原田先生のとっておきの話

「日が延びる」と「日が伸びる」 正しいのはどっち? ― 漢字の使い分けから英語表現まで、まるごと解説 ―

JAPANESE × ENGLISH WORDS

「日が延びる」と「日が伸びる」
正しいのはどっち?

― 漢字の使い分けから英語表現まで、まるごと解説 ―

💬 春が近づくと、つい言いたくなるあの一言

「最近、ひがのびたよね〜」――日常会話でよく使うこの表現。でもいざ文章にしようとすると、「延びる」なのか「伸びる」なのか、手が止まりませんか? さらに「日」なのか「陽」なのかも迷うところ。今回は、この”日本語あるある”をズバッと解決し、英語表現まで一気に学びましょう!

冬至を過ぎ、1月の終わりごろから「あれ、夕方まだ明るい?」と感じ始める人は多いはず。2月に入ればその実感はさらに強まり、まさに今この季節がぴったりの話題です。

ところが、SNSを見てみると「日が延びた」「日が伸びた」「陽が延びた」「陽が伸びた」と、表記はバラバラ。いったいどれが正しいのでしょうか?

📝 結論:正しくは「日が伸びる」

まず結論から言いましょう。正しい表記は「日が伸びる」です。

これは常用漢字表にも「日脚が伸びる」「日が伸びる」という用例が記載されている、いわば”お墨付き”の表記です。では、なぜ「延びる」ではなく「伸びる」なのか、そしてなぜ「陽」ではなく「日」なのか。ひとつずつ見ていきましょう。

🔍「伸びる」vs「延びる」― 何が違うのか?

この2つの漢字の違いは、日本語学習者にとっても紛らわしいポイントです。核心をズバッと整理します。

漢字 イメージ
それ自体が長くなる
伸縮・伸長・背伸び
身長が伸びる/髪が伸びる/成績が伸びる日脚が伸びる
付け足して長くなる/遅れる
延長・延期・遅延
期限が延びる/寿命が延びる/鉄道が郊外まで延びる

ポイントは「日脚(ひあし)」という言葉にあります。「日が伸びる」はもともと「日脚が伸びる」が略された表現。「日脚」とは太陽の光線、つまり日差しそのもののこと。日差しという”光の脚”がビヨーンと自然に長くなるイメージなので、「伸びる」がぴったりなのです。

💡 ただし!「延びる」が完全に間違いかというと、そうとも言い切れません。日照時間が「延長する」と考えれば「延びる」も意味は通ります。実際、一部の辞書や文学作品では「日が延びる」も使われています。しかし、常用漢字表の公式用例は「伸びる」。迷ったら「日が伸びる」を使えば間違いありません。

☀️「日」vs「陽」― 太陽は伸びない!

次に「ひ」の漢字について。こちらはシンプルです。

= 1日の時間・日照時間

日が伸びる → 昼の時間が長くなる ✅

= 太陽そのもの

陽が伸びる → 太陽が伸びる?🤔

「陽」は太陽そのものを指す漢字。太陽はゴムのように伸びたりしませんよね。伸びているのは日照時間、つまり「日」のほうです。文学的・比喩的に「陽が延びる」と書くケースもありますが、一般的には「日が伸びる」が正しい表記です。

🎌 俳句の世界では「日脚伸ぶ」― 晩冬の季語

じつはこの「日が伸びる」、俳句の世界では「日脚伸ぶ(ひあしのぶ)」という晩冬の季語として、古くから愛されてきました。

日脚伸ぶ 夕空 紺をとりもどし

― 皆吉爽雨

冬至を過ぎてから少しずつ日が長くなるのを実感するのは、1月の半ばごろ。まだ寒さの厳しい真冬でありながら、夕暮れが少しだけ遅くなったことに春の予感を感じる――「日脚伸ぶ」には、そんな春を待ちわびる心が詰まっています。

昔の人は「冬至から畳の目ひとつずつ日が伸びる」と言いました。実際、冬至後の日照時間の伸びは1日あたり約2分。本当に畳の目ひとつ分のような、ささやかな変化です。その繊細な変化を感じ取る日本人の感性は、まさに俳句の心そのものですね。

🌎 英語で「日が伸びる」はなんて言う?

さて、ここからは英語教師としての本領発揮です。「日が伸びる」を英語でどう表現するか、しっかり押さえましょう!

🔑 基本表現(これだけ覚えればOK!)

The days are getting longer.

(日が伸びてきている)

ここで注目してほしいのが3つのポイントです。

① 複数形 “days” ― 日が伸びるのは1日だけの現象ではなく、日々徐々に起こる変化。だから必ず複数形!

② 現在進行形 “are getting” ― 今まさに進行中の変化を表す。get+比較級で「だんだん〜になる」。

③ 比較級 “longer” ― 前日と比べて長くなるので比較級を使う。

📚 バリエーション表現

The days are growing longer.

grow=「徐々に〜になる」。getよりやや文学的・フォーマルな響き。

The days are lengthening.

lengthen=「長くなる」。ニュースや天気予報でよく使われる表現。

The days are drawing out.

draw out=「引き延ばす」。イギリス英語でよく使われる、ちょっとおしゃれな表現。

Daylight hours are increasing.

科学的・客観的な言い方。レポートや記事向き。

We’re getting more daylight.

カジュアルな日常会話で使いやすい表現。

The days are getting longer and longer.

「どんどん日が伸びている」と強調したいとき。比較級+and+比較級で「ますます〜」。

🔄 反対の表現も覚えよう!(日が短くなる)

The days are getting shorter.

(日が短くなっている)― 秋から冬にかけて使う表現

It gets dark earlier now.

(最近は暗くなるのが早い)― 日常会話で非常に自然な表現

💬 実際に使ってみよう!日常英会話フレーズ集

「日が伸びる」に関連する、ネイティブが実際に使うフレーズを場面別にまとめました。

場面 英語フレーズ 日本語
春の挨拶 I love this time of year when the days start getting longer. 日が伸び始めるこの時期が大好き。
夕方の会話 It stays light much later now, doesn’t it? 最近、ずいぶん遅くまで明るいよね。
季節の変化 We’ve gained nearly an hour of daylight since the solstice. 冬至からほぼ1時間も日が伸びたね。
嬉しい気持ち The longer days really lift my spirits. 日が伸びると気分が上がるなぁ。
冬の嘆き I can’t wait for the days to start getting longer again. 早く日が伸び始めないかなぁ。

🧠 英語の豆知識:get+比較級 = だんだん〜になる

「日が伸びる」で使った「get+比較級」は、英語で”徐々に変化する”ことを表す超重要パターンです。日常会話で頻出するので、ぜひマスターしてください。

It’s getting warmer.  暖かくなってきた。

She’s getting better at English.  彼女は英語が上達してきた。

Things are getting more expensive.  物価が上がってきた。

Life is getting busier and busier.  生活がどんどん忙しくなっている。

ちなみに、grow+比較級も同じ意味ですが、少しフォーマルで文学的な響きがあります。小説やエッセイでは “The shadows grew longer”(影が長くなった)のように使われることが多いですね。

✨ まとめ ― 「ひがのびる」完全攻略

正しい表記は「日が伸びる」(常用漢字表に用例あり)

「伸びる」= それ自体が長くなる。「延びる」= 付け足して長くなる・遅れる

「日」は日照時間、「陽」は太陽そのもの → 伸びるのは時間なので「日」

俳句では「日脚伸ぶ」は晩冬の季語。春を待ちわびる心を表す

英語では The days are getting longer. が基本

get+比較級 =「だんだん〜になる」は日常英会話の超頻出パターン

たった一言の「ひがのびた」に、漢字の使い分け、俳句の季語、英語の文法パターンまで詰まっている。言葉を深掘りすると、世界がちょっとだけ広がる――それが、言葉を学ぶ醍醐味です。

今日の帰り道、空がまだ明るかったら、ぜひ英語でつぶやいてみてください。

“The days are getting longer!”

📖 今日の英単語・表現チェック

英語 意味 例文
daylight 日光、昼間の光 We’re getting more daylight now.
solstice 至(冬至・夏至) The winter solstice is the shortest day.
lengthen 長くなる・伸びる The days are lengthening rapidly in March.
draw out (日が)伸びる The evenings are really drawing out now.
lift one’s spirits 気分を上げる Longer days really lift my spirits.
get+比較級 だんだん〜になる It’s getting warmer every day.

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