Simon SinekのTED英語|聴衆50人から6000万回へ
Simon Sinek「優れたリーダーはどうやって行動を促すのか」。18分、聴衆50人の小さな会場から始まったこのトークが、6000万回以上再生された理由は、中身よりもまず話し方にあります。
How great leaders inspire action
優れたリーダーはどうやって行動を促すのか/Simon Sinek(作家・組織コンサルタント)・2009年・約18分 字幕つきで見る ↗
なぜ、これほど届いたのか
このトークは2009年、TEDxPugetSoundという小さな地方イベントで、聴衆わずか50人を前に行われました。それがいまや6000万回超え。中身以前に、話し方そのものが「伝わる設計」になっているからです。
① 単語がやさしい。Apple、Wright brothers、bicycleなど、知らない語がほとんど出てきません。
② 同じ骨格をくり返す。"What / How / Why" という3語の輪を、何度も同じ順番で説明します。くり返されるほど、聞き手は次の展開を先読みできるようになります。
③ 対比で言い切る。「AではなくB」という形を多用し、抽象的な話を具体的な人・会社の名前(Apple、キング牧師、ライト兄弟)で支えます。
なお、Sinekはこのあと自分の主張を「脳の構造(大脳新皮質と大脳辺縁系)とも一致する」と説明しますが、その脳科学的な対応づけは単純化しすぎだと専門家から批判もされています。それでも、伝え方の設計としての価値は変わりません。
名台詞
People don't buy what you do; they buy why you do it.
Very very few people or organizations know why they do what they do.
The goal is not to do business with everybody who needs what you have.
和訳 人は「あなたが何をしているか」を買うのではない。「なぜそれをしているか」を買うのだ。自分たちがなぜそれをしているのか、分かっている人や組織はごくわずかしかいない。目標は、自分の持つものを必要としている全員と取引することではない。
ここが聞き取れない
- why の強調
- 文の中で why だけを、強く長く読みます。ほかの語が弱く速いぶん、why だけが耳に飛び込んでくるように作られています。
- 間(ま)の使い方
- Golden Circle(同心円の図)を説明する直前、Sinekは一拍だけ黙ります。内容が変わる合図としての沈黙。字幕なしで聞くと、ここで身構えられるようになります。
- not A, B の抑揚
- "not what you do, but why you do it" のような形では、not のほうを一段低く、あとに来る語を高く発音します。否定と肯定が声の高さでも区別されるので、意味を聞き取りやすくなります。
この1本の使い方
- 日本語字幕で1回、通して見る。18分だけなので、まず内容を先に知っておく。
- 名台詞のある1分だけを、英語字幕で3回。"What / How / Why" の骨格が耳に残るまで。
- 字幕を消して、同じ1分をシャドーイング(聞こえた音を少し遅れて真似して言う練習)。why を強く読むやり方を、自分の口でも真似します。
このトークが強いのは、内容を知らなくても型だけで真似できるところです。
"People don't buy what you do; they buy why you do it." の骨格をそのまま借りて、"I don't like what he says; I like why he says it." のように自分の文を作ることもできます。型を先に覚えて、中身はあとから自分のものを入れる。英語のスピーチが上手な人は、たいていこれをやっています。
まずは1分、why の強さを真似するところから始めてみてください。
よくある質問
Golden Circleの脳科学の説明は正しいのですか?
トークの中でSinekは、Why・How・Whatの三層が大脳辺縁系と大脳新皮質の構造と対応すると説明しますが、この脳科学的な対応づけは単純化しすぎだと専門家から批判されています。本記事は英語の話し方を教材として扱うもので、科学的な主張の当否とは切り離して読んでください。
TEDx と TED は何が違うのですか?
TEDxは、TEDの理念のもとで各地の団体が独自に開くライセンス制の地域イベントです。このトークも2009年にTEDxPugetSoundという地方イベントで行われましたが、内容の評価が高く、のちにTED公式サイトにも掲載されました。