原田先生のとっておきの話

【皮膚科医も認めた】ニキビは潰した方がいい?SNSの”潰す派”と医学のリアルな答え 【原田先生のとっておきの話】

SKIN CARE × REAL SCIENCE

【皮膚科医も認めた】
ニキビは潰した方がいい?

― SNSの”潰す派”と医学のリアルな答え ―

💬 SNSで大論争が勃発中

「ニキビは潰した方が早く治る。ソースは俺」「放置した方がクレーターになった」「潰すなんて絶対ダメでしょ」――いま、SNSでニキビを潰す派 vs 潰さない派の大論争が起きています。驚くべきことに、皮膚科医の見解は「どちらも一理ある」でした。

鏡の前で、白く膨らんだニキビを見つけたとき。あなたはどうしますか?

絶対に触るな」と言われて育った人がほとんどでしょう。でもSNSを覗いてみると、真逆の声が大量に溢れています。

白いやつは潰した方がいい。放置したらクレーターになった」「清潔な指なら潰してもクレーターにはならないし、なんなら早く治る」「潰さないほうがいいと思って放置したら、みるみる大きくなって破裂した」――

さらには「潰した方が綺麗になるという論文がある」という投稿まで。

これは本当なのか。医学的にはどうなのか。今回は、皮膚科の知見とSNSの体験談を突き合わせて、徹底的に整理してみましょう。

🏥 衝撃の事実:皮膚科では「潰す治療」が存在する

まず最初に、多くの人が驚く事実から。

実は皮膚科には「面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)」という、ニキビを潰して中身を出す治療法が正式に存在します。保険適用です。

医療用の細い針やレーザーでニキビ表面に極小の穴を開け、専用の器具(面皰圧出器)で毛穴に詰まった皮脂や膿を押し出す。これにより炎症の原因物質が除去され、ニキビの治りが早くなるとされています。

🔬 医学的結論

「ニキビは潰して溜まった皮脂や膿を出し切ることで
早くよくなる」可能性がある

※ただし「自分で」やるのは別の話(後述)

つまり、「潰す=絶対悪」ではない。問題は「誰が」「どうやって」潰すかなのです。

📱 SNS”潰す派”の声を分類してみた

今回のSNS論争で見えてきた「潰す派」の声を、パターン別に整理してみましょう。

✅ 成功パターン

「白いやつが見えたらすぐ潰してた。綺麗に治ってる」

「清潔な指なら潰してもクレーターにはならない」

「針でプツッといって膿を出してたけど、跡ひとつない」

「芯まで出せた時は翌日に膨らみが消えてた」

❌ 失敗パターン

「やりまくってニキビ跡いっぱい😭」

「芯を出し切れず翌日腫れが倍増した」

「放置したらクレーターに。10年以上穴が残ってる」

「赤いニキビを無理に潰して傷が広がった」

興味深いのは、成功者と失敗者で「潰す対象」と「方法」が明確に違うこと。ここに、医学的な裏付けがピタリと重なるのです。

🔬 ニキビの4段階を知らないと、すべてが博打になる

SNSの潰す派・潰さない派が噛み合わない最大の原因。それは「ニキビ」をひとくくりにしていることです。

実はニキビには明確な4段階があり、潰していいかどうかの判断は段階によってまるで違います。

段階 見た目 状態 潰す判定
⚪ 白ニキビ 白いプツッとした膨らみ 皮脂が詰まっただけ。炎症なし △ 医療なら◎
⚫ 黒ニキビ 毛穴が黒く見える 皮脂が酸化。炎症なし △ 医療なら◎
🔴 赤ニキビ 赤く腫れて痛い アクネ菌が増殖し炎症中 ✕ 危険
🟡 黄ニキビ 黄色い膿が溜まっている 炎症が深部まで進行 ✕ 非常に危険

SNSの「潰す派」成功者をよく見ると、ほぼ全員が「白いやつ」限定で潰しています。「赤いやつは痛いから祈るだけ」「白くなって痛みを感じない時にやってる」――この判断は、実は医学的にかなり理にかなっています。

💡 核心

白ニキビ・黒ニキビ(炎症前)= 皮脂を出せば改善の可能性あり
赤ニキビ・黄ニキビ(炎症中)= 潰すと炎症が拡大し跡が残るリスク大

⚖️ でも「自分で潰す」と「医療で潰す」は全くの別物

ここで重要な注意点です。「潰していい」と「自分で潰していい」はイコールではありません。

皮膚科の面皰圧出と、自分で鏡の前で指で押す行為。この2つには、決定的な3つの違いがあります。

❶ 穴のサイズ:医療器具は極小の穴で済む。指で押すと大きな傷になり、周囲の皮膚組織を壊す

❷ 衛生環境:医療器具は滅菌済み。指には無数の雑菌が付着しており、二次感染のリスクが跳ね上がる

❸ 排出の完全性:プロは皮脂・膿を完全に排出できる。素人は中途半端に残してしまい、炎症が再燃・悪化する

SNSの「芯まで出さないと失敗。翌日腫れが倍増」という声は、まさに❸の問題を体現しています。ある投稿者が「博打だった」と表現していたのは、素人の手技では成功率が安定しないことを物語っています。

さらに怖いのが、潰す際に膿が毛穴の中で破裂してしまうケース。これが起きると周囲の皮膚組織が深く傷つき、クレーター状のニキビ跡として何年も残ることになります。

📊 「放置したらクレーターになった」問題を考える

今回の論争で最も興味深かったのが、「潰さない方がいいと思って放置したらクレーターになった」という複数の証言です。

「潰さないほうがいいと思って放置したら、みるみる大きくなって破裂するまでいった」

「一度だけ放置してみたところが、10年以上経った今でもクレーターになっている」

これは一見矛盾しているようですが、医学的に説明がつきます。

ニキビは進行性の皮膚疾患です。白ニキビの段階で適切に皮脂を除去すれば悪化を防げますが、放置して赤→黄と進行すると、炎症が真皮層にまで達し、結果的にクレーターが形成されます。つまり「触らない=最善」とは限らない。適切なタイミングで、適切な方法で対処することが本当の正解なのです。

🧪 論文は本当にあるのか?

SNSで話題になった「潰した方が綺麗になるという論文」。これも調べてみました。

神戸山手クリニックの医師が、9年間・4,566人のデータをもとに行った臨床研究が、2019年にイギリスの学術誌「Journal of Dermatological Treatment」に掲載されています。この研究では、「マイクロ排膿」と呼ばれる外科的治療の有用性が検証されました。

研究結果のポイント

治療回数1〜10回で約 85% の患者が治癒

治療回数1〜20回で約 93% の患者が治癒

治療回数1〜50回で約 99% の患者が治癒

ただし、ここで言う「潰す」は専門医がピンセットで毛包壁に0.5〜1mmの精密な切開を加えて内容物を排出する手技です。指で押すのとは次元が違います。「論文で証明された」のは医療行為としての排膿であり、セルフケアとしての「潰す」が推奨されたわけではありません。

🛡️ もし潰してしまったら?緊急アフターケア

「ダメだとわかっていても潰してしまった…」。実際、アンケート調査では約6割の人が洗顔時にニキビを潰した経験があると答えています。万が一のために、正しいアフターケアを知っておきましょう。

STEP 1 すぐに洗い流す:流出した皮脂や膿が他の毛穴に入るのを防ぐ。32℃程度のぬるま湯が理想的(酸化した皮脂を落とせる温度)

STEP 2 清潔なティッシュで優しく押さえる:こすらない。血や膿を清潔に吸い取る

STEP 3 患部にメイクをしない:化粧品の成分が傷口に入ると悪化リスクが跳ね上がる

STEP 4 触らない:以後、絶対に手で触れない。枕カバーも清潔なものに交換

🧠 「はたらく細胞」で理解するニキビのメカニズム

SNSの投稿に「はたらく細胞でニキビの白いのは菌の死骸とあった」という声がありました。これは概ね正しい理解です。

白く見えるものの正体は、皮脂+古い角質+白血球(好中球)の残骸。白血球がアクネ菌と戦った後の”戦場の残骸”が毛穴に溜まっている状態です。

赤ニキビが赤いのは、まさに今この瞬間に白血球が戦闘中だから。黄ニキビが黄色いのは、戦いの末に大量の膿(死んだ白血球・細菌・組織の残骸)が溜まっているから。

つまり――

⚪ 白ニキビ = 戦いの「前」(皮脂が詰まっただけ)
🔴 赤ニキビ = 戦いの「最中」(触ると味方も巻き込む)
🟡 黄ニキビ = 戦いの「後」(でも傷は深い。安易に開けると二次感染)

戦いの前に原因を取り除くのは有効。でも、戦闘中の現場に素人が突入するのは危険。そう考えると、「白ニキビだけ潰す」という経験則が医学的にも理にかなっていることが分かります。

✨ まとめ ― 最終結論はこうなった

SNSの声と医学的エビデンスを突き合わせた結果、見えてきた”真実”を整理します。

「ニキビを潰すと早く治る」は医学的に一面の真実。皮膚科でも排膿治療は正式に存在する

ただし「自分で潰す」のは衛生面・技術面でリスクが高い。成功は博打に近い

潰していいのは「白ニキビ」の段階まで。赤・黄ニキビは触ると悪化する

「放置=安全」とも限らない。進行して深部の炎症になればクレーターのリスクが上がる

最善策は「白ニキビの段階で皮膚科に行くこと」。保険適用で安く済む

SNSの「潰して跡がない」は生存者バイアス。失敗して跡が残った人は投稿しにくい

結局のところ、「白ニキビを清潔な環境で、完全に排出できるなら潰した方が早い。でもその”清潔”と”完全”を自分の指で再現するのは極めて難しい」というのがリアルな結論です。

気になるニキビがあったら、鏡の前で指を伸ばす前に、近くの皮膚科に行ってみてください。面皰圧出は保険適用。プロに任せれば、博打は”確実な治療”に変わります。

⚠️ 大事な補足:この記事は医療アドバイスではありません

本記事はSNSの投稿と公開されている医学情報を整理したものであり、個別の治療法を推奨するものではありません。ニキビの状態は個人差が大きく、適切な治療は皮膚科医の診察によって判断されます。気になるニキビがある方は、自己判断で潰さず、皮膚科への受診をおすすめします。

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