英語質問箱【教えて原田先生!】

英語を勉強するには 「まず何から」始めればいいの? 科学が証明した最強の学習順序 挫折率87%の壁を突破する── 脳科学・第二言語習得論に基づく完全ロードマップ

📚 ENGLISH LEARNING ROADMAP

英語を勉強するには
まず何から」?
科学が証明した最強の学習順序

挫折率87%の壁を突破する──
脳科学・第二言語習得論に基づく完全ロードマップ

「英語を勉強したい」と思い立ったものの、何から手をつけていいかわからない。
単語帳?文法書?英会話アプリ?YouTube?
選択肢が多すぎて、始める前から疲れてしまう──。
実は、この「何から始めればいいかわからない」こそが、挫折の最大の原因です。

1衝撃のデータ──英語学習者の87%が3ヶ月以内に挫折する現実

「今年こそ英語をやるぞ!」と決意したのに、気づけば参考書にホコリが積もっている──。あなただけではありません。ビズメイツが社会人を対象に行った調査によると、英語学習経験のある社会人の87.4%が「挫折したことがある」と回答しています。

さらに衝撃的なのは、その挫折までの期間です。

81.4%
の人が「3ヶ月以内」に初めての挫折を経験
出典:ビズメイツ「英語学習の挫折に関する実態調査」

では、なぜこれほど多くの人が挫折するのか?挫折理由のトップ3を見てみましょう。

順位 挫折理由 割合
🥇 1位 モチベーションの低下 62.9%
🥈 2位 継続するための自己管理ができなかった 51.5%
🥉 3位 英語の上達を感じることができなかった 39.2%

注目すべきは、3位の「上達を感じられなかった」という回答。これは多くの場合、「何から始めればいいかわからず、効果の薄い学習をしてしまった」ことが原因です。

つまり、学習の「順番」を間違えると、どれだけ時間を費やしても成長実感が得られず、モチベーションが下がり、挫折する──という負のループに陥るのです。

💡

逆に言えば、「正しい順番」で「小さく」始めれば、87%の挫折組に入らずに済むということ。この記事では、第二言語習得研究と脳科学に基づいた「科学的に正しい学習順序」をお伝えします。

2科学が示す「最強の学習順序」──なぜ順番が全てなのか

第二言語習得(SLA: Second Language Acquisition)の研究では、言語を効率的に習得するためには「インプット → 気づき → 内在化 → アウトプット」という段階を踏むことが重要だとされています。

言語学者スティーブン・クラッシェンは「理解可能なインプット(i+1)」の重要性を提唱しました。つまり、今の自分のレベルより少しだけ上の内容を大量にインプットすることが、言語習得の鍵だということです。

最新の神経言語学の研究では、さらに踏み込んで「受動的なインプットだけでなく、能動的な関与や実践が脳の可塑性を促す」ことが明らかになっています。

これらの研究を総合すると、最も効率的な英語学習の順序は以下のようになります。

1
発音
音の土台を作る
2
文法
文の骨格を理解
3
単語
語彙を増やす
4
リスニング
耳を鍛える
5
スピーキング
口から出す

重要ポイント:これは「完全に順番通り」という意味ではありません。文法と単語は同時並行で進めてOK。ただし「発音を最初にやる」「インプットが先、アウトプットが後」という大原則は守りましょう。多くの人が最初からオンライン英会話を始めて挫折しますが、これは基礎インプットが不足しているからです。

3STEP1:発音──すべての土台はここから始まる

「え、発音から?単語や文法が先じゃないの?」と思った方、多いでしょう。しかし、発音を最初にやるかどうかで、その後の学習効率が劇的に変わります

なぜなら、英語には日本語に存在しない音が大量にあるからです。「L」と「R」、「th」の音、「æ」と「ʌ」の違い──これらを認識できないまま単語を覚えても、リスニングで聞き取れず、スピーキングでも通じないという二重の壁にぶつかります。

発音を後回しにした場合
単語を「カタカナ読み」で記憶
→ リスニングで聞き取れない
→ 話しても通じない
学び直しが必要になる
発音を最初にやった場合
英語の「音」を正しく認識
→ 単語を「音」とセットで記憶
→ リスニング・スピーキングに直結
すべての学習が加速する

🎯 具体的にやること(目安:2〜4週間)

MUST
フォニックス(Phonics)を学ぶ
アルファベットの「名前」ではなく「音」を覚える学習法。英語圏の子どもが最初に学ぶ方法です。YouTube で「フォニックス 大人」と検索すれば無料の良質な動画が見つかります。
MUST
発音記号の読み方を覚える
辞書に載っている発音記号(IPA)を読めるようになれば、新しい単語の正確な発音を自力で確認できるようになります。一生モノのスキルです。
推奨
口の形・舌の位置を意識した練習
「L」は舌先を上の歯の裏につける、「R」は舌を奥に引く──こうした「口の物理的な動き」を覚えると、カタカナ英語から脱却できます。鏡の前での練習が効果的。

“You can’t hear what you can’t pronounce.”

「発音できない音は、聞き取れない」

── 第二言語習得研究の基本原則

4STEP2:中学英文法──たった15パターンで英語の8割をカバー

「文法」と聞くだけでアレルギー反応が出る人もいるかもしれません。しかし、安心してください。日常英会話に必要な文法の大部分は、中学3年間で習う内容だけでカバーできます。

重要なのは、「完璧に理解すること」ではなく、「パターンとして身につけること」です。

📋 まず押さえるべき15の基本パターン

優先度 文法項目 例文
★★★ SVO(主語+動詞+目的語) I like coffee.
★★★ be動詞(am/is/are) She is a teacher.
★★★ 疑問文・否定文 Do you like sushi?
★★★ 現在形・過去形・未来形 I went to Tokyo yesterday.
★★☆ 現在進行形 I’m studying English now.
★★☆ 助動詞(can/will/should) Can you help me?
★★☆ 比較級・最上級 This is bigger than that.
おすすめの学習法

「参考書は1冊を完璧に」が鉄則

ネットで推奨されている参考書を何冊も買いあさる必要はありません。自分に合った1冊を見つけて、最後までやり切ることが最も効果的です。おすすめは「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。」など、イラスト付きで解説が平易な参考書。大人の学び直しに最適です。

5STEP3:英単語──1,000語で日常会話の85%を理解できる

「英単語をたくさん覚えなきゃ…」と気が重くなるかもしれませんが、実は日常会話で使われる単語数は意外と少ないのです。

1,000語
で日常会話の約85%をカバー
3,000語
でほとんどの場面に対応可能
※中学校で学ぶ英単語は約1,200語

つまり、中学レベルの英単語をマスターするだけで、日常会話の大半を理解できるということです。「ゼロから1万語覚えなきゃ」と思う必要はまったくありません。

🎯 効果的な単語の覚え方

最重要
「音」とセットで覚える
STEP1で発音を学んだ効果がここで発揮されます。単語を見るだけでなく、必ず声に出して音読しながら覚える。音声付きの単語帳やアプリを活用しましょう。
最重要
「文脈」の中で覚える
「apple=りんご」と一対一で暗記するより、“I eat an apple every morning.” のようにフレーズごと覚える方が、記憶に残りやすく、実際の会話でもすぐ使えます。
おすすめ
身の回りのものを英語で言ってみる
幼児が「これなに?」と聞きまくるように、日常で目に入るものを英語で言ってみる習慣をつけましょう。「これ英語で何ていうんだろう?」と考えるだけで、ボキャブラリーは自然に増えていきます。
💡

現実的な目標設定:ゼロからスタートする場合、まずは1ヶ月で100語(1日約3〜4語)を目標にしましょう。1年で1,200語──これは中学英語の語彙数とほぼ同じ。十分に達成可能な数字です。

6STEP4:リスニング──「聞き流し」では永遠に聞き取れない科学的理由

「とりあえず英語を聞き流していれば、いつか聞き取れるようになるだろう」──これは、最も多くの人が陥る英語学習の幻想です。

クラッシェンのインプット仮説は「理解可能なインプット」の重要性を説いていますが、ここでのキーワードは「理解可能な」という部分。意味がわからない英語をBGMのように流し続けても、脳はそれを「ノイズ」として処理してしまいます。

🔇
効果が薄いリスニング
・意味のわからない英語の聞き流し
・映画を字幕なしでただ観る
・ネイティブの高速英語をいきなり聞く
脳は「ノイズ」として処理
🎧
効果の高いリスニング
・7〜8割理解できる素材を繰り返し聞く
・スクリプト(文字)を確認してから聞く
・シャドーイングで能動的に参加する
脳が「言語」として処理

🎧 シャドーイング──最強のリスニング訓練法

シャドーイング(Shadowing)とは、英語の音声を聞きながら、影のように追いかけて発声する練習法です。「先生の後について繰り返す」リピーティングとは異なり、音声とほぼ同時に発声します。

この練習法が効果的な理由は、「聞く」と「話す」を同時に行うことで、脳が音声処理と発話処理を統合的に鍛えられるからです。

シャドーイングの正しいやり方
1
まずスクリプトを読んで内容を理解する(知らない単語を調べる)
2
スクリプトを見ながら音声と一緒に音読する(オーバーラッピング)
3
スクリプトを見ずに、音声だけを追いかけて発声する(シャドーイング本番)
4
同じ素材を最低10回は繰り返す(完璧にできるまで)

7STEP5:スピーキング──アウトプットの「最適タイミング」とは

多くの人が犯す間違いの一つが、「英語を話せるようになりたい → だからまずオンライン英会話を始めよう」という判断です。

気持ちはわかります。しかし、基礎的なインプット(発音・文法・単語・リスニング)がないまま英会話レッスンに飛び込むと、講師の言っていることが聞き取れず、自分の言いたいことも言えず、沈黙の時間が続く──これが自信喪失と挫折の最大のトリガーになります。

⚠️ 初心者がいきなりオンライン英会話を始めるとどうなるか
基礎知識がない → 講師の質問が理解できない → 沈黙が続く → 自信をなくす → 「自分には英語は無理だ」と思い込む → 挫折(3ヶ月以内)

ではいつスピーキングを始めるべきか?

目安は「中学英文法の基本がわかり、1,000語程度の語彙があり、簡単なリスニング素材を7割程度聞き取れるようになったタイミング」です。期間にすると、毎日30分〜1時間学習した場合で約2〜3ヶ月後が一つの目安です。

🗣️ スピーキング練習のステップ

Level 1
ひとり英会話(独り言トレーニング)
日常の動作を英語で実況する。「I’m making coffee now.」「I need to go to the store.」──誰にも聞かれない環境で、恥ずかしさゼロで口を動かす最強の練習法。
Level 2
瞬間英作文トレーニング
日本語の短い文を見て、瞬時に英語に変換する練習。「知っている」を「使える」に変換するための、最も効果的なブリッジトレーニングです。
Level 3
オンライン英会話(日本人講師から)
超初心者にはネイティブより日本人講師がおすすめ。わからない点を日本語で確認でき、学習効率が格段に上がります。ネイティブのレッスンは、ある程度慣れてからでも遅くありません。

8「1日30分」を習慣にする科学的メソッド──行動経済学の知恵

ここまで「何をやるか」を解説してきましたが、最も重要なのは実は「続けること」です。学研のスキルアップ研究所の調査によると、英語学習の習慣化にはある明確なパターンがあることがわかっています。

学習パターン 半年以上継続できた割合 評価
週4日以上・1日30分〜2時間 66.0%〜67.8% 🟢 最も習慣化しやすい
週1〜3日 45.6% 🟡 半数が脱落
1日3時間以上 0.0% 🔴 習慣化ほぼ不可能

驚くべきことに、1日3時間以上学習した人の半年以上継続率は0%です。やりすぎは逆効果。「1日30分〜1時間を週4日以上」が科学的にベストな学習ペースです。

🧠 行動経済学が教える「続ける技術」

IIBC(TOEIC運営団体)の調査に携わった行動経済学者は、英語学習が続かない原因として「現在バイアス」を指摘しています。人間は遠い将来の利益(英語が話せるようになる)より、目の前の快楽(SNSを見る、テレビを観る)を優先してしまう性質があるのです。

対策① 「トリガー」を設定する
「いつ」「どこで」「何を」やるかを事前に決めておく。例:「朝の通勤電車に乗ったら、単語アプリを開く」「歯磨きの後に5分間シャドーイングする」。既存の習慣に紐づけることで、新しい行動を自動化しやすくなります。
対策② 「5分ルール」を採用する
研究によると、たった5分でも勉強を始めると、その後も学習を続けられる確率が高くなることがわかっています。「30分やらなきゃ」ではなく「とりあえず5分だけ」と思えば、ハードルは劇的に下がります。
対策③ 完璧主義を捨てる
週7日中5日できればOK。達成率70%でも合格と決めておく。「今日はサボってしまった…もうダメだ」と全部やめてしまうのが最悪のパターン。1日休んでも翌日また始めれば、それは立派な「継続」です。

“Success is the product of daily habits—not once-in-a-lifetime transformations.”

「成功は日々の習慣の産物であり、一度きりの大変革ではない」

── ジェームズ・クリア 『Atomic Habits』著者

まとめ──「正しい順番」×「小さな継続」が最短ルート

英語学習は、才能ではなく「戦略」と「習慣」の問題です。
正しい順番で、小さく始めて、長く続ける──それだけで87%の挫折組から抜け出せます。

STEP1:発音から始める(2〜4週間)──すべての土台
STEP2:中学英文法を1冊やり切る──パターンで覚える
STEP3:1,000語を「音」と「文脈」で覚える
STEP4:シャドーイングで「能動的な」リスニング
STEP5:インプットが溜まってからスピーキング開始
1日30分〜1時間 × 週4日以上 が最強の学習ペース
完璧を目指さない。週5日できたら自分を褒める

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