a storm in a teacup
ア・ストーム・イン・ア・ティーカップ
「ささいなことで起きた大騒ぎ、コップの中の嵐」
Wikipedia によると、よく似た言い方は2000年以上前のローマにあります。紀元前1世紀、政治家キケロが著作『法律について』の中で、「グラティディウスは、ひしゃくの中で波を立てていた」と書きました。キケロは、これを「よく言われるように」と前置きしています。
ひしゃくの中で、水がどれだけ荒れても、外の世界には何も起きません。中で起きている本人だけが大騒ぎです。
英語では、アメリカで a tempest in a teapot(ティーポットの中の大嵐)、イギリスで a storm in a teacup(ティーカップの中の嵐)という形になりました。イギリスの形が最初に記録されたのは、1838年のキャサリン・シンクレアの本だとされています。
あなたのクラスのグループチャットで、文化祭の出し物の色をめぐって言い合いが始まります。夜のうちに通知が100件をこえ、あなたは寝る前までスマホを手放せません。
次の朝、教室に行くと、みんな何事もなかったように話しています。色は先生のひと言で決まっていました。
あの夜の騒ぎは、外から見ればコップの中の嵐です。英語なら It was just a storm in a teacup.(ただの、ささいなことの大騒ぎだった)と言えます。
なぜこの意味になるのか
storm は「嵐」、in a teacup は「ティーカップの中の」です。嵐という大きなものを、カップという小さな入れ物に入れることで、「騒ぎは激しいが、及ぶ範囲はごく小さい」という意味になります。大きさのずれが、そのまま意味になっている並びです。
使うときの注意・使い分け
騒いでいる人たちより一歩引いた立場から、「大したことはない」と評する言い方です。
例文で確かめる
The fight over the seating chart was just a storm in a teacup.
席順をめぐる言い争いは、ささいなことでの大騒ぎにすぎなかった。
Don't worry. It's a storm in a teacup, and everyone will forget it by Monday.
心配いらないよ。ささいな騒ぎだから、月曜には誰も覚えていないよ。
発音・リズム
storm と teacup を強く「ア・ストーム・イナ・ティーカップ」と言います。in a はつながって「イナ」になります。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①下線部の言い換えで、a storm in a teacup を a lot of fuss about something unimportant(どうでもいいことでの大騒ぎ)と同じ意味だと選ばせる形。②内容一致で、筆者がその騒ぎを「重大だ」と見ているか「大したことはない」と見ているかを問う形。③アメリカ英語の a tempest in a teapot が出てきて、同じ意味だと気づけるかを見る形。
- ここで外す
- The argument was a storm in a teacup. を「その口論は激しく、大きな問題になった」と、嵐の強さのほうに引っぱられて読む答案が出ます。もう1つは、teacup から「お茶の時間の楽しいおしゃべり」と、まったく別の場面を思い浮かべる誤りです。
- 決め手
- storm より teacup を見ます。入れ物が小さいので、「騒ぎは大きいが、中身は小さい」と読みます。主語が argument・row・fuss など「騒ぎ」なら、筆者は大したことはないと見ています。
The row over the school uniform turned out to be a storm in a teacup.
- 誤答
- 制服をめぐる口論は、やがて大きな問題に発展した。
- 正答
- 制服をめぐる口論は、結局はささいなことでの大騒ぎだった。
読み方が変わる
Before
storm(嵐)が見えた瞬間に「深刻な事態」と読み、筆者の立場を問う内容一致で、騒ぎを重く見ている側の選択肢を選んでいた
After
teacup(入れ物の小ささ)に目を向ければ、「騒ぎは大きいが中身は小さい」とすぐ分かる。a tempest in a teapot が出てきても、同じ表現だと見抜ける
こぼれ話
Wikipedia によると、アメリカの形 a tempest in a teapot は、イギリスの首相ノース卿が広めたという話が伝わっています。お茶への税にアメリカの植民地の人々が反発したことを、ノース卿がこう呼んだ、というものです。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- a tempest in a teapotmake a mountain out of a molehill
a storm in a teacup を教室で使う(5分)
ねらい: a storm in a teacup が「ささいなことでの大騒ぎ」を表し、筆者がその騒ぎを軽く見ていると読み取れるようにする
- 黒板にティーカップの絵を描き、中に小さな稲妻を書き込みます。「この嵐で、教室の外に何か起きますか」と聞きます
- 「起きませんね。カップの中だけの嵐です。英語では a storm in a teacup と言います」と伝えます
- The row was a storm in a teacup. を書き、「書いた人は、この口論を重大だと思っていますか」と聞きます。答えは「思っていない」です
- ペアで、学校で起きそうな小さな騒ぎを1つ挙げ、It was just a storm in a teacup. で締める2文の英文を作らせます
出口チケット: 「SNS上の騒ぎは、結局ささいなことだった」を、a storm in a teacup を使って英語で書かせる
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
a storm in a teacup を使った英文を4つ作ってください。条件は次のとおりです。①高校生の学校生活・部活・SNSの場面にする。②騒ぎの中身が小さいことが、文の中から分かるようにする。③それぞれに日本語訳を付ける。④1つだけ、アメリカ英語の a tempest in a teapot を使った文にして、そのことを日本語で添える。