英検準1級の要約問題における解法テクニック、2025年度の形式変更点、効果的なステップ、文章構成テンプレートなど、合格に必要な戦略を徹底解説します!
目次
- 英検準1級要約問題の基本
- 2025年度の形式変更点
- 要約問題の解法ステップ
- 時間配分のテクニック
- キーワード抽出法
- 文章構成テンプレート
- 得点アップのための表現集
- よくある間違いと対策
- 模範解答例と解説
- 最終チェックリスト
① 英検準1級要約問題の基本
英検準1級の要約問題は、リーディング&ライティングセクションに出題される重要問題です。この問題では、与えられた英文を読み、その要点を自分の言葉で要約する能力が試されます。
問題の概要
- ★ 配点: 16点満点(内容4点、構成4点、語彙4点、文法4点)
- ★ 字数制限: 60-70語(2025年度からより明確に指示)
- ★ 試験時間目安: 15分程度
- ★ 問題形式: 約200語程度の英文を読み、その内容を要約
要約問題で高得点を取るためには、原文の核心を理解し、簡潔かつ正確に再構成する能力が求められます。また、単なる原文のコピーではなく、自分の言葉で言い換える(パラフレーズする)力も重要です。
重要ポイント
英検準1級レベルでは、与えられた文章を「理解する」だけでなく、その内容を「自分の言葉で表現する」能力が求められます。これは、より実践的な英語運用能力を測定するための出題方針です。
② 2025年度の形式変更点
2025年4月15日に日本英語検定協会から公表された情報によれば、以下の変更が行われています:
変更項目 | 変更前(2024年度) | 変更後(2025年度~) |
---|---|---|
問題冊子指示文 | Suggested length: 60-70 words | Summarize it between 60 and 70 words. |
解答用紙の表記 | Write your English Summary in the space below. (Suggested length: 60-70 words) |
Write your English Summary, between 60 and 70 words, in the space below. |
重要な変更点
これらの変更は、語数制限がより厳格になったことを示しています。2025年度からは60-70語の制限内に確実に収める必要があります。従来の「目安」という表現から、より明確な指示に変わりました。
また、英検S-CBTでは2025年6月実施分から変更される予定です。このような変更は、受験者の英語能力をより適切に測定するために行われています。
③ 要約問題の解法ステップ
英検準1級の要約問題を効果的に解くための5つのステップを紹介します。
1. 速読と内容把握(3分)
最初のステップは、与えられた英文を素早く読んで全体像を把握することです。
具体的なアプローチ:
- ★ 各パラグラフの最初と最後の文に注目する
- ★ トピックセンテンスを探す(多くの場合、各パラグラフの冒頭に位置する)
- ★ キーワードや繰り返し出てくる語句をチェックする
- ★ 文章全体のテーマと筆者の立場を特定する
2. キーポイントの抽出(4分)
次に、文章から要約に含めるべき重要ポイントを抽出します。
抽出のコツ:
- 各パラグラフから1-2つの中心的なアイデアを選ぶ
- 例示や詳細な説明は省略し、主要な論点に焦点を当てる
- 具体的な数字、固有名詞などは抽象化して捉える
- 以下の要素を必ず含めるようにする:
- 問題提起または背景情報
- 主要な議論またはトピック
- 支持する証拠や例(抽象化して)
- 結論または解決策
3. 具体的表現を抽象化する(2分)
次に、具体的な表現を抽象的な表現に変換します。
例:
- 具体的: “increased by an average of 70 percent” → 抽象的: “dramatically increased”
- 具体的: “Paris’s Eiffel Tower, New York’s Empire State Building” → 抽象的: “landmarks in major cities”
- 具体的: “the Natural History Museum” → 抽象的: “national museums”
4. 要約文の執筆(4分)
抽出したキーポイントを基に、実際の要約文を書きます。
執筆のテクニック:
- ★ 接続詞や移行表現を使って文章にまとまりを持たせる
- ★ 単純明快な文構造を基本としつつ、複文も適宜使用する
- ★ 原文の表現は極力避け、パラフレーズを積極的に活用する
- ★ 受動態と能動態、異なる時制をバランスよく使用する
5. 見直しと調整(2分)
最後に、書いた要約文を見直して調整します。
チェックポイント:
- ★ 語数制限(60-70語)を守っているか
- ★ 原文の主要なポイントを網羅しているか
- ★ 文法や語法の誤りはないか
- ★ 内容の一貫性は保たれているか
- ★ 不要な情報や冗長な表現はないか
④ 時間配分のテクニック
限られた15分間を最大限に活用するためのテクニック:
基本の時間配分
- ★ 読解: 3分(20%)
- ★ 分析: 4分(27%)
- ★ 抽象化: 2分(13%)
- ★ 執筆: 4分(27%)
- ★ 見直し: 2分(13%)
段落別アプローチ
- ★ 1段落目: 序論/背景(約1分)
- ★ 2段落目: 主要な議論/ポイント(約1分)
- ★ 3段落目: 対立意見/結論(約1分)
時間管理のコツ
準1級のリニューアル(2024年度)では、単語問題7問と長文問題3問が減少し、その分の時間(約15分)を要約問題に充てることができます。しかし、試験全体の時間は変わらないため、効率的な時間配分が重要です。
タイムマネジメント術
- ★ どの段階でも長時間悩まない(30秒ルール)
- ★ 残り時間によって戦略を調整する準備をしておく
- ★ 最初の読解時間を厳守する(3分以上かけない)
- ★ 制限時間内に完成させることを最優先する
⑤ キーワード抽出法
効果的な要約のためには、原文から重要なキーワードを正確に抽出する能力が不可欠です。
シグナルワードに注目する
英文中には、重要な情報を示すシグナルワードが含まれています:
カテゴリー | シグナルワード例 |
---|---|
強調表現 | significantly, notably, particularly, especially |
結論導入 | therefore, consequently, as a result, thus |
対比表現 | however, in contrast, on the other hand, nevertheless |
例示 | for example, for instance, such as, including |
追加情報 | additionally, furthermore, moreover, in addition |
パラグラフ分析法
パラグラフごとの重要ポイントを抽出する:
- 1段落目: テーマや背景情報(15-20語)
- 2段落目: メインとなる議論やポイント(20-25語)
- 3段落目: 対立視点や結論(20-25語)
※実際の語数配分は文章の構造によって調整してください
情報の重要度評価
各情報の重要度を判断する基準:
- ★ 繰り返し出現する概念
- ★ パラグラフの冒頭または末尾にある情報
- ★ 接続詞の後に続く情報
- ★ 筆者の主張や立場を示す部分
- ★ 問題提起や解決策を含む部分
イイタイコトを見つける
各パラグラフの「イイタイコト」(主要なメッセージ)を見つけることが、要約の鍵です。具体的な例や詳細よりも、著者が最も伝えたい核心的な情報に着目しましょう。
⑥ 文章構成テンプレート
一般的に英検準1級の要約問題は3パラグラフ構成で、「導入→メリット→デメリット」または「現象→原因→結果/解決策」のような流れになっています。以下のテンプレートを活用することで、効率的に要約文を作成できます。
基本テンプレート
① “テーマを紹介する文”
② The supporters stated that “2パラグラフの具体例1つ目” and “具体例2つ目”
③ However, critics argued that “3パラグラフの具体例1つ目” and “具体例2つ目”
自分で考える部分は以下の5カ所:
- テーマの概要
- 支持者側の主張1
- 支持者側の主張2
- 批判者側の主張1
- 批判者側の主張2
実際の例
テンプレートを使った例:
① The British government implemented a policy that would help national museums to provide free admission to the public.
② Supporters believed this would encourage people from various backgrounds to visit museums.
③ However, while visitors increased, some critics of the policy pointed out the increase was largely due to repeated visits from the same people. Moreover, some independent museums with admission fees stated the policy led to a drop in their revenues.
(70語)
異なるパターン用テンプレート
原因と結果の関係
① “現象の紹介”
② This is because “原因”
③ As a result, “結果”
問題と解決策
① “問題の提示”
② This problem causes “問題の影響”
③ To solve this issue, “解決策”
比較と対照
① “対象Aの紹介”
② “対象Aの特徴”
③ In contrast, “対象Bとの違い”
歴史的変遷
① In the past, “過去の状況”
② However, recently “現在の変化”
③ In the future, “今後の展望”
テンプレート使用の注意点
テンプレートは書き方の指針として活用し、原文の内容に合わせて柔軟に調整することが重要です。機械的に当てはめるのではなく、文章の論理構造を反映した要約を心がけましょう。
⑦ 得点アップのための表現集
高得点を獲得するための効果的な表現:
つなぎ言葉
分類 | 表現例 |
---|---|
順接 | Consequently, As a result, Therefore, Thus, Hence |
逆接 | However, Nevertheless, Despite this, Yet, On the contrary |
追加 | Additionally, Furthermore, Moreover, In addition, Besides |
例示 | For instance, Specifically, In particular, Such as, Namely |
対比 | In contrast, On the other hand, Conversely, Meanwhile |
言い換え表現(パラフレーズ)
原文表現 | パラフレーズ例 |
---|---|
have trouble with | face difficulties with / struggle with / encounter problems with |
get help | receive assistance / obtain support / acquire aid |
introduced a landmark policy | implemented a significant policy / established an important regulation |
increased by 70 percent | rose significantly / grew substantially / climbed dramatically |
critics claimed | opponents argued / detractors asserted / skeptics maintained |
因果関係を表す表現
原因→結果
- ★ 原因 lead to 結果
- ★ 原因 result in 結果
- ★ 原因 contribute to 結果
- ★ 原因 give rise to 結果
結果→原因
- ★ 結果 result from 原因
- ★ 結果 stem from 原因
- ★ 結果 come from 原因
- ★ 結果 is attributed to 原因
例: Overwork led to depression. / Depression resulted from overwork.
準1級レベルでの注意点
準1級レベルでは、基本表現(say, big, good)よりも標準的な表現(assert, substantial, beneficial)を使うことが推奨されます。しかし、不自然な難解表現の使用は避け、自然で正確な英語表現を心がけましょう。
⑧ よくある間違いと対策
要約問題でよく見られる間違いとその対策:
1. 語数オーバー
2025年度からより厳格に60-70語と定められています。
対策:
- 修飾語(形容詞・副詞)を削減
- 具体例をさらに抽象化
- 冗長な表現を簡潔にする
- 長い表現を短い同義語に置き換える
2. 語数不足
60語に満たない要約は情報量が不足している可能性があります。
対策:
- ★ 適切な接続詞を追加
- ★ 抽象的な表現に具体性を加える
- ★ 重要な情報をもう少し詳細に説明
- ★ 第2、第3パラグラフの情報を充実させる
3. 原文コピーの多用
原文の表現をそのまま使用する「盗用」は避けるべきです。
対策:
- ★ キーワードのみ残してパラフレーズを徹底
- ★ 語順を変える
- ★ 同義語を活用する
- ★ 文の構造を変換する(能動態⇔受動態など)
4. 自分の意見を入れる
要約には筆者の意見のみを含め、自分の意見は入れないでください。
対策:
- ★ 「I think」「In my opinion」などの表現を使わない
- ★ 原文に書かれていない情報を追加しない
- ★ 評価的な表現(should, must, best)を避ける
- ★ 筆者の主張と自分の意見を明確に分ける
5. パラグラフの情報漏れ
特定のパラグラフの情報を完全に省略してしまうと減点対象です。
対策:
- ★各パラグラフから最低1つのポイントを含める
- ★特にパラグラフの冒頭や結論部分の情報に注目
- ★テンプレートを活用して構造的に漏れをなくす
- ★執筆前に必ず全パラグラフの要点をメモしておく
6. 文法的正確性の欠如
準1級レベルでは、かなり正確な文法が求められます。
対策:
- ★ 時制の一致に注意する
- ★ 主語と動詞の一致を確認
- ★ 冠詞(a, an, the)の使用に注意
- ★ 複雑な構文よりも正確な基本構文を優先する
⑨ 模範解答例と解説
原文例:
From the 1980s to the early 2000s, many national museums in Britain were charging their visitors entrance fees. The newly elected government, however, was supportive of the arts. It introduced a landmark policy to provide financial aid to museums so that they would drop their entrance fees. As a result, entrance to many national museums, including the Natural History Museum, became free of charge.
Supporters of the policy said that as it would widen access to national museums, it would have significant benefits. People, regardless of their education or income, would have the opportunity to experience the large collections of artworks in museums and learn about the country’s cultural history.
Although surveys indicated that visitors to national museums that became free increased by an average of 70 percent after the policy’s introduction, critics claimed the policy was not completely successful. This increase, they say, mostly consisted of the same people visiting museums many times. Additionally, some independent museums with entrance fees said the policy negatively affected them. Their visitor numbers decreased because people were visiting national museums to avoid paying fees, causing the independent museums to struggle financially.
模範解答:
The British government implemented a policy that would help national museums to provide free admission to the public. Supporters believed this would encourage people from various backgrounds to visit museums. However, while visitors increased, some critics of the policy pointed out the increase was largely due to repeated visits from the same people. Moreover, some independent museums with admission fees stated the policy led to a drop in their revenues.
(70語)
解説:
1段落目(18語):
「イギリス政府が博物館の無料入場を支援する政策を導入した」という核心を簡潔に表現。具体的な時期(1980s to early 2000s)や具体例(Natural History Museum)は省略し、本質のみを伝えている。
2段落目(12語):
「多様な背景の人々が博物館を訪れるようになる」という支持者の主張を簡潔に要約。原文の詳細(artworks collections や cultural history)は省略し、主要な主張のみに焦点を当てている。
3段落目(40語):
批判的な側面として「同じ人の複数回訪問による増加」と「独立系博物館の収入減少」という2つの側面を含めている。「However」と「Moreover」という接続詞を使い、情報を論理的に整理している。
ポイント分析:
- ★ パラフレーズの使用: 「introduced a landmark policy」→「implemented a policy」など、原文の表現を自分の言葉に置き換えている
- ★ 抽象化: 「increased by an average of 70 percent」→「visitors increased」のように具体的な数字を抽象化
- ★ 接続詞の活用: 「However」「Moreover」を使って文章に流れを持たせている
- ★ 全パラグラフ内容の反映: 3つのパラグラフの要点を過不足なく含めている
- ★ 語数管理: 70語でピッタリに収めている(2025年度の制限を遵守)
語数バランスの意識
上記の解答例では、3段落目に多くの語数(40語)を割いています。これは文章の内容に応じた判断ですが、一般的には2つ目と3つ目のパラグラフの情報をより均等に配分するとバランスが良くなることもあります。文章の重要度に応じて柔軟に語数配分を調整しましょう。
⑩ 最終チェックリスト
要約を提出する前の確認事項:
提出前チェックリスト
効果的な練習法
日頃から以下の練習を継続することで、要約力を向上させることができます:
- ★ 英字新聞や雑誌の記事を60-70語で要約する練習
- ★ 過去の英検問題や模擬問題で時間を計って解く
- ★ 自分が書いた要約を添削してもらう
- ★ パラフレーズ力を高めるための同義語辞典の活用
- ★ 複雑な文章を読み、その主要な論点を特定する練習
最後に
この英検準1級要約問題のガイドを活用すれば、限られた時間内で効率的に高得点を狙うことができます。2025年度の変更に対応した準備をしっかりと行い、本番では落ち着いて実力を発揮しましょう!