分の手元にあるもの』なのか『すでに失ったもの』なのかを見ます。手元にあるものと他人を比べて羨んでいるなら the grass is greener、失ってから初めて気づいたなら you don't know what you've got till it's gone です。

He keeps comparing his part-time job to his friend's — the grass is always greener, as they say.

誤答
彼は自分のアルバイトと友達のアルバイトを比べてばかりいる。もう手遅れだ、とよく言われるとおりに。
正答
彼は自分のアルバイトと友達のアルバイトを比べてばかりいる。人はつい、他人の方が良く見えてしまうものだ。

Before

the grass is greener という一文を見た瞬間、庭や芝生の説明をしている文だと思い込み、話の筋を見失っていました。

After

比べている対象が『いま持っているもの』であれば、これは人の心理を表す比喩だとすぐ気づけるようになります。長文の心情読解で、話の筋を見失わなくなります。

The grass is always greener on the other side. を教室で使う(6分)

ねらい: the grass is greener を、他人の生活と比較する心理のサインとして認識できるようにする

  1. 「友達のSNSを見て、うらやましいと感じたことはありますか」と軽く尋ねる(個人名は出させない)
  2. The grass is always greener on the other side. を黒板に書き、直訳と比喩の意味を並べて確認する
  3. 短い英文を2つ見せ、『いま持っているものと他人を比べている文』はどちらかを選ばせる
  4. ペアで、部活・進路・持ち物など身近な題材でこの表現を使った一文を作らせる

出口チケット: The grass is always greener on the other side. を使って、他人の状況をうらやむ気持ちを表す一文を書いてください。

The grass is always greener on the other side. をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

Never mind.

ネヴァー・マインド 撤回のことば

気にしないで、なんでもない(相手を安心させる/言ったことを撤回する)

起源 『それを気にかけるな』という、そのままの命令から生まれた形

mind はもともと『心』を表す名詞ですが、18世紀ごろには『気にかける、心にとめる』という動詞としても使われるようになりました。もとの形は never mind it(それを気にかけるな)で、18世紀後半のイギリス英語で使われ始めたとされています。

『それ』を表す it が、時間とともに省かれ、Never mind. という2語だけで『気にしないで』を伝える形に落ち着きました。命令文がそのまま決まり文句になった、シンプルな成り立ちの表現です。

いま 言いかけた話を、途中で『やっぱりいい』と引っ込める瞬間

友達に何か言いかけて、『今言わなくてもいいか』と思い、途中でやめたくなる瞬間があります。

Never mind. は、自分の発言を撤回するときにも、相手の失敗を気にしなくていいと伝えるときにも使える一言です。

Never mind.=気にかけるな、と自分にも相手にも言い聞かせる一言。

こう使う

I'm so sorry I broke your pen.

ペンを壊しちゃって本当にごめん。

Never mind, I have plenty more.

気にしないで、まだたくさんあるから。

Never mind what he said — just focus on your own work.

彼が言ったことは気にしないで。自分のやるべきことに集中して。

発音:Never mind. は【ネヴァマインド】のように、never の er をあいまいに、mind にアクセントを置いて発音します。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①会話文の空所補充で、相手の謝罪や失敗に対して『気にしないで』と返す形。②言いかけたことを『やっぱりいい』と撤回する場面での空所補充。③ I don't mind. との判別を問う形。
ここで外す
I don't mind.(私は構わない、どちらでもいい)と混同する誤りが定番です。Never mind. は『気にしないで』と相手を安心させたり話を撤回したりする表現で、I don't mind. は『自分は気にしない』という同意・許可の表現です。誰が気にしないのか、主語の向きが違います。
決め手
気にしなくていいのが『相手』なのか『自分』なのかを見ます。相手を安心させる・話を引っ込めるなら Never mind.、自分の希望や同意を伝えるなら I don't mind. です。
Sorry, I forgot to bring the book you lent me. ごめん、貸してくれた本を持ってくるのを忘れちゃった。
______ I have another copy at home. ______ 家にもう1冊あるから。
誤答
I don't mind./『私は構わない』という同意の表現で、相手の失敗を受け流す場面には合わない
正答
Never mind./『気にしないで』と相手の失敗を受け流す、正しい返事

Before

Never mind. と I don't mind. を、どちらも『気にしない』という似た意味の表現だと思い、区別せずに使っていました。

After

気にしなくていいのが相手なのか自分なのかを見れば、どちらを使うべきか判断できるようになります。会話文の空所補充で、主語の向きを取り違えなくなります。

Never mind. を教室で使う(5分)

ねらい: Never mind. と I don't mind. を、『誰が気にしないのか』の違いで区別できるようにする

  1. 「友達に謝られて、『気にしないで』と返した経験はありますか」と軽く尋ねる
  2. Never mind. と I don't mind. を黒板に並べて書く
  3. 『相手を安心させる』表現か『自分の意見を伝える』表現かを、矢印を使って図にする
  4. ペアで、謝罪への返事にNever mind.、提案への返事にI don't mind. を使った短い会話をそれぞれ作らせる

出口チケット: 友達が何かを謝ってきた場面を想定し、Never mind. を使った短い返事を書いてください。

Never mind. をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

once in a blue moon

ワンス・イン・ア・ブルー・ムーン 希少のことば

ごくまれに、めったに〜ない

起源 『月が青い』というありえない話から生まれた表現

16世紀のイギリスでは、『月が青いと言い張る』ことは、『黒を白だと言い張る』のと同じくらいばかげた話の代名詞として扱われていました。1528年の文書には、すでにこの発想の元になる言い回しが登場しています。

『ありえないこと』を指していた blue moon は、19世紀に入ると『めったに起きないこと』という意味へと少しずつ和らぎ、once in a blue moon という形で定着しました。実際に1か月に満月が2回訪れる天文現象を『ブルームーン』と呼ぶようになったのは1940年代からで、しかも月が本当に青く見えるわけではありません

いま 家族全員がそろって夕食を食べる、めったにない夜

部活や塾で予定がバラバラで、家族全員が同じ時間に食卓を囲むことが、めったに無くなっている家庭は多いはずです。

once in a blue moon は、そういう『たまにしか起きない、貴重な瞬間』を表すのにぴったりの表現です。

月が青く見えるのは、ありえないくらいまれなこと。だから once in a blue moon=めったにない。

こう使う

We only go to the beach once in a blue moon, so today feels special.

私たちはめったにビーチに行かないから、今日は特別な感じがする。

Do you ever eat fast food?

ファストフードって食べたりする?

Once in a blue moon, maybe.

まあ、ごくたまにね。

発音:blue moon は2語を続けて【ブルームーン】と伸ばして発音します。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①頻度を表す副詞句の並べ替え問題で、always・often・rarely と同じグループに分類させる形。②会話文で『たまにしかしないこと』を答える空所補充。③ once in a while との頻度の違いを問う形。
ここで外す
once in a while(ときどき)と混同する誤りが定番です。形が似ていますが、once in a while は『ときどき、たまに』というそこそこの頻度を表し、once in a blue moon はそれよりずっと少ない『めったにない』頻度を表します。
決め手
『ときどき起きる』のか『ほとんど起きない』のかを見ます。月に何度かのペースなら once in a while、年に1回あるかないかのレベルなら once in a blue moon です。

My grandfather visits us once in a blue moon, so we always celebrate when he does.

誤答
祖父はときどき私たちを訪ねてくるので、そのたびにお祝いをする。
正答
祖父はめったに私たちを訪ねてこないので、来たときは必ずお祝いをする。

Before

once in a blue moon を、once in a while と同じ『ときどき』という意味だと思い込み、同じ場面で使っていました。

After

2つの表現で頻度の少なさの度合いがまったく違うと分かるようになり、長文で『どれくらいまれなことか』を読み違えなくなります。

once in a blue moon を教室で使う(6分)

ねらい: once in a blue moon と once in a while を、頻度の度合いの違いで区別する

  1. 「家族全員がそろう日って、多いですか、少ないですか」と尋ねる
  2. once in a blue moon と once in a while を黒板に並べて書く
  3. never - once in a blue moon - once in a while - often - always と頻度の目盛りを黒板に書き、位置を確認する
  4. ペアで、それぞれの表現を使った身近な例文を1つずつ作らせる

出口チケット: once in a blue moon を使って、自分にとってめったに起きないことを1文書いてください。

once in a blue moon をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)