内容一致問題は、本文を読む前に半分終わっている
時間が足りないのは、読むのが遅いからではありません。「どこを読むか」を決めないまま、全部を同じ濃さで読んでいるからです。
たぶん、こう解いています
たいていの人は、こう解いています。
①設問にざっと目を通す → ②本文を最初から最後まで読む → ③選択肢を検討する
「先に設問を見ろ」までは、予備校でも教わったはずです。問題はそのあと。結局、本文を最初から最後まで同じ濃さで読んでしまう。
そして最後に「あれ、これどこに書いてあったっけ」と本文に戻る。この往復に、時間の大半が溶けています。
なぜ往復するのか。選択肢を「意味」で覚えようとしているからです。
でも意味は、本文の中で言い換えられています。本文が reduce food waste なら、選択肢は cut down on what is thrown away。作問者は、そのために言い換えているのです。探す手がかりが、最初から消されている。
原田式の手順
- 選択肢から「錨(いかり)」を拾う
本文を読む前に、選択肢を見て固有名詞・数字・専門語に丸をつけます。意味は考えません。形だけ見ます。
なぜこの3つか。言い換えると別のものになってしまうからです。作問者も、ここだけは本文と同じ形で書くしかありません。本文と選択肢をつなぐ、切れないロープです。
20秒で終わります。
- 本文をスキャンして、錨のある行に印をつける
読むのではなく、形が一致する語を目で探します。大文字で始まる語、数字、さっき丸をつけた語。
ここも読みません。探すだけ。1段落あたり数秒です。
これで、本文のどこに答えがあるかの地図ができます。
- 印の周辺だけを、ちゃんと読む
ここで初めて精読します。ただし読むのは印の前後2〜3文だけ。
確認するのは主語と動詞です。内容一致の誤答は、ほぼ全部ここで作られています。「誰が」「何をした」を入れ替えるのが、作問者のいちばん安いやり方だからです。
- 迷ったら「何行目に書いてある?」と自分に聞く
最後まで残る2択は、たいてい片方が「正しそうだが本文に書いていない」ものです。
世間の常識として正しいこと、筆者が言いそうなこと。全部誤答です。内容一致は「本文に書いてあるか」だけを問う問題で、正しさは問われていません。
行番号が言えないほうを切る。これだけです。
やってみる
実際にやってみます。(自作の練習問題です)
In 2019, a small bakery in Copenhagen began selling bread made from leftover beer grain.
The owner, Maria Holm, had read that breweries throw away thousands of tons of grain every year.
She contacted a local brewery and asked for the grain they were about to discard.
At first, the brewery refused, because they were worried about food safety rules.
It took her almost a year to get permission.
Today, more than forty bakeries in Denmark use the same method.
本文の内容と一致するものを1つ選びなさい。
選んでみてください。押すと、答えと解説が出ます。
正解は ③
英文の意味
2019年、コペンハーゲンの小さなパン屋が、ビールの搾りかすから作ったパンを売り始めた。店主のマリア・ホルムは、醸造所が毎年何千トンもの穀物を捨てていると知った。彼女は地元の醸造所に連絡し、捨てようとしている穀物を分けてほしいと頼んだ。はじめ醸造所は断った。食品の安全規則を心配したからだ。許可を得るまでに、1年近くかかった。今日では、デンマークの40を超えるパン屋が同じ方法を使っている。
①錨を拾う——Maria Holm、brewery、a year、All bakeries in Denmark。20秒。
②スキャン——Maria Holm は2文目、brewery は3・4文目、a year は5文目、Denmark は6文目。印が4か所。
③周辺だけ読む——読むのは6文中4文。1文目は読まなくても解けます。
④ぶつける
- ▼ ①は主語と目的語が逆。本文は「搾りかす→パン」、選択肢は「パン→ビール」。動詞の前後を入れ替える、いちばん典型的な誤答です。
- ▼ ②は4文目 At first, the brewery refused と真っ向から矛盾。しかも immediately。「すぐに」「必ず」「全部」の類が出たら、まず疑う。
- ▼ ③は5文目の言い換え。almost a year → about a year。言い換えられているのに、a year という数字だけが残っている。これが錨です。
- ▼ ④は All。本文は more than forty。40軒以上であって、全部ではない。
正解は③。——ここが今日いちばん大事なところです。
正解は言い換えられている。誤答ほど、本文の語がそのまま残っている。
本文と同じ単語がずらりと並んだ選択肢を見ると、つい安心して選びたくなります。その安心こそが、作問者の狙いです。
この解法を教えると、必ず「本文を全部読まないのは不安です」と言われます。
分かります。でも、全部読んでいる人から順に、時間が足りなくなっています。
試験が測っているのは読解力というより、限られた時間で必要な情報を取り出す力です。設問がある時点で、全部を同じ濃さで読むことは求められていません。
まずは過去問1題で試してください。錨を拾う20秒を、必ず取る。それだけで、読む場所が決まる感覚が分かります。
1問だけ
最後の2択で迷ったとき、切るべきなのは?
よくある質問
本文を全部読まずに解いて、本当に大丈夫ですか?
内容一致問題では問題ありません。設問が問うているのは本文の全体像ではなく、特定の記述との一致だからです。ただし「筆者の主張」を問う抽象的な設問では、各段落の第1文を拾って論の流れを追う別の手順に切り替えてください。
正解の選択肢は、なぜ本文と違う単語になっているのですか?
作問者が意図的に言い換えているからです。本文と同じ語が並んでいると、意味を理解していなくても照合だけで解けてしまいます。そのため、正解ほど言い換えられ、誤答ほど本文の語がそのまま残る傾向があります。