原田先生の英語学習法&お役立ちコラム

【Nature誌に載った衝撃の論文が英語の勉強法を根本から変えるかもしれない】言語習得の常識が崩壊した話

🧠 2026年2月 Nature Neuroscience

生後たった2ヶ月の赤ちゃんが
猫とアヒルを区別“していた
—言語習得の常識が崩壊した話
Nature誌に載った衝撃の論文が「英語の勉強法」を根本から変えるかもしれない

2026年2月2日。
世界最高峰の神経科学誌 Nature Neuroscience に、ある論文が掲載されました。

タイトルはこうです。

📄 原題

“Infants have rich visual categories in ventrotemporal cortex at 2 months of age”

(乳児は生後2ヶ月の時点で腹側側頭皮質に豊かな視覚カテゴリーを持っている)

O’Doherty, C. et al. Nat Neurosci (2026). DOI: 10.1038/s41593-025-02187-8

「え? 赤ちゃんの脳の話? 英語学習と何の関係があるの?」

と思ったあなた。
めちゃくちゃ関係があります。

この論文が示したのは、人間の脳は「言葉を覚える前から、世界を分類している」という事実。
つまり、私たちの脳は言語よりも先に「カテゴリー」を作る設計になっているのです。

この発見が意味すること。それは——
「単語帳で1語ずつ暗記」する勉強法は、脳のメカニズムに逆らっているかもしれないということです。

🔬 研究の概要:赤ちゃん130人をMRIに入れた

この研究を行ったのは、アイルランドのトリニティ・カレッジ・ダブリン(Trinity College Dublin)の神経科学チーム。

研究の規模がまずすごい。
生後2ヶ月の赤ちゃん130人をfMRI(機能的磁気共鳴画像法)にかけたのです。

「え、赤ちゃんってMRIに入れるの?」——入れました。ビーズクッションの上に寝かせ、ノイズキャンセリングヘッドフォンを装着させて、カラフルな画像を15〜20分間見せたのです。

🧪 実験の概要

対象:生後2ヶ月の赤ちゃん130人(追跡調査で9ヶ月時も測定)

方法:覚醒状態でfMRIスキャン(成功率78%——驚異的!)

刺激:猫、鳥、アヒルのおもちゃ、ショッピングカート、木など12カテゴリーの画像

分析:AIモデルで赤ちゃんの脳活動パターンを大人の脳と比較

掲載誌:Nature Neuroscience(2026年2月2日)

そして、驚くべき結果が出ました。

💥 衝撃の結果:2ヶ月児の脳は「大人と同じように」分類していた

赤ちゃんたちの脳スキャン結果を分析したところ、以下のことが判明しました。

📌 3つの核心的発見

① 生後2ヶ月で、脳はすでに「生きもの」と「無生物」を区別していた
猫を見たときと、ショッピングカートを見たときで、脳の活動パターンが明確に異なっていた。

② カテゴリー分類のパターンが「大人の脳」と類似していた
腹側視覚皮質という領域で、大人と同じ方向のカテゴリー構造が検出された。

③ 高次の脳領域が「低次」より先に発達していた
形の知覚を担う領域よりも、カテゴリー分類を担う「上位の」領域のほうが先に成熟していた。

リード著者のCliona O’Doherty博士(現スタンフォード大学)はこう述べています。

“Although at two months, infants’ communication is limited by a lack of language and fine motor control, their minds were already not only representing how things look, but figuring out to which category they belonged.”

(生後2ヶ月の赤ちゃんは、言語も細かい運動制御もまだないが、彼らの脳はすでに「見たものがどう見えるか」だけでなく、「どのカテゴリーに属するか」を分類していた。)

つまり——

🧠 人間の脳は「言葉を覚える前」から
世界を分類するようにできている

これが今回の研究の核心です。

💡「腹側側頭皮質」ってどこ?

脳の裏側の下あたりにある領域。大人の脳では「顔の認識」「物体の識別」「文字の読み取り」に関わっています。英語では ventrotemporal cortex と呼ばれ、言語処理にも深く関わる領域です。

🔗 で、これが英語学習とどう関係するの?

ここが一番重要なポイントです。
この研究が英語学習者に与える示唆は、実は3つあります。

示唆① 脳は「単語1個」ではなく「カテゴリー」で学ぶ

赤ちゃんの脳が「猫」という単語を知る前に、すでに「猫っぽいもの」をグループ化していたように、人間の脳は「意味のまとまり」で情報を処理するようにできているのです。

これを英語学習に置き換えると——

❌ 脳に逆らう勉強法
apple → りんご、banana → バナナ、cherry → さくらんぼ……と1語ずつバラバラに暗記
✅ 脳に沿った勉強法
「果物」というカテゴリーの中で apple / banana / cherry をまとめて覚える。さらに “ripe fruit”(熟した果物)”citrus fruit”(柑橘類)などの上位カテゴリーと結びつける。

脳は最初から「分類マシン」なのだから、分類しやすい形で入力してあげるのが最も自然な学習法だということです。

示唆② 「コロケーション」が最強な理由は脳科学で説明できる

赤ちゃんの脳は、別々の猫の画像を見ても「同じカテゴリー」として処理していました。
つまり、脳は「一緒に出現するパターン」を検出して記憶するのが得意なのです。

これはまさにコロケーション学習の原理そのもの。

🗣 コロケーションの例:

make a decision(決定を下す)← “do a decision” とは言わない

heavy rain(大雨)← “strong rain” とは言わない

take a shower(シャワーを浴びる)← “do a shower” とは言わない

help or hinder(助けるか妨げるか)← “help or block” は不自然

「一緒に出現する組み合わせ」をセットで覚えると、脳のパターン認識回路に乗っかれるのです。

1語ずつ覚えるのは、赤ちゃんが「猫の左耳」だけを記憶しようとするようなもの。
脳は「猫という存在全体」をパターンとして掴むのが得意。
英語もフレーズの”かたまり”で掴むのが正解です。

示唆③ 「AIモデルより赤ちゃんのほうが学習効率がいい」という事実

今回の研究で最も示唆的だったのは、共著者のRhodri Cusack教授のこの言葉です。

“Babies learn much more quickly than today’s AI models.”

(赤ちゃんは今日のAIモデルよりもはるかに速く学ぶ。)

GPT-4もGeminiもClaudeも、数百GBのデータで訓練してやっと物体の分類ができるのに、赤ちゃんはたった2ヶ月の視覚経験でそれを成し遂げているのです。

この事実が教えてくれるのは、「量をこなせばいい」というわけではないということ。

赤ちゃんは見た画像の数ではなく、脳の構造的な準備によって効率よく学んでいます。同じように、英語学習も「何時間やったか」ではなく、「脳がどう処理できる形でインプットしたか」が重要なのです。

📖 今日からできる「脳に沿った」英語学習法 3選

この研究の知見を、実際の英語学習に落とし込みます。

1
「カテゴリーマッピング」で単語を覚える
新しい単語を覚えるとき、必ず同じカテゴリーの3〜5語をセットにする。
例:「感情」カテゴリー → anxious / furious / delighted / overwhelmed / indifferent
1語ずつではなく、「対比」や「グラデーション」を意識してグループ化する。

2
「コロケーション」をチャンク(かたまり)で入れる
単語単体ではなく、「よく一緒に使われる組み合わせ」ごと覚える。
例:”make” を覚えるなら → make a decision / make progress / make sense / make an effort
脳のパターン認識回路が自然に起動するので、定着率が段違いになる。

3
「対義語ペア」を意識的に学ぶ
赤ちゃんの脳が「生きもの vs 無生物」で分類していたように、人間の脳は「対比」で記憶する。
例:help or hinder / succeed or fail / expand or shrink / reveal or conceal
対義語ペアは脳のカテゴリー構造にダイレクトに刺さる最強の学習法。
📊 従来の学習法 vs 脳科学に基づく学習法
比較項目 ❌ 従来の学習法 ✅ カテゴリー型学習法
単語の覚え方 アルファベット順に1語ずつ 意味カテゴリーで3〜5語セット
インプット 単語 → 日本語訳の1対1 コロケーション・フレーズ単位
対義語 たまたま出てきたら覚える 意図的にペアで覚える
脳との相性 脳の分類機能を使っていない 脳のカテゴリー処理に最適化
定着率 翌週には半分忘れる 関連づけにより長期記憶に残りやすい
🎓 言語習得研究はすでにこの方向を向いていた

実は、今回のNature論文の結果は、第二言語習得(SLA)研究の知見とも見事に合致します。

例えば、ケンブリッジ大学のLanguage Teaching誌に掲載されたメタ分析では、「偶発的語彙学習」(文脈の中で自然に単語を覚えること)に関する29の研究を分析した結果、「間隔をあけた学習」のほうが「詰め込み学習」より効果サイズが大きいことが確認されています。

さらに注目すべきは、物語テキストで学んだ場合(効果量 g=1.43)が、説明文テキスト(g=0.61)を大きく上回っていたこと。物語のほうが「意味のまとまり」を脳に提供しやすいため、今回の赤ちゃん研究の知見と完全に整合します。

💡要するに?

単語帳を眺めるより、物語や記事の中で文脈ごと英語に触れるほうが脳にフィットする。赤ちゃんの脳研究が、従来のSLA研究の知見を「脳の構造レベル」で裏づけたのです。

✍️ 実践:「カテゴリー型」対義語ペアを覚えよう

最後に、今日から使える「カテゴリー型対義語ペア」を紹介します。
脳のカテゴリー処理を最大限活かすため、頭韻ペアを優先的に選びました

対義語ペア 意味 頭韻 使用場面
help or hinder 助けるか妨げるか H-H ✅ 学術・日常
make or break 成功させるか台無しにするか M-B ビジネス・日常
sink or swim 沈むか泳ぐか(一か八か) S-S ✅ 慣用表現
fight or flight 戦うか逃げるか F-F ✅ 心理学・生物学
boom or bust 好景気か不景気か B-B ✅ 経済・ニュース
feast or famine 豊作か飢饉か(極端な状況) F-F ✅ ビジネス・日常
nature or nurture 生まれか育ちか N-N ✅ 心理学・教育
reveal or conceal 明かすか隠すか R-C(脚韻 -eal) 文学・スピーチ

✍️ 覚え方のコツ:

上の表の8ペアを、声に出して3回ずつ読んでください。

「ヘルプ・オア・ヒンダー」「メイク・オア・ブレイク」「シンク・オア・スウィム」……

頭韻のリズムが心地よいので、音で覚えれば忘れにくい。まさに脳の「パターン認識」に乗っかる覚え方です。

🧠 まとめ:赤ちゃんの脳から学ぶ、最強の英語学習戦略

2026年2月に発表されたこの研究が教えてくれたのは、シンプルだけど深い真実です。

📌 今回のまとめ

🧒 生後2ヶ月の赤ちゃんは、言葉より先にカテゴリーで世界を認識していた

🧠 人間の脳は「分類マシン」。だからカテゴリーで覚える英語学習が最も自然

🔗 コロケーション対義語ペアは、脳のパターン認識を最大限活用した学習法

📚 物語や文脈の中で学ぶほうが、単語帳より脳にフィットする

🤖 赤ちゃんはAIモデルより高効率。量ではなく「脳の処理に合った入力」がカギ

私たちは全員、生後2ヶ月の時点で「超高性能な分類エンジン」を持っていました。
英語学習でも、その脳の原始的な設計に逆らわず、活かす方法を選びましょう。

次に英単語帳を開くとき、ぜひこう考えてみてください。

“赤ちゃんだったら、
この単語をどうグループ化するかな?”

その発想こそが、あなたの英語力を次のレベルに引き上げる鍵になるはずです。

📚 参考文献

O’Doherty, C. et al. (2026). Infants have rich visual categories in ventrotemporal cortex at 2 months of age. Nature Neuroscience. DOI: 10.1038/s41593-025-02187-8

Webb, S. & Chang, A. (2023). How effective is second language incidental vocabulary learning? A meta-analysis. Language Teaching, Cambridge University Press.

ScienceDaily (2026, Feb 5). “Two-month-old babies are already making sense of the world.” Trinity College Dublin.

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(2026年2月25日時点の情報です)

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