海外の学校に上履きがないのはなぜですか?
海外の学校ドラマを見ると、生徒は靴のまま教室に入っていきます。日本の「上履きに履き替える」習慣は、実はそれほど古いものではなく、1930年ごろから広まったものです。アメリカの学校で床を守っているのは、生徒ではなく別の人たちでした。
海外の学校が舞台のドラマや映画を見ていると、みんな靴のまま教室に入っていきます。上履きに履き替えるシーンを見たことがありません。あれって、上履きという発想自体が無いんですか?
高校2年生・海外ドラマで気づいたさんより
アメリカの学校には、上履きに履き替える習慣がありません。外で履いていた靴のまま、1日じゅう教室で過ごすのがふつうです。ただし「西洋には無い」わけではありません。ドイツの幼稚園では、子どもたちは毎朝、室内履きに履き替えます。日本の上履き文化も、実はそれほど古くからあるわけではありません。
日本の「上履き」も、始まったのは1930年ごろです
江戸時代の藩校や寺子屋では、子どもたちは自然に履物を脱いで学んでいました。いまの形の上履きが生まれたのは、もっとあとです。
洋服と、木造・コンクリートの校舎への転換が進んだ1930年ごろ、裸足や足袋の代わりとして「専用の室内履き」という発想が生まれました(nippon.com|Slippers in Japan)。いま見慣れているバレエシューズのような形になったのは、さらにあとの1950年代後半です。
つまり上履きは、日本の学校が100年以上ずっと続けてきた伝統というより、洋服と建物の変化に合わせて生まれた、比較的新しい習慣ということになります。
アメリカの学校で、床を守っているのは生徒ではありません
アメリカの学校には、校舎全体で履き替えるという発想自体がありません。外で履いていた靴のまま、教室にも食堂にも入ります。
履き替えを求められることがあるのは体育館です。床に跡が付かない底の靴(英語で non-marking sole と言います)を体育の授業で使うよう決めている学校があります。ただしこれは日本の上履きのように校舎全体を対象にした習慣ではなく、体育館の床だけを守るための決まりです。
背景には、床掃除を誰がするかという違いもあります。アメリカの公立学校の多くは、custodian(用務員)と呼ばれる清掃専門のスタッフを雇っています(Mic|Kids in Japan Are Doing Something Incredible That the U.S. Should Consider)。教室の床を生徒が自分たちで守るという発想が、そもそも生まれにくい仕組みになっています。
「西洋には無い」と言い切れないのが、おもしろいところです
ここまで聞くと、上履きは日本だけの発想に思えるかもしれません。ところが、そうとも言い切れません。
ドイツの幼稚園や保育施設には、Hausschuhe(ハウスシューエ)と呼ばれる室内履きの文化があります。子どもたちは毎朝、外靴を自分の棚にしまい、室内履きに履き替えてから1日を始めます。
イギリスにも、室内だけで履く靴があります。plimsoll(プリムソル)という布製のうすい運動靴で、イギリスでは学校の屋内の体育でよく履かれています(Wikipedia|Plimsoll)。教室用の室内履きを別に用意させる小学校もあります。
つまり違いがあるのは「西洋」対「日本」ではなく、国や地域によって、靴に対する感覚がそれぞれ違うという、もう少し細かい話なのです。
Wait, you don't change your shoes at school?
No, why would we? We just walk right in.
In Japan, we switch to indoor shoes at the entrance.
That actually sounds cleaner than what we do.
- A え、学校で靴を履き替えないの?
- B うん、なんで履き替える必要があるの?そのまま入るだけだよ。
- A 日本だと、玄関で上履きに履き替えるんだよ。
- B それ、うちのやり方よりよっぽど清潔そうだね。
Do we need to bring indoor shoes?
We just wear our regular shoes inside.
You'll need non-marking shoes for the gym.
- ① 上履きって、持っていく必要がありますか?
- ② 普通の靴のまま、中に入るだけだよ。
- ③ 体育館では、床に跡が付かない靴が必要になるよ。
明日から使えるのは、Do we need to bring indoor shoes?(上履きは必要ですか)の1文です。海外の学校に短期留学するときは、まずこれを聞いてみてください。「無い」と言われても、それが普通なのだと分かっていれば、驚かずにすみます。
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日本の「上履き」が、いまのような形で広まり始めたのは、おおよそいつごろですか?
よくある質問
アメリカの学校には、なぜ上履きが無いのですか?
校舎全体で靴を履き替えるという発想自体がなく、外で履いていた靴のまま1日を過ごすのがふつうだからです。床の掃除も生徒ではなく、custodian(用務員)と呼ばれる清掃専門のスタッフが行うため、床を自分たちで守るという発想が生まれにくい環境になっています。なお、ドイツの幼稚園やイギリスの学校には室内だけで履く靴があり、「西洋には無い」わけではありません。
日本の上履き文化は、いつから始まったのですか?
洋服と木造・コンクリートの校舎への転換が進んだ1930年ごろ、裸足や足袋の代わりとして専用の室内履きを使う発想が生まれました。いま見慣れているバレエシューズのような形になったのは1950年代後半です。