やさしい英語で多読!【音声つき】

【やさしい英文de多読!】<7>The Story of Father’s Day「父の日の由来や世界の父の日」 ~英文を楽しく&音声つきで読もう!~

原田英語マン
原田英語マン
このコーナーは、やさしい英文(CEFR-A2レベル~)で楽しく飽きずに多読できる仕掛けになっています。英語をたくさん読むことは、大学入試はもちろん、英語力アップに欠かせません。特に大学入学共通テストでは長文が多く出題され、速く正確に読む力が重要になります。そこで、1日3~5分で読める英語コンテンツを配信します!学校の行き帰りの短時間で、無理なく英語に触れられます。音声付きなのでリスニング力も鍛えられますよ。内容は、楽しい話題から大学入試によく出るテーマまで幅広くカバー。興味を持ちやすく、自然と英語に慣れていける仕組みです。毎日の積み重ねで、読むスピードも理解力もアップ!気軽に続けて、英語の力を伸ばしましょう!!

The Story of Father’s Day

Father’s Day is a special day to say thank you to fathers. It started in America in 1909. A woman named Sonora Smart Dodd thought, “If there is Mother’s Day, there should be a day for fathers too!” Her father, William Smart, raised six children alone after the Civil War. Sonora wanted to honor him, so the first Father’s Day was held on June 19, 1910.

In America, Father’s Day became a national holiday in 1972. It was about 60 years after Mother’s Day.

Father’s Day is on the third Sunday of June. Some say this is because Sonora’s father was born in June. On this day, people give roses. If your father is alive, you give a red rose. If he has passed away, you give a white rose. In Japan, people often give yellow roses or yellow ribbons.

Around the world, people celebrate Father’s Day in different ways. In Italy and Spain, it is in March. In Germany, men go hiking and drink together. In China, it is on August 8 because “eight-eight” sounds like “papa.” In Korea, May 8 is Parents’ Day, for both mothers and fathers.

Let’s say “thank you” to our fathers this year!

<音読用音声>


<Important Words>

★ special : different and important
★ honor : to show respect or say thank you
★ raise : to take care of and grow children
★ holiday : a day for celebration
★ passed away : died
★ ribbon : a long, thin piece of cloth
★ different : not the same
★ thank you : words to show you are grateful

<日本語訳>

父の日のはじまり

父の日は、お父さんに「ありがとう」を伝える特別な日です。1909年、アメリカで始まりました。ソノラ・スマート・ドッドさんは「母の日があるなら父の日も必要だ」と思いました。彼女の父ウィリアム・スマートさんは、南北戦争の後、男手一つで6人の子どもを育てました。ソノラさんは父を讃えたくて、1910年6月19日に最初の父の日が開かれました。

アメリカで父の日が正式な祝日になったのは1972年。母の日より約60年遅れていました。

父の日は6月の第3日曜日です。これはソノラさんのお父さんの誕生月が6月だったから、という説もあります。この日はバラの花を贈ります。お父さんが生きていれば赤いバラ、亡くなっていれば白いバラを贈ります。日本では黄色いバラや黄色いリボンを贈るのが一般的です。

世界でも父の日の祝い方はさまざまです。イタリアやスペインは3月に、ドイツでは男性がハイキングやお酒を楽しみます。中国では8月8日、数字の「八八」が「パパ」と似ているからです。韓国では5月8日が「両親の日」で、母と父にカーネーションを贈ります。

今年もお父さんに「ありがとう」を伝えましょう!

【原田英語コラム】

父の日は、1909年にアメリカのワシントン州スポケーンで、ソノラ・スマート・ドッドという女性の提唱から始まりました。彼女の父親は南北戦争の退役軍人で、母親を早くに亡くした後、6人の子供を男手ひとつで育て上げた偉大な人物でした。ソノラは既にあった母の日に倣い、父親への感謝を示す日の必要性を感じ、牧師協会に父の日の制定を提案したのです。

翌1910年には、彼女の父親の誕生日に近い6月の第3日曜日に最初の父の日の祝典が行われ、徐々に広まっていきました。そして1972年、アメリカで正式に父の日が国の記念日として制定され、現在に至ります。

日本への父の日の伝来は1950年頃でしたが、人々の間に広く知られ、実際にお祝いされるようになったのは1980年代のことです。1981年に設立された「日本ファーザーズ・デイ委員会」が父の日の浸透に大きく寄与し、毎年「ベスト・ファーザー イエローリボン賞」を開催して日本における父の日の風物詩となっています。

世界各国の父の日事情

アメリカ・イギリス・カナダ・中国では、日本と同様に6月の第3日曜日が父の日となっています。アメリカのお父さんたちは物よりも家族と一緒に過ごす時間を最も大切にし、プレゼントには赤いバラを贈る習慣がありますが、それよりもカードを重視するそうです。

韓国では「父の日」はなく、毎年5月8日が「父母の日(オボイナル・親の日)」として制定されています。1956年から1972年まで韓国にも母の日がありましたが、1973年に父の日もあるべきという声が高まり、「父母の日」に改称された経緯があります。儒教の思想が根強く残っている韓国では、両親を敬う気持ちが重んじられ、父母の日当日は胸にカーネーションをさして街中を歩く方がたくさんいるそうです。

ドイツの父の日は、キリスト昇天祭に合わせて行われ、毎年祝日となります。キリスト昇天祭は毎年日付が変わるイースターサンデーの40日後のため、4月下旬から6月上旬のどこかになります。現在は年に一度、男性が羽目を外しても怒られない日となっていて、お父さんたちが友人同士で集まって外でお酒を飲んだりする陽気な1日です。

イタリアの父の日は毎年3月19日で、イエス・キリストの育ての父「聖ジュゼッペ(ヨセフ)」の日とされています。イタリア・ジェノバでは「ゼッポレ」と呼ばれる揚げシュークリームを食べて聖ジュゼッペを祝福する伝統があり、この菓子は父の日とその前後の日曜日のみの数日間限定でお菓子屋さんの店頭に並ぶそうです。

台湾では8月8日が父の日です。これは中国語でお父さんという意味の「爸爸(バーバー)」と「八八」の発音が似ていることに由来しています。台湾では花を贈る風習はほとんどなく、その代わりに電気シェーバーなどの実用的な小型家電が人気を集めているとのことです。

タイでは、父の日が前国王のラーマ9世(プミポン国王)の誕生日の12月5日となっていて祝日になります。その日は黄色い服を着ることが多いのですが、黄色はラーマ9世が生まれた「月曜日の色」とされているためです。タイでは曜日ごとに色が決まっていて、自分が生まれた曜日の色をラッキーカラーとして大事にしているそうです。

興味深い父の日トリビア

中国では歴史的に興味深いエピソードがあります。1945年8月8日に上海の文人が父の日を祝うイベントを始め、市民達がこの活動に呼応して熱烈に父の日の祝賀活動を開催しました。「パパ」は中国語で「爸爸(bà ba)」と言い、中国の8(八 bā)の近似音で、中国では8の数字は特に縁起がよく、8月8日の2つの8が重なり合うとてもよい日としてこの活動が認知されました。しかし中国政府は父の日の具体的な期日を確定せず、現在は世界基準に合わせ6月の第3日曜日を父の日としています。

世界の父の日に共通しているのは、やはり「お父さんに感謝の気持ちを伝える日」であることです。普段はなかなか伝えられない感謝の気持ちを、花やメッセージカードなどで表現する大切な機会として、世界中で愛され続けています。