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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
IDIOMS 第7回 標準 読了 7分

spill the beans の意味は?なぜ「豆」を使うのか

入試に出るイディオム

今日もことわざ・会話のかたまり・比喩の慣用句と、種類を散らしました。Actions speak louder than words.、Suit yourself.、spill the beans。3つ目の『豆』の由来には、よく知られた俗説と、実際に確認できることの間にずれがあります。

監修:原田高志(原田英語.com)

今日も3つの表現を、わざと種類を散らして選びました。ことわざ、会話でそのまま使うかたまり、食べ物を使った比喩。「豆」がなぜ秘密と結びつくのか、由来から順にのぞいていきましょう。

Actions speak louder than words.

アクションズ・スピーク・ラウダー・ザン・ワーズ 実行のことば

言葉より行動のほうが物を言う、口で言うより実際にやることが信用される

起源 誓いの言葉と、その場で差し出された手

17世紀のイギリスには、すでにこれに近い言い回しがあった、とされています。ただし、はっきり誰が言い始めたのかは分かっていません。

当時、口約束は今よりずっと軽く扱われていました。誓いの言葉そのものより、その場で実際に何をして見せるかのほうが、ずっと信用の証になった時代です。言葉は誰でも並べられますが、行動には手間と代償がかかります。

だからこそ、「行動のほうが声が大きい」という、少し不思議な比喩が生まれました。声の大きさで信用を測る、という発想です。

いま 『今度やる』と『もうやった』の差

「今度手伝うよ」「次は本気出す」。そう言われたことも、自分で言ったこともあるはずです。

でも実際に信用するのは、口で言われた予定ではなく、すでに動いた実績のほうではないでしょうか。何かを頼みたいとき、頼れる相手として頭に浮かぶのは、たいてい黙って先に動いていた人です。

言葉と行動が並んだら、行動のほうが声が大きい。

こう使う

She didn't say much, but she stayed after class to help every day. Actions speak louder than words.

彼女は多くを語らなかったが、毎日放課後に残って手伝っていた。まさに行動が物を言う、だ。

He keeps promising to study harder, but actions speak louder than words.

彼はもっと勉強すると言い続けているが、行動が伴っていない。

発音:louder than の than は弱く「ザン」と流し、louder にアクセントを置きます。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①長文の内容一致や自由英作文で、言うことと行動が食い違う人物を評する形。②整序・英作文で比較級 louder と than の位置を問う形。③下線部の言い換えで What you do matters more than what you say を選ばせる形。
ここで外す
比較級の er を落として Actions speak loud than words. と書く誤りが定番です。than があれば、その前は必ず比較級。 読みの側では、「有言実行」というプラスの訳語だけで覚えていると、逆向きの文で止まります。but や never と一緒に出てきたときは、たいてい言うだけの人を責めています。
決め手
このことわざ自体は「行動のほうが勝つ」としか言いません。ほめているか責めているかを決めるのは、周りの語です。but・never・only talks が近くにあれば、責めている側。

He always promises to help, but actions speak louder than words, and he never actually does.

誤答
彼はいつも手伝うと約束する有言実行の人で、実際にちゃんとやってくれる
正答
彼はいつも手伝うと約束するが、物を言うのは行動のほうだ。実際にやったことは一度もない

Before

「有言実行」という4字熟語に置き換えて覚えていました。だから but をはさんで批判に使われている文に出会うと、訳が逆を向いていることに気づけませんでした。

After

ことわざ自体は「行動>言葉」としか言っておらず、ほめ言葉かどうかは周りの語が決めると分かります。but や never を探せば向きが取れるので、内容一致で正反対の選択肢を選ばなくなります。

Actions speak louder than words. を教室で使う(5分)

ねらい: ことわざを、発言と行動が食い違う場面の判定に使えるようにする

  1. 「言うこととやることが違う人、思い浮かびますか」と軽く投げかける(個人名は出させない)
  2. 出てきた特徴(口約束だけ・準備をしない、など)を黒板に整理する
  3. Actions speak louder than words. を提示し、『行動のほうが声が大きい』という比喩の意味を確認する
  4. 英作文の結びに使う練習として、1文だけ書かせてみる

出口チケット: Actions speak louder than words. を使って、自分が心がけたいことを1文書いてください。

Actions speak louder than words. をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

Suit yourself.

スート・ユアセルフ 突き放しのことば

好きにすれば、勝手にすれば(相手の選択を、少し突き放して認める言い方)

起源 『似合う』が、まさかの命令文になる

suit はもともと「似合う、都合に合う」という動詞です。Does this color suit you?(この色、あなたに似合いますか)のように使います。

Suit yourself. を直訳すると「自分自身に似合わせなさい」。つまり「自分に一番合うように、自分で決めなさい」という命令文です。

形だけ見ると突き放したセリフですが、根っこにあるのは「その決定はあなたのもの」という考え方。ただし言い方次第で、温かくも冷たくも響きます。

いま 誘いを断られたあとの、ワンテンポ空いた一言

友達を遊びに誘って断られたとき、「じゃあ、Suit yourself.」と返す。落ち込んでいるわけでも、怒っているわけでもありません。ただ、「それがあなたの選ぶことなら、それでいい」という距離の取り方です。

It's up to you. が『あなたの判断を信頼する』という前向きな任せ方なのに対し、Suit yourself. は『もう好きにして』という、一歩引いた任せ方。同じ『任せる』でも、体温がだいぶ違います。

It's up to you. は温かい任せ方、Suit yourself. は一歩引いた任せ方。

こう使う

I'm not going to apologize.

謝るつもりはないよ。

Suit yourself.

じゃあ、好きにすれば。

If you don't want my advice, suit yourself. But don't complain later.

私のアドバイスが要らないなら、好きにすれば。でもあとから文句は言わないでね。

発音:suit は『スーツ』ではなく【スート】。日本語の『スーツ』につられて『ツ』を強く読まないこと。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①会話文の空所補充。誘いや提案を断られた直後の、突き放した返事として選ばせる形。It's up to you. と並べられます。②下線部の言い換えで Do as you like / Have it your way を選ばせる形。③話し手の心情(あきれ・不機嫌)を問う形。
ここで外す
It's up to you.(あなたが決めていいよ)と同じ意味だと思い、好意的な返事として読んでしまう誤りが定番です。字面は似ていますが立ち位置が逆で、It's up to you. は決める前にゆだねる言葉、Suit yourself. は断られた後に突き放す言葉です。 形の側では、主語を付けて You suit yourself. とする誤りが出ます。命令文なので主語は置きません。
決め手
直前に相手の No があるかどうか、その1点だけ見ます。断りの後なら「じゃあ好きにすれば」。まだ誰も断っていない場面なら、そこに入るのは It's up to you. のほうです。
Do you want to come to the party? パーティー来ない?
No, I'd rather stay home. いや、家にいるほうがいいな。
______ ______
誤答
It's up to you./まだ決めていない相手にゆだねる言葉。B はもう断っているので、ここには入りません
正答
Suit yourself./断られた後の「じゃあ好きにすれば」。少し突き放した言い方です

Before

Suit yourself. も It's up to you. も「あなた次第」と訳して、同じ意味だと思っていました。会話文で話し手の心情を問われたとき、どちらも好意的な返事だと考えて、間違えていました。

After

やりとりのどこに置かれているかで決まると分かります。断りの前か、後か。訳語ではなく置かれた位置で見るので、話し手が好意的なのか、突き放しているのかまで読み分けられます。

Suit yourself. を教室で使う(6分)

ねらい: It's up to you. との温度差を、実際の場面で比べて覚える

  1. 「誘いを断られたとき、日本語ではどう返しますか」と生徒に尋ねる(『そっか』『じゃあいいや』など)
  2. It's up to you. と Suit yourself. を黒板に並べて書く
  3. 『どちらも訳せば「あなた次第」だが、使う場面が違う』と説明し、断りのあとの流れで Suit yourself. を導入する
  4. ペアで、誘い→断り→Suit yourself. の3行会話を作らせる

出口チケット: 誘いを断られた場面を想定し、Suit yourself. を使った短い会話を書いてください。

Suit yourself. をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

spill the beans

スピル・ザ・ビーンズ 暴露のことば

秘密をうっかりばらす、口を滑らせる

起源 『古代ギリシャの投票で豆をこぼした』は、よく聞く俗説

有名な俗説があります。「古代ギリシャの投票では、白と黒の豆を壺に入れて賛否を決めた。壺がひっくり返って豆がこぼれると、まだ発表前の結果がばれてしまう。そこから spill the beans(豆をこぼす=秘密を漏らす)が生まれた」。

ですが、この言い回しが実際に英語の記録に現れるのは20世紀初頭のアメリカ英語からで、古代ギリシャの投票との直接のつながりは確認されていません。

確かなのは、豆という小さくて数えにくいものが、いったんこぼれると元に戻せないというイメージだけです。秘密も同じで、口から出た瞬間にもう取り消せません。

いま サプライズの計画が、うっかり1言でばれる

友達の誕生日サプライズを計画していたのに、本人の前でつい「あ、明日の集合時間って」と口を滑らせてしまう。あの瞬間の『しまった』という感覚です。

spill the beans は、まさにその取り返しのつかなさを表しています。悪気があってもなくても、秘密が出てしまえば結果は同じ。だからこそ、うっかり系の失敗によく使われます。

spill だけなら『こぼす』。the beans とセットなら『秘密を漏らす』。

こう使う

Please don't spill the beans about the surprise party.

サプライズパーティーのこと、うっかり話さないでね。

He accidentally spilled the beans about her new job.

彼はうっかり、彼女の新しい仕事のことを話してしまった。

発音:spill の i は日本語の『イ』より短く、口を横に引かずに軽く発音します。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①下線部の言い換えで reveal a secret / let out a secret / give away a secret を選ばせる形。②会話文で、秘密を守るよう念を押す場面の空所補充。③整序・英作文で the beans の the と複数形を問う形。
ここで外す
spill を「(液体を)こぼす」と読んで、飲み物の話だと取ってしまう誤りが定番です。spill the beans は決まった言い方で、こぼれるのは秘密のほう。 書く側では、the を落として spill beans、単数にして spill the bean とする誤りが出ます。豆は複数で、the も要ります。
決め手
spill の目的語だけ見ます。the beans なら必ず「秘密を漏らす」。文字どおり液体をこぼす話なら、目的語は water・coffee・milk のような液体の名詞になります。

Don't spill the beans about the surprise party!

誤答
サプライズパーティーで、飲み物をこぼさないでね
正答
サプライズパーティーのこと、うっかりしゃべらないでね

Before

spill=「こぼす」という訳語1つだけで覚えていました。だから spill the beans が出てくると、豆をこぼす話が何かの比喩なのだろうと思いながら、意味は決められないまま読み進めていました。

After

spill のうしろに何が置かれているかで意味が決まると分かります。液体なら文字どおり、the beans なら秘密。目的語を見るだけなので、辞書を引かずにその場で決められます。

spill the beans を教室で使う(6分)

ねらい: spill 単体との意味の違いを、実際に混同しやすい形で確認する

  1. 「サプライズの計画がばれてしまった経験はありますか」と軽く尋ねる(個人名は出させない)
  2. spill water(水をこぼす)と spill the beans(秘密を漏らす)を黒板に並べて書く
  3. 『beans とセットのときだけ、秘密の話になる』というルールを確認する
  4. ペアで、サプライズ計画がばれる短い会話を作らせ、spill the beans を使わせる

出口チケット: spill the beans を使って、秘密がばれてしまう場面の一文を書いてください。

spill the beans をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)