storm in a teacupの意味は?コップの中の嵐
入試に出るイディオム|第76回
今日の3つは、小さな騒ぎを大げさに言う a storm in a teacup、話すことより黙ることを重く見る Speech is silver, silence is golden.、相手をほめる Way to go! です。比喩表現・ことわざ・会話表現を1つずつ、由来から入試の出方まで見ていきます。
監修:原田高志(原田英語.com)
クラスのグループチャットで、ささいな言い方をめぐって大騒ぎになったことはありませんか。言い返したいのをこらえて、黙っていてよかったと思った日もあるはずです。友達が検定に受かったと聞いて、「やったね!」と声をかけた日もあります。この3つの場面を英語で何と言うか、由来から入試の出方まで順に見ていきます。
a storm in a teacup
ア・ストーム・イン・ア・ティーカップ 拍子抜けのことばささいなことで起きた大騒ぎ、コップの中の嵐
Wikipedia によると、よく似た言い方は2000年以上前のローマにあります。紀元前1世紀、政治家キケロが著作『法律について』の中で、「グラティディウスは、ひしゃくの中で波を立てていた」と書きました。キケロは、これを「よく言われるように」と前置きしています。
ひしゃくの中で、水がどれだけ荒れても、外の世界には何も起きません。中で起きている本人だけが大騒ぎです。
英語では、アメリカで a tempest in a teapot(ティーポットの中の大嵐)、イギリスで a storm in a teacup(ティーカップの中の嵐)という形になりました。イギリスの形が最初に記録されたのは、1838年のキャサリン・シンクレアの本だとされています。
あなたのクラスのグループチャットで、文化祭の出し物の色をめぐって言い合いが始まります。夜のうちに通知が100件をこえ、あなたは寝る前までスマホを手放せません。
次の朝、教室に行くと、みんな何事もなかったように話しています。色は先生のひと言で決まっていました。
あの夜の騒ぎは、外から見ればコップの中の嵐です。英語なら It was just a storm in a teacup.(ただの、ささいなことの大騒ぎだった)と言えます。
こう使う
The fight over the seating chart was just a storm in a teacup.
席順をめぐる言い争いは、ささいなことでの大騒ぎにすぎなかった。
Don't worry. It's a storm in a teacup, and everyone will forget it by Monday.
心配いらないよ。ささいな騒ぎだから、月曜には誰も覚えていないよ。
発音:storm と teacup を強く「ア・ストーム・イナ・ティーカップ」と言います。in a はつながって「イナ」になります。
- こう問われる
- ①下線部の言い換えで、a storm in a teacup を a lot of fuss about something unimportant(どうでもいいことでの大騒ぎ)と同じ意味だと選ばせる形。②内容一致で、筆者がその騒ぎを「重大だ」と見ているか「大したことはない」と見ているかを問う形。③アメリカ英語の a tempest in a teapot が出てきて、同じ意味だと気づけるかを見る形。
- ここで外す
- The argument was a storm in a teacup. を「その口論は激しく、大きな問題になった」と、嵐の強さのほうに引っぱられて読む答案が出ます。もう1つは、teacup から「お茶の時間の楽しいおしゃべり」と、まったく別の場面を思い浮かべる誤りです。
- 決め手
- storm より teacup を見ます。入れ物が小さいので、「騒ぎは大きいが、中身は小さい」と読みます。主語が argument・row・fuss など「騒ぎ」なら、筆者は大したことはないと見ています。
The row over the school uniform turned out to be a storm in a teacup.
- 誤答
- 制服をめぐる口論は、やがて大きな問題に発展した。
- 正答
- 制服をめぐる口論は、結局はささいなことでの大騒ぎだった。
Before
storm(嵐)が見えた瞬間に「深刻な事態」と読み、筆者の立場を問う内容一致で、騒ぎを重く見ている側の選択肢を選んでいた
After
teacup(入れ物の小ささ)に目を向ければ、「騒ぎは大きいが中身は小さい」とすぐ分かる。a tempest in a teapot が出てきても、同じ表現だと見抜ける
a storm in a teacup を教室で使う(5分)
ねらい: a storm in a teacup が「ささいなことでの大騒ぎ」を表し、筆者がその騒ぎを軽く見ていると読み取れるようにする
- 黒板にティーカップの絵を描き、中に小さな稲妻を書き込みます。「この嵐で、教室の外に何か起きますか」と聞きます
- 「起きませんね。カップの中だけの嵐です。英語では a storm in a teacup と言います」と伝えます
- The row was a storm in a teacup. を書き、「書いた人は、この口論を重大だと思っていますか」と聞きます。答えは「思っていない」です
- ペアで、学校で起きそうな小さな騒ぎを1つ挙げ、It was just a storm in a teacup. で締める2文の英文を作らせます
出口チケット: 「SNS上の騒ぎは、結局ささいなことだった」を、a storm in a teacup を使って英語で書かせる
Speech is silver, silence is golden.
スピーチ・イズ・シルヴァー、サイレンス・イズ・ゴールデン 自制のことば雄弁は銀、沈黙は金。話すことにも値打ちはあるが、黙っているほうがよいときがある
Wikipedia によると、このことわざのいまの形は、アラビア語の文化で生まれた可能性が高いとされています。9世紀の書き手ジャーヒズは、「もし言葉が銀なら、沈黙は金だ」と書いています。
そこから、14世紀のスペインのユダヤ人の著作を通って、ヨーロッパに入ったという見方があります。19世紀のはじめにはドイツで広まり、そこから英語に入ったとされています。
英語で最初に記録されたのは、トマス・カーライルの小説『衣服哲学(Sartor Resartus)』(1833〜34年)だとされています。カーライルは、なぜかこれを「スイスの碑文」の言葉として紹介しました。
あなたは部活のミーティングで、練習のやり方について先輩に強く言われます。言い返したい言葉が、のどまで出かかっています。
でも、あなたは何も言わずに、最後まで話を聞きました。帰り道、先輩のほうから「さっきは言いすぎた」と声をかけてきます。
あのとき口を開いていたら、話はこじれていました。英語なら Speech is silver, silence is golden.(雄弁は銀、沈黙は金)と言えます。
こう使う
I wanted to argue back, but speech is silver, silence is golden.
言い返したかったけれど、雄弁は銀、沈黙は金だ。
Sometimes silence is golden, especially when you're angry.
ときには黙っているのがいちばんだ。とくに腹が立っているときは。
発音:silver と golden を強く「スピーチ・イズ・シルヴァー、サイレンス・イズ・ゴウルドゥン」と言います。golden は「ゴールデン」ではなく「ゴウルドゥン」に近い音です。
- こう問われる
- ①ことわざの空所補充で、Speech is ( ), silence is ( ). に silver と golden を正しい順に入れさせる形。②内容一致で、このことわざを引いた筆者が「話すこと」をまったく価値のないものと見ているかを問う形。③似たことわざの言い換えで、Still waters run deep. など沈黙をほめる表現と結びつけさせる形。
- ここで外す
- Speech is golden, silence is silver. と、金と銀を入れかえて書く答案が出ます。もう1つは、「話すことは無駄だ」と読む誤りです。銀にもちゃんと値打ちがあるのに、そこを落としてしまいます。
- 決め手
- 金と銀の順番を見ます。銀より金が上なので、「話すことにも値打ちはあるが、黙ることはもっと値打ちがある」と読みます。silence の側に golden が付きます。
When you are angry, remember: speech is ( ), silence is ( ).
腹が立っているときは思い出しなさい。雄弁は( )、沈黙は( )。
- 誤答
- golden, silver/金と銀を入れかえると、話すほうが上という逆の意味になります
- 正答
- silver, golden/黙るほうが一段上。話すことにも銀の値打ちはある、という形です
Before
silence is golden だけを覚えていて、前半の speech is silver が空所になると、金と銀のどちらを入れるか迷っていた
After
銀<金の順番で、黙るほうが上と分かれば、前半に silver、後半に golden を迷わず入れられる。筆者が話すことを全否定しているかを問う内容一致でも、正しく選べる
Speech is silver, silence is golden. を教室で使う(5分)
ねらい: Speech is silver, silence is golden. の金と銀の順番から、話すことと黙ることの重みの差を読み取れるようにする
- 黒板に「雄弁は銀、沈黙は金」と書き、「銀と金、値打ちが高いのはどちらですか」と聞きます
- 「金ですね。では、話すことに値打ちはないのでしょうか」と聞き、「銀にも値打ちがある」ことを確かめます
- Speech is ( ), silence is ( ). を書き、ペアで空所を埋めさせます。答えは silver と golden です
- ペアで、黙っていたほうがよかった場面を1つ日本語で話し合わせ、最後に Speech is silver, silence is golden. で締めさせます
出口チケット: Speech is silver, silence is golden. の意味を、「銀」と「金」という語を使って日本語1文で説明させる
Way to go!
ウェイ・トゥ・ゴウ 称賛のことばよくやった!やったね!(皮肉で「やってくれたね」の意味にもなる)
この言い方がいつ生まれたのか、確かめられる記録は見つかりませんでした。ここでは、語の並びが作る絵を頭に置いてください。
way は「道」、to go は「進むべき」です。誰かが分かれ道で、正しいほうへ一歩を踏み出したとします。後ろから仲間が声をかけます。
「そう、それが進むべき道だ!」
Cambridge Dictionary では、Way to go! は「相手がうまくやったと伝える」ときのくだけた言い方です。うまくいった相手を、その道で合っていたと認める、という絵で覚えておくと忘れません。
休み時間、友達がスマホを見せながらかけ寄ってきます。画面には、英検の「合格」の文字があります。
あなたは思わず、友達とハイタッチします。
「やったね!」
英語ならこの場面で Way to go! と言います。I heard you passed the test. Way to go!(試験に受かったって聞いたよ。やったね!)のように、相手の知らせを受けてすぐに返すひと言です。
こう使う
You got a perfect score on the test? Way to go!
テストで満点を取ったの?やったね!
Way to go! You just locked us out of the house.
やってくれたね!家から閉め出されちゃったよ。
発音:Way と go を強く「ウェイ・トゥ・ゴウ」と言います。to は弱く「タ」くらいに軽くします。go は「ゴー」ではなく「ゴウ」です。
- こう問われる
- ①会話文の応答選択で、A が「やっと運転免許の試験に受かったよ」と言ったあとの B の返事に Way to go! を選ばせる形。②下線部の意味を問う形で、Way to go! を Well done!(よくやった)と同じ意味だと選ばせる形。③皮肉の読み取りで、相手が失敗した直後の Way to go! が「よくやった」ではなく、からかいだと気づかせる形。
- ここで外す
- Way to go! を「行く道」「道順」と道案内の意味に取り、場面に合わない Which way? や Go ahead. の側を選ぶ答案が出ます。もう1つは、失敗のあとに言われた Way to go! を、文字どおりのほめ言葉と読む誤りです。
- 決め手
- 直前の出来事を見ます。相手が何かをやり遂げた直後なら「よくやった」、何かを壊した・やらかした直後なら「やってくれたね」という皮肉です。うしろに場所が続かず、! で終わっていれば道の話ではありません。
- 誤答
- Go ahead./「どうぞ」と相手に先を促す言い方で、合格の知らせへの返事になりません
- 正答
- Way to go!/相手がやり遂げたことをほめる返事です
Before
way が「道」、go が「行く」なので、Way to go! を道案内の言葉だと思い、会話文の応答選択で合格の知らせに合う返事を選べなかった
After
直前の出来事が成功か失敗かを見れば、ほめ言葉か皮肉かが決まる。応答選択では、相手の良い知らせのすぐあとに置かれた Way to go! を迷わず選べる
動画で見る
Way to go! を教室で使う(5分)
ねらい: Way to go! を相手をほめるひと言として使い、皮肉の使い方も見分けられるようにする
- 黒板に Way to go! と書き、「これは道案内でしょうか」と聞きます
- 「相手がうまくやったときの『やったね!』です。その道で合っている、と背中を押すイメージです」と伝えます
- Way to go, John - you broke the chair! を書き、「ジョンはほめられていますか」と聞きます。答えは「からかわれている」です
- ペアで、相手の良い知らせを1つ英語で言わせ、もう1人に Way to go! で返させます。役を交代して2回ずつ行います
出口チケット: 「友達が部活の大会で優勝した」と聞いたときの返事を、Way to go! を使って英語1文で書かせる
よくある質問
a storm in a teacup と a tempest in a teapot は、どう違いますか?
意味は同じで、「小さな出来事を大げさに騒ぐこと」です。Wikipedia によると、a tempest in a teapot がアメリカ英語、a storm in a teacup がイギリス英語の形です。
Speech is silver, silence is golden. は、もとは英語のことわざですか?
Wikipedia によると、いまの形は9世紀のアラビア語の書き物にまでさかのぼれる、というのが有力な見方です。英語で最初に記録されたのは、トマス・カーライルの小説『衣服哲学(Sartor Resartus)』(1833〜34年)だとされています。
Way to go! は、いつもほめ言葉ですか?
ちがいます。Cambridge Dictionary によると、相手がうまくやったときのほかに、ばかなことをしたときに冗談めかして使うこともあります。Way to go, John - you broke the chair!(やってくれたね、ジョン。いすを壊したよ)という例が載っています。