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英語圏の人は「正」の字を書きません。じゃあ、どうやって数えるのか
答えは「縦4本+斜め1本」。しかもこの線には名前があって、その名前のせいで1834年にイギリス国会議事堂が全焼しています。
In Japan
日本では 「正」 の字を書きます。横・縦・横・縦・横で5画。1画=1つで、字が完成すると5。
よくできています。ちょうど5画で、しかも1画ずつしか増えないので、書きかけでも「いま何本目か」が一目で分かる。おまけに「正しい」という縁起のいい字。
使うのは日本・中国・台湾・韓国。漢字を使う国だけです。
In English
英語圏では、縦棒を4本引いて、5本目を斜めに重ねます。
これを tally marks(タリー・マークス)と呼びます。5本ごとの束は a five-bar gate(5本の柵)とも。イギリスの牧場の柵の形に似ているからです。
日本人が「正」を書くと、まず What is that? と聞かれます。逆に、日本人は4本+斜め線を見て「4? 5?」と迷う。どちらも、習っていないだけです。
tally は、真っ二つに割られた木の棒だった
tally の語源は「切り取った棒」。中世ヨーロッパでは、借金の記録に木の棒を使っていました。
借りた額のぶんだけ棒に刻みを入れ、その棒を縦に真っ二つに割る。半分を貸主が、半分を借主が持つ。刻みは割れ目をまたいでいるので、2枚を合わせてぴたりと合えば本物。木目は1本ずつ違うので、偽造がほぼ不可能です。
これが tally stick(割り符)。イギリスの財務省がこれを公式に使っていたのは、驚くことに1826年まででした。産業革命の時代に、国家財政が木の棒で回っていたわけです。
そして、ここから話が転がります。
1826年に制度が廃止されると、何世紀ぶんもの木の棒が財務省に残りました。処分に困った当局は1834年10月16日、それを議事堂の地下の炉で燃やし始めます。
乾ききった木は、想像を超える勢いで燃えました。煙突が過熱し、火が床を伝って上へ。ウェストミンスター宮殿——イギリス国会議事堂は、この日ほぼ全焼しました。
いま観光写真に写っているあの建物とビッグ・ベンは、この火事のあとに建て直されたものです。
数え方の道具が、国会議事堂を建て替えさせた。世界史でいちばん割に合わない後始末かもしれません。
この話の動画
この話で手に入る英語
I'll keep a tally of how many times he says "actually."
和訳 彼が「実は」って何回言うか、数えておくね。
keep a tally of ~ で「〜の数を数えておく」。会議でも授業でも使えて、count より少し知的に響きます。
Just use tally marks—it's faster than writing numbers.
The final tally was 128 votes to 94.
Your story doesn't tally with what he told me.
和訳 線で数えなよ。数字を書くより速いから。 最終集計は128票対94票だった。 君の話は、彼から聞いた話と合わない。
出典: Tally stick — Wikipedia / Burning of Parliament — Wikipedia
1問だけ
「何回言うか数えておくね」を英語で言うと?
よくある質問
英語圏で「正」の字を書いて数えたら通じますか?
通じません。「正」を使うのは日本・中国・台湾・韓国など漢字文化圏だけです。英語圏では縦棒4本に斜め線1本を重ねる tally marks が標準です。
tally はどんな意味の単語ですか?
名詞では「集計・得点」、動詞では「(数字や話が)一致する」という意味です。語源は中世ヨーロッパの割り符(tally stick)で、木の棒を割って貸し借りを記録した仕組みに由来します。