アメリカの成績に E がない理由は?
A・B・C・D、そのつぎは F。E だけが抜けています。1897年に生まれたこの並びで、E は一度だけ落第から昇格し、そのあと消えました。
In Japan
日本の通知表は数字です。5・4・3・2・1。大学に入ると漢字になって、優・良・可・不可。
どちらも上から順にきれいに並んでいて、抜けているところがありません。5の下は4、優の下は良。当たり前だと思いますよね。
In English
英語圏の成績はアルファベットです。A・B・C・D、そして落第は……F。
もう一度読んでください。A, B, C, D, F。E がいません。
アルファベットの順番に並べておきながら、5番目だけを飛ばして6番目に行く。海外ドラマで I got an F.(F取っちゃった)という台詞は山ほど出てきますが、I got an E. はまず聞きません。
では、E はどこへ行ったのか。答えは「消えた」ではありません。いったん出世してから、消えたのです。
E は一度、落第から昇格しています
成績をアルファベットで付けた最初の学校は、1897年、アメリカのマウント・ホリヨーク大学だとされています。大学自身の図書館も、そう記録しています。
そのときの並びが、これです。
A 95〜100点(excellent・優秀)/ B 85〜94点/ C 76〜84点/ D 75点ちょうど(かろうじて合格)/ E 74点以下(落第)
Dが「75点ちょうど」の1点分しかないのも驚きですが、注目してほしいのは最後です。いちばん下は、Fではなく E だった。
ところが翌1898年、この学校は並べ方を変えます。落第を F(fail・失敗)に譲り、Eは75〜79点の位置に引き上げられました。落第から、下から2番目への昇格です。
そして1930年ごろまでに、Eはアメリカのほとんどの学校から静かに消えました。よく語られるのは「Eを excellent(優秀)と読み違える生徒や親がいたから」という理由です。ただしこれは後から付けられた説明で、はっきりした証拠は残っていません。「では A を awful(ひどい)だと思う人はいないのか」と皮肉る書き手もいます。
分かっているのは、Eが1年だけ落第だったことと、いま誰も使っていないこと。そのあいだの事情は、もう誰にも分かりません。
イギリスへ行くと、E は合格です
ここでもう一度ひっくり返ります。イギリスの A レベル(大学入学のための試験)の成績は、上から A*・A・B・C・D・E。
この6つは、Eまで全部が合格です。落第は文字ですらなく、U(ungraded・評価なし)と書かれます。
つまり同じ英語圏でも、アメリカとイギリスで、Eの意味が正反対になっているわけです。アメリカでは「消えた文字」、イギリスでは「ぎりぎり受かった文字」。
留学の書類で E を見たら、まずどちらの国の話かを確かめてください。
この話で手に入る英語
I aced it.
和訳 余裕だったよ。(試験などで最高の結果を出した)
ace は名詞だと「エース」ですが、動詞にすると「テストや面接で満点級の結果を出す」という意味になります。手応えを一言で伝えたいときの定番です。
I aced my chemistry test.
She aced her driving test on the first try.
Don't worry. You're going to ace this.
- ① 化学のテスト、余裕でした。
- ② 彼女は一発で運転免許の試験に受かりました。
- ③ 心配しないで。あなたなら絶対うまくいくから。
出典: Mount Holyoke College LITS|Know Our History: Grading at MHC / Slate|How come schools assign grades of A, B, C, D, and F—but not E?
1問だけ
1897年に最初の成績アルファベットを作った学校で、落第を表していた文字は?
よくある質問
アメリカの成績にはなぜ E がないのですか?
1897年にマウント・ホリヨーク大学が作った最初の成績アルファベットでは E が落第でしたが、翌1898年に落第は F になり、E は75〜79点の位置へ移りました。その後1930年ごろまでに E は多くの学校で使われなくなりました。「E を excellent と読み違えるから」という説明が有名ですが、確かな証拠のある話ではありません。
イギリスの成績にも E はありませんか?
イギリスの A レベルには E があり、しかも合格です。上から A*・A・B・C・D・E がすべて合格で、不合格は U(ungraded、評価なし)と表記されます。同じ英語圏でも E の意味が逆になります。