CHECK TEST
東京大学 英語 大問別の特徴と対策確認問題集
東大型の確認問題21問。要約・文補充・英作文・誤り指摘・下線部和訳・物語読解を本番の形で1つずつ体験する。
Ⅰ 次の英文を読み、設問に答えよ(1(A)型)
Most of us treat boredom as a problem to be solved as quickly as possible. On a train or in a waiting room, we reach for our phones the moment we have nothing to do. Yet a growing number of psychologists argue that boredom is not simply an empty state but a useful signal. It tells us that what we are doing no longer satisfies us, and it pushes us to look for something more meaningful. In some experiments, people who had first performed a dull task, such as copying a long list of numbers, later came up with more creative ideas than people who had not. If we fill every quiet moment with entertainment, we may never hear this signal. The point, then, is not to seek boredom for its own sake, but to stop running away from it the instant it appears.
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私たちの多くは、退屈をできるだけ早く解決すべき問題として扱っている。電車の中や待合室で、することがなくなった瞬間にスマートフォンに手を伸ばす。しかし、退屈は単なる空っぽの状態ではなく、役に立つ合図なのだと主張する心理学者が増えている。退屈は、今していることにもう満足していないと私たちに知らせ、もっと意味のあることを探すよう背中を押してくれるのだ。ある実験では、最初に長い数字の一覧を書き写すといった退屈な作業をした人のほうが、そうしなかった人よりも、後でより創造的なアイデアを思いついた。もし静かな時間をすべて娯楽で埋めてしまえば、私たちはこの合図を聞き取れないかもしれない。だから大切なのは、退屈そのものを求めることではなく、退屈が現れた瞬間にそこから逃げ出すのをやめることなのである。
- 1筆者の主張として最も適切なものを選べ。
答えb 退屈はより意味のあることを求めさせる合図なので、現れてすぐに逃げずに受け止めるべきだ
解説根拠は最終文 The point, then, is not to seek boredom for its own sake, but to stop running away from it the instant it appears.(大切なのは退屈そのものを求めることではなく、現れた瞬間に逃げるのをやめること)。not A but B の B が主張で、その前提は「退屈は役に立つ合図」。「退屈な作業を意図的に増やすべき」は not to seek boredom for its own sake に反する。「スマホを使うべき」は筆者が批判している行動。「どんな場合でも創造的になる」は In some experiments の結果を一般化した言い過ぎ。
【覚える】not A but B / The point is … の文が主張。実験は主張を支える材料。 - 2この英文を日本語で要約するとき、原則として省いてよい部分を選べ。
答えd 数字の一覧を書き写す退屈な作業の後で、創造的なアイデアが増えたという実験
解説In some experiments, … 以下の「数字の一覧を書き写した後に創造的なアイデアが増えた」という実験は、主張(退屈は役に立つ合図)を支える具体例なので、字数の限られた要約では原則として省く。ほかの3つは「退屈は単なる空白ではなく合図」「満足していないことを知らせる」「逃げるのをやめるべき」で、主張とその根拠の中心部分なので省けない。
【覚える】要約で捨てるもの:具体例・実験・数字・for example 以下。残すもの:対比・主張・理由。
Ⅰ(続き)上の英文の内容を70〜80字の日本語で要約せよ
- 3(字数には句読点を含める)
答え退屈はすぐ解消すべき問題とされがちだが、今の活動に満足していないと知らせ、より意味のあることを求めさせる合図なので、現れた瞬間に逃げずに受け止めるべきだ。
解説採点ポイントは4つ。①一般の見方(退屈はすぐ解消すべき問題)との対比 ②退屈は「合図」であること ③その働き(今の活動への不満を知らせ、より意味のあることを求めさせる)④結論(現れた瞬間に逃げずに受け止める)。実験やスマートフォンの例は入れない。「退屈を求めるべき」と書くと not to seek boredom に反して減点。70〜80字に収めるため、主語を「退屈は」で統一すると書きやすい。
【覚える】東大1(A):「一般論→しかし筆者は→理由→結論」の骨組みを字数内に入れる。
Ⅱ 次の英文の空所(1)〜(3)に入る最も適切な文を選べ。また(ア)の( )内の語を並べかえて意味の通る英文にせよ(1(B)型)
When something beautiful or unusual happens in front of us, our first impulse is often to take a picture of it. ( 1 ) Some researchers, however, suspect that the camera may actually weaken our memories. In studies of museum visitors, people who photographed objects later remembered fewer details about them than people who simply looked at them. ( 2 ) Knowing that the image is safely stored, we seem to let the camera (ア)( do / for / most / of / remembering / the / us ). This does not mean that we should leave our phones at home. ( 3 ) When visitors were asked to photograph one particular part of an object, such as the face of a statue, their memory of the whole object improved rather than declined.
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目の前で何か美しいことや珍しいことが起きると、私たちが最初に抱く衝動は、たいていそれを写真に撮ることだ。そうすることは、その瞬間を決して忘れないようにするための方法のように感じられる。しかし一部の研究者は、カメラは実は私たちの記憶を弱めているのではないかと考えている。美術館の来館者を対象とした研究では、展示物を撮影した人は、ただ眺めた人よりも、後でその展示物について覚えている細部が少なかった。1つの説明は、私たちがカメラを一種の外部記憶として扱っているというものだ。画像が安全に保存されているとわかっているので、私たちは覚えるという作業の大半をカメラに任せてしまうらしい。だからといって、スマートフォンを家に置いてくるべきだということではない。重要なのは、カメラそのものよりも、カメラの使い方なのかもしれない。来館者が、彫像の顔のように展示物の特定の一部分を撮影するよう求められた場合、展示物全体についての記憶は、低下するどころかむしろ向上したのである。
- 4( 1 )
答えb Doing so feels like a way of making sure that we will never forget the moment.
訳そうすることは、その瞬間を決して忘れないようにするための方法のように感じられる。
解説Doing so は直前の「写真を撮ること」を指す。「忘れないための手段に思える」→次の however(しかし実はカメラは記憶を弱める)と、思い込みと事実の対比がきれいにつながる。One explanation is that …(1つの説明は〜)は、説明すべき実験結果がまだ出ていないので入らない。The way we use the camera … は「スマホを置いていけということではない」の後に来る文。museums … have banned photography(撮影を禁止した)は本文にない話で流れを切る。
【覚える】Doing so / This の文は、直前の行動・内容を受ける。指すものがあるか確かめる。 - 5( 2 )
答えb One explanation is that we treat the camera as a kind of external memory.
訳1つの説明は、私たちがカメラを一種の外部記憶として扱っているというものだ。
解説直前は「撮影した人のほうが細部を覚えていない」という実験結果。その理由を説明する One explanation is that …(1つの説明は〜だ)が入る。直後の Knowing that the image is safely stored(画像が保存されているとわかっているので)が「外部記憶」の説明の続きになっている。Doing so feels like … は写真を撮る衝動の直後に置く文。The way we use the camera … は「スマホを置いていく必要はない」の後。museums … banned photography(撮影禁止)は本文にない。
【覚える】実験結果の直後には One explanation is that … / This may be because … が来やすい。 - 6( 3 )
答えd The way we use the camera, rather than the camera itself, may be what counts.
訳重要なのは、カメラそのものよりも、カメラの使い方なのかもしれない。
解説直前の「スマホを家に置いてくるべきだということではない」を受けて、「大事なのは使い方だ」と述べ、直後の具体例(彫像の顔など一部分を撮ると、全体の記憶がむしろ良くなった)につなげている。A, rather than B(BよりむしろA)の対比が前後をつないでいる。Doing so feels like … と One explanation is that … はすでに使った位置の文。museums … banned photography は「スマホを置いてこなくてよい」と矛盾する。
【覚える】This does not mean that …(だからといって〜ではない)の後には、筆者の本当の主張が来る。
Ⅱ(続き)語句整序
- 7(ア)の( )内の語を並べかえて、空所の前の let the camera に続く形で書け。
答え(let the camera) do most of the remembering for us
訳画像が安全に保存されているとわかっているので、私たちは覚えるという作業の大半をカメラに任せてしまうらしい。
解説骨組みは let+O+原形(O に〜させる)で、let the camera do …。do the remembering は「覚えるという作業をする」(do the shopping / do the cooking と同じ型)。most of the+名詞で「〜の大半」なので do most of the remembering。最後に for us(私たちの代わりに)を置く。「覚える仕事の大半をカメラに任せる」という意味になる。
【覚える】do the+-ing(作業名):do the remembering / do the washing。let O 原形=Oに〜させてやる。
Ⅲ 英作文(2(A)・2(B)型)
- 8「成長する」とはどういうことか。あなたの考えを、具体例を1つ挙げて60〜80語の英語で述べよ。
答えIn my view, growing up means learning to see things from other people's point of view, not simply being able to do more. Take, for example, a classmate I used to find difficult. When I learned that he took care of his sick mother every evening, I understood why he often seemed tired and unfriendly. Since then, I have tried to imagine other people's situations before judging them. This, I believe, is real growth.(74語)
訳(模範解答の訳)私の考えでは、成長するとは、単にできることが増えることではなく、他人の視点から物事を見られるようになることだ。たとえば、以前は付き合いにくいと思っていたクラスメートがいた。彼が毎晩病気の母親の世話をしていると知ったとき、なぜ彼がいつも疲れていて無愛想に見えたのかがわかった。それ以来、私は人を判断する前に、その人の状況を想像するよう心がけている。これこそが本当の成長だと私は思う。
解説採点ポイントは5つ。①「成長するとは何か」という定義の問いに1文目で答える ②not simply …(単にできることが増えるのではない)で常識を裏返し、主張をはっきりさせる ③具体例は1つの場面にしぼって書く(クラスメートの事情を知った体験)④例と主張のつながり(This, I believe, is real growth.)を最後に示す ⑤60〜80語の範囲(模範は74語)。Take, for example, … は例を導く便利な形。
【覚える】定義型:X means A, not simply B. → 具体例 → This is real X.。 - 9次の日本語を英語に訳せ。「便利な道具は、私たちから何かを奪うこともある。地図アプリのおかげで道に迷うことは減ったが、そのかわり、私たちは町の様子を自分の目で覚えようとしなくなった。」
答えConvenient tools can also take something away from us. Thanks to map apps, we get lost less often, but in return, we no longer make the effort to learn what our town looks like by observing it with our own eyes.
解説採点ポイントは、日本語を英語にしやすい形に「和文和訳」してから書くこと。①「奪うこともある」は can also take something away from us ②「〜のおかげで」は Thanks to 〜 ③「道に迷うことは減った」は get lost less often ④「そのかわり」は in return / instead ⑤「覚えようとしなくなった」は no longer make the effort to 〜 ⑥「町の様子」は what our town looks like。別解:we have stopped trying to remember what our town looks like。
【覚える】「〜しなくなった」=no longer do / have stopped -ing。「〜の様子」=what 〜 looks like。 - 10次の日本語を英語に訳せ。「何かを始めるのに遅すぎることはないとよく言われるが、それを本気で信じている大人は多くない。」
答えPeople often say that it is never too late to start something, but not many adults really believe it.
解説採点ポイントは3つ。①「〜するのに遅すぎることはない」は it is never too late to do ②主語のない「よく言われる」は People often say that … か It is often said that … ③「多くない」は not many adults / few adults。後半の believe it の it は前半の内容(遅すぎることはない)を受ける。「本気で」は really / truly。別解:It is often said that you are never too old to start something, but few adults actually believe this.
【覚える】日本語の主語なし文は people / we / you / It is said that で主語を補う。
Ⅳ 下線部のうち、誤りを含むものを1つ選べ(4(A)型)
- 11The number of students who choose(A) to study abroad have(B) increased steadily over(C) the past decade, according to(D) a recent survey.
答えb (B)
訳最近の調査によると、留学を選ぶ学生の数は、この10年で着実に増えている。
解説(B) 主語は The number(数)で単数なので、have ではなく has increased。直前の students(複数)に引きずられるのが罠。(A) who choose は先行詞 students(複数)を受けるので複数形で正しい。(C) over the past decade(この10年で)は現在完了と合う。(D) according to(〜によると)も正しい。
【覚える】The number of+複数名詞=単数(〜の数)/A number of+複数名詞=複数(多くの〜)。 - 12Mika found life in Tokyo exciting(A) at first, but after a few months she began to miss the quiet streets(B) of her hometown, which(C) she had not visited since(D) three years.
答えd (D)
訳ミカは最初は東京の生活をわくわくするものだと感じたが、数か月後には故郷の静かな通りが恋しくなり始めた。故郷にはもう3年帰っていなかった。
解説(D) three years は「期間の長さ」なので since ではなく for three years。since は起点(since 2023 / since she left)に使う。(A) find+O+形容詞(OがCだとわかる)で、生活が「わくわくさせる」側なので exciting で正しい。(B) the quiet streets も正しい。(C) which は the quiet streets of her hometown を受ける非制限用法で正しい。
【覚える】for+期間の長さ(for three years)/since+起点(since 2023)。 - 13Because the bridge had been badly(A) damaged by the storm, the city decided to reopen(B) it until repairs were(C) completed, forcing(D) drivers to take a long detour.
答えb (B)
訳橋は嵐でひどく損傷していたので、市は修理が終わるまで橋を閉鎖することに決め、運転者は長い回り道を強いられた。
解説(B) 文法的には正しいが文脈に合わない。壊れた橋は、修理が終わるまで「閉鎖する(close)」もので、だからこそ運転者は長い回り道を強いられた。reopen(再開する)では回り道をする理由がなくなり、until repairs were completed(修理が終わるまで)とも矛盾する。(A) badly damaged(ひどく損傷した)、(C) were completed、(D) 分詞構文 forcing drivers to … は正しい。
【覚える】東大4(A)は文法だけでなく「文脈との矛盾」も疑う。 - 14Not until she read the letter a second time did she realize(A) how much her grandfather had cared(B) about her, and she regretted not to visit(C) him more often while(D) he was alive.
答えc (C)
訳手紙を2度目に読んで初めて、彼女は祖父がどれほど自分を大切に思っていたかに気づき、祖父が生きている間にもっと頻繁に訪ねなかったことを後悔した。
解説(C) regret -ing で「(過去に)〜したことを後悔する」なので、not to visit ではなく not visiting(または not having visited)。regret to do は「残念ながら〜する」(We regret to inform you …)で意味が違う。(A) Not until … が文頭なので did she realize の倒置は正しい。(B) had cared は気づいた時点より前からの状態で過去完了が正しい。(D) while he was alive(生きている間に)も正しい。
【覚える】regret -ing=〜したことを後悔する/regret to do=残念ながら〜する。remember / forget も同じ区別。 - 15Of the two proposals, the second was clearly(A) the more practical(B), since(C) it required less(D) workers and cost much less money.
答えd (D)
訳2つの提案のうち、2番目のほうが明らかに実用的だった。必要な作業員が少なく、費用もずっと少なかったからだ。
解説(D) workers は可算名詞の複数なので、less ではなく fewer workers。less は不可算名詞に使う(less money)。(A) clearly(明らかに)は副詞で正しい。(B) Of the two proposals(2つのうちで)なので、比較級に the をつけた the more practical が正しい形。(C) since(〜なので)は理由の接続詞で正しい。
【覚える】fewer+可算名詞の複数/less+不可算名詞。Of the two, the+比較級。
Ⅴ 下線部を和訳せよ(4(B)型)
- 16Many people believe that talent is something we are born with. What the research suggests, however, is that it is not so much the ability we start with as the way we practice that determines how far we go.
答えしかし、研究が示唆しているのは、どこまで伸びるかを決めるのは、最初に持っている能力というよりもむしろ練習の仕方だということだ。
解説採点ポイントは4つ。①What the research suggests … is that 〜 は「研究が示唆しているのは〜ということだ」②強調構文 it is 〜 that determines …(…を決めるのは〜だ)③not so much A as B は「AというよりむしろB」で、A=the ability we start with(最初に持っている能力)、B=the way we practice(練習の仕方)④how far we go は「どこまで伸びるか・どこまで行けるか」。挿入の however(しかし)の訳も忘れない。
【覚える】not so much A as B = B rather than A(AというよりむしろB)。 - 17Children in the town used to swim in the river every summer. When a factory was built upstream, the water became dirty and the river was fenced off. It was only after the factory closed decades later that the children's grandchildren could do what their grandparents had taken for granted.
答え数十年後に工場が閉鎖されて初めて、子どもたちの孫の世代は、祖父母が当たり前だと思っていたこと、つまり川で泳ぐことができるようになった。
解説採点ポイントは4つ。①It was only after 〜 that …(〜して初めて…した)の強調構文を正しく訳す ②take 〜 for granted は「〜を当然と思う」③what their grandparents had taken for granted(祖父母が当然と思っていたこと)の中身は「川で泳ぐこと」なので、補って訳すと理解が伝わる ④decades later(数十年後に)。the children's grandchildren(その子どもたちの孫)を「孫の世代」と訳すと自然。
【覚える】It was not until / only after A that B=Aして初めてB。take A for granted=Aを当然と思う。 - 18Today, anyone with a smartphone can find thousands of articles on almost any topic in seconds. This means that the more information we have access to, the more important it becomes to decide what we can safely ignore.
答え誰でも数秒で膨大な記事を見つけられるということは、利用できる情報が多ければ多いほど、何なら無視しても差し支えないかを決めることが重要になるということだ。
解説採点ポイントは4つ。①This が指す内容(誰でもスマホで数秒のうちに膨大な記事を見つけられること)を補って訳す ②the+比較級 〜, the+比較級 …(〜すればするほど…)③形式主語 it の中身は to decide …(〜を決めること)④what we can safely ignore は「安全に(差し支えなく)無視できるもの」。have access to 〜 は「〜を利用できる」。
【覚える】The more A, the more important it becomes to do.=Aが多いほど〜することが重要になる。
Ⅵ 次の物語を読み、設問に答えよ(5型)
On the morning of the piano recital, Ken could not eat breakfast. He had practiced the piece hundreds of times, yet his hands felt as if they belonged to someone else. When his name was called, he walked to the stage without looking at the audience. The first few bars went well. Then, halfway through, his mind went completely blank. For what seemed like an hour but was probably three seconds, he sat frozen. Somewhere in the hall, a small child laughed. Strangely, the sound did not hurt him. It reminded him of his little sister, who always laughed when he made mistakes at home, and he found himself smiling. His fingers found the next note on their own. When he finished, he realized that, for the first time, he had been playing for himself rather than for the judges.
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ピアノの発表会の朝、ケンは朝食が食べられなかった。その曲は何百回も練習してきたのに、手がまるで他人のもののように感じられた。名前を呼ばれると、彼は客席を見ないままステージへ歩いていった。最初の数小節はうまくいった。ところが途中で、頭が真っ白になった。1時間にも思えたが、実際にはおそらく3秒ほどの間、彼は固まったまま座っていた。ホールのどこかで、小さな子どもが笑った。不思議なことに、その声は彼を傷つけなかった。家で彼が間違えるといつも笑う妹のことを思い出させ、彼は気づけば微笑んでいた。指はひとりでに次の音を見つけた。弾き終えたとき、彼は、初めて審査員のためではなく自分のために演奏していたのだと気づいた。
- 19Ken の気持ちの変化として最も適切なものを選べ。
答えc 不安で体が固くなっていたが、笑い声で緊張がほぐれ、最後は自分のために演奏できた
解説ケンの気持ちは、朝食が食べられない・手が他人のよう(不安)→頭が真っ白になって固まる(硬直)→子どもの笑い声で妹を思い出して微笑む(ほぐれ)→審査員のためでなく自分のために弾いた(解放)と変化する。「子どもに笑われて傷つき、演奏をやめた」は the sound did not hurt him と、指が次の音を見つけたことに反する。「最初から落ち着いていた」は朝の様子と矛盾。「会場にいた妹に励まされた」は、妹は思い出しただけで会場にいない。
【覚える】物語の心情問題:最初・転機・最後の3点で気持ちを追う。 - 20本文中の For what seemed like an hour but was probably three seconds の意味として最も適切なものを選べ。
答えc Ken felt that the pause was very long, although it was actually very short.
訳1時間にも思えたが、実際にはおそらく3秒ほどの間――。(=ケンにはその間がとても長く感じられたが、実際にはとても短かった。)
解説what seemed like 〜 は「〜のように思えたもの」。「1時間に思えた(本人の感覚)が、実際はおそらく3秒だった(事実)」という対比で、緊張の大きさを表している。正解は felt that the pause was very long, although it was actually very short でこれを言い換えている。stopped playing for about an hour(約1時間演奏をやめた)は感覚と事実の取り違え。The audience waited three seconds before laughing(聴衆が3秒待って笑った)、practiced for an hour(1時間練習した)は本文と違う。
【覚える】what seemed like A but was B=Aに思えたが実はBだった。 - 21Why did the child's laugh not hurt Ken?
答えc It made him think of someone who laughed at his mistakes in a friendly way.
訳なぜ子どもの笑い声はケンを傷つけなかったのか。――失敗を親しみをこめて笑ってくれる人を思い出させたから。
解説根拠は It reminded him of his little sister, who always laughed when he made mistakes at home, and he found himself smiling.(家で間違えるといつも笑う妹を思い出させ、気づけば微笑んでいた)。親しい人の記憶に結びついたので傷つかなかった。too nervous to hear it(緊張で聞こえなかった)は、笑い声に反応して微笑んだことと矛盾。laughing at someone else(別の人を笑っていた)、used to being laughed at by large audiences(大勢に笑われ慣れていた)は本文にない。
【覚える】remind A of B=AにBを思い出させる。find oneself -ing=気づくと〜している。
東京大学 英語 大問別の特徴と対策(A4 2枚)