やさしい英語で多読!【音声つき】

【やさしい英文de多読!】<53> Children’s Day in Japan: Why Are Carp Flying in the Sky? こどもの日:なぜ鯉が空を泳いでいるの? ~英文を楽しく&音声つきで読もう!~

原田英語マン
原田英語マン
今日のテーマは「こどもの日」です。空を泳ぐ鯉のぼり、なぜ魚を空に揚げるんでしょう? そこには中国の伝説と、武士の語呂合わせと、お母さんへの感謝が隠されています。GW最終日、ちょっと深く知ってみませんか?

📖 英文(228 words)

May 5 is Children’s Day in Japan, called Kodomo no Hi. On this day, families wish for the healthy growth and happiness of their children. But have you ever noticed something strange in May? Big colorful carp-shaped flags are swimming in the sky! These are called koinobori. Why do Japanese people fly fish, not birds, in the air?

The answer comes from an old Chinese legend. Long ago, many fish tried to swim up a strong waterfall called the Dragon Gate. Most fish gave up. But one brave carp kept trying. When it finally reached the top, the carp turned into a dragon. Because of this story, carp became a symbol of courage and success. Parents fly koinobori hoping their children will be strong like the carp.

Children’s Day has another surprise. It used to be only for boys. Until 1948, May 5 was called Boys’ Day. Why? Because the iris flower, used on this day, sounds like the word “shobu” in Japanese. “Shobu” can mean both “iris” and “warrior spirit.” So samurai families loved this day. Today, families with boys still display small samurai helmets at home.

Sadly, the number of children in Japan keeps falling. In 2025, there were only 13.6 million children—the lowest ever. Still, on Children’s Day, the carp will keep flying, full of hope.

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📝 重要語句

healthy:健康な
strong and well, not sick(強くて元気で、病気でない)
growth:成長
the process of getting bigger or older(大きくなったり成長したりすること)
carp:鯉(こい)
a kind of large freshwater fish(淡水にすむ大きな魚の一種)
legend:伝説
an old story from long ago(昔から伝わる物語)
waterfall:滝
water falling down from a high place(高いところから流れ落ちる水)
courage:勇気
being brave when things are hard(つらい時にも勇敢でいること)
symbol:象徴・シンボル
a thing that stands for an idea(ある考えを表すもの)
iris:アヤメ・菖蒲
a tall flower with long, sword-like leaves(剣のように長い葉を持つ背の高い花)
warrior:戦士
a person who fights in a battle(戦いで戦う人)
helmet:兜(かぶと)
a hard hat that protects the head(頭を守る固い帽子)
display:飾る
to put something out so people can see it(人に見えるように何かを置くこと)
falling:減っている
going down in number(数が下がっていること)

🇯🇵 日本語訳

5月5日は「こどもの日」。日本では Kodomo no Hi と呼ばれ、子どもたちが健やかに育ち、幸せでありますようにと願う日です。ところで、5月の街を歩いていて、ふと不思議な光景を目にしたことはありませんか? 色とりどりの大きな鯉が、空を悠々と泳いでいるのです。これは「鯉のぼり」と呼ばれるもの。なぜ日本人は、鳥ではなく魚を空に揚げるのでしょうか?

その答えは、ある古い中国の伝説にあります。昔々、たくさんの魚たちが「龍門」という激しい滝を登ろうとしました。ほとんどの魚はあきらめてしまいましたが、たった一匹の鯉だけは決してあきらめませんでした。そしてついに滝のてっぺんに登りきった時、その鯉は龍へと姿を変えたのです。この物語から、鯉は勇気と立身出世のシンボルとなりました。「うちの子も、この鯉のように強く育ってほしい」――そんな親の願いを乗せて、鯉のぼりは今日も空を泳いでいます。

こどもの日には、もう一つ驚きの事実があります。実はこの日、かつては男の子だけのお祝いだったのです。1948年までは「端午の節句」、つまり「男の子の日」と呼ばれていました。その理由は、この日に使われる「菖蒲(しょうぶ)」という花の名前にあります。日本語では「菖蒲」と「尚武(武を尊ぶ精神)」の発音がまったく同じ。だから武士の家では、この日を特別に大切にしたのです。今でも男の子のいる家庭では、小さな兜飾りが端午の節句に登場します。

しかし、悲しい現実もあります。日本の子どもの数は、年々減り続けているのです。2025年には1,366万人――過去最低を記録しました。それでも、こどもの日になれば、希望をいっぱいに乗せた鯉のぼりが、また元気に空を泳ぎ始めるのです。

🎏 コラム:鯉のぼりに込められた、もっと深い物語

ベランダや庭先を彩る鯉のぼり。あの「お父さん鯉」「お母さん鯉」「子ども鯉」の組み合わせ、実は江戸時代にはなかったものをご存じでしょうか? 鯉のぼり一つにも、知られざる物語がいくつも隠されているのです。

🔸 鯉のぼりは「家族」じゃなかった!?

江戸時代、鯉のぼりは黒い「真鯉(まごい)」たった一匹だけでした。これは家の跡取り、つまり男の子そのものを表していたのです。明治時代に入ると、赤い「緋鯉(ひごい)」が加わって「父と子」の二匹に。そして昭和の高度経済成長期、童謡『こいのぼり』の「♪屋根より高いこいのぼり〜」の歌詞に合わせて、青い子鯉が加わり、現在の家族構成が完成しました。あの可愛らしい家族の鯉のぼりは、実は戦後生まれの比較的新しいスタイル。鯉のぼり一つにも、日本社会の変化がくっきりと映し出されているのですね。

🔸 兜飾りはダース・ベイダーの祖先?

こどもの日に飾られる「兜(かぶと)」は、もともと武士が戦の前に身につけた頭部の防具。その勇ましいデザインに、海外のクリエイターも魅了されてきました。実は、映画『スター・ウォーズ』のダース・ベイダーのヘルメットは、日本の武士の兜からインスピレーションを得てデザインされたと言われています。デザイナーのラルフ・マッカリーは、伊達政宗の三日月型の兜を参考にしたとも。今年のGW、おうちの兜飾りを眺めながら「あれ、ベイダー卿に似てるな……」とニヤリとしてみてください。

🔸 柏餅とちまき、東西の不思議

こどもの日に食べる「柏餅(かしわもち)」にも面白い意味があります。柏の葉は、新芽が出るまで古い葉が落ちないという珍しい特徴をもちます。そこから「子孫が絶えない」という縁起の良い意味が込められ、子孫繁栄を願う食べ物になったのです。一方、関西では「ちまき」が主流。これは中国の故事——古代中国の詩人・屈原(くつげん)が川に身を投げた際、人々が彼を供養するために竹筒に米を入れて川に投げ入れた——に由来し、災いを避けるおまじないとして伝わってきました。同じ祝日でも、東と西で食べるものがガラリと違う。日本って本当に奥深い国ですよね。

🔸 世界の「子どもの日」は意外とバラバラ

世界に目を向けると、「子どもの日」は国によって日付がバラバラです。中国とロシアは6月1日、トルコは世界で初めて1920年に制定された4月23日(世界初の子どもの日)、国連が定める「世界子どもの日」は11月20日。インドはネルー首相の誕生日の11月14日、ブラジルは10月12日。日本のように5月5日を選んでいる国は、実はほとんどありません。これは、日本が独自の「端午の節句」という古い伝統と、戦後生まれの「こどもの日」を見事に重ね合わせた、世界でも珍しいケースだからです。

🔸 実は「お母さんに感謝する日」

あまり知られていませんが、こどもの日は「お母さんに感謝する日」でもあるのです。1948年に制定された祝日法には、はっきりとこう書かれています——「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」。鯉のぼりを見上げる時、子どもたちの健やかな成長を願うと同時に、自分を産み育ててくれたお母さんの顔も、そっと思い浮かべてみてはいかがでしょうか。

2025年、日本の子どもの数は過去最低の1,366万人を記録しました。それでも、5月の空を泳ぐ鯉のぼりは、変わらず希望を運び続けています。古いしきたりに込められた「子を想う気持ち」は、時代が変わっても色あせることはありません。今年の5月5日、空を見上げて、あの大きな鯉と一緒に深呼吸してみませんか?

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