When in Rome do as the Romans do の意味は?続きは土曜の断食
入試に出るイディオム 第4回/起源・いま・入試・教室の四幕で
When in Rome, do as the Romans do. は、4世紀のミラノで交わされた一言から生まれたと伝えられます。Go for it. と break the ice もあわせて3本。句動詞だけがイディオムではありません。ことわざも、会話のかたまりも、入試ではまとめて狙われます。
監修:原田高志(原田英語.com)
今日は句動詞をお休みします。イディオムというのは、句動詞のことだけではありません。ことわざも、会話でぽんと出てくる決まり文句も、意味が語の足し算にならない。この点で全部同じ仲間です。そして入試では、そちらのほうが差がつきます。今日は3本。生まれた場面、いまのあなたの一日、入試での問われ方の順に見ていきます。
When in Rome, do as the Romans do.
ホウェン・イン・ローム、ドゥー・アズ・ザ・ローマンズ・ドゥー 順応のことば郷に入っては郷に従え
4世紀。ローマには、土曜に断食するという習慣がありました。ミラノには、ありません。
両方の街を行き来する人にとって、これは笑い事ではない。作法を間違えれば、信仰そのものを疑われかねない時代です。どちらが正しいのか。
問われたミラノの司教アンブロシウスは、どちらが正しいとは答えなかった、と伝えられています。答えたのは、こうでした。「ローマにいるときはローマのやり方で。ここにいるときは、ここのやり方で。」
正解を1つに決めなかった。それが、この一言が千数百年残った理由だと思います。書き残したのはアウグスティヌスで、いまの英語の形に整ったのは18世紀ごろです。
見学に行った部活。準備の手順も、あいさつの仕方も、片づけの順番も、全部あなたの知らない形で動いている。
口を出したくなる場面が、たぶん2つか3つある。もっと早いやり方を、あなたは知っているから。
それでも最初の日は、黙って同じようにやってみる。そこにあるやり方には、たいてい理由があります。理由が見えるまでは、合わせておいたほうが早い。
When in Rome. とは、そういう一言です。自分を捨てろ、ではありません。まず理由を見てから動け、です。
こう使う
I don't usually eat this, but when in Rome, do as the Romans do.
ふだんはこれを食べないのですが、郷に入っては郷に従え、ですね。
Everyone takes their shoes off here, so when in Rome.
ここではみんな靴を脱ぐから、それに合わせよう。
She learned the local greetings first, doing as the Romans do.
彼女はまず土地のあいさつを覚え、その土地のやり方に合わせた。
発音:when in ROME で一度切り、do as the ROMANS do と後半を一息で。ROMANS の s は「ズ」。短く When in Rome. だけで言い切ることも多いので、その言い方も口に入れておくと会話文で強い。
- こう問われる
- ①整序問題で as / the / Romans / do を並べさせる形。②長文の異文化理解のテーマで、筆者の立場を問う設問。③会話文で、留学や旅行の話題の締めとして空所に入れる形。
- ここで外す
- Romans を Roman's と書いてしまう誤りが、群を抜いて多い。「ローマ人の」だと思ってアポストロフィを打つと、うしろの do が主語を失って文が壊れます。もう1つ、when の前後に主語と be動詞を足してしまう誤りも定番です(when you are in Rome の短縮なので、これで完成しています)。
- 決め手
- do as the Romans do の Romans は「ローマ人たち」という複数の主語。あとの do を動かしているのがこれです。アポストロフィを打った瞬間、動く人がいなくなります。
When in Rome, do as the ______ do.
郷に入っては郷に従え。(ローマにいるときは、ローマの人たちがするようにしなさい)
- 誤答
- Roman's / 所有格にすると、あとの do を動かす人がいなくなる
- 正答
- Romans / ローマ人たちが主語。だから do がそのまま続く
Before
「郷に入っては郷に従え」の英語だと丸暗記していた。だからつづりはうろ覚えで、整序問題では s を落としたりアポストロフィを打ったりしていた。
After
do as the Romans do は「ローマ人たちがするように、する」という、主語と動詞のそろった文だと分かる。丸暗記が文の構造になるので、書いても並べても崩れなくなる。
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When in Rome, do as the Romans do. を教室で使う(6分)
ねらい: ことわざを丸暗記ではなく文の構造として見せ、同時に「合わせる/通す」を自分の言葉で考えさせる。
- 黒板に When in Rome, do as the Roman's do. と、わざと誤った形で書く。「1文字おかしい。見つけて」と投げる(1分)。
- 見つかったら、「なぜ s なのか」を説明させる。『ローマ人たちがする』の主語だから、という答えが出れば、この項目は終わりです。
- ペアで1問。「合わせたほうがいいと思った場面/それでも合わせたくなかった場面を、1つずつ」(2分)。日本語でよい。
- 全体で2人だけ共有し、最後に When in Rome. とだけ言って終わる。後半を省く言い方を、その場で1回聞かせておく。
出口チケット: Romans を Roman's と書いてはいけない理由を、1行で書きなさい。
Go for it.
ゴー・フォー・イット 決断のことば①思い切ってやってみなよ ②(許可して)どうぞ、やっていいよ
アメリカンフットボールには、残り1回の攻撃でどうするかを選ぶ場面があります。
安全に蹴って、ボールを相手に渡す。距離は失うが、守りは整う。あるいは、蹴らずに攻め続ける。成功すれば前へ進めますが、失敗すればその場で攻撃権を失います。
後者を選ぶことを、英語で go for it と言います。蹴らない、という選択です。
この一言が励ましの言葉として広まったのは1980年代だと言われます。安全な選択肢があると分かっていて、それでも取りにいく。その決断のほうを指す語だということは、覚えておいて損がありません。
校内選考の用紙が、机の上に3日置いてある。出せば落ちるかもしれない。出さなければ、落ちることもない。
友達に相談する。相手はたぶん、長い言葉をくれません。Go for it.
この3語の強さは、迷いがあると分かったうえで押しているところにあります。すでに走っている人には、誰もこの言葉を使いません。
そしてもう1つの意味も、あなたはよく知っています。「これ借りていい?」「ああ、どうぞ」。Sure, go for it. 押している方向は、こちらもまったく同じです。
こう使う
If you really want to try out for the team, go for it.
本当にそのチームの選考を受けたいなら、思い切ってやってみなよ。
Can I take the last piece?
最後の一つ、もらっていい?
Sure, go for it.
ああ、どうぞ。
She thought about it for a week, then decided to go for it.
彼女は一週間考えて、それから思い切ってやることに決めた。
発音:3語をつなげて「ゴウフォリッ」と一息で。for は弱く、it の t はほとんど飲みこまれます。1語ずつ切って読むと、励ましに聞こえません。速さがそのまま励ましの強さになる、珍しい表現です。
- こう問われる
- ①会話文の応答選択。相手が迷っているときの返事として選ばせる形。②許可を求められたときの返事として選ばせる形。③下線部の言い換えで Go ahead. / Give it a try. を選ばせる形。
- ここで外す
- 「がんばれ」だけで覚えていると、許可の意味で出たときに選べません。Can I take this seat? — Go for it. を「この席、がんばって」と読んでしまう。もう1つ、Good luck. との取り違えも多い。Good luck は見送る言葉、Go for it は押す言葉で、立ち位置が違います。
- 決め手
- 相手が「やっていいか/やるべきか」で止まっているときの返事なら、挑戦でも許可でも Go for it.すでに動き出している相手には使いません。
- 誤答
- このパソコン使っていい?
—ああ、がんばって - 正答
- このパソコン使っていい?
—ああ、どうぞ使って
Before
Go for it. は「がんばれ」。それだけ知っていれば足りると思っていた。許可の返事として出てきたとき、意味がつながらず読み飛ばしていた。
After
どちらも「迷っている相手の背中を押す」一言だと分かる。2つの訳を覚えるのではなく、1つの働きが2方向に出ると分かる。会話文で、この3語が来た場面の空気まで読めるようになる。
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Go for it. を教室で使う(5分)
ねらい: 同じ一言が、励ましにも許可にもなることを、実際に言わせて体感させる。
- 2つのやりとりを板書する。「I might apply for it. — Go for it.」「Can I sit here? — Go for it.」訳は書かない。
- 「同じ返事なのに、意味が違う。何が共通してる?」と投げる(1分)。『迷っている』が出れば成功です。
- ペアで、片方が迷っている一言を日本語で言い、もう片方が Go for it. とだけ英語で返す。役を交代して2回(1分30秒)。
- 最後に発音だけ整える。「ゴウフォリッ」と一息で。1語ずつ切ると励ましに聞こえないことを、両方言って聞かせる。
出口チケット: Go for it. と Good luck. の違いを、日本語で1行書きなさい。
break the ice
ブレイク・ジ・アイス 緊張のことば①(初対面の)緊張をほぐす、口火を切る ②最初の一歩を踏み出す
凍った海。船は進めません。氷が一枚の板になって、水面をふさいでいます。
そこへ、船首を固く作った一隻が入っていく。乗り上げて、重さで割る。これを何度もくり返して、細い水路を作る。
二隻目からは楽です。割れ目を通ればいい。氷にぶつかる仕事をするのは、いつも最初の一隻だけです。
比喩としては16世紀にはもう使われていて、そのころは「最初の一歩を踏み出す」という広い意味でした。人と人のあいだの沈黙に使われるようになったのは、そのあとのこと。氷を割る船そのものを icebreaker と呼ぶのも、同じ絵の続きです。
新しい教室。席についたけれど、誰も話し出さない。話しかけたい相手はいる。でも、最初の一言が重い。
この重さが、英語で言う ice です。溶けるのを待っていると、5分が15分になります。
誰かが「それ、どこの中学?」と言った瞬間、空気が動きます。割ったのは、たいしたことのない一言のほうです。
Someone had to break the ice. 割った人は、あとで自分が何を言ったか覚えていません。それでいい。通り道さえできれば、船はあとから何隻でも通れます。
こう使う
She told a funny story to break the ice on the first day.
初日、彼女は面白い話をして場の緊張をほぐした。
Someone had to break the ice, so I asked him about his bike.
誰かが口火を切らないといけなかったので、私は彼に自転車のことを聞いた。
The teacher started the class with a short icebreaker.
先生は短いアイスブレイクの活動から授業を始めた。
発音:the が ice の前で「ジ」になります。ブレイク・ジ・アイス。「ザ・アイス」と読むと、そこだけ日本語に聞こえます。母音の前の the は「ジ」。これは他の語でも効くので、この機会に体に入れてしまうと得です。
- こう問われる
- ①会話文・長文で、初対面や会議の場面の空所に入れる形。②下線部の言い換えとして start a conversation を選ばせる形。③名詞 icebreaker が長文に出たときの意味を問う形。
- ここで外す
- the を落とす誤りと、break in / break out / break down との取り違えが二大失点です。break the ice は the が要ります。また「氷を割る」と直訳して、天気や冷蔵庫の話だと読んでしまう例も、長文では実際に起きます。
- 決め手
- 目的語が the ice で、まわりに人がいれば、割っているのは沈黙です。天気の話でないかぎり、本物の氷は出てきません。
He told a small joke to break the ice at the meeting.
- 誤答
- 彼は会議で氷を割るために小さな冗談を言った
- 正答
- 彼は会議の張りつめた空気をほぐそうと、軽い冗談を言った
Before
break the ice を「場をあたためる」と訳語で覚えていた。だから icebreaker が長文に出てきたとき、別の単語だと思って辞書を引いていた。
After
割っているのは沈黙で、割った先には通り道ができるという絵になる。break the ice と icebreaker が同じものだと分かり、初対面の場面を扱う長文で立ち止まらなくなる。
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break the ice を教室で使う(6分)
ねらい: この活動そのものを icebreaker として使い、語の意味を体で分からせる。
- 何も説明せず、まず全員に隣の人と30秒だけ話させる。お題は「今朝いちばん最初に見たもの」。説明より先に、やらせる。
- 終わったところで黒板に break the ice と書き、「いま、これをやりました」と言う。ここで初めて意味を説明する。
- 砕氷船の絵を1つだけ添える。「最初の一隻が氷を割って、あとの船が通る」。icebreaker という語も同時に出す。
- 最後に、the が要ること、the ice の the が「ジ」と読まれることを確認して終わる。
出口チケット: break the ice の ice は何をたとえているか、日本語で1行書きなさい。
よくある質問
Romans は Roman's と書いてはいけないのですか?
Romans が正しく、Roman's は誤りです。ここは「ローマ人たちが」という複数形の主語であって、所有格ではありません。do as the Romans do は「そのローマ人たちがするように、する」という形。アポストロフィを入れると「ローマ人の何か」を指すことになり、うしろの do が主語を失って文が壊れます。入試の整序問題でも、この s は必ず問われます。
Go for it. は「がんばれ」だけの意味ですか?
いいえ。「どうぞ、やっていいよ」という許可の意味でもよく使われます。Can I use this one? — Sure, go for it.(これ使っていい? ああ、どうぞ)。会話文の応答を選ぶ問題でこの意味が出ると、「がんばれ」しか知らない人は選べません。どちらも「迷っている相手の背中を押す」という一言だと考えると、2つの意味は1つにまとまります。