ハドソン川の奇跡|Ric EliasのTED英語
2009年、エンジン停止でハドソン川に不時着したUS Airways1549便に乗り合わせていたRic Eliasが、2011年のTED本会議で初めて公に語った、約5分のトーク。『Imagine』の反復から始まり、『Brace for impact.』という3語で緊張のピークを描きます。
3 things I learned while my plane crashed
飛行機が墜落したときに学んだ3つのこと/Ric Elias(起業家(Red Ventures共同創業者・CEO))・2011年・約5分 字幕つきで見る ↗
なぜ、これほど届いたのか
このトークが強いのは、教訓からではなく、聴衆を機内へ引きずり込む描写から始まる点です。冒頭で "Imagine" を3回重ね、爆発・煙・エンジン音を畳みかけるように描いたあと、機長のアナウンスをたった3語 "Brace for impact." で置きます。Eliasはこの3語を「私がこれまで聞いた中で、いちばん感情のこもらない3語」だったと語っています。長く続いた描写のあとに来る極端な短さが、緊張のピークをそのまま聴衆に体験させる仕掛けです。そこから先は一転して、"I no longer try to be right; I choose to be happy." のような短い対句で、事故のあとの生き方の変化を言い切っていきます。約5分という短さの中に、恐怖から気づきまでの流れを一気に詰め込んでいるのが、このトークの設計です。
名台詞
Imagine a big explosion as you climb through 3,000 ft. Imagine a plane full of smoke. Imagine an engine going clack, clack, clack, clack, clack, clack, clack.
Brace for impact.
I no longer try to be right; I choose to be happy.
和訳 高度3,000フィートまで上がったところで、大きな爆発が起きる場面を想像してください。機内が煙でいっぱいになる場面を想像してください。エンジンが「カチカチ」と音を立てる場面を想像してください。衝撃に備えろ。もう『自分が正しい』ことにこだわるのはやめました。『幸せでいる』ほうを選ぶことにしたんです。
ここが聞き取れない
- "Imagine... Imagine..." の反復
- 冒頭で "Imagine" を3回繰り返しながら、爆発・煙・エンジン音の順に描写します。同じ語り出しが続くので、細部が聞き取れなくても、いま緊迫した場面を説明していることが伝わります。
- "Brace for impact." という3語の合図
- 機長が乗客に告げた言葉として、この3語だけが置かれます。Eliasは直後に、これが "the most unemotional three words I've ever heard"(これまで聞いた中でいちばん感情のこもらない3語)だったと続けます。それまでの長い描写から一転する短さそのものが、緊迫の合図になっています。
- "I no longer ~; I choose to ~." という対比の型
- 「もう〜しない、代わりに〜を選ぶ」という型で、事故のあとの生き方の変化を語ります。この型を覚えておくと、後半の短い文が続く場面でも意味を追いやすくなります。
この1本の使い方
- 上の3つの引用を、意味を確認したうえで音読する。特に "Brace for impact." は、抑揚をつけずに平坦に読んでみる。
- 字幕なしで冒頭30秒だけを聞き、"Imagine" が何回聞こえるか数えてみる。
- 自分の生活の中で後回しにしていることを1つ思い浮かべ、"I no longer postpone ___." の形で英語1文にしてみる。
今日は、この3つの引用を声に出して読むところまでで十分です。明日、何かを後回しにしたくなったら、"I'll do it today."(今日やる)と自分に言ってみてください。それだけで、先延ばしにする癖が1つ減ります。
よくある質問
ハドソン川の奇跡とはどんな出来事ですか?
2009年1月、US Airways1549便がニューヨークを離陸した直後にエンジンが停止し、機長がハドソン川に不時着させた事故です。乗客乗員全員が生還したことから『ハドソン川の奇跡』と呼ばれています。Ric Eliasはこの便に乗っていた乗客の1人です。
英語学習には、どんな点で役立ちますか?
冒頭の "Imagine" の反復や、"Brace for impact." という短い合図など、聞き取りやすい型が繰り返し使われます。トーク自体も約5分と短く、通しで聞く練習に向いています。