しかしX(旧Twitter)に並んだのは、合格の喜びではなかった。
「要約が0点」「全観点0/0/0/0」「英作文は満点なのに要約だけ0点」──
英語教育のプロたちまでもが困惑する、前代未聞の事態が起きている。
1速報──2月16日、Xで何が起きたのか?
2026年2月16日の午前、英検の合否結果がオンラインで閲覧可能になった瞬間から、X(旧Twitter)は異様な空気に包まれました。
通常なら「合格しました!」「ダメだった…」といった感想が並ぶタイムラインに、この日は異質な投稿が殺到したのです。
「英検1級、不合格でした。蓋を開けたら要約0点。さすがにあり得ない。私は毎回、要約から先に解くので『時間が足りなくて未記入』は絶対にない」
「英検1級で様々な人が要約問題で0点になっている問題。うちの生徒さんも0点でした…英作文は29/32で高得点だったのに!! 英検はすぐに対応してください!」
「英検1級の英作文は満点。要約は0点。実は語数が結構足りてなくて、最後の一文も書ききれなかったため、採点不可になったのかもしれません」
「英検協会、これは完全に設計ミスだわ。語数オーバーや語数不足の0点扱いが続出で試験として破綻している」──閲覧数69.7万
Xで「英検1級 要約 0点」と検索すると、結果発表から24時間以内に数十件の報告が確認されました。英検1級の受験者数は年間約3万人程度であることを考えると、SNS上で確認できる人数だけでも異常な割合です。
J-CASTニュース、弁護士ドットコムなど大手メディアも即座に報道を開始し、事態は一気に社会問題化しました。
2被害の全貌──「英語のプロ」たちが軒並み0点に
今回の問題が深刻なのは、0点になった人々の「英語力のレベル」です。もし初受験の人が0点になったなら「対策不足」で説明がつくかもしれない。しかし実態は、まったく逆でした。
最大の矛盾:同じ試験の英作文(意見論述)で満点32/32を取った人が、同じライティングセクションの要約だけ0点──これは「英語力の問題」では到底説明がつきません。空欄提出以外で全観点0点という結果は、英検史上前例がないと言われています。
さらに衝撃的だったのが、9回目の挑戦で素点わずか1点差で不合格になった受験者の報告です。もし要約が0点ではなく数点でもついていれば、合格ラインに達していた可能性があります。「人生を左右しかねない」──複数の投稿者がこの言葉を使っています。
3原因の核心──2025年度「語数制限厳格化」の衝撃
この事態の背景にあるのが、2025年度第1回検定(2025年6月実施)から適用された語数指定の変更です。
英検協会は2025年4月15日付の公式発表で、要約問題の指示文を変更していました。
Suggested length: 90-110 words
多少の超過・不足は許容されていた
実際に85語で満点32/32の報告も
Summarize it between 90 and 110 words.
範囲外は全観点0点の可能性
1語でもオーバー/不足で0点?
キーワードは「Suggested length(目安)」から「between(〜の間で)」への変更です。一見すると微妙な文言の違いですが、その運用上のインパクトは劇的でした。
しかし問題はそれだけではありません。「語数は守ったのに0点だった」と主張する受験者もおり、混乱は収まっていません。
4なぜ「全観点0点」なのか?──採点メカニズムの闇
英検1級の要約問題は、「内容」「構成」「語彙」「文法」の4観点×各8点=32点満点で採点されます。
従来の英検では、仮に内容がずれていても、文法や語彙で部分点がつくのが通常でした。実際に過去には、「sanction」の意味を取り違えてまったく的外れな意見文を書いた受験者が続出した回でも、そこそこの部分点が出ていたという報告があります。
仮に語数制限違反が問題だとしても、なぜ「構成」や「語彙」「文法」まで含めた全観点が0点になるのか? 語数が範囲外でも、使われている語彙や文法の質は評価できるはず。これは「英語力を測る試験」として根本的に矛盾しているのではないか──多くの教育者がこの点を問題視しています。
調理実習で美味しい料理を作ったのに──
あるいは、レポートの字数制限が「2000字以内」で、2001字書いたら内容に一切関係なく0点──
これが今回、英検で起きているとされることです。
英検協会の公式回答には「あらかじめ提示している設問の要件への準拠を含め、厳正かつ客観的な評価を行っております」とあり、これが「語数範囲外=採点対象外(0点)」を意味している可能性が高いと見られています。
5AI採点疑惑──手書き答案の語数を機械はどう数えるのか
SNS上で飛び交うもう一つの大きな疑問が、「AI(自動処理)で採点しているのではないか?」という点です。
疑惑①:手書き答案の語数カウント精度
英検1級のライティングは手書きです。もしAIのOCR(光学文字認識)で語数を自動カウントしているとすれば、手書き文字の認識ミスで語数が正しくカウントされていない可能性があります。特に筆記体や崩し字の場合、単語の区切りを正確に認識するのは技術的に難しいとされています。
疑惑②:ハイフン付き単語のカウント方法
「well-known」は1語か2語か?「long-term」は? 英語のハイフン付き複合語のカウント基準は、実はスタイルガイドによって異なります。受験者が「90語」と数えていても、システム上は「88語」とカウントされる──こうしたカウント基準の不一致が0点の原因になっている可能性も指摘されています。
疑惑③:人的チェックの有無
AIを採点の「補助ツール」として活用することと、AIを「判定の主体」として機能させることは、まったく別の話です。もし仮にAIで語数チェックを自動化するにしても、その結果に対して人間がレビューする工程が存在していたのか?──これが問われています。英検協会は「何重にもチェックしている」と回答していますが、具体的なプロセスは明らかにしていません。
6海外試験との比較──IELTS・TOEFL・ケンブリッジ英検はどうしている?
今回の英検の対応を客観的に評価するために、世界の主要英語試験がライティングの語数制限をどう扱っているかを比較してみましょう。
国際的な英語試験と比較すると、英検の対応は異例の厳しさであることがわかります。IELTSでさえ語数不足は「減点」であって「0点」ではありません。内容が優れていれば、語数不足でもそれなりのスコアが与えられます。英検は国内最高峰の試験として、グローバルスタンダードとかけ離れた基準を運用していることになります。
7賛否両論──「ルールはルール」派 vs「設計ミス」派
この問題をめぐって、ネット上では大きく2つの立場に分かれた議論が展開されています。
• 70語で素晴らしい要約と100語で普通の要約、語数制限がなければ評価基準が崩壊する
• 200語書いて0点は当然なら、111語はどうか?どこかで線を引く必要がある
• 試験は「指示を正確に遂行する能力」も問うもの
• 英作文満点でも要約0点──この矛盾が設計ミスの証拠
• 「0点ペナルティ」は事前に周知されていなかった
• 手書き試験で正確な語数管理を求めるなら、語数カウントの環境を提供すべき
「本来あるべき姿」として多くの教育者が提案しているのは──
つまり、語数制限違反は「減点要因」であるべきで、「全否定要因」であるべきではない、というのが多数派の見解です。
また、同じ2025年度の第1回・第2回では同じ基準で採点されていたのか?という点も不透明です。第3回になってから急に話題になっている理由が不明瞭で、この比較検討は困難を極めています。
8英検協会の公式回答と、教育者たちの異議申し立て
英検協会の公式見解(J-CASTニュース・弁護士ドットコム取材)
日本英語検定協会は、複数メディアの取材に対して以下のように回答しています。
「答案の採点にあたっては、あらかじめ提示している設問の要件への準拠を含め、厳正かつ客観的な評価を、厳密な審査体制で行っております」
「これ以上の採点基準の詳細につきましては、回答を差し控えさせていただいております」
採点の不備については──「不備はございません」
教育者たちの異議申し立て
一方、英語教育者たちは続々と英検協会への問い合わせや異議申し立てを行っています。
また、3年単位で、何度も泣きながら受験を続け、努力してきた方もいます。
そのような方々の努力が、理不尽で曖昧な理由による採点によって、一瞬で水の泡になることがあってはならない」
── DAISUKE(TOEIC990点・英検1級×4回合格)
「数を数える行為が『英語力』を測るために本当に必要なのか」──この問いかけは、多くの受験者と教育者の共通した疑問を代弁しています。
さらに、英検協会に再審査と判定基準の開示を正式に請求する動きも始まっており、今後の協会の対応が注目されます。
まとめ──受験者が今すぐやるべきこと&今後の展望
この問題はまだ決着していません。
しかし、現時点で確実に言えることがあります。
📝 次回受験者への具体的アドバイス
① 書き終えたら必ず語数を数える(最低2回)
② 95-105語を目標にして余裕を持つ
③ ハイフン付き単語は使わない or 2語とカウント
④ 本文の丸写しは避け、必ず言い換える
⑤ 解答欄からはみ出さない・最後の文は必ず完結させる
英語力は「数を数える力」ではない。
試験が「測りたいもの」を見失わないことを、切に願う。
※本記事は2026年2月20日時点の情報に基づいています。英検協会の今後の対応により、状況が変わる可能性があります。
