肉眼で見える一番遠い天体は、本当にアンドロメダ銀河なのか
宇宙と地球No.264

肉眼で見える一番遠い天体は、本当にアンドロメダ銀河なのか

75億光年先の爆発が、約40秒だけ肉眼で見える明るさに。

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この判定の対象「肉眼で見える一番遠い天体は、アンドロメダ銀河だ」

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もくじ
  1. アンドロメダ銀河は、地球から約250万光年離れた、となりの大きな銀河
  2. アンドロメダ銀河が別の銀河だと分かったのは、およそ100年前
  3. とても暗い空なら、もっと遠い「さんかく座銀河」も見える
  4. 2008年、75億光年先の爆発が、約40秒だけ肉眼で見える明るさになった
  5. 深掘り講義
  6. まとめ
  7. 英語で読む(A2・4択5問)
  8. 出典・ウラ取り

秋の夜、街の明かりから少し離れた場所で、アンドロメダ座のあたりを見上げてみてください。星と星の間に、ぼんやりとした横長の光のしみが見えることがあります。これが、アンドロメダ銀河です。

NASAによると、アンドロメダ銀河までの距離は約250万光年です。1光年は、光が1年かかって進む距離です。つまり、今夜見えるアンドロメダ銀河の光は、約250万年前にアンドロメダ銀河を出発した光です。

では、アンドロメダ銀河は、肉眼で見える一番遠い天体なのでしょうか。NASAの資料と論文を調べると、条件によっては、もっと遠くの天体の光も肉眼で見えることが分かります。

この記事では、まずアンドロメダ銀河がどんな天体かを紹介します。次に、とても暗い空なら見える、もっと遠い銀河を紹介します。最後に、2008年に肉眼で見える明るさになった、75億光年先の爆発の話をします。

01アンドロメダ銀河は、地球から約250万光年離れた、となりの大きな銀河

銀河は、たくさんの星が集まった大きな集団です。私たちの太陽も、天の川銀河という銀河の中にあります。アンドロメダ銀河は、天の川銀河の外にある、別の銀河です。

NASAは、アンドロメダ銀河を、私たちの銀河にいちばん近い大きな銀河としています。ハッブル宇宙望遠鏡は、10年以上かけて撮った約600枚の写真をつなぎ合わせました。そして、アンドロメダ銀河の中の約2億個の星を、1つずつ写し分けました。それでも、アンドロメダ銀河の星の一部にすぎません。

アンドロメダ銀河は、空の上でとても大きく広がっています。NASAによると、見かけの大きさは、満月の直径の6倍もあります。

NASAによると、アンドロメダ銀河は明るいので、ある程度街の明かりがある場所でも、肉眼で見えます。見ごろは11月ごろです。

02アンドロメダ銀河が別の銀河だと分かったのは、およそ100年前

アンドロメダ銀河を、誰が最初に見つけたのかは分かりません。NASAによると、昔から肉眼で見えていたからです。記録に残る最も古い報告は、964年の本にあります。ペルシャの天文学者アッ=スーフィーが書いた『The Book of Fixed Stars(恒星の書)』です。

ところが、アンドロメダ銀河が何なのかは、長い間分かりませんでした。NASAによると、100年ほど前の天文学者は、それが天の川銀河のずっと外にある別の銀河だとは知らなかったのです。

それを変えたのが、アメリカの天文学者エドウィン・ハッブルです。NASAによると、ハッブルは、明るさが周期的に変わる星(変光星)をアンドロメダ銀河の中に見つけました。そして、その星を目印にして、アンドロメダ銀河までの遠い距離を測りました。

03とても暗い空なら、もっと遠い「さんかく座銀河」も見える

アンドロメダ銀河より少し遠くに、もう1つの銀河があります。さんかく座にある、さんかく座銀河です。NASAによると、地球からの距離は約300万光年です。

さんかく座銀河は、アンドロメダ銀河よりずっと暗く見えます。NASAは、さんかく座銀河を、目のよい人がとても澄んだ暗い空で肉眼で見られる、最も遠い天体の1つとしています。

NASAは2008年の発表で、それまでに肉眼で見られた最も遠い天体を、さんかく座銀河としていました。アンドロメダ銀河ではなかったのです。つまり、アンドロメダ銀河は見つけやすい天体ですが、条件のよい暗い空なら、もっと遠い銀河が見えることもあるのです。

NASAによると、1920年代に、ハッブルはさんかく座銀河の変光星も数十個調べました。そして、さんかく座銀河も、天の川銀河の中のぼんやりした雲(星雲)ではなく、外にある別の銀河だと示しました。

アンドロメダ銀河(左上のイメージ)と、もっと淡いさんかく座銀河(右下のイメージ)。実際の空での位置や大きさとは違う。
アンドロメダ銀河(左上のイメージ)と、もっと淡いさんかく座銀河(右下のイメージ)。実際の空での位置や大きさとは違う。

042008年、75億光年先の爆発が、約40秒だけ肉眼で見える明るさになった

2008年3月19日、アメリカ東部時間の午前2時12分。NASAの観測衛星スウィフトが、宇宙からやってきた強いガンマ線をとらえました。ガンマ線は、目には見えない、エネルギーがとても大きい光の一種です。

この日2回目のガンマ線の爆発だったので、「GRB 080319B」という名前がつきました。GRBは、ガンマ線バースト(ガンマ線の爆発)の略です。NASAによると、ガンマ線バーストの多くは、とても重い星が燃料を使い果たしたときに起きます。星の中心がつぶれるのです。

この爆発は、目に見える光でも、ものすごく明るく輝きました。天文学では、星の明るさを「等級」という数で表し、数が小さいほど明るい星です。NASAによると、地上の望遠鏡は、その光が5等級と6等級の間の明るさになったのをとらえました。街明かりのない暗い場所なら、視力が普通の人は6等級より少し暗い星まで見えます。暗い場所でその方向を見ていれば、肉眼で見えたはずの明るさです。

2008年、アメリカのペンシルベニア州立大学のジュディス・ラシンらが、科学雑誌ネイチャーに論文を出しました。論文によると、いちばん明るいときは5.3等級でした。そして、爆発が始まってから最初の40秒の間なら、暗い場所にいる人は肉眼で見ることができたといいます。

この爆発の光が出たのは、75億年前です。NASAによると、そのころの宇宙は今の半分の年齢にもなっておらず、地球もまだできていませんでした。75億光年は、アンドロメダ銀河までの約250万光年の3000倍です。

NASAの研究者は、こう話しています。「もし誰かがちょうどその時その場所を見ていたら、人間が道具なしで見た最も遠い天体を見たことになる」。ただし、NASAの発表にも論文にも、実際に肉眼で見た人の記録は出てきません。

LECTURE

深掘り講義

ここから先は、もう一段深く。しくみ・史料・論争まで踏み込みます。

星の明るさの「等級」は、数が小さいほど明るい

天文学では、星の明るさを「等級」という数で表します。NASAによると、明るいものほど等級の数が小さくなります。暗い場所なら、視力が普通の人は6等級より少し暗い星まで見えます。

NASAの資料によると、アンドロメダ銀河の明るさは3.1等級、さんかく座銀河は5.7等級です。さんかく座銀河は、肉眼で見える限界の6等級に近いのです。だから、とても暗い空でなければ見えません。

GRB 080319Bの光は、いちばん明るいときで5.3等級でした。等級の数で比べると、さんかく座銀河より少し明るかったことになります。75億光年も先にあるのに、これだけ明るく見えたのです。

遠くを見ることは、昔を見ること

光の速さには限りがあります。だから、遠くの天体の光ほど、昔に出発した光です。光年で表した距離は、光が届くまでにかかった年数と同じ数になります。

アンドロメダ銀河の光は約250万年前、さんかく座銀河の光は約300万年前に出発しました。GRB 080319Bの光は、75億年前に出発しました。NASAによると、それは地球が生まれるより前のことです。「肉眼で見える一番遠い天体」は、「肉眼で見える一番古い光」と言いかえることもできます。

75億光年先の爆発が、肉眼で見えるほど明るかった理由

NASAによると、GRB 080319Bの光は、それまでに記録された最も明るい超新星(星の大爆発)の250万倍も明るいものでした。

ガンマ線バーストでは、つぶれた星から、ほぼ光の速さで進む粒の流れ(ジェット)が、反対向きの2方向に噴き出します。NASAが2009年に公開した解説によると、GRB 080319Bでは、細いジェットが、ほぼまっすぐ地球のほうを向いていました。そのため、とても明るく見えたと考えられています。

地上の望遠鏡は、この爆発が始まる前から、その方向の空を撮り続けていました。爆発の30分足らず前に、空の上で10度しか離れていない所で、別のガンマ線バースト(GRB 080319A)が起きていたからです。空の広い範囲を見張る望遠鏡が、その別の爆発を見ていて、たまたまGRB 080319Bの方向も視野に入れていました。ラシンらの論文によると、ポーランドのグループの「パイ・オブ・ザ・スカイ」などの望遠鏡が、その瞬間をとらえました。

アンドロメダ銀河は近づいているが、ぶつかるかどうかはまだ分からない

NASAによると、アンドロメダ銀河は、天の川銀河に向かって時速約40万キロメートルで近づいています。月まで1時間で行けるほどの速さです。

2012年、NASAは、ハッブル宇宙望遠鏡でアンドロメダ銀河の動きを測った結果を発表しました。それによると、アンドロメダ銀河は約40億年後に天の川銀河とぶつかり、その約20億年後に1つの銀河になるとされました。

ところが、2025年に、サワラ(Till Sawala)らの研究チームが、新しい計算を発表しました。チームは、ガイア宇宙望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡の最新の観測を使いました。そして、近くのほかの銀河の重さや動きも入れて計算し直しました。さんかく座銀河を入れると、合体の確率は上がりました。一方、大マゼラン雲という銀河を入れると、確率は下がりました。全部を入れて計算すると、今後100億年の間に2つの銀河が合体しない確率が、50%近くありました。論文は、私たちの銀河の未来はまだまったく決まっていない、としています。

05まとめ

アンドロメダ銀河は、約250万光年先にある、肉眼で見つけやすい天体です。今夜見える光は、約250万年前に出発した光です。でも、一番遠いとは限りません。

とても暗い空なら、約300万光年先のさんかく座銀河も見えます。そして2008年3月19日には、75億光年先の爆発が、約40秒の間だけ肉眼で見える明るさになりました。その光は、地球ができるより前に出発した光でした。

人に話すなら、こう言おう

秋の夜に見えるアンドロメダ銀河って、250万年前に出た光なんだって。でも肉眼で見える一番遠いものとは限らないよ。2008年には、75億光年先の爆発が40秒くらい肉眼で見える明るさになったんだって。
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英語で読む

The Farthest Light Your Eyes Can See

CEFR A2218 words4択 5問全訳つき
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英文をタップすると、その文の訳が出ます。

On a dark autumn night, you may see a faint, long cloud of light in the sky.暗い秋の夜、空にぼんやりとした横長の光の雲が見えることがあります。 It is the Andromeda Galaxy.それがアンドロメダ銀河です。 It is about 2.5 million light-years away.アンドロメダ銀河は、約250万光年離れています。 So the light you see left the galaxy about 2.5 million years ago.だから、あなたが見ている光は、約250万年前にその銀河を出発した光なのです。

Is Andromeda the most distant thing we can see with our eyes alone?アンドロメダ銀河は、私たちが目だけで見られる一番遠いものなのでしょうか。 Not always.いつもそうとは限りません。 There is another galaxy called the Triangulum Galaxy.さんかく座銀河という、別の銀河があります。 It is about 3 million light-years away.その銀河は、約300万光年離れています。 People with good eyes can see it under very clear, dark skies.目のよい人は、とても澄んだ暗い空の下でなら、それを見ることができます。

Then, on March 19, 2008, something special happened.そして2008年3月19日、特別なことが起きました。 A NASA satellite called Swift found a huge explosion in space.NASAのスウィフトという観測衛星が、宇宙で巨大な爆発を見つけました。 It was a gamma-ray burst, which often happens when a very heavy star runs out of fuel.それはガンマ線バーストで、とても重い星が燃料を使い果たしたときによく起きるものです。 For about 40 seconds, its light was bright enough to see with the naked eye from a dark place.約40秒の間、その光は、暗い場所からなら肉眼で見えるほど明るくなりました。

The explosion was 7.5 billion light-years away.その爆発は、75億光年離れた所で起きました。 That is 3,000 times farther than Andromeda.それは、アンドロメダ銀河の3000倍の遠さです。 Its light left before the Earth was even born.その光は、地球が生まれるより前に出発しました。 A NASA scientist said that anyone looking at that spot saw the farthest thing ever seen by human eyes.NASAの研究者は、その場所を見ていた人がいれば、その人は人間の目で見られた最も遠いものを見たことになると話しました。 But we do not know if anyone really saw it.でも、実際に誰かがそれを見たのかどうかは分かっていません。

So, is Andromeda the most distant thing we can see?では、アンドロメダ銀河は、私たちが見られる一番遠いものなのでしょうか。 It is easy to find, even with some city lights.アンドロメダ銀河は、少し街明かりがあっても見つけやすい天体です。 But it is not always the farthest.でも、いつも一番遠いとは限らないのです。

4択問題 Reading Quiz

  1. Q1What is this story mainly about?

    この話は主に何についてのものですか。

  2. Q2How far away is the Triangulum Galaxy?

    さんかく座銀河は、どれくらい離れていますか。

  3. Q3Why is the light from Andromeda about 2.5 million years old?

    アンドロメダ銀河の光が約250万年前のものなのは、なぜですか。

  4. Q4In paragraph 1, the word "faint" is closest in meaning to

    第1段落の faint という語に最も意味が近いものはどれですか。

  5. Q5Which is true about the explosion in 2008?

    2008年の爆発について、正しいものはどれですか。

重要語 Key Words(タップで裏返る)

  • galaxy名詞
    銀河

    A galaxy is a huge group of stars.

    銀河は、星の巨大な集まりだ。

    💡 the Milky Way(天の川)も galaxy の1つ。

  • faint形容詞
    かすかな、ぼんやりした

    I heard a faint sound in the dark.

    暗やみの中で、かすかな音が聞こえた。

    💡 反対は bright(明るい)や loud(大きな音の)。

  • light-year名詞
    光年

    A light-year is a distance, not a length of time.

    光年は時間の長さではなく、距離だ。

    💡 光が1年で進む距離。年がつくが距離の単位。

  • distant形容詞
    遠い

    We saw a distant mountain from the window.

    窓から遠くの山が見えた。

    💡 名詞は distance(距離)。

  • explosion名詞
    爆発

    The explosion made a loud noise.

    その爆発は大きな音を立てた。

    💡 動詞は explode(爆発する)。

  • satellite名詞
    人工衛星、衛星

    The satellite sends pictures of the clouds to Earth.

    その人工衛星は、雲の写真を地球に送る。

    💡 月のように惑星のまわりを回る天体も satellite。

  • naked eye名詞
    肉眼

    You cannot see this tiny bug with the naked eye.

    この小さな虫は肉眼では見えない。

    💡 with the naked eye で「肉眼で、道具を使わずに」。naked は「はだかの」。

  • burst名詞
    (急な)破裂、ほとばしり

    There was a sudden burst of light in the sky.

    空で急に光がぱっと出た。

    💡 gamma-ray burst は「ガンマ線バースト」。動詞では「破裂する」。

SOURCES出典・ウラ取り

この記事の事実は、次の資料を実際に開いて確認しています(確認した事実 30件)。

  1. Messier 31(NASA Science, Hubble)science.nasa.gov
  2. Messier 33(NASA Science, Hubble)science.nasa.gov
  3. NASA Satellite Detects Record Explosion Halfway Across Universe(NASA Imagine the Universe, 2008)imagine.gsfc.nasa.gov
  4. Racusin, J. L. et al. (2008) Broadband observations of the naked-eye gamma-ray burst GRB 080319B, Nature 455: 183-188doi.org
  5. NASA's Hubble Shows Milky Way is Destined for Head-on Collision(NASA Science, 2012)science.nasa.gov
  6. Sawala, T. et al. (2025) No certainty of a Milky Way–Andromeda collision, Nature Astronomy 9: 1206-1217doi.org
  7. Naked-Eye Gamma-ray Burst Model for GRB 080319B(NASA Scientific Visualization Studio, 2009)svs.gsfc.nasa.gov

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