
曇りの日でも、地上に届く紫外線は快晴の日の約6割ある
曇りの日の紫外線は、快晴の日の約6割ある。
この判定の対象「曇りの日も、紫外線対策がいる」
もくじ
気象庁は、札幌・つくば・鹿児島・那覇で、毎日の紫外線の強さを測ってきました。1997年から2010年までのデータを、天気ごとに分けて比べた図があります。その図によると、曇りの日でも、紫外線の強さは平均すると快晴の日の約6割ありました。
「今日は曇りだから、日焼け止めはいらないかな」と思ったことはありませんか。でも気象庁のデータを見ると、曇っていても紫外線は半分以上届いています。しかも、雲のすき間から日がさすと、快晴の日より強くなることさえあります。
この記事では、まず天気ごとの紫外線の強さを、気象庁の観測から紹介します。次に、日陰でも紫外線を浴びる理由を説明します。最後に、日焼け止めをぬっても効果が半分くらいになってしまう、ぬる量の話をします。
01曇りの日でも、紫外線は快晴の日の約6割が届いている
紫外線の強さは、UVインデックスという数字で表します。UVインデックスは、紫外線が体にあたえる影響の大きさを、分かりやすく数字にしたものです。数字が大きいほど、紫外線が強いことを表します。
気象庁は、まず「雲がまったくなかったら、UVインデックスはいくつになるか」を推定しました。そして、その値を100%として、実際に観測した値が何%だったかを、天気ごとに平均しました。使ったのは、札幌・つくば・鹿児島・那覇の1997〜2010年の観測です(鹿児島は2005年3月まで)。晴れの日は、快晴の日とほとんど同じでした。空のほとんどが雲におおわれていても、うすい雲の「薄曇り」なら、快晴の日の約8〜9割ありました。
「曇り」の日でも、快晴の日の約6割ありました。雨が降っている日でも、快晴の日の約3割です。どれも平均の値で、日によってばらつきがあります。気象庁は、これらの数字を、天気から紫外線の強さを見積もるときのおおよその目安としています。
02雲のすき間から日がさすと、快晴の日より紫外線が強くなることがある
雲が多い日のほうが、紫外線が強くなることもあります。気象庁によると、雲が比較的多くても、日がさしていれば、快晴の日よりUVインデックスが大きくなることがあるそうです。
気象庁は、紫外線の予測の図を2種類出しています。1つは、天気を考えて、平均的に予想される強さの図です。もう1つは、「晴天時予測図」という、晴れた場合の強さの図です。気象庁は、曇りの日でも一時的に太陽がのぞくと、強い紫外線を浴びることがあると説明しています。晴天時予測図は、そのときの強さを知るためのものです。
03紫外線の約6割は、太陽から直接ではなく、空全体から届く
地上に届く光には、2種類あります。太陽からまっすぐ届く光と、空気の粒などに当たって向きを変え、空のあちこちから届く光です。あとのほうを「散乱光」と呼びます。
気象庁によると、光は、波長(光の波の長さ)が短いほど散乱しやすい性質があります。晴れた空が青く見えるのは、目に見える光の中で、波長の短い青い光が強く散乱されるからです。紫外線は青い光よりさらに波長が短いので、もっと散乱されやすいのです。
気象庁の例では、本州付近の晴れた夏の正午ごろ、地上に届く紫外線の約6割は散乱光です。目に見える光では、散乱光は1〜2割ほどしかありません。そのため気象庁は、日傘や帽子で日をさえぎったり、日陰にいたりしても、空が見える所では、目で感じる以上に紫外線を浴びると注意しています。WHO(世界保健機関)も、紫外線は目に見えず、肌で感じることもできないと説明しています。

04日焼け止めは、ぬる量が少ないと、効果が半分くらいになる
日焼け止めには、SPFという数字が書いてあります。日本皮膚科学会によると、SPFは、日焼けの主な原因になる紫外線(UVB)を防ぐ力を表す数字です。
たとえば、夏の海岸で20分間日に当たると、次の日に肌が赤くなる人がいるとします。この人がSPF30の日焼け止めを決まった量ぬると、20分×30=600分、つまり10時間当たって、はじめて赤くなる、という意味です。
ここで大事なのが「決まった量」です。SPFは、肌1cm²あたり2mgの日焼け止めをぬって調べています。ところが、実際に人がぬっている量を調べると、1cm²あたり1.3mgくらいでした。決まった量の約3分の2です。日本皮膚科学会は、こうなると効果は半分くらいになってしまう、と説明しています。
日焼け止めは、汗や水、顔をさわることでも落ちます。日本皮膚科学会は、顔なら真珠の玉2個分くらいを全体にのばし、3時間に1回くらいぬり直すほうが確実だとしています。ぬり忘れやすいのは、うなじ・耳たぶ・胸・首・手の甲です。
05WHOと日本皮膚科学会は、日焼け止めより先に、日陰と服をすすめている
WHOは、UVインデックスが3以上のときに、紫外線を防ぐ対策をとるようすすめています。昼の日なたにいる時間を減らし、日陰を使い、服やつばの広い帽子、サングラスを身につけます。そして、服でおおえない肌に日焼け止めを使います。
WHOは、日焼け止めをぬるより、日陰に入ったり服を着たりするほうが、紫外線をよく防げるとしています。また、日焼け止めを、日なたに長くいるために使ってはいけないとも書いています。日本皮膚科学会も、日傘や帽子、長袖などで紫外線を減らすのが第一で、日焼け止めは「最後の砦」だとしています。
一方で、WHOは、少しの紫外線は健康によく、体の中でビタミンDを作るのに役立つとも書いています。そのうえで、紫外線を浴びすぎると、健康に悪い影響があるとしています。
深掘り講義
ここから先は、もう一段深く。しくみ・史料・論争まで踏み込みます。
地上に届く紫外線は、ほとんどがUVA
紫外線は、波長の長いほうからUVA・UVB・UVCに分けられます。気象庁によると、UVCは上空のオゾンや酸素にすべて吸収され、地上には届きません。UVBも、大部分が上空のオゾン層に吸収されます。太陽から届く光のうち、UVBは0.1%ほど、UVAは数%ほどです。日本皮膚科学会も、地上に届く紫外線は、少しのUVBと、たくさんのUVAだとしています。
真っ赤な日焼けの原因は、7〜8割がUVB
日本皮膚科学会によると、日焼けを起こす力は、UVBのほうがUVAより600〜1000倍強いといわれています。でもUVAは日光にたくさんふくまれています。そのため、海水浴で真っ赤に日焼けしたときの原因は、UVBが7〜8割、UVAが2〜3割と見積もられています。また、UVAは皮膚の深い所(真皮)まで届きます。
日焼け止めのSPFはUVBを防ぐ力、「PA」はUVAを防ぐ力を表しています。2つの数字は、別々の紫外線への効果を表しているのです。
地面からはね返ってくる紫外線もある
外にいる人は、空から来る紫外線だけでなく、地面ではね返った紫外線も浴びています。気象庁によると、地面が紫外線をはね返す割合は、草地やアスファルトでは10%以下です。砂浜では25%、新雪では80%にもなります。気象庁は、帽子や日傘は上からの紫外線に役立つが、地面からはね返る紫外線も忘れないように、と注意しています。
紫外線が強いのは、正午ごろと夏至のころ
気象庁によると、ほかの条件が同じなら、紫外線は1日の中では正午ごろ、1年の中では夏至(6月下旬)のころに一番多くなります。関東地方では、5月以降、UVインデックスが8をこえる日が増えてきます。
つくばでは、日ざしが一番強いのは5月、紫外線が一番強いのは8月
気象庁が、つくば市の1990〜2009年の観測を月ごとに平均すると、地上に届く日ざし全体の量は5月に最大でした。ところが、UVインデックスが最大になるのは8月でした。オゾンは紫外線を吸収します。上空のオゾンの量は、春に最も多く、そのあと秋に向けて減っていきます。気象庁は、UVインデックスがこのオゾンの量の変化の影響を受けるため、日ざし全体の量のピークより遅れて、8月に最大になると説明しています。
空気が澄んだ日や山の上では、紫外線が強くなる
空気中には、すすや海の塩の粒、黄砂などの小さな粒(エーロゾル)がただよっています。気象庁によると、これらの粒は紫外線をさえぎるので、粒の量によってUVインデックスは1〜2割変わります。台風が通りすぎたあとのように空気が澄んだ日は、紫外線が強くなるので注意が必要です。
山の上も紫外線が強くなります。一般に、標高が1000m高くなると、UVインデックスは約10%大きくなるとされています。気象庁の観測では、夏の乗鞍岳(標高2,772m)の快晴時の紫外線は、つくば(標高31m)より約40%強くなりました。
日焼け止めは、場面に合わせて強さを選ぶ
日本皮膚科学会は、日焼け止めの使い分けのめやすを示しています。ふだんの生活ならSPF5・PA+、軽い外での活動やドライブならSPF10・PA++。晴れた日の外でのスポーツや海水浴ならSPF20・PA+++、熱帯での外での活動ならSPF30以上・PA+++です。ふだんの生活なら、あまり強いものはいらないとしています。そして、場面に合った強さのものを、決まった量きちんとぬるほうがよいとしています。
06まとめ
気象庁の観測では、曇りの日でも紫外線は快晴の日の約6割、薄曇りなら約8〜9割ありました。雲のすき間から日がさすと、快晴の日より強くなることもあります。紫外線の約6割は空全体から届くので、日陰でも空が見えれば浴びています。
曇りの日でも、紫外線が強い季節や時間には、帽子や服で肌をおおいましょう。日焼け止めを使うなら、量をけちらず、3時間に1回くらいぬり直すのが確実です。
人に話すなら、こう言おう
曇りの日って紫外線は少ないと思うけど、気象庁のデータだと快晴の日の約6割も届いてるんだって。しかも日焼け止めは、実験の量の3分の2くらいしかぬらない人が多くて、効果が半分くらいになるらしいよ。
英語で読む
UV Light on Cloudy Days
英文をタップすると、その文の訳が出ます。
Many people think they do not need sunscreen on cloudy days.曇りの日には日焼け止めはいらない、と思っている人はたくさんいます。 But the Japan Meteorological Agency has measured UV light for many years.でも、気象庁は長年、紫外線を測ってきました。 It compared cloudy days with clear days in four cities.気象庁は、4つの都市で、曇りの日と快晴の日を比べました。 On average, UV light on cloudy days was still about 60 percent as strong as on clear days.平均すると、曇りの日でも、紫外線は快晴の日の約60%の強さがありました。 On days with thin clouds, it was 80 to 90 percent as strong.うすい雲の日には、80〜90%の強さでした。
Sometimes, UV light is even stronger on a cloudy day.曇りの日のほうが、紫外線が強いことさえあります。 When the sun shines between the clouds, the UV level can go higher than on a clear day.雲のすき間から日がさすと、紫外線の強さが快晴の日より高くなることがあるのです。
There is another reason to be careful.気をつけるべき理由は、ほかにもあります。 UV light does not only come straight from the sun.紫外線は、太陽からまっすぐ届くだけではありません。 It also bounces around in the air and comes from the whole sky.空気の中ではね回り、空全体からも届くのです。 On a clear summer day at noon, about 60 percent of UV light comes this way.晴れた夏の日の正午には、紫外線の約60%がこうして届きます。 So even in the shade, you get UV light if you can see the sky.だから日陰にいても、空が見えれば紫外線を浴びます。 And you cannot see or feel it.しかも、紫外線は目に見えず、感じることもできません。
Sunscreen also has a hidden problem.日焼け止めにも、気づきにくい問題があります。 Scientists test it with 2 milligrams on each square centimeter of skin.日焼け止めは、肌1平方センチメートルあたり2ミリグラムをぬって試されます。 But people usually put on only about 1.3 milligrams.でも、人がふだんぬる量は、約1.3ミリグラムしかありません。 Then it works only about half as well.すると、効果は半分くらいになってしまいます。
The WHO says shade and clothes protect you better than sunscreen.WHOは、日焼け止めより、日陰と服のほうがよく守ってくれると言っています。 Use sunscreen on skin that clothes cannot cover.日焼け止めは、服でおおえない肌に使いましょう。 Put enough on, and put it on again about every three hours.十分な量をぬり、3時間に1回くらいぬり直しましょう。
4択問題 Reading Quiz
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Q1What is this story mainly about?
この話は主に何についてのものですか。
正解:B Why we should protect our skin from UV light even on cloudy days
第1〜3段落で曇りの日や日陰でも紫外線が届くこと、第4〜5段落で日焼け止めの使い方を述べているので、正解はB。Aの雲のでき方は書かれていません。
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Q2On cloudy days, how strong was UV light compared with clear days?
曇りの日の紫外線は、快晴の日と比べてどれくらいの強さでしたか。
正解:D About 60 percent
第1段落4文目に「about 60 percent as strong as on clear days」とあります。80〜90%はうすい雲の日の数字なので、Cは違います。
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Q3Why can you get UV light in the shade?
日陰でも紫外線を浴びるのはなぜですか。
正解:A UV light also comes from the whole sky.
第3段落3文目に紫外線は空全体から届くとあり、5文目で、だから日陰でも空が見えれば浴びると説明しています。B・C・Dは本文に書かれていません。
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Q4In paragraph 3, the word "bounces" is closest in meaning to
第3段落の bounces という語に最も意味が近いのはどれですか。
正解:C hits something and changes direction
第3段落3文目は、紫外線が空気の中で「はね回り」、空全体から届くという意味です。bounce は「当たってはね返る=向きを変える」なので正解はC。Aは逆の意味です。
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Q5Which is true about the story?
この話の内容と合っているのはどれですか。
正解:C People often put on less sunscreen than in tests.
第4段落2〜3文目に、試験では2ミリグラムなのに、人はふだん約1.3ミリグラムしかぬらないとあります。Aは第2段落、Bは第3段落6文目、Dは第5段落1文目と合いません。
重要語 Key Words(タップで裏返る)
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sunscreen名詞日焼け止め
Don't forget to put on sunscreen at the beach.
浜辺では日焼け止めをぬるのを忘れないで。
💡 sun(太陽)+ screen(さえぎる物)。put on sunscreen(日焼け止めをぬる)。
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cloudy形容詞曇った
It was cloudy all day yesterday.
昨日は一日中曇っていた。
💡 cloud(雲)+ -y。sunny(晴れた)、rainy(雨の)と同じ形。
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measure動詞測る
We measured the height of the tree.
私たちはその木の高さを測った。
💡 名詞も同じ形で「寸法、対策」。take measures(対策をとる)。
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compare動詞比べる
Let's compare the prices of these two bags.
この2つのかばんの値段を比べよう。
💡 compare A with B(AとBを比べる)。名詞は comparison。
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bounce動詞はね返る、はねる
The ball bounced off the wall.
ボールは壁に当たってはね返った。
💡 bounce off ~(~に当たってはね返る)。
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shade名詞日陰
Let's sit in the shade of that tree.
あの木の陰にすわろう。
💡 shadow(影)は形のある影、shade は日の当たらない場所。
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protect動詞守る
A helmet protects your head.
ヘルメットは頭を守る。
💡 protect A from B(AをBから守る)。名詞は protection。
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skin名詞皮膚、肌
Babies have very soft skin.
赤ちゃんの肌はとてもやわらかい。
💡 数えられない名詞として使うことが多い。dry skin(乾燥肌)。
SOURCES出典・ウラ取り
この記事の事実は、次の資料を実際に開いて確認しています(確認した事実 34件)。
- 紫外線の性質:雲と紫外線(気象庁)data.jma.go.jp
- 紫外線の性質:散乱される紫外線(気象庁)data.jma.go.jp
- 紫外線情報の解説(気象庁)data.jma.go.jp
- Ultraviolet radiation, Fact sheet(WHO、2022年)who.int
- 皮膚科Q&A 日焼け Q13 サンスクリーン剤の使い方(日本皮膚科学会)qa.dermatol.or.jp
- 皮膚科Q&A 日焼け Q12 サンスクリーン剤の性能表示(日本皮膚科学会)qa.dermatol.or.jp
公式ページで見てみよう
- 紫外線情報(気象庁)data.jma.go.jp
文章はすべて資料をもとに独自の言葉で書いています。画像はオリジナルのイメージです。誤りにお気づきの方は訂正窓口へ。
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