「英単語を何時間もかけて覚えたのに、次の日にはすっかり忘れてしまっている…」そんな経験、ありませんか?
多くの人が抱えるこの悩みを解決する、一風変わった、しかし脳科学的に非常に効果的な学習法があります。それが、脳科学者の茂木健一郎さんが提唱する「鶴の恩返し勉強法」です!
今回は、あなたの「覚えられない」を「忘れられない」に変える、この画期的な勉強法を、脳科学的な根拠から具体的な実践方法まで、詳しく解説していきます!
「鶴の恩返し勉強法」とは?
このユニークな名前の勉強法は、NHKの人気番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」で茂木健一郎さんによって紹介され、大きな話題を呼びました。(茂木健一郎さんの著書・脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」という本でも紹介されています)
その名前の由来は、「とても他人には見せられないほど激しい姿で勉強するから」。まるで、機織りを見られたくない鶴のように、一人きりの空間で集中して取り組むことから名付けられました。
具体的な手順は、驚くほどシンプルです。
| ステップ | アクション | 使う感覚 |
|---|---|---|
| 1. インプット | 教科書や単語帳などを集中して見る・読む | 視覚 |
| 2. アウトプット | すぐに資料を閉じ、声に出しながらノートに書き出す | 聴覚・触覚(運動) |
| 3. 反復 | 上記のサイクルを、時間制限を設けて高速で繰り返す | 五感をフル活用 |
一見すると単純な反復練習に見えますが、その裏には、脳の記憶メカニズムを最大限に活用するための巧妙な仕掛けが隠されています。
なぜ効果絶大?脳科学が解き明かす4つの秘密
では、なぜこの勉強法はこれほどまでに記憶の定着に効果があるのでしょうか。その秘密を、脳科学の観点から紐解いていきましょう。
1. 五感を総動員する「マルチモーダル学習」
鶴の恩返し勉強法の最大の特徴は、「見る(視覚)」「話す(聴覚)」「書く(触覚・運動感覚)」という複数の感覚(モダリティ)を同時に、そして連続的に使う点にあります。これは「マルチモーダル学習」と呼ばれ、脳科学的に記憶の定着に非常に有効であることが証明されています。
脳科学の研究では、記憶を定着させるカギは五感を同時に使うこと(マルチモーダル学習)であることが繰り返し示されています。視覚だけでなく、聴覚・触覚・嗅覚・味覚、そして感情をフルに使うことで、脳内で記憶を司る海馬や扁桃体・大脳辺縁系が刺激され、長期記憶として残りやすくなるのです。
情報を一つの経路だけでなく、複数の経路から脳に送り込むことで、それぞれの情報が関連付けられ、より強固で忘れにくい記憶ネットワークが脳内に構築されるのです。
2. 「苦しい」が「快感」に変わる!ドーパミンの魔法
茂木氏は著書『脳を活かす勉強法』の中で、「強化学習」の重要性を説いています。これは、脳が「報酬」を得ることで、その行動を自発的に繰り返すようになる学習の仕組みです。
できることをやっても脳は喜ばない。無理そうなことをクリアすると、ドーパミンが大量に分泌され、『癖になる』
鶴の恩返し勉強法における「時間制限」や「すぐに資料を閉じて思い出す」という行為は、脳に意図的な負荷(苦しさ)を与えます。しかし、それを乗り越えて「思い出せた!」「書けた!」という達成感を味わった瞬間、脳内では「ドーパミン」という快感物質が放出されます。
このドーパミンが報酬となり、「もっと学びたい」という意欲を引き出し、学習行動そのものを強化してくれるのです。
3. 脳を物理的に変える「シナプス可塑性」
私たちが何かを学び、記憶するとき、脳の中では物理的な変化が起きています。神経細胞(ニューロン)同士のつなぎ目である「シナプス」の結合が強まったり、新しいシナプスが作られたりするのです。これを「シナプス可塑性」と呼びます。
新しい経験や体験などによって脳が活性化され、シナプスの通りが良くなれば伝達物質の放出量が増え、数が増えれば接点が増える分、情報をたくさん伝えられる・受け取れるという効果がみられます。
鶴の恩返し勉強法のように、五感を使い、高い集中状態で情報を繰り返しインプット・アウトプットすることは、このシナプス可塑性を強力に促進します。つまり、学習を繰り返すことで、特定の知識に関する脳の神経回路が文字通り「太く、強く」なり、情報がスムーズに引き出せるようになるのです。
さらに、東洋大学の児島伸彦教授によれば、失敗から学習し修正することも『シナプスの可塑性』が関係しているとのこと。自転車に乗れるようになるまでの過程と同じく、思い出せずに悔しい思いをしたり、間違えたりする経験自体が、脳の成長を促しているのです。
4. 集中力を極限まで高める「タイムプレッシャー」
「時間制限をかける」というのも、この勉強法の重要な要素です。タイムプレッシャーは、私たちの集中力を極限まで高め、脳の処理能力を向上させる効果があります。
ダラダラと時間をかけて勉強するのではなく、「10分でこのページを覚える!」といった具体的な目標を設定することで、脳は目の前のタスクに全リソースを投入せざるを得なくなります。この高い集中状態が、より効率的で深い学習を可能にするのです。
原田英語の公式Xより「脳にガツンと定着するんです!」
私は英単語を覚える際、このやり方を使って覚えています!昔、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、脳科学者の茂木健一郎さんが「鶴の恩返し勉強法」と題して紹介されていた方法です。
・教科書や資料(単語帳など)を見て一時的に記憶(読む・見る)
・すぐに閉じて、声に出しながらノートに書く(話す・書く)
・これを繰り返し、必要に応じてお手本を見ながら書く。五感をフル活用して、時間制限をかけて集中!
この方法を見てから、私も英単語や知らない用語を覚える時に実践しています!複数の感覚を同時に使うから、脳にガツンと定着するんです^^
ちなみに「鶴の恩返し勉強法」という名前の由来は、大声で感情を込めて単語を読んだり、時には鉛筆を机に叩きつけたりするような激しい姿が、とても他の人には見せられないから・・・だそうです!

<内容>~暗記力・集中力・育ての極意~
「仕事に集中できない」「物忘れがなくならない」。脳科学者・茂木健一郎が、仕事や勉強をするうえでの“脳”にまつわる悩みに答え、自らの体験をもとに編み出した脳活用法を一挙に紹介する。「脳は何歳からでも、工夫しだいで鍛えることができる」と茂木は言う。脳の仕組みをフル活用した驚きの暗記法、集中力を高めるための独自のトレーニング、子どもや部下の力を引き出す“育ての極意”など、ユニークな脳活用法を紹介。(2008年4月29日放送)出演者:脳科学者・茂木健一郎/住吉美紀アナウンサー
*本編43分/画面サイズ16:9LB/日本語字幕付
効果を最大化する実践のコツ
鶴の恩返し勉強法をより効果的に実践するために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
まず、一人になれる環境を確保すること。自宅の個室、カラオケボックス、車の中など、周囲を気にせず声を出せる場所を選びましょう。恥ずかしさを捨てて全力で取り組むことが、この勉強法の効果を最大限に引き出します。
次に、時間を区切って取り組むこと。「5分でこの10単語を覚える」のように、具体的で少し挑戦的な目標を設定します。タイマーを使うと、プレッシャーがかかり集中力が高まります。
そして、感情を込めること。ただ機械的に読み上げるのではなく、抑揚をつけたり、ジェスチャーを加えたりすることで、感情と結びついた記憶はより強固になります。脳科学的にも、扁桃体が活性化することで記憶の定着が促進されることがわかっています。
今日から始める「記憶ハック」
「鶴の恩返し勉強法」は、単なる根性論ではありません。脳の仕組みを巧みに利用した、極めて合理的な学習戦略です。
✓ 五感を使い(マルチモーダル学習)— 視覚・聴覚・触覚を同時に刺激する
✓ 適度な負荷をかけ(ドーパミン放出)— 達成感が学習意欲を高める
✓ 集中して繰り返す(シナプス可塑性の促進)— 脳の神経回路を物理的に強化する
