
早稲田大学教育学部英語入試(2022〜2025年度)の徹底研究と2026年度対策
早稲田大学教育学部は、英語・国語・地歴公民または数学の3科目で選抜を行う(文化系A方式)学部で、英語の配点は約50点と各科目が同程度に設定されています。試験時間は90分で、マークシート形式による解答です。2022年度以降は英語試験が大きく変わり、長文読解中心の出題にシフトしました。以下で、2022〜2025年度の問題傾向とその対策を詳細に分析し、2026年度への展望を示します。
1. 試験概要と全体傾向
1.1 科目配点・形式
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
試験時間 | 90分 | 全問マークシート方式 |
配点 | 英語50点(総合点150点中) | 英語の比率は約33%だが合格最低点を左右する |
大問構成 | 長文読解3題が基本 | 2010年代に出題されていた和文英訳・自由英作文は最近は出題されていない |
英文総語数 | 約3,000語以上 | 2025年度は3題で約3,500語(推定)と大幅増加 |
出題形式 | 内容一致・語句空所補充・語句整序・言い換え・文挿入など | 知識と読解を組み合わせた問題が出る |
1.2 難易度変化(2022〜2025年度)
年度 | 主な特徴 | 難易度・傾向 |
---|---|---|
2022年度 | 長文の語数が増え、会話問題がなくなり大問数が減少。Big Question Iが最難関となったため、解く順番に工夫が必要 | 語彙レベルが急激に上がり、内容把握と語彙・文法力の両方が試された |
2023年度 | 第2長文が約1,756語と非常に長く、問題の40%が知識系(語彙・文法・パラグラフ整序など) | 時間配分が難しく、語彙力に加え「段落要旨の判定」など論理的読解力が求められた |
2024年度 | 出題形式は前年と同じだが、各長文の平均語数は約1,000語で依然長い。パラグラフごとに解答の根拠が得られる | 2023年ほどの長さではないが読み応えがあり、時間内に処理できるかが鍵 |
2025年度 | 長文3題構成で、①スクリーンタイム論(約1,200語)②スーパーマーケットとパッケージ論(約1,300語)③言語とアイデンティティ論(約1,000語)。語句整序問題が復活 | 総語数が過去最大級に。文章テーマが学術的で、段落構成の理解と細部の読み取りの両方が必要。語句整序は高難度 |
2. 2025年度問題の詳細分析
2.1 第1問:スクリーンタイムと健康への影響
項目 | 内容 |
---|---|
テーマ | 子どものスクリーンタイムをカロリー計算に例えて論じる |
語数 | 約1,200語(18段落) |
設問形式 | 内容一致(8問)、語句空所補充(1問)、言い換え(4問)、指示語(2問) |
特徴 | 比喩表現の理解が鍵。”counting calories”と”tracking screen time”の類似性を理解する必要がある |
難易度 | 中~やや難。論理展開は明確だが、選択肢が紛らわしい |
2.2 第2問:パッケージングと消費者心理
項目 | 内容 |
---|---|
テーマ | スーパーマーケットにおけるパッケージの役割と消費者への影響 |
語数 | 約1,300語(14段落) |
設問形式 | 語句空所補充(2問)、内容一致(6問)、文挿入(1問)、語句整序(1問) |
特徴 | 語句整序問題”one or more packages are within your field of vision”が難問。文挿入も論理的思考が必要 |
難易度 | 難。特に語句整序と文挿入問題は高レベル |
2.3 第3問:言語とアイデンティティ
項目 | 内容 |
---|---|
テーマ | 言語が個人・集団のアイデンティティとどう関わるか |
語数 | 約1,000語(15段落) |
設問形式 | 内容一致(12問)、語句選択(1問)、複数選択(2問) |
特徴 | 学術的な内容で、”mother tongue”、”ethnolects”などの専門用語が登場。複数選択問題では3つの正解を選ぶ必要がある |
難易度 | やや難~難。抽象的な概念の理解と具体例の把握が必要 |
3. 2026年度への予想と戦略
3.1 難易度と形式の予測
• 長文3題・超大量語数の定着 — 2025年度の総語数約3,500語という傾向は2026年度も継続すると予想されます。各長文1,000~1,300語レベルが標準となるでしょう。
• 語句整序問題の継続 — 2025年度に復活した語句整序は、文法力と文脈理解の両方を問う良問として2026年度も出題される可能性が高いです。
• 学術的・抽象的テーマの増加 — 2025年度は全て社会科学系の学術的テーマでした。2026年度も教育・心理・社会・言語学などの分野から出題されると予想されます。
• 複数選択問題の定着 — 2025年度の第3問で見られた「3つ選べ」形式は、より深い理解を問うため継続される可能性があります。
3.2 時間配分の目安(2026年度版)
セクション | 目安時間 | ポイント |
---|---|---|
第1問(長文約1,200語) | 25~30分 | 比較的読みやすいテーマから始めて調子をつかむ |
第2問(長文約1,300語) | 30~35分 | 最も長く、語句整序などの難問を含む。時間管理が重要 |
第3問(長文約1,000語) | 25~30分 | 抽象的な内容だが語数は少なめ。複数選択に注意 |
見直し | 5分 | マークミスの確認 |
4. 対策と勉強法
4.1 語彙・文法対策
学習領域 | 推奨教材 | 使い方・特徴 |
---|---|---|
語彙(基礎) | 『ターゲット1900』『速読英単語必修編』 | 基本語彙を確実に習得 |
語彙(上級) | 『英検準1級でる順パス単』『速読英単語上級編』 | 学術的な語彙も含めて習得。2025年度は”ethnolects”など専門用語も出題 |
文法(語句整序対策) | 『Next Stage』『英文法・語法Ultimate 600題』 | 語句整序問題を重点的に。SVOCの把握と修飾関係の理解が重要 |
文挿入対策 | 『パラグラフリーディングのストラテジー』 | 論理的なつながりを意識した読解練習 |
4.2 読解力・速読力の強化
学習項目 | 方法・教材 | ポイント |
---|---|---|
長文速読 | 『やっておきたい英語長文1000』『TopGrade英語長文問題精選』 | 1,000語以上の長文に慣れる。時間を計って練習 |
学術的テーマ対策 | 『話題別英単語リンガメタリカ』『テーマ別英単語ACADEMIC』 | 社会科学系のテーマに関する背景知識を習得 |
比喩表現の理解 | 過去問の徹底分析 | 2025年度第1問のような比喩的な論理展開に慣れる |
段落構成の把握 | 各段落の要旨をメモしながら読む | Topic sentence の発見と段落間のつながりを意識 |
4.3 過去問活用法(2025年度問題を基準に)
• 3年分の過去問を徹底分析 — 2023~2025年度の問題は必ず3回以上解き、出題パターンを体得する。
• 時間を計って本番形式で — 90分で3題を解き切る練習を繰り返す。
• 語句整序・文挿入は別途特訓 — これらの問題だけを抜き出して集中練習。
• 他学部の問題も活用 — 文学部、文化構想学部、商学部の長文も練習材料として使用。
4.4 2026年度に向けた勉強スケジュール
時期 | 学習内容 | 目標 |
---|---|---|
8月~10月(基礎期) | 語彙・文法の基礎固めを完了800語レベルの長文を速読練習学術的テーマの背景知識習得 | 基礎力の完成と背景知識の蓄積 |
11月~12月(実戦力養成期) | 1,000語以上の長文を毎日1題語句整序・文挿入問題の集中演習2023~2025年度過去問を時間計測で実施 | 実戦力の向上と時間管理能力の習得 |
1月~試験直前(仕上げ期) | 過去問の2周目・3周目苦手分野の最終確認時事的テーマの英文を読む | 本番対応力の完成 |
5. まとめ
早稲田大学教育学部の英語入試は、2022年度以降に長文読解中心へと大きく変わり、2025年度には総語数約3,500語という過去最大級の分量となりました。2026年度入試に向けては以下の点が重要です:
• 1,000語超の長文を90分で3題処理する速読力
• 学術的・抽象的テーマに対応できる語彙力と背景知識
• 語句整序・文挿入などの高度な文法・論理問題への対応力
• 比喩表現や専門用語を含む文章の正確な理解力
2025年度の出題を見る限り、単なる英語力だけでなく、論理的思考力と教養が問われる試験となっています。早期から計画的に学習を開始し、長文速読力と学術的テーマへの対応力を同時に高めることが、合格への最短ルートとなるでしょう。