原田先生の英語学習法&お役立ちコラム

【保存版】大人のフォニックス完全ガイド|英語Phonicsの26文字+全ルールを図解で総まとめ!

🔊 PHONICS FOR ADULTS

学校では絶対に教えてくれなかった
英語の読み方」の超基本
──大人のフォニックス完全ガイド

SLA(第二言語習得論)の研究が証明する
「音」から学び直すことの科学的効果と、
26文字+主要ルールを1記事で完全網羅

「Apple」を「アップル」と読んでいませんか?
英語圏の子どもは、Aを「エー」ではなく「ア(/æ/)」と最初に学びます。
この「文字と音のルール」=フォニックスを、日本の学校教育は40年以上スキップしてきました。
その結果──私たち大人は「カタカナ英語」という巨大なハンデを背負ったまま、英語と格闘し続けているのです。
📖 この記事の内容
  1. フォニックスとは何か?──日本人の99%が知らない「英語の五十音」
  2. なぜ「大人こそ」フォニックスを学ぶべきなのか?──SLA研究が示す科学的根拠
  3. 【完全図解】26文字のフォニックス読み一覧──アルファベット読みとの決定的な違い
  4. 短母音 vs 長母音──英語の「音の二面性」を理解する
  5. サイレントE(マジックE)──たった1文字で発音が激変する魔法のルール
  6. ダイグラフ&ブレンド──2文字で1音を作る最重要パターン
  7. 母音チーム・Rコントロール母音・二重母音──中級ルールを攻略
  8. フォニックスの「限界」と「その先」──Schwa、プロソディ、サイトワード
  9. まとめ──大人の学び直しロードマップ

1フォニックスとは何か?──日本人の99%が知らない「英語の五十音」

フォニックス(Phonics)とは、英語の「文字(スペリング)」と「音(発音)」の対応ルールを体系化した学習法です。

私たち日本人にとって最もわかりやすいたとえは、「英語版の五十音表」。日本語では「あ」という文字を見れば「ア」と読めます。なぜなら、ひらがなは「文字=音」が完全に一致しているから。しかし英語では、「A」という文字は「エー」とも「ア」とも「エイ」とも読める。この複雑さが、日本人を混乱させてきた元凶です。

🇯🇵
日本語の場合
「あ」→ 常に「ア」
「か」→ 常に「カ」
文字と音が1対1
50音を覚えればすべて読める
🇺🇸🇬🇧
英語の場合
「A」→ /æ/, /eɪ/, /ɑ/, /ə/…
「C」→ /k/ or /s/
文字と音が多対多
ルール(フォニックス)を知らないと読めない

英語圏の子どもたちは、小学校に入る前後にまずこのフォニックスを徹底的に学びます。「A」を「エー」と覚える前に、「A」が実際の単語の中でどんな音を出すかを体で覚えるのです。

ところが日本の英語教育では、中学1年の最初にABCの「アルファベット読み(エー、ビー、シー…)」を教えたあと、いきなり単語と文法に突入します。「文字がどんな音を出すか」というルールを一度もきちんと教わらないまま、何年も英語を勉強し続ける──これが日本人のカタカナ英語の根本原因です。

💡

知っていましたか? 英語の単語の約75%は、フォニックスのルールに従って発音が予測できると言われています。つまり、フォニックスを知るだけで4分の3の英単語が「初見で読める」ようになるのです。残り25%は例外的なスペリング(サイトワード)ですが、それでもこの「75%の法則」は強力です。

EXAMPLE

「CAT」はなぜ「キャット」と読むのか?

C A T
アルファベット読み:
シー
アルファベット読み:
エー
アルファベット読み:
ティー
フォニックス読み:
/k/ クッ
フォニックス読み:
/æ/ ア
フォニックス読み:
/t/ トゥ

フォニックス読みを繋げると → /k/ + /æ/ + /t/ = キャットゥ
アルファベット読みを繋げても → シー+エー+ティー = ???(読めない!)

2なぜ「大人こそ」フォニックスを学ぶべきなのか?──SLA研究が示す科学的根拠

「フォニックスって子ども向けでしょ?」──これは日本で最もよくある誤解です。実は、大人の英語学び直しにこそフォニックスは絶大な効果を発揮します。その理由を、第二言語習得(SLA)の研究知見から3つ紹介しましょう。

根拠①:「明示的知識」が大人の最大の武器

SLA研究では、言語習得の方法を暗示的学習(implicit learning)明示的学習(explicit learning)に分けます。子どもは大量の音声インプットから無意識にルールを吸収する「暗示的学習」が得意。一方、大人はルールを論理的に理解して応用する「明示的学習」が得意です。

フォニックスは、まさに「英語の音のルールを明示的に体系化した学習法」。つまり、大人の認知的強みにドンピシャで噛み合うのです。

“Adults have a cognitive advantage in learning explicit rules. Phonics instruction leverages this advantage by providing systematic, rule-based knowledge of sound-spelling correspondences.”

「大人は明示的ルールの学習において認知的優位性を持つ。フォニックス指導は、音と綴りの対応に関する体系的・ルールベースの知識を提供することで、この優位性を活用する」

── SLA研究の知見に基づく

根拠②:「発音できる音は聞き取れる」──Motor Theory of Speech Perception

音声知覚の運動理論(Motor Theory)によると、人間は自分が発音できる音を、より正確に聞き取れるようになります。フォニックスで正しい英語の音を口の形・舌の位置・息の使い方から学ぶことで、発音力だけでなくリスニング力も同時に向上するのです。

これは大人にとって特に重要です。なぜなら、日本語の音体系が長年にわたって強固に定着しているため、「カタカナフィルター」を通さずに英語の音を認識するには、意識的な音の再学習が必要だからです。

根拠③:「語彙習得の加速装置」としてのフォニックス

オックスフォード大学のWoore教授らの研究は、フォニックス指導がL2(第二言語)の語彙習得を促進する可能性を示しています。フォニックスのルールを知っていれば、新しい単語に出会った時に「音」と「綴り」を結びつけて記憶できるため、単語の定着率が飛躍的に向上します。

大人は既に数千語の英単語を「知識」として持っています。しかし、その多くがカタカナ発音で記憶されているため、実際のリスニングやスピーキングで機能していません。フォニックスを学ぶことで、この「死蔵語彙」を「使える語彙」に変換できるのです。

📊

大人がフォニックスを学ぶ5つのメリット
❶ カタカナ英語を根本から矯正できる
❷ 初見の単語でも発音を推測できるようになる
❸ リスニング力が劇的に向上する
❹ 既存の語彙を「使える音」に変換できる
❺ 綴りのミスが激減し、語彙の定着率が上がる

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3【完全図解】26文字のフォニックス読み一覧──アルファベット読みとの決定的な違い

ここからが本編です。まずは26文字すべてについて、「アルファベット読み」と「フォニックス読み」の違いを一覧で確認しましょう。母音(A, E, I, O, U)は赤色で表示しています。英語の音の仕組みにおいて、母音は最も重要な要素です。

⚠️

カタカナ表記の注意:英語の発音はカタカナでは正確に表現できません。以下のカタカナはあくまで「近似値」です。必ずネイティブの音声で実際の音を確認してください。特に /æ/(アとエの中間音)や /θ/(舌を噛むスの音)など、日本語に存在しない音に注目しましょう。

🇺🇸 本記事の発音記号はアメリカ英語(General American)に準拠しています。イギリス英語(Received Pronunciation)とは一部の母音表記が異なります。例えば、短母音Oはイギリス式では /ɒ/ と表記されますが、本記事ではアメリカ式の /ɑ/ を採用しています。

文字 アルファベット読み フォニックス読み 発音記号 代表単語 口の形のコツ
A エー ア(アとエの中間) /æ/ apple, ant, cat 口を横に広げて「ア」
B ビー ブッ /b/ bat, book, big 唇を閉じて破裂させる
C シー クッ /k/ cat, cup, car 喉の奥で破裂音
D ディー ドゥッ /d/ dog, dad, desk 舌先を上の歯茎に当てる
E イー /e/ egg, elbow, pet 口を軽く開いて「エ」
F エフ フッ /f/ fish, fan, fox 上の歯で下唇を軽く噛む
G ジー グッ /ɡ/ goat, girl, game 喉の奥で有声破裂
H エイチ ハッ /h/ hat, hot, hen 息を吐くように
I アイ /ɪ/ igloo, ink, pig 軽く口を開いて短く「イ」
J ジェー ヂュッ /dʒ/ jam, jump, jet 舌を上顎に当てて弾く
K ケー クッ /k/ kite, key, king Cと同じ音
L エル ルッ /l/ lion, leg, lamp 舌先を上歯茎にしっかり付ける
M エム ムッ /m/ moon, map, milk 唇を閉じて鼻から「ム」
N エヌ ヌッ /n/ net, nose, nut 舌先を上歯茎に付け鼻音
O オー オ(アに近い) /ɑ/ octopus, ox, hot 口を大きく丸く開く
P ピー プッ /p/ pen, pig, pot 唇を閉じて息で破裂
Q キュー クウッ /kw/ queen, quiet 常にuとセットで/kw/
R アール ゥル /r/ run, red, rain 舌をどこにも付けず巻く
S エス スッ /s/ sun, sit, sock 歯の間から息を出す
T ティー トゥッ /t/ top, ten, tub 舌先を歯茎に当てて弾く
U ユー /ʌ/ umbrella, up, cup 日本語の「ア」に近い短い音
V ヴィー ヴッ /v/ van, vest, vine 上歯で下唇を噛み振動
W ダブリュー ウッ /w/ wet, win, wax 唇をすぼめて「ウ」
X エックス クス /ks/ fox, box, six 語末で/ks/の音
Y ワイ ィヤッ /j/ yes, yellow 日本語の「ヤ行」に近い
Z ズィー ズッ /z/ zoo, zip, zero 歯の間で振動を伴う息

最重要ポイント:5つの母音に注目!
26文字のうち、A・E・I・O・U の5つが母音です。英語の発音において母音は最も複雑で、短母音・長母音など複数の読み方を持ちます。子音は基本的に1つの音しか持たないのに対し、母音は文脈によって音が変わります。「フォニックスの核心は母音の攻略にある」と言っても過言ではありません。

4短母音 vs 長母音──英語の「音の二面性」を理解する

英語の母音(A, E, I, O, U)が他の言語と決定的に異なるのは、同じ文字が「2つの顔」を持つことです。これを「短母音(Short Vowel)」と「長母音(Long Vowel)」と呼びます。

📏
短母音(Short Vowel)
= フォニックス読み
短く、鋭く発音する
前セクションの一覧表の音
例:cat, pet, sit, hot, cut
📐
長母音(Long Vowel)
= アルファベット読み
アルファベットの「名前」で読む
サイレントEや母音チームで発動
例:cake, these, like, hope, cute
母音 短母音の音 代表単語 長母音の音 代表単語
A /æ/ ア(アとエの中間) cat, hat, map /eɪ/ エイ cake, rain, day
E /e/ エ pet, bed, ten /iː/ イー these, see, eat
I /ɪ/ イ sit, pig, hit /aɪ/ アイ like, bike, time
O /ɑ/ オ(アに近い) hot, dog, box /oʊ/ オウ hope, boat, go
U /ʌ/ ア cup, bus, fun /juː/ ユー or /uː/ ウー cute, tube, blue
覚え方のコツ

短母音と長母音の切り替えパターン

英語の母音がどちらで読まれるかは、主に周囲の子音の配置で決まります。最も基本的なルールは2つ:

パターン① CVC(子音+母音+子音)→ 短母音
c-a-t, h-o-t, s-i-t のように「子音で挟まれた母音」は短く読む。

パターン② CVCe(子音+母音+子音+e)→ 長母音
c-a-k-e, h-o-p-e, l-i-k-e のように「語末にeが付く」と母音が長くなる。
これが次のセクションで解説する「サイレントE」のルールです。

5サイレントE(マジックE)──たった1文字で発音が激変する魔法のルール

フォニックスの中で最も有名で、かつ最もインパクトのあるルールが「サイレントE(Silent E)」、別名「マジックE(Magic E)」です。

ルールは驚くほどシンプルです:

語末のEが手前の母音を「アルファベット読み」に変える
C
A
P
cap /kæp/ 帽子
Aは短母音 /æ/
C
A
P
E
cape /keɪp/ マント
Eは読まない → Aが長母音 /eɪ/ に!
P
I
N
pin /pɪn/ ピン
Iは短母音 /ɪ/
P
I
N
E
pine /paɪn/ 松
Eは読まない → Iが長母音 /aɪ/ に!
H
O
P
hop /hɑp/ 跳ぶ
Oは短母音 /ɑ/
H
O
P
E
hope /hoʊp/ 希望
Eは読まない → Oが長母音 /oʊ/ に!
ルール:E自体は発音しない+手前の母音が長母音に変化

🪄 サイレントEのルール

単語の語末にEが付くと、
❶ そのE自体は発音しない(=サイレント)
❷ 手前の母音が「アルファベット読み(長母音)」に変わる

これがどれほど劇的な変化をもたらすか、具体例で見てみましょう。

/kæp/ キャップ
帽子
→ + e →
cape
/keɪp/ ケイプ
マント
aが /æ/(短母音)→ /eɪ/(長母音)に変化。eは読まない。
pin
/pɪn/ ピン
ピン留め
→ + e →
pine
/paɪn/ パイン
iが /ɪ/(短母音)→ /aɪ/(長母音)に変化。eは読まない。
hop
/hɑp/ ホップ
跳ぶ
→ + e →
hope
/hoʊp/ ホウプ
希望
oが /ɑ/(短母音)→ /oʊ/(長母音)に変化。eは読まない。
cut
/kʌt/ カット
切る
→ + e →
cute
/kjuːt/ キュート
かわいい
uが /ʌ/(短母音)→ /juː/(長母音)に変化。eは読まない。
⚠️

サイレントEの例外に注意!
このルールは万能ではありません。以下のような例外があります:
come, some, done → oは長母音にならない(/ʌ/のまま)
love, give, have → 語末がveの単語は例外が多い
are, there, were → 語末reの単語は別ルール
英語の約75%がフォニックスルールに従い、残り25%は例外です。例外は「サイトワード」として個別に覚える必要があります。

6ダイグラフ&ブレンド──2文字で1音を作る最重要パターン

フォニックスの次のステップは、2つの文字が組み合わさった時の特別な読み方を覚えることです。ここでは「ダイグラフ」と「ブレンド」の2種類を明確に区別して解説します。

📌 ダイグラフ(Digraph)
2つの文字が合わさって
まったく別の1つの音を作る
個々の文字の音は消える
例:s + h → 「シュ」(/ʃ/)
(sの「ス」もhの「ハ」も消える)
📌 ブレンド(Blend)
2つの子音がそれぞれの音を保ったまま
素早く続けて発音される
個々の音が残っている
例:b + l → 「ブル」(/bl/)
(bの「ブ」もlの「ル」も聞こえる)

子音ダイグラフ──完全に新しい音が生まれる

ダイグラフ 発音記号 代表単語 日本人の注意点
sh シュ /ʃ/ ship, shop, fish 日本語の「シ」より唇を前に突き出す
ch チュ /tʃ/ chip, chat, lunch 舌先を上顎に当てて弾く
th ス/ズ /θ/ or /ð/ think, this, bath 日本人最大の難関!舌を上下の歯の間に挟む
wh /w/ (or /hw/) what, when, white 唇をすぼめて「ウ」から始める
ph /f/ phone, photo Fと同じ音。ギリシャ語由来
ck クッ /k/ back, kick, duck 短母音の直後に来る/k/の音
TH の発音攻略法

日本人が最も苦手な音 /θ/ と /ð/ を克服するコツ

無声音 /θ/(息だけ)
think, three, math
舌先を上下の歯の間に軽く挟み、声を出さずに息だけを通す。日本語の「サ」とは全く違う音。
有声音 /ð/(振動あり)
this, that, mother
舌の位置は /θ/ と同じ。違いは声帯を振動させること。喉に手を当てると振動が感じられる。

子音ブレンド──2つの音が溶け合う

ブレンドは、ダイグラフと違って個々の子音の音が残ったまま素早く発音されます。日本人がカタカナ英語で母音を挟んでしまう原因の多くが、このブレンドの理解不足です。

分類 ブレンド 代表単語 日本人の典型的ミス
L系 bl, cl, fl blue, class, fly ×ブルー → ○blüː
gl, pl, sl glad, play, sleep ×スリープ → ○slïːp
spl splash, split ×スプラッシュ → ○splæʃ
R系 br, cr, dr brain, cry, drink ×ドリンク → ○drɪŋk
fr, gr, tr frog, great, tree ×ツリー → ○trïː
S系 st, sk, sn, str stop, skip, snow, street ×ストップ → ○stɒp
🎯

カタカナ英語脱却の最大のコツ:
日本語は基本的に「子音+母音」のセットで音を構成します(ka, ki, ku, ke, ko)。そのため、英語の子音連続(bl, str, spなど)を聞くと、無意識に母音を挟んでしまいます。「strike」→「ス・ト・ラ・イ・ク」と5音節にしてしまうのが典型例。英語では「strike」はたった1音節です。ブレンドでは「母音を挟まずに子音だけを素早く連続発音する」練習が不可欠です。

🇯🇵 日本語の音節構造
常に「子音+母音」のペア




5音節(su-to-ra-i-ku)
🇺🇸 英語の音節構造
子音の連続が可能
strike
たった1音節(/straɪk/)
カタカナ英語が生まれる仕組み
英語の本来の音
str

k
日本語脳で変換
su
to
ra
i
ku
✅ フォニックスで解決!
子音だけを連続発音する練習で、母音を挟まない英語本来の音節構造が身につく
フォニックスでカバーできる範囲
75%:ルールで読める
25%:例外

7母音チーム・Rコントロール母音・二重母音──中級ルールを攻略

ここからはフォニックスの中級ルールです。これらをマスターすれば、英語の読解力は一気に上のレベルに達します。

① 母音チーム(Vowel Team)──「最初の母音が名乗り、2番目は黙る」

母音が2つ並んだ時、1番目の母音をアルファベット読み(長母音)で発音し、2番目は読まないというルールです。英語圏では “When two vowels go walking, the first one does the talking”(2つの母音が歩いたら、最初の一人がしゃべる)というフレーズで教えられます。

ai / ay
/eɪ/ エイ
rain, pain, day, say
ee / ea
/iː/ イー
see, bee, eat, meat
oa / ow
/oʊ/ オウ
boat, coat, low, show
oo
/uː/ ウー
moon, food, cool, pool

② Rコントロール母音(Bossy R)──母音がRに支配される

母音の直後にRが来ると、母音の発音が大きく変化します。Rが「ボス」のように母音を支配するため、”Bossy R”(威張りんぼのR)とも呼ばれます。

パターン 発音記号 代表単語
ar アー /ɑːr/ car, star, park
er / ir / ur アー(こもった音) /ɜːr/ her, bird, turn
or オー /ɔːr/ for, born, horse
💡

er, ir, ur はすべて同じ音!
her, bird, turn──スペリングは違いますが、発音はすべて /ɜːr/ です。日本人はこの音を「アー」と発音しがちですが、正確には舌を引いてこもらせたような「ァー」です。口をあまり開けず、舌の中央を少し持ち上げるイメージで発音してみてください。

③ 二重母音(Diphthong)──2つの音が滑らかに移動する

二重母音は、母音チームとは異なり、2つの母音の音が両方残ったまま1つの音に溶け合うパターンです。

oi / oy
/ɔɪ/ オイ
coin, join, boy, toy
ou / ow
/aʊ/ アウ
out, house, cow, now
au / aw
/ɔː/ オー
cause, sauce, saw, law

owの読み分けに注意!
ow には2つの読み方があります:
❶ /oʊ/(オウ)→ low, show, grow(母音チーム)
❷ /aʊ/(アウ)→ cow, now, how(二重母音)
どちらで読むかは単語ごとに覚える必要がありますが、慣れると文脈から自然に判断できるようになります

8フォニックスの「限界」と「その先」──Schwa、プロソディ、サイトワード

フォニックスは英語の音を学ぶ強力な武器ですが、万能ではありません。大人の学習者がフォニックスの「限界」を正しく理解しておくことは、過度な期待を防ぎ、効果的な学習計画を立てるために極めて重要です。

限界①:Schwa(シュワー)/ə/ ──英語で最も多い音なのに、フォニックスでは教わらない

英語で最も頻繁に出現する母音をご存じですか? /æ/ でも /iː/ でもありません。Schwa(シュワー)/ə/ です。これは「あいまい母音」とも呼ばれ、ストレスのない音節で母音が弱化した時に現れます。

SCHWA の実例
about
/ə’baʊt/
aは「ア」ではなく /ə/
sofa
/ˈsoʊfə/
語末のaは /ə/
banana
/bəˈnɑːnə/
3つのaが全部違う音!
the
/ðə/
弱形では /ə/

フォニックスでは「全ての音をハッキリ発音する」ことが基本ですが、実際のナチュラルな英語では弱い音節は /ə/ に弱化します。フォニックスだけを完璧にマスターしても、すべての音を均等に強く発音すると「ロボット英語」になってしまうのは、このSchwaの存在を知らないことが原因です。

限界②:プロソディ──文全体のリズムとイントネーション

フォニックスは単語レベルの音を教えてくれますが、文レベルの音(プロソディ)は範囲外です。英語の自然なリズムには、強勢拍リズム(Stress-timed rhythm)、連結(Linking)、脱落(Elision)、同化(Assimilation)など、フォニックスでは扱わない要素が数多くあります。

具体例:”What are you going to do?”

フォニックスで各単語を丁寧に発音 → “ワット・アー・ユー・ゴーイング・トゥ・ドゥー?”
ネイティブの自然な発音 → “ワダヤ ゴナ ドゥー?”
この圧縮・連結が、フォニックスの「その先」にある世界です。

限界③:サイトワード──ルール無視の「例外組」

英語には、フォニックスのルールに従わない「例外的な単語」が存在します。これをサイトワード(Sight Words)と呼びます。皮肉なことに、日常会話で最も頻繁に使う単語の多くがサイトワードです。

the /ðə/
said /sed/
come /kʌm/
one /wʌn/
two /tuː/
would /wʊd/
could /kʊd/
were /wɜːr/
🎯

大人の学習戦略:フォニックスを「土台」、その先を「応用」と考える
フォニックスは英語の音の「75%」をカバーする強力な土台です。残り25%のサイトワードは個別に覚え、さらにSchwaやプロソディを学ぶことで、自然な英語に近づけます。フォニックス → サイトワード → プロソディの順に学ぶのが、大人にとって最も効率的なロードマップです。

1〜2週間
Step 1:26文字の基本音
A=/æ/, B=/b/, C=/k/…
基礎
1〜2週間
Step 2:CVC単語の練習
cat, dog, pen, hot, cup
基礎
2〜3週間
Step 3:サイレントE
cap→cape, pin→pine
中級
2〜3週間
Step 4:ダイグラフ&ブレンド
sh, ch, th / bl, cr, str
中級
3〜4週間
Step 5:母音チーム&Bossy R
ai, ee, oa / ar, er, or
上級
2〜3週間
Step 6:サイトワード
the, said, come, one… 例外を暗記
上級
継続学習
Step 7:Schwa&プロソディ
弱化・リンキング・リズム
応用
Step 1〜5で英語の約75%が読める!
目安期間:約3〜4ヶ月(1日15〜30分の学習)

まとめ──大人の学び直しロードマップ

フォニックスは「子ども向け」ではありません。
英語の音の仕組みを論理的に理解する、大人にこそ最適な学習法です。

STEP 126文字のフォニックス読みを覚える(短母音+子音の基本音)
STEP 2CVC単語(cat, dog, penなど)を声に出して読む練習
STEP 3サイレントE・ダイグラフ・ブレンドのルールを学ぶ
STEP 4母音チーム・Rコントロール母音・二重母音を攻略
STEP 5サイトワード(例外単語)を個別に暗記
STEP 6Schwa・プロソディ・リンキングで自然な英語へ
📌 この記事のポイント
フォニックス=英語の「文字と音のルール」。英語版の五十音表
大人は「明示的学習」が得意 → フォニックスは大人の認知に最適
英語の約75%はフォニックスルールで読める
母音の「短母音 vs 長母音」の理解がフォニックスの核心
サイレントE・ダイグラフ・ブレンドで読める単語が飛躍的に増える
フォニックスには限界もある → Schwa・プロソディは「その先」
発音できる音は聞き取れる → フォニックスでリスニング力も向上

あなたが学校で教わらなかった「英語の読み方の基本」。
今日から始めれば、あなたの英語は根本から変わります。

🎯

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