アメリカで洗濯物の外干しが禁止って本当ですか?
本当にある話です。住宅地の規約で物干しロープが禁じられていて、破ると警告が来ます。理由は天気でも虫でもなく、「外に干してある洗濯物は、家の価値を下げて見える」というものでした。怒った住民が州の法律を動かした、という続きまであります。
ホームステイ先で、洗濯物をベランダに干そうとしたら、ホストマザーに慌てて止められました。「近所から苦情が来るから」と言われて、全部乾燥機に入れられてしまって。天気は快晴だったんです。アメリカでは洗濯物を外に干してはいけないんですか?
高校2年生・夏休みに短期留学さんより
地域によっては、本当に禁止されています。住宅地の管理組合の規約で物干しが禁じられていることがあり、破ると書面で警告が来ます。理由は「外に干した洗濯物は、家の価値を下げて見える」からです。
禁じているのは国ではなく、住んでいる地域の規約です
アメリカの法律に「外干し禁止」と書いてあるわけではありません。禁じているのは、その住宅地ごとの管理組合です。英語では homeowners association、略して HOA と言います。
芝生の長さ、玄関ドアの色、クリスマスの飾りをいつまで出しておいてよいか。そういうことを細かく決めている組織で、物干しロープもその一覧に入っていることがあるのです。
2009年の時点で、アメリカにはこうした private community(管理組合のある住宅地)が約30万か所あり、そこに6000万人が暮らしていました。そしてその多くで、外干しに何らかの制限がかかっていたとされています(Wikipedia|Clothes line)。
理由は天気ではなく、「貧しく見える」でした
止められた理由が天気でも花粉でもないところが、この話の妙なところです。外に干してある洗濯物は、その家が乾燥機を買えないように見える。だから地域全体の不動産価値が下がる。そういう考え方が根にあります。
アメリカで家庭用の乾燥機が一気に広まったのは1960年代から1980年代にかけてでした。乾燥機が当たり前になるほど、外に干している家のほうが「わけあり」に見えてしまったわけです。
日本では、晴れた日に布団と洗濯物が並んでいる景色はむしろ気持ちのいいものです。同じ光景が、向こうでは正反対の意味で読まれていることになります。
怒った住民が、州の法律を動かしました
面白いのはここからです。「太陽で乾かす権利まで奪うのか」と住民が声を上げ、外干し禁止そのものを無効にする法律を州に作らせました。この運動は right to dry(干す権利)と呼ばれています。
フロリダ、カリフォルニア、ハワイ、テキサス、メイン、バーモントなど、多くの州で、管理組合が物干しを禁じることはできないと定められました(Wikipedia|Clothes line)。カナダでもオンタリオ州が2008年に禁止を解いています。
つまり今のアメリカは、州によって「干していい」「干すと警告が来る」が分かれている状態です。ホストマザーが慌てたのは、たぶんまだ後者の側だったのでしょう。
Is it okay if I hang my shirts outside? It's sunny today.
Sorry, we can't. The HOA sends us a letter if we do.
- A シャツを外に干してもいいですか。今日は晴れているので。
- B ごめんね、それはできないの。やると管理組合から手紙が来るのよ。
Can I hang the laundry outside, or is that not allowed here?
Our neighborhood association doesn't allow clotheslines.
We just put everything in the dryer.
- ① 洗濯物を外に干してもいいですか。それともここでは禁止されていますか?
- ② うちの住宅地の管理組合は、物干しロープを認めていないんです。
- ③ うちは全部乾燥機に入れちゃうの。
明日から使えるのは、hang the laundry outside(洗濯物を外に干す)と clothesline(物干しロープ)の2つです。ホームステイ先で迷ったら、勝手に干す前に"Is it okay to hang the laundry outside?"と一言聞いてください。この一言があるかないかで、あなたが常識のある人かどうかが決まる場面が、向こうには本当にあります。
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アメリカで洗濯物の外干しが禁じられていることがある、いちばんの理由は何ですか?
よくある質問
アメリカでは洗濯物を外に干してはいけないのですか?
国の法律で禁じられているわけではありません。住宅地ごとの管理組合(HOA)の規約で禁じられていることがあり、その場合は警告が来ます。一方で、こうした禁止を無効にする法律を定めた州も多くあります。
right to dry とはどういう意味ですか?
「太陽で乾かす権利」を守ろうとする住民運動のことです。管理組合が物干しを禁じることはできない、と州の法律で定めさせる動きで、フロリダ州やカリフォルニア州などで実現しています。