注意のそらし方とは?Apollo RobbinsのTED英語
世界一のスリと呼ばれる人が、舞台の上で観客の持ち物を抜き取ってみせます。手品の話に見えて、中身は「人の注意はどこへ行くのか」という話です。8分47秒と短く、動きが多いので、字幕なしでも置いていかれません。
The art of misdirection
注意のそらし方/Apollo Robbins(世界一のスリと呼ばれる人物)・2013年・8分47秒 字幕つきで見る ↗
なぜ、これほど届いたのか
このトークの作りで効いているのは、話し手が最後まで「説明」をしないところです。
ふつうの講演は、主張を言ってから例を出します。この人は逆で、先に観客の持ち物を抜き取ってみせてから、なぜ気づかれなかったのかを話します。驚きが先、理屈があとという順番です。
英語としても、これは学びやすい形です。動きが画面にあるので、語が聞き取れなくても話の位置を見失いません。手が動く、観客が笑う、物が出てくる。音を落としても、話がどこにいるか分かるトークは、リスニングの練習台として貴重です。
そして、言い切るところの文が短い。Attention is a powerful thing.(注意は強力なものです)はわずか5語です。難しい語もほとんど使われていません。8分47秒という長さも、集中が切れる前に終わります。
名台詞
Attention is a powerful thing.
Like I said, it shapes your reality.
If you don't attend to something, you can't be aware of it.
和訳 注意というのは、強力なものです。さっき言ったとおり、注意はあなたの現実を形づくります。何かに注意を向けなければ、それに気づくことはできません。
ここが聞き取れない
- attention は「アテンション」ではない
- カタカナの「アテンション」は4拍ですが、英語はə-TEN-shən の3拍です。強いのは真ん中の TEN で、最初の a はほとんど聞こえません。「アテンシュン」に近い形で待っていてください。
- attend to が1語に聞こえる
- attend の d と to の t がぶつかると、d がほとんど消えます。「アテンドゥ トゥ」ではなく「アテントゥ」に近くなります。
- Like I said はかたまりで落ちる
- 3語が1つになって、「ライカイセッ」のように縮みます。ここを語ごとに拾おうとすると、次の文まで置いていかれます。
この1本の使い方
- 最初の2分だけを、字幕なしで3回見る。手の動きだけを追って、何が起きたかを日本語で1文にする。
- 3つの名台詞を、音に重ねて声に出す。1文につき10回。特に Attention is a powerful thing. は、止まらずに言えるまで。
- 英語字幕で通しで1回見る。知らない語は3つまでにしぼって書き出す。全部拾おうとすると続きません。
スリの技術の話として見ると、これは「どうやって盗むか」の8分です。ですが本当に扱っているのは、見ている側の頭のほうです。注意を向けなかったものは、そこにあっても無いのと同じ。そう言われると、英語を聞くときの自分の耳のことまで考えてしまいます。まずは冒頭の2分だけ、字幕を消して見てください。
よくある質問
Apollo Robbins の TED トークはどれくらいの長さですか?
8分47秒です。2013年6月のTEDGlobal 2013で行われた「The art of misdirection(注意のそらし方)」というトークで、話し手は世界一のスリと呼ばれる人物です。
attend to ~ とはどういう意味ですか?
「〜に注意を向ける、〜に対処する」という意味です。attend は「出席する」だけではありません。トークの中でも If you don't attend to something, you can't be aware of it.(何かに注意を向けなければ、それに気づくことはできません)と使われています。