「OK」は、1839年の新聞のわざと間違えたつづりから生まれた
言葉と語源No.031

「OK」は、1839年の新聞のわざと間違えたつづりから生まれた

OKは「oll korrect(全部正しい)」の略だった。

うなり度 読む時間10分 出典6件 確認した事実19件
もくじ
  1. 1830年代のアメリカの新聞では、わざとつづりを間違えた略語がはやった
  2. OK は1840年の大統領選挙で、大統領のあだ名の頭文字として使われて広まった
  3. 1960年代、研究者リードが古新聞を調べて OK の由来をつきとめた
  4. 「OK は先住民の言葉から来た」という説は、一番古い OK の記録より46年もあとに出てきた
  5. 深掘り講義
  6. 英語で使ってみよう
  7. まとめ
  8. 英語で読む(A2・4択5問)
  9. 出典・ウラ取り

1839年3月23日、アメリカ・ボストンの新聞に、冗談まじりの記事が載りました。よその新聞をからかう記事です。新聞の名前は「ボストン・モーニング・ポスト(Boston Morning Post)」。その中に、小文字の「o.k.」という2文字があります。すぐあとには、ご丁寧に「all correct(すべて正しい)」という説明つきでした。

これが、世界中で通じる英単語「OK」の、知られている最も古い記録です。O と K は「oll korrect」の頭文字。all correct をわざと間違えてつづった言葉でした。

ところが、研究者がこの由来をつきとめたのは、1960年代のことです。最初の記録から、120年以上もたっていました。それまでは、大統領のあだ名説、アメリカ先住民の言葉説、ドイツ軍の階級説など、たくさんの説がありました。のちの大統領ウッドロウ・ウィルソン(Woodrow Wilson)は、先住民の言葉説を信じていました。書類に「OK」ではなく「okeh」と書いていたほどです。

この記事では、まず1839年の新聞で OK が生まれたいきさつを紹介します。次に、1840年の大統領選挙で OK が広まり、本当の由来が忘れられたことを見ます。最後に、研究者が古新聞から由来を確かめた方法を説明します。

011830年代のアメリカの新聞では、わざとつづりを間違えた略語がはやった

当時のアメリカの新聞では、略語がブームでした。今のチャットの「brb(be right back=すぐ戻る)」のようなものです。メリアム・ウェブスター(Merriam-Webster)の辞書編集部は、ある例を紹介しています。1839年のニューヨークの新聞に出た「O.K.K.B.W.P.」です。意味は「one kind kiss before we part(別れる前にやさしいキスを1回)」。若い女性が男性にこう言い、キスで返された、という記事でした。

もう一つの流行が、わざと、勉強していない人が書いたように見せたつづりです。no go(だめだ)は know go と書かれ、略して K.G. になりました。all right は oll wright と書かれて、O.W. になりました。そして all correct は oll korrect になり、O.K. になりました。正しく略せば A.C. のはずです。でも、わざと間違えたつづり oll korrect から略したので、O.K. になったのです。

こうした略語を一番さかんに作っていたのが、ボストン・モーニング・ポストでした。編集長は、チャールズ・ゴードン・グリーン(Charles Gordon Greene)です。この新聞は「SP(small potatoes=取るに足らないこと)」のような略語も作りました。でも、ほとんどは定着しませんでした。O.K. も、はじめはそうした略語の一つにすぎませんでした。

02OK は1840年の大統領選挙で、大統領のあだ名の頭文字として使われて広まった

流行の略語は、普通は流行が終わると消えます。O.K. が生き残ったのは、翌1840年の大統領選挙のおかげでした。

再選をめざしたのは、マーティン・ヴァン・ビューレン(Martin Van Buren)大統領です。ニューヨーク州キンダーフック(Kinderhook)の出身でした。そのため「Old Kinderhook(キンダーフックのおやじ)」と呼ばれていました。このあだ名の頭文字は、ちょうど O.K. です。支持者たちは「Vote for OK(OKに投票を)」をスローガンにし、各地に「OKクラブ」を作りました。

反対派のホイッグ党も、OK の2文字を使ってヴァン・ビューレンを攻撃しました。前の大統領アンドルー・ジャクソン(Andrew Jackson)を持ち出したのです。ジャクソンは、ヴァン・ビューレンの師匠にあたる人物でした。ホイッグ党は、「ジャクソンが all correct を書き間違えたのが始まりだ」と言いふらしました。のちに言語学者が、「アンドルー・ジャクソンはつづりを書けたか?」という題の論文まで書いています。

選挙の結果、ヴァン・ビューレンは負けました。でも OK という言葉は残りました。ただ、選挙運動での OK があまりに目立ったため、「OK は Old Kinderhook の略」という説明が広まりました。そのせいで、oll korrect という本当の由来は、見えにくくなりました。

031960年代、研究者リードが古新聞を調べて OK の由来をつきとめた

決着をつけたのは、アレン・ウォーカー・リード(Allen Walker Read)です。コロンビア大学の研究者でした。インターネットで古新聞を検索できない時代です。リードは当時の新聞を読み進め、OK の初期の用例(実際に使われた例)を一つずつ集めました。

成果は、学術誌『American Speech』に連載されました。第1回「OKの歴史の第1段階」が1963年、続きが同じ年と1964年に出ています。リードは、それまでの説を一つずつ調べて、しりぞけました。その中には、「南北戦争のころのビスケットの銘柄」説までありました。

リード以前に唱えられた説は、たとえば次のようなものです。

  • ドイツ語の Oberst Kommandant(高い軍の階級)の略。
  • フランス人がハイチに作った港町オー・カイ(Aux Cayes)の発音。
  • 電信(電線で信号を送って文を伝える通信)の用語「open key」の略。
  • アメリカ先住民チョクトー族の言葉 okeh。

ほかにも、たくさんの言葉が「祖先」の候補に挙げられました。ラテン語、ギリシャ語、フィンランド語、西アフリカのウォロフ語などです。

リードが調べたのは、デジタル化される前の古新聞の山だった(イメージ)。
リードが調べたのは、デジタル化される前の古新聞の山だった(イメージ)。

04「OK は先住民の言葉から来た」という説は、一番古い OK の記録より46年もあとに出てきた

古い説のうち、一番長く信じられたのが、チョクトー語の okeh 説です。ジャクソンが軍人時代にチョクトー族から借りた言葉だ、という筋書きでした。ウィルソン大統領はこの説を信じて、承認した書類に okeh と書きました。O.K. を使わない理由を聞かれて、「間違いだから」と答えたと伝えられています。

この説が支持されない理由は、記録の順番にあります。

  1. チョクトー語説が初めて唱えられたのは1885年。最古の OK(1839年)より46年もあとです。
  2. 最古の用例は、ボストンの新聞に出てきます。略語と、わざと間違えたつづりが大流行していた新聞です。しかも本文に「all correct」という説明までついています。
  3. リードは、チョクトー語説を含む以前の説を、一つずつ確かめました。そして、1839年のボストンの記録を出発点とする説明に置きかえました。

メリアム・ウェブスターの辞書も、OK の語源を「oll korrect の略」とし、最初の用例を1839年としています。

LECTURE

深掘り講義

ここから先は、もう一段深く。しくみ・史料・論争まで踏み込みます。

辞書に書かれた「一番古い使用例」の年は、新しい資料が見つかると古くなることもある

辞書が書く「初出(first known use)」は、その言葉が使われ始めた日ではありません。今のところ見つかっている、一番古い書かれた記録の日付です。メリアム・ウェブスターによると、OK の初出は次の通りです。形容詞・副詞の用法が1839年、名詞が1841年、動詞(「〜を承認する」)が1882年。新しい資料が見つかれば、この年は古くなることがあります。

リードの方法は、思いつきの語源説を並べることではありません。日付のついた用例を集めて、時間順に並べることでした。すると、OK が広まった順番が見えてきます。1839年のボストンの冗談 → 1840年の大統領選挙 → 電信による全国への広がり、です。「Old Kinderhook」説やチョクトー語説は、この順番の中に置くと、年の前後が合わないのです。語源研究では、本当らしく聞こえるかどうかよりも、どちらが先に記録されたかが強い証拠になります。

本当の由来より、覚えやすい作り話のほうが広まることがある

民間語源とは、言葉の本当の由来とは別に、人々が「たぶんこういう意味だろう」と考えて広まった説明のことです。OK はその見本のような言葉です。1840年の選挙では、もともとあった略語に Old Kinderhook という新しい中身が重ねられました。さらに反対派は、「ジャクソンのつづり間違い」という話を作りました。OK という2文字に、本当とは違う説明が、短い期間に二度も重ねられたのです。

民間語源が強いのは、「誰が、なぜ」がはっきりした物語になっているからです。「冗談の略語が流行した」より、「大統領のあだ名」や「先住民の言葉」のほうが、話として覚えやすいのです。だから専門家が否定しても、人から人へ伝わり続けます。

OK の由来は一つではない、と考える研究者もいる

リードの説は今も最も有力ですが、異論もあります。1975年、ロックフェラー大学のフランク・グレコ(Frank Greco)らは、同じ学術誌で別の考えを出しました。OK は、いくつかの言葉がまざり合って生まれたのかもしれない、という考えです。候補の一つが、スコットランドの「och aye(ああ、そうだ)」などでした。とはいえ、1839年のボストンの記録が最古であることに変わりはありません。

OK は遠くへ文を送る電信で広まり、やがて月面でも使われた

言葉が遠くまで広まるには、言葉を運ぶ道具が要ります。メリアム・ウェブスターは、OK の拡散を電信の登場が後押ししたと説明しています。電信は、遠く離れた町どうしで短い文を一瞬で送れる新しい道具でした。イギリスの雑誌『エコノミスト』は、OK が北米から世界へ、さらに月面にまで届いたと書きました。宇宙飛行士バズ・オルドリン(Buzz Aldrin)も、月面で OK と口にしたというのです。新聞の内輪の冗談が、人類が初めて訪れた別の天体でも使われたことになります。

OK は「オウ・ケイ」と1文字ずつ読む略語で、okay とも書く

OK は「オウ・ケイ」と1文字ずつ読みます。このように、頭文字を1文字ずつ読む略語を頭文字語(イニシャリズム)と呼びます。NASA のように一語として読む略語と、区別することがあります。つづりは OK、okay、ok のどれも普通に使われます。okay は、見た目はきちんとした単語です。でも語源の上では、OK を書き直した形です。

05英語で使ってみよう

OK は形容詞・副詞・名詞・動詞として使えます。

  • Is it OK if I sit here?(ここに座ってもいいですか?)
  • The teacher OK'd our plan.(先生が私たちの計画を許可した。動詞。過去形は OK'd や okayed)
  • We need her OK before we start.(始める前に彼女の許可が必要だ。名詞)
  • A-OK(完ぺきに順調)という言い方もあります。

関連して覚えたいのが、もとになった correct(正しい)と、all right(大丈夫)です。all right の「わざと間違い版」oll wright も、当時は O.W. と略されていました。

06まとめ

OK は、1839年3月23日のボストンの新聞に登場しました。all correct をわざと「oll korrect」と書いた、冗談の頭文字です。1840年の大統領選挙では、OK が大統領のあだ名「Old Kinderhook」と重ねられて広まりました。そのせいで、本当の由来は120年以上分からなくなりました。由来をつきとめたのは、古新聞を読み続けたアレン・ウォーカー・リードです。「OK」は、正しく略せば「A.C.」になるはずの言葉だったのです。

人に話すなら、こう言おう

OKって、1839年にボストンの新聞記者が「all correct」をわざと「oll korrect」と書いた冗談の頭文字なんだって。ウィルソン大統領は別の語源を信じて「okeh」と書いてたらしいよ。
READ IN ENGLISH

英語で読む

Two Letters from a Newspaper Joke

CEFR A2229 words4択 5問全訳つき
0:00

英文をタップすると、その文の訳が出ます。

On March 23, 1839, a newspaper in Boston printed a short joke.1839年3月23日、ボストンのある新聞が短い冗談を載せました。 In it, there were two small letters: "o.k."その中に、「o.k.」という2つの小さな文字がありました。 Right after them, the writer added the words "all correct."そのすぐあとに、書き手は「all correct(すべて正しい)」という言葉を付け加えていました。 This is the oldest known record of the word OK.これが、OKという言葉の知られている最も古い記録です。

At that time, newspapers loved short forms of words.当時、新聞は言葉の短い形(略語)が大好きでした。 Writers also liked to spell words wrong on purpose, for fun.書き手たちは、面白がって、わざと言葉のつづりを間違えることも好んでいました。 So "all correct" became "oll korrect," and then O.K.そこで「all correct」は「oll korrect」になり、さらにO.K.になりました。 "No go" became "know go," or K.G.「no go(だめだ)」は「know go」、つまりK.G.になりました。

Most of these short forms died quickly, but OK did not.こうした略語のほとんどはすぐに消えましたが、OKは消えませんでした。 In 1840, President Martin Van Buren wanted to win a second election.1840年、マーティン・ヴァン・ビューレン大統領は2度目の選挙に勝ちたいと考えていました。 People called him "Old Kinderhook" because his hometown was Kinderhook, New York.人々は彼を「Old Kinderhook(キンダーフックのおやじ)」と呼んでいました。ふるさとがニューヨーク州キンダーフックだったからです。 His supporters started "OK Clubs" and shouted, "Vote for OK!"支持者たちは「OKクラブ」を作り、「OKに投票しよう!」と叫びました。 He lost the election, but the word spread across the country.彼は選挙に負けましたが、その言葉は国じゅうに広まりました。

For many years, nobody knew where OK came from.何年もの間、OKがどこから来たのか、誰も知りませんでした。 Some people said it came from okeh, a word of the Choctaw people.チョクトー族の言葉「okeh」から来たと言う人もいました。 President Woodrow Wilson believed this, so he wrote "okeh" on papers.ウッドロウ・ウィルソン大統領はこれを信じていたので、書類に「okeh」と書きました。 But that idea first appeared in 1885, many years after 1839.しかし、その説が初めて出てきたのは1885年で、1839年よりずっとあとのことでした。

In the 1960s, a scholar named Allen Walker Read solved the mystery.1960年代、アレン・ウォーカー・リードという学者がこの謎を解きました。 There was no internet, so he read old newspapers page by page.インターネットはなかったので、彼は古い新聞を1ページずつ読みました。 He published his findings in 1963 and 1964.彼は1963年と1964年に研究の成果を発表しました。 Today, people all over the world say OK.今では、世界中の人々がOKと言っています。 And it all started with a bad spelling that was not a mistake.そしてそのすべては、うっかりではない「間違ったつづり」から始まったのです。

4択問題 Reading Quiz

  1. Q1What is this story mainly about?

    この話は主に何についてのものですか。

  2. Q2When did OK first appear in a newspaper?

    OKが初めて新聞に出たのはいつですか。

  3. Q3Why did "all correct" become O.K. and not A.C.?

    なぜ「all correct」はA.C.ではなくO.K.になったのですか。

  4. Q4In paragraph 3, the word "spread" is closest in meaning to

    第3段落の「spread」という語に最も意味が近いのはどれですか。

  5. Q5Which is true about the Choctaw idea?

    チョクトー語説について正しいものはどれですか。

重要語 Key Words(タップで裏返る)

  • record名詞
    記録

    This is the oldest record of our town.

    これは私たちの町の最も古い記録です。

    💡 動詞は「記録する・録音する」で、アクセントが後ろ(reCORD)に移る。

  • on purpose熟語
    わざと、故意に

    He made the mistake on purpose to make us laugh.

    彼は私たちを笑わせるために、わざと間違えた。

    💡 反対は by accident(うっかり、偶然に)。

  • spell動詞
    (語を)つづる

    How do you spell your name?

    あなたの名前はどうつづりますか。

    💡 名詞 spelling は「つづり」。misspell は「つづりを間違える」。

  • election名詞
    選挙

    She won the election last year.

    彼女は去年の選挙に勝った。

    💡 動詞 elect(選挙で選ぶ)。win / lose an election の形でよく使う。

  • supporter名詞
    支持者、応援する人

    The team has many supporters in this city.

    そのチームはこの町に多くの応援する人がいる。

    💡 support(支える・応援する)+ -er(〜する人)。

  • spread動詞
    広まる、広げる

    The news spread quickly at school.

    そのニュースは学校ですぐに広まった。

    💡 過去形・過去分詞も spread(spread-spread-spread)。

  • scholar名詞
    学者

    The scholar studied old books for many years.

    その学者は何年も古い本を研究した。

    💡 scholarship(奨学金)と同じ仲間の語。

  • mystery名詞
    謎

    Where the cat went is still a mystery.

    そのネコがどこへ行ったのかは今も謎だ。

    💡 solve a mystery(謎を解く)の形でよく使う。形容詞は mysterious。

SOURCES出典・ウラ取り

この記事の事実は、次の資料を実際に開いて確認しています(確認した事実 19件)。

  1. How One Man Discovered the Obscure Origins of the Word 'OK'(Smithsonian Magazine)smithsonianmag.com
  2. The Hilarious History of 'OK'(Merriam-Webster)merriam-webster.com
  3. OK(Merriam-Webster Dictionary)merriam-webster.com
  4. Read, A. W. (1963) The First Stage in the History of "O. K.", American Speech 38(1)doi.org
  5. Read, A. W. (1963) Could Andrew Jackson Spell?, American Speech 38(3)doi.org
  6. Greco, F. A. & Degges, M. (1975) The Etymology of OK Again, American Speech 50(3/4)doi.org

公式ページで見てみよう

文章はすべて資料をもとに独自の言葉で書いています。画像はオリジナルのイメージです。誤りにお気づきの方は訂正窓口へ。

NEXT TRIVIAこの雑学にうなった人は、これにもうなる