上司をファーストネームで呼ぶのは失礼じゃないんですか?
英語では、目上と目下で「あなた」を使い分けるしくみが、17世紀から消えていきました。boss という語も、「主人(master)」と呼ぶのを嫌うアメリカで広まった、と辞書は書いています。ただ、アメリカ人も社長の名前は呼びにくいようです。
アメリカのドラマで、新人の社員が社長に Hi, Mike. と声をかけていて、びっくりしました。日本なら「社長」と呼ぶところです。上司をファーストネームで呼ぶのは失礼じゃないんですか?
高校1年生さんより
アメリカの職場では、肩書きと名字で呼ぶほうが「かたすぎて気まずい」と受け取られやすい、とアメリカの経営学の教授は説明しています。ただし、アメリカ人も、えらい人の名前を呼ぶのはためらうようです。
英語には、目上と目下で分ける「あなた」がもう無い
昔の英語には、「あなた」が2つありました。thou と you(ye)です。
英語版 Wikipedia によると、目上の人に向かっては、もともと複数形だった ye や you を使うようになりました。thou は、目下の人や親しい人に向ける語として、長く残りました(Wikipedia|Thou)。
ところが17世紀になると、ふつうの英語では thou がかなり急に減り始めます。その結果、いまの英語の「あなた」は、相手が誰でも you です。
おもしろいのは、キリスト教の一派のクエーカー教徒です。ふだんの言葉で、thee(thou の目的語の形)を使い続けました。運動が始まったころにジョージ・フォックスが始めたもので、thou の持つ「平等で親しい」感じを守ろうとした、と同じページは書いています。
boss という語は「主人」を嫌って広まった
「上司」の英語 boss は、オランダ語の baas から来た語です。Merriam-Webster によると、baas は「主人、権威のある人」という意味でした(Merriam-Webster|boss)。
この語は、ニューヨークやニュージャージーのオランダ系の人々の言葉から、17世紀の終わりから18世紀にかけて英語に入りました。オランダ語で「えらい人」を指す語としては、ニューイングランドで1653年にもう記録されています。
同じ辞書によると、この語が広まったのは、アメリカの人々が master(主人)という語を嫌ったことも一因だったようです。master は、イギリスではよく使われていた語でした。
いっぽう日本の職場では、役職で呼ぶのがふつうです。英語版 Wikipedia の「日本語の敬称」のページにも、会社の中では社長を「社長さん」と呼ぶ例が載っています(Wikipedia|Japanese honorifics)。
それでも、社長の名前は呼びにくい
では、アメリカ人は誰でも気軽に名前で呼べるのかというと、そうでもありません。
ペンシルベニア州立大学の経営学の教授デイヴィッド・モランドは、職場の呼び方を調べました(パートタイムのMBAの学生74人へのアンケート)。上司との関係に不安がある人は、ファーストネームを使うのをためらうそうです。かといって、肩書きと名字で呼ぶと、かたすぎて気まずくなりがちです(Penn State|What should I call my boss?)。
そこで起きるのが、名前を一度も呼ばずにすませる「名前よけ」です。直属の上司より、2段以上えらい人に多く、いちばん多いのは社長(CEO)に対してでした。女性のほうが、男性より多く使っていました。
教授が挙げる手の1つは、上司の側から Call me 〜.(〜と呼んでね)と言ってあげることです。
Nice to meet you, Mr. Brown.
Nice to meet you too. Please, call me Mike.
Okay, Mike. I'm Yuki.
Welcome to the team, Yuki.
- A はじめまして、ブラウンさん。
- B こちらこそ。どうぞ、マイクと呼んでください。
- A 分かりました、マイク。ユキです。
- B チームへようこそ、ユキ。
Please call me Mike.
What should I call you?
Good morning, Karen. Do you have a minute?
- ① マイクと呼んでください。
- ② 何とお呼びすればいいですか?
- ③ おはようございます、カレン。少しお時間いいですか?
明日から、英語で目上の人と話すときは、最初は Mr. や Ms. と名字で呼んでかまいません。相手が Call me 〜. と言ってくれたら、その名前で呼びます。迷ったら、そのまま What should I call you?(何とお呼びすればいいですか?)と聞いてください。
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英語の boss(上司)は、どの言語の語から来たと Merriam-Webster に書かれていますか?
よくある質問
アメリカでは上司をファーストネームで呼ぶのが普通ですか?
ペンシルベニア州立大学の経営学の教授によると、肩書きと名字で呼ぶのは、かたすぎて気まずいと受け取られがちです。ただし、上司との関係に不安がある人は、名前を呼ぶのをためらうこともあります。
英語の boss の語源は何ですか?
オランダ語の baas(主人、権威のある人)です。Merriam-Webster によると、アメリカの人々が master(主人)という語を嫌ったことも、boss が広まった一因だったようです。