3.1 セクション別の時間配分
合格者向けの指導では次のような時間配分が推奨されています。
• 文法・語法(15分) — 知識問題は得点源なので先に解いて確実に点を稼ぎます。大問3〜5を15分で片付け、残り時間を長文と英作文に充てます。
• 自由英作文(20分) — 課題英作文5〜10分、自由英作文10〜15分が目安です。早い段階で書き上げることで精神的余裕が生まれます。
• 長文読解(50分前後) — 最も時間がかかるセクションです。段落ごとに要旨を把握しながら、設問に対応していきます。
• 余裕時間(5〜10分) — 見直しや迷った問題の検討に使います。長文の難易度に応じて適宜調整します。
3.2 解答順序の戦略
• 文法→英作文→長文 — 文法・語法問題で確実に得点し、英作文を済ませてから長文に集中する順序が推奨されています。知識問題と英作文を先に済ませると、残り時間を長文読解に充てられます。
• 得意分野から着手 — 長文を先に読んだ方が集中できる受験生もいます。自分の得意・不得意を考慮して順序を決めましょう。
4.1 大問Ⅰ・Ⅱ:長文読解
• パラグラフ・リーディングを徹底 — 英語の論説文は「1段落1メッセージ」の原則で書かれています。段落ごとに主張をメモし、12個から選ぶ段落要旨問題に対応します。
• ディスコースマーカーに注目 — however, therefore, on the other handなどの論理マーカーや指示語に注意し、話の展開を追います。
• 超長文への対策 — 総語数1,900語という分量に慣れるため、国際教養学部の過去問や『やっておきたい英語長文700・1000』などで演習量を増やします。
• 時間管理 — 段落要旨問題は選択肢が多く時間がかかるため、解けない問題は後回しにして、確実に解ける問題から処理します。
4.2 大問Ⅲ〜Ⅴ:文法・語法・語句問題
• 空所補充は消去法 — 確信のあるところから埋め、残りの選択肢を絞っていきます。文脈に適合するか必ず確認します。
• 正誤判定は慎重に — 「ALL CORRECT」のケースがあるため、4つの下線部すべてを丁寧にチェックします。代名詞の指示対象や時制の一致に特に注意します。
• 基礎知識の徹底 — 『Next Stage』『全解説頻出英文法・語法問題1000』などで基礎を固め、短時間で処理できるようにします。
• イディオム対策 — 『速読英熟語』『解体英熟語』で前置詞のイメージを理解し、未知の表現でも推測できる力を養います。
4.3 大問Ⅵ:課題英作文
• 指示の確認(1分) — 何を求められているか正確に把握します。
• 日本語メモ作成(2〜3分) — 含めるべき要素を箇条書きでまとめます。
• 執筆(5〜7分) — フォーマルな表現を使い、簡潔に要点を伝えます。
• 見直し(2〜3分) — 文法ミスやスペルミスをチェックします。
4.4 大問Ⅶ:自由英作文
• 三部構成を意識 — 導入・本文・結論の構成で論理的に展開します。
• 資料分析型への対応 — グラフや地図から客観的事実を読み取り、その解釈と自分の意見をバランスよく述べます。
• 語数管理 — 80〜120語という制限内で、無駄のない表現を心がけます。
• 採点基準 — 構成力・内容の的確さ・論理性・英語表現・書式遵守の5要素が評価されることを意識します。
5.1 単語・熟語の覚え方
• 基本語彙の完成 — 『ターゲット1900』レベルを完璧にし、『英検準1級でる順パス単』で上級語彙を補強します。
• 音源付き教材の活用 — 『速読英単語[必修編・上級編]』『システム英単語Premium』など音源付きの教材で、聴覚も使って定着させます。
• 語源学習 — 同じ語根・接頭辞を持つ単語をまとめて覚えると、未知語の意味推測に役立ちます。
5.2 文法・語法の強化
• 標準問題集の徹底 — 『Next Stage』で基礎を固めた後、『全解説頻出英文法・語法問題1000』で入試レベルの演習を行います。
• 正誤問題対策 — 『スーパー講義英文法・語法 正誤問題』で、法学部特有の「ALL CORRECT」形式に慣れます。
• 文法の体系的理解 — 単なる暗記ではなく、なぜそうなるのかを理解することで応用力がつきます。
5.3 長文読解力の養成
• 英文解釈の基礎固め — 『英文解釈の技術100』『ポレポレ英文読解プロセス50』で構文把握力を身につけます。
• 音読の習慣化 — 復習時に意味のまとまりを意識しながら20回程度音読すると、読解スピードが向上します。
• 要約練習 — 読んだ長文を日本語で要約する練習をすると、論理構造の把握力が向上します。
5.4 英作文力の向上
• 基本例文の暗記 — 『英作文ハイパートレーニング 和文英訳編』で基本的な表現パターンを身につけます。
• 自由英作文の型を習得 — 『大学入試 英作文のトレーニング自由英作文篇』で、論理的な文章の書き方を学びます。
• 添削の活用 — 自分で書いた英文は必ず添削を受け、ミスのパターンを把握します。
6.1 予想される出題傾向
過去の傾向分析から、2026年度も以下の形式が継続すると予想されます。
• 資料分析型自由英作文の定着 — 2025年度に導入された新形式は、法学部が求める論理的思考力と合致するため継続するでしょう。
• 超長文読解の維持 — 総語数1,900語前後という分量は変わらず、段落要旨問題の12個の選択肢も継続すると考えられます。
• 文法問題の安定 — 「ALL CORRECT」形式を含む正誤判定問題は法学部の特徴として残るでしょう。
• 実用的な課題英作文 — 日常生活やビジネス場面でのコミュニケーションを題材とした問題が出題される可能性が高いです。
6.2 2026年度に向けた学習計画
• 基礎固め(〜夏) — 単語・熟語・文法の基礎を徹底的に固めます。特に文法は「ALL CORRECT」形式に対応できる確実な知識が必要です。
• 読解力強化(夏〜秋) — 超長文に慣れるため、週3〜4本のペースで1,000語以上の長文を読みます。
• 英作文対策(秋〜冬) — 資料分析型の問題に慣れるため、グラフや図表を使った英作文練習を重点的に行います。
• 過去問演習(冬〜直前) — 時間配分を意識しながら、過去5年分の問題を繰り返し解きます。
学習領域 |
教材 |
特徴 |
単語 |
『ターゲット1900』『英検準1級でる順パス単』 |
基本語彙から上級語彙まで段階的に学習可能。 |
熟語 |
『速読英熟語』『解体英熟語』 |
前置詞のイメージから熟語を理解できる。 |
文法・語法 |
『Next Stage』『全解説頻出英文法・語法問題1000』 |
基礎から入試レベルまで網羅的に学習。 |
正誤問題 |
『スーパー講義英文法・語法 正誤問題』 |
法学部特有の形式に対応。 |
長文読解 |
『やっておきたい英語長文700・1000』 |
超長文対策に最適。 |
英文解釈 |
『英文解釈の技術100』『ポレポレ英文読解プロセス50』 |
構文把握力を養成。 |
英作文 |
『英作文ハイパートレーニング』シリーズ |
和文英訳から自由英作文まで体系的に学習。 |
早稲田大学法学部の英語試験は、超長文読解・特徴的な文法問題・実用的な英作文という3つの柱で構成されています。2025年度の自由英作文形式の変更は、より実践的な英語力を求める方向性を示しています。合格のためには、1,900語という膨大な英文を効率的に処理する読解力、「ALL CORRECT」形式にも対応できる確実な文法知識、そして論理的で説得力のある英作文を書く力が必要です。
2026年度も形式の大きな変更は予想されませんが、各分野でバランスよく高得点を取ることが求められます。早期から計画的に学習を進め、過去問演習を通じて時間配分の感覚を身につけることが合格への近道です。
法学部の英語は、将来の法曹や公務員に必要な「正確な読解力」「論理的思考力」「実務的表現力」を問う試験となっています。幅広いジャンルの英文に触れ、バランスの取れた英語力を養成することが合格への道となるでしょう。