本文へスキップ
本体サイト 原田英語.com に戻る

原田英語.com 別館

ASK MR. HARADA

英語にも「指切りげんまん」はありますか?

指切りげんまん、痛いの痛いの飛んでいけ、ちちんぷいぷい。3つとも英語版があります。しかもどれも、日本語版と1か所ずつ食い違っていて、そこが面白いのです。

4歳の子がいます。「指切りげんまん」「痛いの痛いの飛んでいけ」「ちちんぷいぷい」を毎日のように使うのですが、英語圏にもこういう決まり文句はあるのでしょうか。ちちんぷいぷいは hocus pocus のことでしょうか?

4歳の子どもがいる社会人さんより

3つとも、ちゃんとあります。しかもどれも日本語版と1か所ずつ食い違っていて、そこがいちばん面白いところです。ちちんぷいぷいに近いのは hocus pocus より、むしろ abracadabra のほうです。

指切りげんまん → pinky promise(針まで一緒)

小指を絡めるあの仕草、英語圏にもあります。pinky promise(ピンキー・プロミス)または pinky swearやり方まで同じで、小指をかけて上下に振ります。

さらに、英語には言葉のほうの誓いもあります。

Cross my heart and hope to die, stick a needle in my eye.
(胸に十字を切って、破ったら死んでもいい。目に針を刺してもいい)

気づきましたか。です。

日本の「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます」と、英語の「目に針を刺す」。
まったく別の国の子どもの遊びに、どちらも針が出てくる。

もっとも、これはたぶん偶然です。英語のほうは cross my heart の部分が1908年ごろの記録が最初で、針のくだりが付いたのは1920年ごろとされています。

ちなみに Wikipedia の pinky swear の項には「日本の指切りが起源」という説明があります。ただ同じページに、アメリカでも1860年の記録があると書かれているので、つながっているかどうかは決着していません

痛いの痛いの飛んでいけ → kiss it better(飛ばさずにキスする)

これも英語圏にあります。Let me kiss it better.(キスして治してあげる)

ただし、やることが違います

日本は、痛いところに手を当てて、遠くへ投げる仕草をします。「飛んでいけー」と言いながら、窓の外や空へ。痛みを追い出すわけです。

英語圏は、痛いところにキスをします。そして All better!(はい、もう治った!)。痛みを消すほうです。

飛ばすか、キスするか。同じ場面で、手が逆方向に動く。

言われてみれば、日本の親がひざにキスする光景は、あまり見ませんよね。

ちちんぷいぷい → abracadabra(もとは熱病の薬でした)

ご質問の hocus pocus も魔法の言葉ですが、あれは手品師の掛け声という色が濃いんです。1630年代の記録が最初で、ミサのラテン語 Hoc est corpus meum(これは私の体である)をもじったものだ、というが有名です。ただこれは17世紀に唱えられた説であって、確かめられてはいません。

ちちんぷいぷいに近いのは、abracadabra(アブラカダブラ)のほうです。

そして、ここが今日いちばんの話。この言葉、もとは手品ではなく「薬」でした。

記録に残る最初の abracadabra は、2世紀のローマです。皇帝カラカラの侍医だったセレヌス・サンモニクスという人が、医学書『Liber Medicinalis』の第52章で、マラリアの患者に「ABRACADABRA と三角形に書いたお守りを首から下げなさい」と処方しているのです。

痛みや病気を、言葉で追い払う。

ちちんぷいぷいも、痛いの痛いの飛んでいけも、まったく同じことをしています。1800年前のローマの医者と、日本のお母さんが、同じ発想でいるわけです。

会話で見る
A

You can't tell anyone. Not even your brother.

B

Pinky promise?

A

Pinky promise. Cross my heart and hope to die.

和訳
  • A 誰にも言っちゃだめだよ。お兄ちゃんにも。
  • B 指切りする?
  • A するよ。破ったら死んでもいい。
耳で確かめる

Pinky promise. I won't tell anyone.

Come here. Let me kiss it better.

Abracadabra! All better.

和訳
  • 指切りげんまん。誰にも言わないよ。
  • おいで。痛いの、キスして治してあげる。
  • アブラカダブラ! はい、もう治った。

3つ並べてみると、似ているところより、ずれているところが面白いですよね。

針は両方にあるのに、片方は飲ませ、片方は目に刺す。痛みは片方が飛ばし、片方がキスで消す。発想は同じなのに、手つきだけが違う。

お子さんに使ってみてください。Pinky promise? と小指を出せば、それだけで通じます。

1800年前のローマの医者も、たぶん同じ気持ちで唱えていたはずです。

このコーナーは、いただいた質問でできています。どんなに小さな疑問でも お問い合わせフォーム からお送りください。

1問だけ

abracadabra が記録に最初に出てくるのは、どんな場面?

よくある質問

指切りげんまんは英語で何と言いますか?

pinky promise または pinky swear です。小指を絡めて上下に振る仕草も同じです。言葉だけの誓いには Cross my heart and hope to die, stick a needle in my eye.(胸に十字を切って、破ったら死んでもいい)という言い方もあります。

ちちんぷいぷいは hocus pocus ですか?

近いのは abracadabra のほうです。hocus pocus は手品師の掛け声という色が濃く、1630年代の記録が最初です。abracadabra は2世紀のローマの医学書で、マラリアの患者に三角形に書いたお守りとして処方されたのが最初の記録で、もともとは痛みや病気を追い払う言葉でした。

教えて原田先生!をもっと読む 生徒と読者からの英語の質問に、全力で答えます 一覧へ → Haradaeigo.com 原田英語.com(本体サイト)へ戻る 英語コラム、スラング辞典、英検対策、授業実践。 20年ぶんの記事が本体サイトにあります。 原田英語.com を見る