
流れ星の正体は、ほとんどが砂粒くらいの小さな粒
夏の流星群の粒は、1秒に59kmで飛びこむ。
この判定の対象「流れ星の多くは、砂粒からエンドウ豆くらいの小さな粒が光ったものだ」
もくじ
夜空に、すっと光のすじが走ります。流れ星が見えているのは、たいてい1秒以下です。長くても5秒ほどです。流れ星を見た人は、思わず「今の、見た?」と声を上げるでしょう。
流れ星の光のもとは、何でしょう。大きな岩が燃えているように思えるかもしれません。でもNASAによると、流星群のときに見える流れ星のもとは彗星のかけらで、そのほとんどは砂粒からエンドウ豆くらいの大きさです。
そんな小さな粒が、なぜ遠くからでも見えるほど明るく光るのでしょうか。その理由は、粒がものすごい速さで飛んでくることです。この記事では、流れ星のもとの粒の大きさ、光る高さ、光る仕組み、そして流星群と彗星の関係を、順に見ていきます。
01流れ星のもとの粒は、多くが砂粒からエンドウ豆くらいの大きさ
宇宙を飛んでいて、流れ星のもとになる小さな粒や石を、流星物質(りゅうせいぶっしつ)といいます。日本天文学会が作っている「天文学辞典」によると、流星物質の大きさは、約0.03ミリから1メートルほどです。
大きい流星物質は、火球(とても明るい流れ星)を生みます。でも、私たちが普段見る流れ星の多くは、もっと小さな粒です。NASAは、彗星が残したかけらの多くは砂粒からエンドウ豆くらいの大きさで、地面に届く前に燃えつきると書いています。
国立天文台も、流れ星はたいてい空の上で消えてしまい、地面まで届くことはほとんどないとしています。
02小さな粒が明るく光るのは、秒速数十キロという速さで飛びこむから
小さな粒が明るく光るのは、とても速いからです。NASAによると、8月のペルセウス座流星群の粒は、秒速59キロで大気に飛びこみます。1秒で、フルマラソンの距離より長く進む速さです。11月のしし座流星群の粒は、秒速約70キロです。しし座流星群の流れ星は、知られている中で最も速い流れ星の一つです。
速く動く物は、大きなエネルギーを持っています。たとえば、重さ1ミリグラムの粒が、秒速59キロで飛んでいるとしましょう。この粒が持つ動きのエネルギーを計算すると、約1700ジュールになります。これは、100ワットの電球を約17秒つけられるエネルギーです。小さな粒1つが、ほんの一瞬で、このエネルギーを空に出すのです。
天文学辞典によると、流れ星が光るのは、地上から約120キロから80キロの高さです。とても明るい流れ星は、すぐ近くに落ちたように見えることがあります。でも国立天文台によると、それは目の錯覚です。実際には、高さ数十キロのところで光っています。
03流れ星が光る理由は、資料によって「摩擦」とも「衝撃波」とも書かれている
流れ星は、なぜ光るのでしょう。よく聞くのは、「空気との摩擦で燃える」という説明です。国立天文台のよくある質問のページも、「摩擦によって発生するエネルギーで光る」と書いています。
一方、天文学辞典は、少し違う言葉を使っています。粒が大気に飛びこむと、粒の前の空気が急に押しつぶされて、強い波(衝撃波、しょうげきは)ができます。その熱で粒が熱くなり、粒をつくっている物質が蒸発します。蒸発した物質は、プラズマ(電気をおびたガス)になって光ります。周りの空気の原子や分子も光ります。これが流れ星の光だというのです。
どちらの説明も、「速い粒が空気にぶつかって、熱が生まれる」という点は同じです。違うのは、熱がどうやって生まれるかの説明のくわしさです。天文学辞典の説明では、粒が空気とこすれて燃えるというより、粒の前の空気が急に押しつぶされて熱くなるのです。
流れ星の光の色には、粒と空気の両方が関わります。天文学辞典によると、流れ星の光には、粒にふくまれるカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、鉄などの色と、空気の窒素や酸素の色が混ざっています。国立天文台によると、マグネシウムや酸素なら緑、窒素なら赤に見えることがあります。

04流星群は、彗星が残したちりの通り道を、地球が横切るときに起こる
1年のうち何回か、流れ星が普段より多く見られる時期があります。これが流星群です。国立天文台によると、主な流星群だけでも10以上あり、ほとんどが毎年やってきます。
NASAによると、彗星は太陽に近づくと、ちりを出して、通った道すじにちりを残していきます。地球は毎年、決まった時期に、このちりの通り道を横切ります。そのとき、ちりが大気に飛びこんで、たくさんの流れ星になるのです。
ペルセウス座流星群のもとは、スイフト・タットル彗星です。1862年に見つかった彗星で、最後に太陽に近づいたのは1992年でした。NASAによると、この彗星がペルセウス座流星群のもとだと1865年に気づいたのは、イタリアの天文学者スキアパレッリです。
しし座流星群では、約33年ごとに、流れ星がとても多くなる年がやってきます。NASAによると、1966年には、15分ほどのあいだ、1分間に数千個もの流れ星が降りました。最後に「流星嵐」と呼べるほど多く流れたのは、2002年です。国立天文台によると、次にしし座流星群が活発になるのは、2034〜2037年ごろです。
深掘り講義
ここから先は、もう一段深く。しくみ・史料・論争まで踏み込みます。
「流星物質」「流星」「火球」「隕石」は、それぞれ別のものを指す
天文学では、似た言葉を使い分けています。
- 流星物質:宇宙空間にある約0.03ミリから1メートルほどの固体の粒。流れ星のもと
- 流星:流星物質が大気に飛びこんで光る現象そのもの
- 火球:特に明るい流星。100キロの距離から見て−4等より明るいもの(「等」は星の明るさを表す数字で、小さいほど明るい)
- 隕石:大気の中で燃えつきずに、地面までたどり着いた物
天文学辞典によると、火球の明るさの基準は、2017年に国際天文学連合の委員会が決めました。それまでは、どこからを火球とするかが、研究者によってばらばらだったのです。火球は、数センチから数十センチの粒で起きます。普通の流れ星が消える高さ80キロより下まで、光り続けることもあります。
NASAによると、地面まで落ちてきた隕石の多くは、小石からこぶしくらいの大きさです。流れ星のもとの「砂粒」とは、ずいぶん大きさが違います。
流れ星になった粒は、小さなちり(流星塵)になって地上に降りてくる
流れ星になった粒は、消えてなくなるわけではありません。天文学辞典によると、蒸発した物質の中の金属の原子は、冷えるとまた集まって、丸く固まります。そして、直径0.1ミリより小さな粒になり、ゆっくりと地上まで降りてきます。この粒を、流星塵(りゅうせいじん)といいます。流れ星は、光ったあと、目に見えないちりとして、地上に戻ってくるのです。
同じNASAのページでも、周期や速さの数字が少し違う
NASAのページを読み比べると、小さなずれが見つかります。スイフト・タットル彗星が太陽を回る周期は、流星の基本を説明するページでは135年、ペルセウス座流星群のページでは133年と書かれています。しし座流星群の速さも、同じページの中に「秒速69.7キロ」と「秒速71キロ」の2つの数字があります。
地球に降る宇宙の物質の量も、資料によって違います。NASAの基本のページは、「1日に約48.5トン」と書いています。これはアメリカ式のトンで、約4万4000キロにあたります。一方、南極の雪を調べた2021年の研究は、地表に届く宇宙のちりを、1年に約5200トン(1日約14トン)としました。
数字が違うのは、数え方が違うからです。大気に入る前の量か、地表に届いた量か。どの大きさの粒まで数えるか。それによって、数字は大きく変わるのです。数字を見たら、「何を、どう数えた数字か」を確かめる。それが、宇宙の話を正しく読むコツです。
流れ星かどうかは、見えた時間・速さ・空の暗さで見分ける
国立天文台には、「空を動く光を見たが、流れ星だったのか」という質問がよく届くそうです。天文台は、話を聞いただけでは確実には決められないとしています。そのうえで、流れ星らしいかどうかの目安を、3つ挙げています。
- 見えていた時間が、1秒以下から長くても5秒ほど(まれに10秒ほど)であること
- 飛行機よりはるかに速く動いたこと
- 空が十分に暗かったこと
火球はなかなか見られるものではありませんが、日本全国では、平均すると1か月に数個ほど目撃されています。人工衛星が落ちてくるときの光は、見た目だけでは流れ星と区別できないこともあるといいます。
大気のある火星や木星でも、流れ星は見られる
天文学辞典によると、流れ星は地球だけの現象ではありません。十分な大気がある惑星や衛星なら、どこでも起こります。実際に、火星や木星の大気でも、流れ星が観測されています。1994年にシューメーカー・レビー第9彗星が木星にぶつかったのが、有名な例です。一方、大気のない月では、小さな天体がぶつかって光っても「流星」とは呼ばず、「衝突閃光」(ぶつかったときに出る光)と呼びます。
05まとめ
流れ星の多くは、砂粒からエンドウ豆くらいの小さな粒です。その粒が、秒速数十キロという速さで大気に飛びこみ、高さ120〜80キロで光ります。光ったあとは、目に見えないちりになって、ゆっくりと地上に降りてきます。
次に流れ星を見たら、思い出してください。今光ったのは、地上から100キロほど上を、1秒に数十キロの速さで飛んできた、砂粒くらいの宇宙のかけらです。
人に話すなら、こう言おう
流れ星って、ほとんどが砂粒くらいの小さな粒なんだって。それが1秒に59キロとかの速さで空気に飛びこむから、あんなに明るく光るらしいよ。光ってるのは地上から100キロくらい上なんだって。
英語で読む
A Grain of Sand in the Night Sky
英文をタップすると、その文の訳が出ます。
A line of light runs across the night sky and is gone in a second.光のすじが夜空を横切り、1秒で消えてしまいます。 We call it a shooting star, but it is not a star at all.私たちはそれを流れ星と呼びますが、星ではまったくありません。 So what is it?では、それは何なのでしょうか。
Most shooting stars come from tiny pieces left behind by comets.流れ星の多くは、彗星が残していった小さなかけらから生まれます。 NASA says most of these pieces are between the size of a grain of sand and a pea.NASAによると、そのかけらの多くは、砂粒からエンドウ豆くらいの大きさです。 They usually burn up high in the sky and never reach the ground.ふつうは空の高いところで燃えつきて、地面には届きません。
How can something so small make such a bright light?そんなに小さなものが、どうしてあんなに明るい光を出せるのでしょうか。 The answer is speed.答えは速さです。 Pieces from the Perseid meteor shower hit the air at 59 kilometers per second.ペルセウス座流星群のかけらは、秒速59キロで空気にぶつかります。 The air in front of them gets very hot, and the pieces turn into glowing gas.かけらの前の空気はとても熱くなり、かけらは光るガスに変わります。 This happens about 80 to 120 kilometers above the ground.これは地上から約80〜120キロの高さで起こります。
Every year, the Earth passes through the dusty paths of some comets.毎年、地球はいくつかの彗星が残したちりの通り道を通ります。 Then we see many shooting stars in one night.そのとき、ひと晩にたくさんの流れ星が見えます。 This is called a meteor shower.これは流星群と呼ばれます。 For example, the Perseids come from a comet called Swift-Tuttle.たとえば、ペルセウス座流星群は、スイフト・タットル彗星から生まれます。 In 1966, the Leonid meteor shower gave people thousands of shooting stars every minute for about 15 minutes.1966年のしし座流星群では、約15分のあいだ、毎分何千もの流れ星が見えました。
Some shooting stars are much brighter than others.流れ星の中には、ほかよりずっと明るいものもあります。 These are called fireballs, and they come from larger pieces.それは火球と呼ばれ、もっと大きなかけらから生まれます。 But most of the time, the light you see is made by a tiny grain that is flying very, very fast.でもたいていの場合、あなたが見る光は、ものすごい速さで飛ぶ小さな粒が作っているのです。
4択問題 Reading Quiz
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Q1What is this story mainly about?
この話は主に何についてのものですか。
正解:B What shooting stars really are
第1段落で「流れ星は星ではない。では何か」と問い、そのあとで正体と光るしくみを説明しているのでB。Aの星の誕生は本文に出てきません。
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Q2How fast do Perseid pieces hit the air?
ペルセウス座流星群のかけらは、どれくらいの速さで空気にぶつかりますか。
正解:D 59 kilometers per second
第3段落3文目に 59 kilometers per second とあるのでD。Aは「時速」なので違います。120 は光る高さ(キロ)の数字です。
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Q3Why can a tiny piece make a bright light?
小さなかけらが明るい光を出せるのはなぜですか。
正解:A Because it moves very fast
第3段落で The answer is speed. とあり、速いので空気が熱くなり光るとあるのでA。B・C・Dは本文に書かれていません。
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Q4In paragraph 3, the word "glowing" is closest in meaning to ...
第3段落の "glowing" に最も意味が近いのはどれですか。
正解:C giving off light
glowing gas は「光るガス」の意味なのでC。glow は「(熱などで)光る、輝く」。名詞でも「輝き」の意味で使います。
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Q5Which is true about fireballs?
火球について正しいのはどれですか。
正解:B They come from larger pieces.
第5段落2文目に they come from larger pieces とあるのでB。Aは反対の内容、Dは第1段落の not a star at all と合いません。
重要語 Key Words(タップで裏返る)
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shooting star名詞流れ星
Did you make a wish on a shooting star?
流れ星に願いごとをした?
💡 科学の言葉では meteor(流星)。
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comet名詞彗星
The comet had a long, bright tail.
その彗星には長く明るい尾があった。
💡 ギリシャ語の「長い髪の」から。尾を髪に見立てた。
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grain名詞粒
There was a grain of rice on his shirt.
彼のシャツに米粒が1つついていた。
💡 a grain of sand(砂粒)。
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pea名詞エンドウ豆
She put some peas in the soup.
彼女はスープにエンドウ豆を入れた。
💡 大きさのたとえによく使う。the size of a pea(豆くらいの大きさ)。
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burn up熟語燃えつきる
The old paper burned up quickly.
古い紙はすぐに燃えつきた。
💡 up は「すっかり」の意味。eat up(たいらげる)と同じ。
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speed名詞速さ
The train runs at a high speed.
その列車は高速で走る。
💡 at a speed of 〜 で「〜の速さで」。
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glow動詞光る、輝く
The lamp glowed softly in the dark room.
暗い部屋でランプがやわらかく光った。
💡 炎を出さずにぼんやり光るイメージ。glowing(光っている)。
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meteor shower名詞流星群
We stayed up late to watch the meteor shower.
私たちは流星群を見るために夜ふかしした。
💡 shower は「にわか雨」。流れ星が雨のように降るイメージ。
SOURCES出典・ウラ取り
この記事の事実は、次の資料を実際に開いて確認しています(確認した事実 23件)。
- 質問5-1)私が見たものは流れ星だったのでしょうか?(国立天文台)nao.ac.jp
- 質問5-2)流れ星はいつ見える?(国立天文台)nao.ac.jp
- 流星(天文学辞典, 日本天文学会)astro-dic.jp
- 火球(天文学辞典, 日本天文学会)astro-dic.jp
- Meteors & Meteorites Facts(NASA Science)science.nasa.gov
- Perseids(NASA Science)science.nasa.gov
- Leonids(NASA Science)science.nasa.gov
- Geminids(NASA Science)science.nasa.gov
公式ページで見てみよう
- 国立天文台 ほしぞら情報nao.ac.jp
文章はすべて資料をもとに独自の言葉で書いています。画像はオリジナルのイメージです。誤りにお気づきの方は訂正窓口へ。
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No.024グレーGRAY金星は、1回自転するのにかかる時間が1年より長い
ただし日の出から次の日の出までは、1年より短い。
No.025ホントTRUE月は、毎年約3.8cmずつ地球から遠ざかっている
月に置いた鏡にレーザーを当てて測っている。
No.153グレーGRAY宇宙から帰った宇宙服には、宇宙のにおいが残っている
月の砂は、地球ではにおわなくなった。
No.189グレーGRAYネッタイシマカという蚊は、息の二酸化炭素を感じてから赤や黒に寄ってくる
蚊は、息の二酸化炭素を感じてから色を探しはじめる。
No.139グレーGRAY盲腸の先の「虫垂」は、役に立たないものではないかもしれない
虫垂は、ほ乳類の進化で少なくとも29回現れた。
No.225「ボイコット」は、1880年にアイルランドで仲間外れにされた男の名前
「ボイコット」は、人の名前だった。