Happy Birthdayの歌には、長年著作権料がかかっていました
誕生日に歌う"Happy Birthday to You"。日本では誰も気にせず歌いますが、アメリカでは映画やCMで使うたびに使用料が発生し、ある会社が年間およそ2億円を受け取っていました。2015年の裁判でその仕組みが崩れた話です。
In Japan
日本で誕生日に "Happy Birthday to You" を歌うとき、著作権のことを考える人はまずいません。友達の家でも、レストランでも、好きに歌えるのが当たり前です。
In English
ところがアメリカでは、2015年まで、映画やテレビ、CMでこの歌を使うたびに使用料を払う必要がありました。その額は、ある会社に年間およそ200万ドル(当時のレートで2億円前後)にもなっていたのです。誰もが知っているあの短い歌に、実は持ち主がいたのです。
1893年に姉妹が作ったのは『おはよう』の歌だった
この曲の原型は、1893年にアメリカの姉妹、パティ・ヒルとミルドレッド・ヒルが作った"Good Morning to All"(おはようの歌)です(Smithsonian Magazine|The Forgotten Sisters Behind 'Happy Birthday to You')。妹のパティは、ケンタッキー州ルイビルの幼稚園で、この歌を子どもたちに試していました(同記事)。姉のミルドレッドはピアニストで作曲家でしたが、どちらが歌詞を書き、どちらがメロディーを作ったのかは、はっきりしていません(Wikipedia|Happy Birthday to You)。「誕生日」の歌詞が付いたものは1920年代にいくつもの歌集に現れました。そのひとつが、1924年にロバート・H・コールマンが編んだ歌集です(Smithsonian Magazine)。
ドキュメンタリーで使うのに1,500ドル。裁判が突き止めたこと
映画監督ジェニファー・ネルソンは、自作のドキュメンタリーでこの歌を使う権利のために、1,500ドル(当時のレートで15万円ほど)を支払いました(Wikipedia|Happy Birthday to You)。納得できなかったネルソンは2013年6月に提訴します。Warner/Chappell Music社は、それまでこの歌の使用許可から年間およそ200万ドルを得ていました(同記事)。2015年、ジョージ・H・キング判事は「1935年の著作権登録は、特定のピアノ編曲にしか及ばず、歌詞やメロディーには及ばない」と判断しました(同記事)。Warner/Chappellは2016年2月に1,400万ドルを支払って和解し、同年6月、裁判所はこの歌がパブリックドメイン(著作権の切れた状態)であると宣言しました(同記事)。
この話の動画
この話で手に入る英語
in the public domain
和訳 著作権の保護期間が切れて、誰でも自由に使える状態のこと
曲や作品が自由に使えるようになったと伝えるときの決まり文句です。"This song is finally in the public domain."(この曲はついに自由に使えるようになった)のように使ってみてください。
For years, filmmakers had to pay just to use this song in a movie.
A judge ruled that the company never really owned the copyright.
Now that it's in the public domain, anyone can use it for free.
- ① 何年ものあいだ、映画制作者たちはこの歌を映画で使うだけでお金を払わなければならなかった。
- ② 裁判官は、その会社がそもそも著作権を持っていなかったと判断した。
- ③ いまはパブリックドメインになったので、誰でも無料で使える。
出典: Smithsonian Magazine|The Forgotten Sisters Behind 'Happy Birthday to You' / CNBC|'Happy Birthday' song now in public domain / Wikipedia|Happy Birthday to You
1問だけ
"Happy Birthday to You" の著作権について、記事で説明されている事実はどれか?
よくある質問
"Happy Birthday to You" にはなぜ著作権料がかかっていたのですか?
1935年の著作権登録をもとに、Warner/Chappell Music社が映画やテレビなどでの使用から年間およそ200万ドルの使用料を得ていました。2015年の裁判で、その登録は歌詞やメロディーには及ばないと判断され、いまは著作権が切れています。
この歌はもともと誰が作ったのですか?
1893年、アメリカの姉妹パティ・ヒルとミルドレッド・ヒルが作った"Good Morning to All"(おはようの歌)が原型です。誕生日の歌詞が付いたものは1920年代にいくつもの歌集に現れ、そのひとつが1924年にロバート・H・コールマンが編んだ歌集です。