海外の英語授業実践シリーズ

【海外の英語授業実践シリーズ Vol.1】 Gallery Walk(ギャラリー・ウォーク)で 英語の授業が劇的に変わる! ~ 生徒が教室を歩き回るだけでスピーキング力・思考力が爆上がりする魔法の活動 ~

📚 海外の英語授業実践シリーズ Vol.1

Gallery Walk(ギャラリー・ウォーク)で
英語の授業が劇的に変わる!

~ 生徒が教室を歩き回るだけでスピーキング力・思考力が爆上がりする魔法の活動 ~

この記事では、アメリカ・イギリス・東南アジアのESL/EFL教室で幅広く実践され、研究論文でも効果が実証されている「Gallery Walk(ギャラリー・ウォーク)」を、日本の中高英語の先生方向けに超わかりやすく解説します。

✅ 準備は10分でOK
✅ 特別な教材・ICT不要
✅ 中1〜高3まで対応
✅ 4技能すべてに効く

🎨 Gallery Walkとは何か?

Gallery Walk(ギャラリー・ウォーク)とは、美術館で絵画を鑑賞するように、生徒が教室内を歩き回りながら学ぶ協働学習アクティビティです。

教室の壁や机に複数のテキスト・画像・質問・課題をステーション形式で配置し、生徒が小グループで各ステーションを巡回しながら、読み・書き・話し・考えるという活動です。

💡 普通の授業との違い

普通の授業 → 「座って聞く → ワークシートを解く」
Gallery Walk → 「歩く → 読む → 話し合う → 書く → 次へ移動」

身体を動かすことで集中力が維持され、グループ交代で何度もアウトプットするため、全員が必ず英語を使う仕組みになっています。

🌍 どこの国で実践されているの?

Gallery Walkはもともとアメリカの教育現場で広まった手法ですが、現在では世界中のESL/EFL教室で活用されています。

国・地域 実践の特徴
🇺🇸 アメリカ ELA(English Language Arts)の授業で定番。文学作品の分析、ライティングフィードバックに多用
🇲🇾 マレーシア ESL Speaking授業でICTと組み合わせて実施。スピーキング力と自信の向上に効果
🇰🇭 カンボジア EFL Speaking授業で導入。知識獲得・学習意欲・発話への自信向上が研究で報告
🇮🇩 インドネシア 高校のスピーキング授業で実験的に導入。発音の正確性・流暢性が大幅に向上
🇪🇸 スペイン EFL授業でデジタル版Gallery Walk(Google Slides使用)を実践

マレーシアのPerlis Matriculation CollegeでのESL研究では、Gallery Walk導入後に生徒のスピーキングへの自信が顕著に向上し、教室での積極的な参加が増えたことが報告されています。

インドネシアでは、実施前後のテスト比較で発音スコアが約23ポイント、流暢性スコアが約28ポイント向上したというデータもあります。

🔧 Gallery Walkの具体的な手順(完全版)

📌 STEP 1:ステーションを準備する(授業前10分)

模造紙(またはA3用紙)を6枚用意し、それぞれに異なる質問・テキスト・画像を書きます。教室の壁に貼るか、グループ机の上に置きます。

🌟 ステーション配置例(中3「環境問題」の場合)

Station 1: “What can we do to reduce plastic waste at school?”

Station 2: 海洋汚染の写真 → “Describe what you see. How does it make you feel?”

Station 3: 短い英文記事(100語程度)→ “What is the main idea?”

Station 4: “Do you agree or disagree: ‘Everyone should stop using plastic bags.’ Why?”

Station 5: グラフ(プラスチック使用量の推移)→ “What trend do you notice?”

Station 6: “Write a 3-sentence plan to make our school more eco-friendly.”

📌 STEP 2:グループ分け&役割決め(2分)

3〜5人のグループを作り、グループごとに色の違うマーカーペンを渡します。さらに各グループ内で以下の役割を割り当てると効果的です。

役割 英語名 やること
🖊 記録係 Recorder グループの意見を模造紙に書く
🎤 発表係 Presenter 最後の口頭発表を担当
⏰ タイムキーパー Timekeeper 時間を管理する
🔗 まとめ係 Synthesizer 前のグループの意見を読み上げ、比較する
🔑 海外の先生のコツ:ステーションが変わるごとに役割をローテーションさせます。「書かない人」「しゃべらない人」が出にくくなります!
📌 STEP 3:Gallery Walkスタート!(20〜30分)

各グループは別々のステーションからスタートします。

🔄 1ステーションあたりの流れ(約5分)

👀

① 読む

1分|黙読

💬

② 話す

2分|英語で議論

✍️

③ 書く

1.5分|意見を記入

🚶

④ 移動

0.5分|次へGO

⚡ 超重要ポイント:
2番目以降のステーションでは、前のグループが書いた意見をまず読み、それに対して「同意する/反論する/追加する」形で書き加えます。意見が積み重なって深まっていくのがGallery Walk最大の魅力です!
📌 STEP 4:元のステーションに戻る&振り返り(10分)

全ステーションを回り終えたら、最初のステーションに戻ります。自分たちが最初に書いた意見の下に、他の全グループのコメントが積み重なっています

各グループは全体の意見を統合して、クラスへの口頭発表(Oral Presentation)を行います。

🗣 発表で使わせたいフレーズ

“Most groups agreed that…”

“One interesting idea was…”

“We noticed that Group A and Group C had different opinions about…”

“Our group would like to add that…”

“In conclusion, the main points are…”

🎯 なぜGallery Walkが効果的なのか?(5つの理由)

① 全員が必ずアウトプットする

通常の一斉授業では発言する生徒は限られます。Gallery Walkでは各ステーションで全員が読み・話し・書くため、英語を使わない生徒がゼロになります。

② 身体を動かすことで集中力が維持される

アメリカのELA教師たちはパンデミック後に「教室での意味ある動き(meaningful movement)」の重要性を再認識し、Gallery Walkを積極的に復活させました。歩くことで脳が活性化し、学習内容の記憶保持にもつながります。

③ 低い心理的ハードルで英語が話せる

クラス全体の前で発表するのは緊張しますが、3〜5人の小グループでの会話なら安心。Gallery Walkはこの「安全な空間」を何度も繰り返し作り出します。

④ 高次思考力(Higher Order Thinking)が育つ

前のグループの意見を読んで「同意・反論・追加」する作業は、Bloomのタキソノミーの上位層(分析・評価・創造)に相当します。単なる暗記とは次元が違います。

⑤ 4技能を自然に統合できる

Reading(素材を読む)→ Speaking(グループで話す)→ Writing(意見を書く)→ Listening(発表を聞く)が1つのアクティビティで完結します。

📋 日本の授業で使える!応用アイデア5選

💬 応用① 教科書の内容理解に使う

教科書の各パラグラフをステーションとして配置。各ステーションに「Main idea」「Key vocabulary」「Your opinion」を書かせます。講義を聞くよりもはるかに深い理解が得られます。

💬 応用② 文法練習に使う(Quick Gallery Walk)

各ステーションに「過去形を使って3文書け」「受動態で質問を1つ作れ」などの文法タスクを配置。ワークシートと同じ練習ですが、動きがある分だけ生徒の集中力が全く違います。

💬 応用③ ライティングのピアフィードバックに使う

生徒が書いたエッセイを壁に貼り、他のグループが付箋で3つの観点からフィードバック。

I Like(いいところ)

“I like your use of transition words.”

I Wonder(疑問点)

“I wonder what evidence supports this.”

Next Steps(改善点)

“You could add more examples.”

💬 応用④ 入試対策の長文読解に使う

過去問の長文を段落ごとに分割してステーションに配置。各ステーションで内容理解問題を解かせ、最後に全体像を統合します。共通テストや私大入試の長文対策にも有効です。

💬 応用⑤ デジタル版Gallery Walk

スペインのEFL教師Cristina Cabalが実践している方法で、Google Slidesの各スライドを1ステーションとして使います。生徒はスマホやタブレットでアクセスし、コメントを書き加えます。教室が狭い場合やオンライン授業に最適です。

⚠️ 失敗しないための注意点

😱 よくある失敗 ✅ 対策
一部の生徒が参加しない 役割をローテーションさせる。個人の記録シートも配布する
日本語で話してしまう 「使える表現リスト」を配布。最初はフレーズの穴埋め形式でもOK
時間が足りない ステーション数を4つに減らす。Quick版(1ステーション3分)にする
教室が狭い 廊下を使う。机を壁際に寄せる。デジタル版に切り替える
質問が簡単すぎる Open-ended questionを中心に。Yes/Noで終わらない質問設計を

⏱ 明日からすぐ使える!50分授業タイムテーブル

⏰ 時間 📝 内容
0:00〜0:03 Today’s goal & rules の説明(英語で)
0:03〜0:05 グループ分け&役割決め
0:05〜0:07 Useful Expressions の確認
0:07〜0:32 🔥 Gallery Walk本番(5ステーション × 5分)
0:32〜0:42 各グループの口頭発表(各2分 × 5グループ)
0:42〜0:47 教師のフィードバック&重要表現の整理
0:47〜0:50 Reflection(振り返りシート記入)

📊 研究で実証されている効果

Gallery Walkの教育効果は複数の研究で裏付けられています。

マレーシアでの研究では、参加者の大多数がGallery Walkによるスピーキングスキル向上に肯定的な認識を持ち、タスク中にお互いの意見を交換することで英語を話す自信が高まったと報告されています。

インドネシアの研究では、Gallery Walk導入前後で発音の正確性と発話の流暢性の両方が統計的に有意な向上を示しました。

カンボジアのEFL教室での研究レビューでは、知識獲得、学習参加度、自信の構築、学習コミュニティの形成、そしてスピーキングスキルの向上という多面的な効果が確認されています。

✨ まとめ

Gallery Walkの素晴らしさは、そのシンプルさにあります。特別なテクノロジーも高額な教材も必要ありません。必要なのは模造紙、マーカーペン、そして「生徒を動かす」という発想の転換だけです。

日本の中高英語教育で最も課題とされる「生徒が英語を話さない」「一部の生徒しか参加しない」という問題を、この活動は構造的に解決します。

まずは来週の授業で、1回だけ試してみてください。

生徒の目の輝きが変わるはずです。✨

参考文献・出典:
• Radzi, A. H. B. M., et al. (2020). “Gallery Walk Activities in ESL Classrooms.” Journal of Creative Practices in Language Learning and Teaching, 8(1), 64-80.
• Yeourng, S. (2021). “The Effectiveness of the Gallery Walk Technique in EFL Speaking Classes.” Cambodian Education Forum.
• Facing History & Ourselves. “Gallery Walk Teaching Strategy.”
• The Teacher Toolkit. “Gallery Walk.”
• Cabal, C. “Digital Gallery Walks to Boost Speaking Skills.” Blog de Cristina.