アメとムチが逆効果?|Dan PinkのTED英語
キャリア論の書き手Dan Pinkが、科学が証明してきたことと、実際のビジネスの現場がやっていることの『ズレ』を指摘する2009年のTEDトーク。ごほうびを出したほうが、かえって問題を解くのに3分半も長くかかったという、意外な実験結果から話が始まります。
The puzzle of motivation
やる気の正体/Dan Pink(キャリア分析家・作家)・2009年・約19分 字幕つきで見る ↗
なぜ、これほど届いたのか
このトークが強いのは、『科学は知っているのに、ビジネスの現場ではまだ使われていない』という、身近なズレから入るところです。Pinkはまず、ごほうび(お金)を用意したほうが、問題を解き終えるのに平均で3分半も長くかかったという実験結果を示し、聞き手の『えっ』という反応を早い段階で引き出します。そのあと"There is a mismatch between what science knows and what business does."(科学が知っていることと、ビジネスの現場がやっていることには、ズレがある)と1文で言い切り、聞き手が引っかかった疑問に、あとから理由を与えていくという構成です。さらに、人を動かす3つの要素(自主性・成長・目的)を、同じ文の形を3回繰り返して並べるので、内容が抽象的でも耳に残りやすくなっています。
名台詞
There is a mismatch between what science knows and what business does.
Rewards, by their very nature, narrow our focus, concentrate the mind.
和訳 科学が知っていることと、ビジネスの現場がやっていることには、ズレがある。ごほうびというものは、その性質上、私たちの視野をせばめ、意識を1点に集中させる。
ここが聞き取れない
- 同じ文の形を3回くり返す言い方
- 自主性(Autonomy)・成長(Mastery)・目的(Purpose)という3つの言葉を、それぞれ『◯◯:〜したいという欲求』という同じ文の形で説明しています。1つ目の形を聞き取れれば、2つ目・3つ目も同じ構造だと予測して聞けます。
- "what ~ knows" と "what ~ does" を対比させる言い方
- "what science knows"(科学が知っていること)と "what business does"(ビジネスがやっていること)のように、同じ形の疑問詞のかたまりを並べて対比させています。1つ目が聞き取れれば、2つ目も同じ形だと見当がつきます。
- 実験の結果を先に言ってから説明する順番
- 『こうなった』という結果を早めに置いてから、『なぜなら』と理由をあとから説明する順番です。結果の部分だけ聞き取れれば、そのあとの説明もついていきやすくなります。
この1本の使い方
- まず字幕なしで、冒頭1分だけを聞き、"reward" "focus" "science" "business" のような聞き取れた単語だけを紙に書き出してみる。
- 上の2つの引用を、意味を確認したうえで音読する。特に1つ目は、"science" と "business" を強く発音して、対比が伝わるように読んでみる。
- 自分の身の回りで『ごほうびをもらったら、かえってやる気が下がった』出来事を1つ思い浮かべ、"I thought a reward would help, but actually it didn't."(ごほうびが助けになると思っていたが、実際はそうならなかった)の形で、英語で1文書いてみる。
今日は、この2つの引用を音読するところまでで十分です。明日は、字幕なしで最初の2分間だけをもう一度聞いて、Pinkが"science"と"business"のような対になる言葉をどこで強く発音しているかに注目してみてください。聞き取れた対比の言葉が1組でもあれば、そのまま声に出して真似してみてください。
よくある質問
このトークはどんな内容ですか?
キャリア分析家Dan Pinkが、お金などのごほうびが必ずしも人のやる気を高めないという実験結果をもとに、自主性・成長・目的という3つの要素が人を動かすと語る、2009年のTEDトークです。
英語学習には、どんな点で役立ちますか?
"what science knows" と "what business does" のように、対になる言葉を同じ形で対比させる話し方が多く、対比の聞き取り練習に向いています。同じ文の形を3回くり返す構成も、英語のプレゼンの型として参考になります。