Ken RobinsonのTED英語|1人の物語に着地させる
TED史上いちばん見られている1本。「創造性は大事だ」という誰でも言える話を、実在の1人の少女のエピソードに落とし込むことで、20年近く語り継がれる話にしています。
Do Schools Kill Creativity?
学校は創造性を殺しているか?/Sir Ken Robinson(ウォーリック大学名誉教授(教育学)。イギリス政府の創造性教育委員会を率いた)・2006年・19分 字幕つきで見る ↗
なぜ、これほど届いたのか
この話、テーマそのものは「創造性は大事」という、誰でも言えそうな話です。それがTEDでいちばん見られている1本になったのは、話し方の設計によるところが大きいのです。前半は、間を長めに取った皮肉まじりの小話で笑いを取り、聞き手の警戒心をゆるめます。そして後半、話を実在の1人の少女、振付師 Gillian Lynne のエピソードに絞り込みます。「創造性」という大きな抽象語を、1人の名前と1つの結末に着地させる。この落差が、19分という短さの中で強い説得力を生んでいます。文はどれも短く、難しい単語もほとんど使いません。
名台詞
If you're not prepared to be wrong, you'll never come up with anything original.
Gillian isn't sick; she's a dancer. Take her to a dance school.
Our task is to educate their whole being, so they can face this future.
和訳 間違うことを恐れていたら、独創的なものは何ひとつ生まれない。ジリアンは病気じゃありません。ダンサーなんです。ダンス学校に連れて行ってあげてください。私たちの仕事は、子どもたちの存在そのものを教育し、この先の未来に立ち向かえるようにすることだ。
ここが聞き取れない
- 間の取り方
- オチの直前で、わざと1〜2秒黙ります。聞き手が笑うための「間」で、イギリス英語の皮肉話に特有のリズムです。
- isn'tの短縮
- "Gillian isn't sick" の isn't は、t の音がほとんど聞こえません。「イズン(t) スィック」くらいの感覚で耳を慣らしてください。
この1本の使い方
- 字幕なしで、まず19分を通しで見る。冒頭の小話で笑えなくても止まらない。
- 上の3つの引用文を、間を意識しながら3回ずつ音読する。特に1つ目は、be動詞の前で軽く止めるとそれらしく聞こえる。
- 自分が「失敗を恐れて挑戦しなかったこと」を、英語で3文だけ書いてみる。
この動画がTEDでいちばん見られているのは、正しいことを言っているからではありません。1人の少女の話で、聞き手それぞれに自分の話を思い出させるからです。今日は3つの引用を音読するところまでで十分です。明日は、字幕なしでもう一度、同じ19分を見てみてください。
よくある質問
このTED動画が、いちばん見られている理由は何ですか?
「創造性は大事だ」という抽象的な主張を、実在の少女Gillian Lynneのエピソードに絞り込んで語っているためです。皮肉まじりの小話で聞き手の警戒心をゆるめてから、1人の物語に着地させる構成が、19分という短さの中で強い説得力を生んでいます。
Gillian Lynneとは誰ですか?
のちに著名な振付師になった女性です。子どものころ学校でじっとしていられず問題児とされていましたが、専門家に「病気ではなくダンサーだ」と見抜かれ、ダンス学校に通うようになりました。Ken Robinsonは、この実話を創造性の話の核として使っています。