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原田英語の沼 Harada Eigo no Numa

ASK MR. HARADA

アメリカに留年があるのは、なぜですか?

本当です。アメリカには「学年をやり直す」制度が正式にあり、いまも毎年、一定数の生徒が同じ学年をもう一度過ごしています。一方、日本の義務教育でこれが起きることは、ほぼありません。この差は、進級の決め方そのものが違うために生まれています。

アメリカの高校が舞台の海外ドラマを見ていたら、主人公が『去年も9年生(日本でいう中3)だった』と友達にからかわれるシーンがありました。日本の学校でこんなことは聞いたことがないんですが、アメリカでは本当に『留年』ってあるんですか?

海外ドラマにハマっている高校生さんより

本当にあります。アメリカには grade retention(学年の据え置き、いわゆる留年)という正式な制度があり、いまも毎年、一定数の生徒が同じ学年をもう一度やり直しています。割合自体は近年かなり減っていますが、実際に使われている点が、日本とは大きく違います。

割合は減っても、いまも『実在する』制度

アメリカでは、2000年には全生徒の3.1%が学年を据え置かれていましたが、2016年には1.9%まで減りました(EdWeek|What Does Research Say About Grade Retention?)。割合としては小さく見えますが、学年によって大きな差があります。1994〜95年度から2009〜10年度をならして数えた研究では、全体では2.4%なのに対し、据え置きがいちばん多い1年生(日本の小1にあたる)だけは6.2%でした。ほかの学年は1.4〜2.9%なので、1年生だけが飛び抜けています。16人に1人が、小1をもう一度やっている計算です。人種による偏りも報告されていて、同じ期間をならすと黒人の生徒が3.8%、白人の生徒が2.0%で、およそ2倍の開きがあります(PMC|Patterns and Trends in Grade Retention Rates in the United States)。

日本でほぼ起きないのは、制度ではなく運用が違うから

意外に思うかもしれませんが、日本の義務教育(小・中学校)でも、留年(原級留置)が禁じられているわけではありません。文部科学省の資料には「我が国においては現在、制度上は原級留置が想定されているものの、運用としては基本的に年齢主義が採られている」と書かれています(文部科学省|履修主義と修得主義、年齢主義と課程主義)。同じ資料は、進級や卒業の条件を「一定年限の在学」で決める考え方を年齢主義、「一定の課程の修了」で決める考え方を課程主義と呼び分けています。日本は、留年の仕組みを制度として持ちながら、実際の運用では年齢で進級させている国だということです。アメリカは州によって差はありますが、課程主義の考え方を実際の運用でも使っているため、grade retention が現実の選択肢として残っています。

耳で確かめる

He got held back in third grade because of his reading scores.

Some states require students to repeat a grade if they can't read well enough by a certain age.

In Japan, almost no student repeats a grade in compulsory education.

和訳
  • 彼は読解のスコアが理由で、3年生のときに留年した。
  • 一部の州では、ある年齢までに十分に読めるようにならないと、学年をやり直すことが義務づけられている。
  • 日本では、義務教育で学年をやり直す生徒はほとんどいない。

「留年」と聞くと日本では特別な出来事に感じますが、アメリカでは実際に使われている仕組みです。どちらが優れているという話ではなく、『進級を年齢で決めるのか、身についた内容で決めるのか』のどちらを実際の運用で使うかが違うというだけのことです。海外ドラマで grade retention や"held back"(学年を据え置かれる)という言葉が出てきたら、今日覚えたこの背景を思い出してみてください。

動画で見る

When Schools Talk About Holding a Student Back (Special Education Academy™) アメリカの学校で『学年の据え置き』がどのように検討されるかを短く解説している動画です。

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よくある質問

アメリカでは本当に留年(学年の据え置き)がありますか?

あります。grade retentionと呼ばれる正式な制度で、2016年時点で全生徒の1.9%が対象でした。特に1年生で多く、州によっては読解力の基準に達しないと学年をやり直す決まりもあります。

なぜ日本の義務教育では留年がほとんど無いのですか?

制度として禁じられているからではなく、運用がそうなっているためです。文部科学省の資料は「制度上は原級留置が想定されているものの、運用としては基本的に年齢主義が採られている」と説明しています。つまり仕組みはあるものの、実際には年齢で進級させています。

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